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上がるか?下がるか?たったこれだけの予想なのになぜか勝てなくなってしまうFX。たまには勝つこともありますが、トータルではマイナスの結果となってしまうこともよくあるパターンです。
そこで、どうすれば口座残高を増やし続けていけるかを考えるわけですが、いつも決まって考えることは「勝ち方、1回1回の勝てる方法、勝てるやり方」といったものだと思います。
また、テクニカルツールの使い方にさらに磨きをかけるべく、参考書を買い増ししたり、ツールの小難しい調整を納得のゆくまで何度も行ったりする人もいるでしょう。
しかしそれでも思うような結果にならず、再び勝ち方の模索、ツールの調整、勝ち方の模索、ツールの調整・・・を繰り返してしまうのではないのでしょうか?
本項では、これだけPC画面と格闘し知識も豊富に備え、チャートやツールを使いこなしているのに、なぜFXの成績が良くならないのかといった疑問の解消へとなるよう、通常ならあまり意識されない思いも寄らない要因についてお話ししていきます。
FX業者が儲かるからこそ私たちが参加できる
FX取引の私たちを含めた状況
まず、私たちがFX取引を行うにはFXサービスを提供している業者の元で会員登録しFX口座を作ります。
このFX業者ですが、当然のことながら営利を目的に営業活動を行っています。また国内の業者数は、ピーク時よりは減っているものの、2017年12月末時点では66業者となっております(一般社団法人 金融先物取引業協会資料より)。
この「66」という業者数が多いか少ないかは捉え方にもよりますが、上記時点において66業者はFXで儲けを出すことができると考えているわけです。
そしてこの利益はどこから来ているのかと言いますと、言うまでもなく「私たち」トレーダーの口座資金からなのです。
私たちはFXに魅了されたくさん負けが込んでも、完全に撤退する意志がなければ取引を続行します。
FX業者には店頭取引(相対取引)の業者と、取引所取引(くりっく365)のものとがありますが、いずれのスタイルの業者にしましても、私たちの気が変わらない間はサービスを提供し続けることができるので、66の業者が存在しているわけです。
ただ、多くの客が冷静な心の持ち主で、何事にも合理的な行動が取れるのであれば、FX業者は継続した利益を得ることはできません。
しかし現実はその反対だからこそ、あとは現状のサービスや広告・宣伝活動によって長く生き続けているわけです。
この構図はなんともしがたいジレンマではありますが、否定できない現実であります。
FX業者の儲けの仕組み
簡単になりますが、例えば店頭取引業者の場合は、マリー取引(客から預かった数多くの買い・売り注文をまとめて相殺処理)を盛んに行い、それに伴って日本円と外国通貨に発生する金利の差を収益にしたりしています。
また、為替ディーラーの高度なトレード技術を駆使し、相場分析上、業者の損失にはならないか利益が出せるカッコで為替市場(インターバンク)へ発注をかける「カバー取引」などを行っています。
無料ツールを提供しても負けない自信が業者にある
テクニカルツールと私たちとの関わり
FXの口座を開設しますと、トレードに必要な様々な分析ツールを無料で利用できたり、FXに関係するニュース等の情報を無料で手に入れることができます。
この無料のテクニカルツールですが、トレーダーたちに数多く取引をしてもらえるよう各社趣向を凝らしたデザインや豊富なラインナップをそろえています。
また多くのトレーダーは、勝つために必須なものとしてこのツールの使い方に没頭し、各種数値をアレンジしたりその出力結果などについて日夜研究や試行錯誤をしているものです。
関連する出版物やウェブサイトも多く存在し、勉強熱心なトレーダーであればその知識も豊富なことでしょう。
なぜ無料でサービスを提供するのか?
