AIが高齢化社会の救世主になる? AIの可能性と関連株の紹介

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人工知能、AIを利用した技術の積極的な導入が進む中、AIとはいったい何なのかと疑問に思っている人も少なくはないでしょう。

株式投資を始めたばかりの人や、これから始める人は、なぜAIがよく株式関連のニュースで取沙汰されるのか疑問に思っている最中ではないかと思います。

よく注意してみると、一日にAIに関する記事はここ数日でも軽く10件は下らず、とくにAIが高齢化社会で果たしうる役割が期待されているようです。

そこで、今回はAIが高齢化社会にどのように関わってくるのかを解説、そして今後の参考までにAI関連株をいくつかご紹介しておきたいと思います。

AIとは?

おそらく、これまでに映画の世界にて、物を考えることのできる精神構造の優れたロボットや、難問を解決するコンピューターシステムの存在などを見たことがあると思います。

最近のものだとスターウォーズ、

スティールワールド、ターミネーター4、など

少し古いものだとブレードランナー、スタートレック、コンピューターが人間の頭脳の代わりとして登場してくるシーンを非現実世界のものとして当たり前に見てきたわけです。

ところが、すでに21世紀に突入してからというもの、それは架空の映画の世界の話ではなく現実のものとして、私達の目の前に現れ始めているのです。

このコンピュータによって構成された頭脳のことを、AIといいます。AI(Artificial Inteligence)、人工知能とも呼ばれています。

その他にも、Machine Learning(マシーンラーニング)、Deep Learning(ディープラーニング)などと表現されることもあります。

◇AIの構造◇

AIは、一般的に情報を集めて考えたり判断したりできる、人間の頭脳の代わりになるものと解釈されていますが、人間と大きく違うことは、感情や性格や癖をもっていないということです。

現状では、AIができることは巨大な数のデータを収集し、分析した上で、いくつもある選択肢の中から最適だと思われる1つの方法を検出するということです。

そのAIが独自に行う検出方法として、活用されるのがアルゴリズムです。

Man
アルゴリズムとはいったい何なの?
Expert
アルゴリズムとは不特定多数の不規則な情報から、ある基盤となる法則を見出すことです。

例えば・・・

三角形の底辺×高さ÷2、がその三角形の面積を表す法則だということは、すでに証明されているから私達は知っていますが、それが証明されるまでには数えきれないほどの三角形の種類を計算して証明しなければなりません。

その無限とも言える様々な三角形の計算があったから、この法則が導きだされたわけですが、この世の中にはまだ、解明されていない法則もたくさん存在します。

また、数式では確実に証明できない事柄などは、確率という言葉で法則に近いものを検出することができます。

AIはデータを基に、計算・分析を行いアルゴリズムを検出し、そして最も予想されるものを答えとして提案することができるわけです。

このアルゴリズムがAIの構造の基盤となっています。

使われるデータはデジタルに変換できるものであれば、画像、文字、記号、音声、色などあらゆるものが識別の対象となるのです。

◇AIの技術開発◇

AIが人間に近づくためには、まだまだ時間はかかるだろうと言われており、最も優れたAIロボットでも部屋にいるネズミを一匹捕まえるためにどんなに早くとも3,4時間を要するとのことです。

しかし将来的には、AIによって現在人間が行っている多くの仕事をAIによって自動化することができるだろうと期待されています。

世界で行われている代表的なAIの技術開発は、

  • 自動運転車

解決すべき課題はまだ多いようですが、大手自動車メーカーが多額の資金を費やして研究開発に力を入れているのがAIが運転する無人の自動車です。

  • 金融システム

AI特有のアルゴリズム検出能力を、金融機関の投資アドバイスに導入する企業が増えてきています。また、サイバーアタックなどのネット犯罪を事前に防ぐ機能としても開発が進んでいます。

  • ヘルスケアサポート

病気の早期発見と適切な治療法の検討などを、AIの支援を得て行うことができるようになりました。AIの莫大な情報の処理能力によって、より早く、より正確な診断ができることが期待されています。より身近なヘルスケアサポートのAI活用法が模索されています。