しかし、主にこの無料ツールを使ったトレードで本当に勝ち続けることができるのであれば、逆に業者の方がどんどん損失を出すことになり、とても営業ができるものではありません。
ではなぜそういった提供を行っているのか?それは私たちがそれらツールなどを使ってトレードした方が面白いと思うからです。
またその方が客がより多くのお金を使ってくれると確信しているからです。
ただ確かに、ローソク足チャートとレートの表示だけではあまりにも寂しすぎますし、私たちが大金を投じるのにそれだけではポジションを建てる気になれないからとも言えます。なので基本的なツール類の提供は業者側の最低限の努めでもあります。
無料ツールの真の姿
しかし無料ツールのあり方は、パチンコ屋がこれまで利益をあげてきた姿とも構図が似ています。
パチンコホールではパチンコ・パチスロ台の各台の上部に、その日の回転数や大当たり回数、出玉グラフなどを表示したデータ機器が設置されています。客はそのデータ機器の表示を見ながら台を選んだり立ち回りを考えたりしています。
そしてその結果、ほとんどの客は店に勝つことができないのです。
無料サービスは業者側の最低限の努めであるのと同時に、私たちトレーダーの好奇心をそそらせ、FXビジネスにおいては非常に都合がいいということです。
テクニカルツールは言わば「業者のための商売ツール」であるのです。
ヘッジファンドをひがんでばかりではもったいない
ヘッジファンドについて
FXでトレードを行っていますと時折大き目のレート変動に出くわすことがありますが、それはヘッジファンドによる仕掛け的な値動きであることも少なくありません。
このヘッジファンドですが、主な顧客が富裕層であることと、トレード手法がアグレッシブであることなどから、一般の個人トレーダーにとっては身近な存在でなく、むしろどこか危険でズル賢くあまりいいイメージが浮かばないかもしれません。
ですが彼らも商売でやってますので、いかに利益を上げるかには日々努力を重ねているところであります(中には成績が思うように上がらないファンドもあるようですが)。
このように私たちの前で思いも寄らない大波を作り出し、相場に果敢に挑み、そして研究を絶やさないそのヘッジファンドの姿って、私たちにも参考になる部分があるのではないのでしょうか?
ヘッジファンドの手法の例
これは、たとえばレートが大きく上昇したところで、他の参加者が設定しているストップロス(損切り設定したレート)のかたまりを予測し、任意のタイミングで売りポジションを建てレートを下げ始めます。
そしてレートが下がりますと誰かの買いポジションのストップロスが発動しさらにレートが下がります。さらにその下落に反応したまた別の誰かのストップロスが発動してさらにレートが下がり、その結果、ストップロス発動の連鎖が起こり続けます。
メンタルと戦略
上昇中の相場であれば、買いポジションを建てて自分もこの波に乗りたいと考えるのが多くの相場参加者の気持ちです。
しかし、トレンド発生の最中ですとどこでその流れが止まってしまうかが分からず、最悪の場合、天井を買いポジションで掴んでしまうリスクがあります。
そこでヘッジファンドはその心理を大衆と同一のものとはせず、まずは相場変動の騒ぎが収まるのを待ち、次にもっと安全に最大の利益が出せる手がかりはないかと模索するわけです。
ここで大切なポイントは、「目先のトレンドに誘惑されない」こと。欲や感情のままにトレードをしてしまわないところが、私たちにはなかなか難しいヘッジファンドの強さです。
そして、この例では「そろそろストップロスがたくさん溜まってきたのでは」という仮説と、「ここでちょっとしたキッカケを与え相場を動かせば大きな利益が出せるのではないか」という企画立案の提起。
集団意識の弊害
大衆心理のままに上昇局面は上昇局面としか捉えられないでいますと、いつもの通りヘッジファンドの狙いにはまってしまいます。
特に日本人の農耕民族的な集団意識、みんなでいっしょに運命を歩むといった感覚は、枠の外にあるものを認めようとはしません。逆に自分たちの状態をよそに1人優越感に浸る存在の足を引っ張ったり蹴落としたり・・・。
この自分たちのコミュニティーがいかに大切かが、仮想通貨の取引サイトに設置されているチャットにもかつて表れていたものでした。
2017年の末頃、仮想通貨はビットコインを中心にその他多くのアルトコインも連日連騰といった盛り上がりを見せていました。
チャットには毎日多くの書き込みが入り、表示の更新が目まぐるしく、多くの利用者が仮想通貨とチャットでの会話を本当に楽しんでいたものでした。
その時気になった書き込みがあったのですが、それは「みんなでいっしょに儲けよう~!」「みんなで盛大に盛り上がろう!」といった感じのものです。
こういった書き込みはまさに、日本人の民族意識そのもの、というと少し大げさかもしれませんが、それでもスポーツ観戦やアイドルのコンサートを楽しんでいるような感じには思えました。