その他にも、

  • 緻密な画像解析
  • 心理分析
  • トレーニングや教育

など様々な方面にて、AIの技術開発が進行しているのです。

AIは未来を救えるのか

Googleの検索エンジンに使用されていたり、IBMのコンピュータに組み込まれていたり、アマゾンのエコーやマイクロソフトのコルトナなどすでにAIは至るところで活躍を始めています。

AIがより高度なものとなり、人間の頭脳の代わを果たすようになることで、これから予想されうる世界的に深刻な様々な問題を解決していくことが期待されています。

具体的にはどのような問題が解決できるのでしょうか。

世界的に深刻な自然環境問題

著名な科学者達の見解によると、20世紀に入ってから地球上の生物は以前の1,000倍の速さで、絶滅の危機に瀕しているといわれています。生物の危機と同時に危惧されているのが農業の土壌、資源の源となる自然環境の破壊です。

生存する生物やその生息地である自然環境を正確に把握していくことが、今後の課題となっていても、実際に把握できている生物は1,500万種類くらいで、見込まれている1億種類には到底追いつくことは不可能で、おそらく500年くらいはかかるだろうといわれています。

そして500年もたつ頃には、そのほとんどの種がすでに滅びてしまっていることが予想されていました。そして同時進行していくと思われる海洋や山岳地帯などの破壊は、天然資源の破壊にもつながり、私達人間の生存の危機でもあります。

しかし、AIの出現によりデータ収集や分析、記録が予想以上に短縮することにつながり、早期での対策が可能となります。人間が数日かかって消化するデータを、AIはわずか数秒でこなすことができるのです。

そのように人間には不可能な膨大な数のデータを取り扱えるようになることで、地震、干ばつ、津波などの天災も予測できる確率が高くなります。

人間の新たな倫理観の形成

時代とともに、IT技術が普及し私達の生活や価値観は多様化していく中、これまでとは違う倫理観が形成されつつあります。AIをプログラミングするのは人間であり、その人間が何が正しくて何が間違っているのかという倫理観を明確にしていなければ、プログラミングのしようがありません。

善悪の基準をAIに学習させるために、法律やその他常識とされる倫理観、例えば「人を殺してはいけない」や「裸で歩いてはいけない」、「困っている人を助けるのは正しい」などをまずは明確にする必要があります。

正しい、間違っていると判断の基準となるものは、時代の流れによって変化していくものと、永久不変的に変わらないものとあるでしょう。

AIの今後の活躍において、これらの倫理観、善悪の規範を、国籍の違いや過去の因習そして偏見による判断をすべて一掃して、新しく形成していく機会になるのです。

さらにAIが出す善悪の判断には、人間が感情や偏見から犯してしまいがちな過ちを完全に防いでくれるかもしれないと期待されています。

医療・産業の効率化とスピード化

そして、AIが果たす役割で期待されているのが、医療・産業の効率化やスピード化です。

医療においては、不可視的な情報をデータ化することでより綿密な診断を下すことができるようになります。また、消化する情報の量が半端ではないので、人間には思いつかない治療法や解決策を提案してくれる可能性が出てきます。

また、産業分野ではこれまでの人間が踏み込むことが危険だとされていた領域(核燃料や危険物を取り扱う現場など)へも、AIロボットを利用することで、対応が可能となり、その場で最適と思われる対処法を実施させることができます。

医療・産業ともに、業種を問わず単純作業や重大な意志決定をする必要のない仕事に対しては、自動化でAIにすべての処理を任せることができるようになります。効率化を図り、スピード化を実現していくことが可能となるでしょう。

AI市場

IDC JapanのItシステム市場調査を参考にすると、

2017年度のAIシステム市場規模は約274億円、年間平均の成長率は60.7%、2020年までには約3,000憶円近くになるだろうと予測されています。

Expert
IDCとは→アメリカに本社を持つ、IT関連の情報を取り扱う会社で、国内外においてIDCは政策や企業を対象に様々な情報通信機器、情報通信テクノロジーに関して調査統計を行っています。

このように、今後、急展開を見せていくことが期待されているAI市場ですが、冒頭でも軽く触れたように日本では高齢化社会に果たす役割が特に期待されているのです。

それでは、高齢化社会とAIの役割について詳しく解説していきたいと思います。

高齢化社会のニーズ

日本は、地球上で最も高齢化が加速している国だといわれています。そんな国内において、先進国の経済発展の末の弊害として、女性の社会進出による少子化、少子化や医療の発展や生活向上によって生じる高齢化は今や軽視できない現象となっています。

AIと人手不足

労働人口は減少の一途をたどり、もはや日本の産業は外国人の存在なしに成り立たないというのは周知の事実です。このまま少子化が進めば1人の若者が5人の高齢者を負担する比率になっていくといわれています。

かといって、子供が増えるような社会を築いていくためには、若い男女の結婚観や人生観、個人の根本的な価値観、哲学的な思想を時代のトレンドとして変えていかなくてはなりません。

それではあまりにも膨大な時間と労力がかかってしまいます。それに、そうすることはある意味、思想的には後退していくことにもなるのです。

これは、人類の精神構造が進展していったために生まれたスタイルだとあきらめ、別の方法を考えていかねばなりません。それに、地球的規模で考えれば、人間の数は十分すぎるほど増えています。世界人口をトータルで考えていけばそれほど深刻な問題でもないというのが個人的な持論ではあります。

しかし何はともあれ、目の前の課題を解決していかなければ日本の未来はあまり明るいとはいえません。そんな背景もあり、日本やその他の先進国においてはAIの開発が急がれているのです。

なぜなら、目に見えて減少していく労働人口を補うために、AIが人間の代わりになって働いてくれることが人手不足の対応策として考えられているのです。

AIと介護・医療

今日では、高齢化で必要不可欠な介護人材の不足はかなり深刻な状態に陥っています。2017年度の求人有効倍率は介護職にて3.6倍と全体の1.4倍を上回るという事態です。

Expert
求人有効倍率→求職者に対する、求人者の数を表す比率です。

この深刻な人手不足の根底にあるのは、

大切で大変な労働であるにもかかわらず、賃金面だけに限らず適正な評価がなされていない現場が多いことにあるといわれています。

人手不足の解消として考えられているのが、「現場の労働条件の改善」「外国人労働者の雇用」、そして「AIの活用」になるのです。

AIが高齢化社会で果たす役割

すでに、人手不足の対応策として実験的に導入されているAIシステムにはどのようなものがあるのでしょうか。いくつか具体的な事例を見ていきたと思います。

◆AIの活用事例◆

「介護計画・ケアプラン」

介護大手の出資により、約9が月に渡っての実証実験が600人の高齢者を対象に実施。

AIのケアプランによって、過去の介護データをもとにどのような介護やサービスを提供すれば症状が改善されていくかの学習を試みる。約120項目のデータを入力すると、最適なケアプランを3つ提示してくれるもの。

※従来の介護現場は、自立支援型の介護の浸透が実施されておらず、時間の経過とともに要介護度が増していくのが一般的でした。このケアプランにより症状の改善などが見られはじめているとのことです。

「AI見守りサービス」

センサーとAI機能が一体となって高齢者を見守りシステム。

※看護師や介護職員が24時間つきっきりの監視体制をひく必要がなく、労働力を軽減することができます。単に喉が渇いて起きたのか、具合が悪くて起きたのか、異常事態なのか、緊急事態なのかをAIが判断してくれます。

「介護ロボット」

高齢者の自立支援のためのAIロボット

※動いたり、歩行したり、買い物をしたり、入浴したりと、日常生活をAIロボットが支援しれくれます。高齢者の中には、誰かのお世話になることを苦痛に感じる人もいるに違いありません。そんな人達にとってはこれ以上心強い味方はいないでしょう。