ところがここは仮想通貨を介した投資の場です。FXもそうですがここは「ゼロサムゲーム」の世界です。ゼロサムゲームは一定の限りある利益を参加者同士で奪い合うもので、誰かが勝てばその一方で別の誰かが勝者の取り分を負担しているわけです。
みんなでいっしょに勝つことはできません。
しかし、仲間意識や集団心理の中ではこの極基本的な性質すら認識できなくなってしまいます。
そして、投資にふさわしくないこの団結心は、せっかくのお金儲けのお手本をみすみす取り逃してしまうことにもなるのです。
予測のあり方を見直すべき
当てることばかり考えてしまう
予測はFXに常につきまとうものです。上がるか下がるか、いつなのか、どれくらい動くのか、そのような問いかけがトレードに向き合っている間は頭の中で繰り返されていることでしょう。
確かにそうなってしまうのも無理はありませんが、この時私たちはあまりにも確信レベルの探究をしてしまいがちになっているのではないのでしょうか?言い換えれば、損切りが不要となるくらいの鉄板エントリーポイントを探しているのではないのかということです。
そうなってしまう理由としては、社会人の方ですと仕事をミスなくこなし、人間関係もトラブルなく無難にノーリスクで過ごそうとする普段の習慣が挙げられます。
ミスは決して許されない恥ずべきこととして極力起こさないもの。失敗は失敗でしかありません。
本当のミスとは
確実に当たることを前提に予想をしてますから、ハズれた時の対策・考慮が無いことが上記の考え方にあります。
しかし、予想をハズした時の対処法(損切りなど)がないと、損失の拡大やメンタルの悪化などを招くことになります。
どうしても損切りができない、損はしたくないという気持ちは分かりますが、長い投資の歴史において100%の的中率を誇る投資法(聖杯)が存在しないことや、その結果どうしても損切りというアクションが必要になってくることはもはや説明するまでもありません。
予測のあり方
例えば「X = 1 + 2」という方程式があるとします。1と2はすでに存在している事実とし、この2つの存在からXという未来の現象を予測するとします。
この既存の事実から未来を予想するというFXのやり方は往々にしてあるわけですが、Xが本当に出現するかどうかは、なんといっても不安定なものです。
またXが出現しなかったことによる損失を適切に処理できるかどうかの問題や、この予想法の繰り返しにより想定以上の損失の機会が発生してしまうことも懸念されます。
このパターン発見の重要さを物語ったものが、ラスベガスなどのカジノで大金を稼いだプロギャンブラー・のぶき氏の以下の発言にもあります。
出典:リクナビNEXTジャーナル
https://next.rikunabi.com/journal/20170720_P/
全てを取り入れるのは難しいかもしれませんが、FXのように参考情報が豊富ではないジャンルにおいても、パターン化・ルール化は一定の成果を導き出す有効な手段なのです。
メンタル対策ができていない
てっとり早く儲けたい、簡単に大金を手に入れたい。こういった願望は無理なやり方を誘発しそのほとんどの願いが現実にならないのが常です。
5%ということは、1,000,000円の資金に対し年間で55,000円の利益。更に1日あたりでは約208円(FXができる平日の約240日で計算)が適正な利益額となります。
1年間取引を行ってこのようなレベルの利益水準というのはちょっとインパクトに欠ける印象があります。
しかし、相場の様々な局面変化や資金管理の徹底、損切りの励行、FXに関する法令等の改正、長年に渡る業界の現実からこのような利回りの水準がはじき出されているのです。
またメンタルの弱さに起因する個々の問題としては、損切りができない、ガマンできない、無理に大金を投じてしまう、生活に余裕のない状態でFXを行うことなどがあります。
まとめ
PCやスマホ画面に密着していますとFXで勝てなくなる様々な原因に意外と気が付かないものです。それらの多くは表面上の姿の裏側を読み返してみるとハッキリしてきます。
以下にそれらをまとめてみますと、
- 私たちが自宅で手軽にFXができること→参加者の損失によりFX業者が営業を維持
- ツールを駆使しても勝てない→相場で勝つ本質はそこではない、1.を促進させる
- 日本人の集団意識→相場の誤認識、いい見本を敬遠してしまう
- 予測が当たらない→答えが出ているものに投資すべき
- 欲求が抑えられない→プロでさえやらない危険行為に走る
一般的にFXであればFX的な発想から、株であればやはり株の世界から問題解決の糸口を探り出そうとするものです。
しかし、専門的な技術や知識からだけではなかなか本質的な解決法が発見できない場合があり、もっと広い視野で全体像を眺めてみることが大切です。