「AI病院」

新潟県内の産官学が取り組むAI病院プロジェクト。

カルテの自動入力や画像診断、治療法の選択にAIシステムを導入したモデル病院を2023年までに10カ所で実施する予定です。政府機関では厚生労働省が中心となり、100憶円以上の予算が組まれています。本年度の9月より体制を整えて乗り出すことが報告されています。

産官学→産業(企業)官(政府、自治体)学(大学・教育機関)のこと

医者や看護師の仕事の負担を減らすことによって、より患者との密接なコミュニケーションに集中できるようになります。

など・・・

他にも、認知証予防の学習機能や、会話ができるAIロボットや、健康に暮らせるために食事のアドバイスをしたりと様々なサービスが考案、提供されているのです。

おすすめのAI関連株

 

以上のように、高齢化社会が加速する国内では、人手不足と高齢化を解決していくためには、AIに依存せざるを得ない状況となっており、私達にとってAIは必要不可欠な存在となることが予想されています。

それでは、株式投資の銘柄選びとして、どんな企業がAIを提供しているのかご紹介したいと思いますので、興味のある方は企業のHPを参考にしてみて下さい。

※株価は2018年8月14日時点を参照

富士通(6702)

情報通信機器、インフラ設備

株価:771円

AI技術「Zinrai」→自治体の公共サービス向けのAIソフトの提供、医療・介護に特化したサービス、その他インフラ用、コールセンター、工場用など多様なAIの開発を行っています。

データセクション(3905)

データ分析、マーケティング

株価:730円

AI技術→医療用の画像解析、データ収集・分析、ソリューション提案など行っています。

ロゼッタ(6182)

企業向けの自動翻訳ソフト

株価:1,915円

AI技術→90カ国語対応の自動翻訳機能AIシステムを医師、弁護士など専門分野向けに展開しています。

フロンテオ(2158)

システム、ソフトウェア、訴訟支援

株価:1,085円

ヘルスケアサポートとして転倒予知システム、分析システム、受付・接客支援ロボット、見守り支援ロボットなどの開発を行っています。

日本サード・パーティ(2488)

ソフトウェア開発、保守業務

株価:776円 

AI技術→IBMのワトソンを活用したコールセンター・お客様対応のソフトウェア、各種ロボット開発、医療機器サポート、化学分析サポートなどの開発を行っています。

その他

  • DMP(3652)
  • AMI(3773)
  • シグマクシス(6088)
  • ALBERT(3687)
  • ダブルスタンダード(3625)

など・・・

まとめ

AIが人類にとって有益なのか有害なのかといった論争は、AI技術が登場した時から今日に至るまで、専門家や科学者たちの間で繰り広げられています。

AIの存在を偉大な頭脳と見る人もいれば、この世の終わりを告げるものとして警告する人もいます。

あるドラックストアにて店長は某メーカーの洗剤の価格を値下げすべきかどうかをAIに分析させたところ、そのままの値段でも十分な利益が出るとの結果がでました。

ところが、AIはすぐ近所のドラックストアにて同メーカーの洗剤の割引きセールがあることを知りませんでした。その結果そのドラックストアは大幅な損失を抱えてしまいました。

もし、店長が自分自身でリサーチを行っていたとすれば、近所のドラッグストアにて割引きセールをやっていることにはすぐに気づき、すぐに対抗できる対策が練られたはずです。

AIに全面的に依存してしまったことが、失敗の原因となったようです。

このように、人間がAIという人工頭脳にすべてを任せてしまうことになれば、おそらくそれこそ人類の危機であります。AIにコントロールされる愚かな時代を進むことになるでしょう。

あくまで、人間がAIを1つのツールとして使用することを忘れない限り、きっとこんなに役に立つものはないのではないかと思います。AIのサポートを得ることで、人間が最終的な決定的な判断を下していくことがAIとの共存を意味あるもにしてくれるに違いありません。

そんな視点で見れば、今後AIは多くの問題を解決していく素晴らしい開発だといえるのではないでしょうか。

 

 

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