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債務整理の相談を考えている人にとって心配になることの一つとして、「失敗したくない」ということが挙げられます。
では失敗をしないためにはどのようなことに気を付けるべきでしょうか。
このページでは、法律事務所の実情なども踏まえながら、失敗しないための知識についてお伝えしたいとおもいます。
債務整理の相談の実情
まず、債務整理の相談をするにあたっての、費用や流れ、債務整理というもの取り扱いに関する実情を知っておいてください。
費用
債務整理の相談は、法律相談という部類に分類されます。
弁護士・司法書士といった国家資格で仕事をしている人に法律相談をするにあたっては30分5,000円~10,000円程度の相談料がかかることが通常です。
もっとも債務整理をするのに弁護士や司法書士の力を借りなければいけなくなっている状況に追い込まれているという状況そのため、地方自治体や弁護士会・司法書士会法テラスといった機関などが無料で相談に乗ってくれる日を設けたりしていますし、相談自体は無料で行ってくれている弁護士や司法書士も居ます。
弁護士・司法書士事務所のマーケティング的な観点でお話しすると、相談料をもらって稼ぐよりも、相談を無料にして依頼をしてもらう方が弁護士・司法書士にはメリットがあります。
ですから、専門家はむしろ無料で相談を受け付けている、と覚えておいてください。
債務整理相談の流れ
弁護士や司法書士は普段裁判所や顧客を訪問していたりします。
ですので、相談をしたくて訪問をしても居ないという可能性がありますので、事前に事務所に電話をして法律相談をする予約を取る必要があります。
相談日当日は事務所に出向いていって弁護士・司法書士と面談をして、今の自分の状況について説明をして、その状況にどのような解決策があるのかを弁護士・司法書士から説明を受けます。
債務整理の判断に必要な事項は最近では割と整備されているので、判断に必要な情報については事務員・パラリーガルと言われる人が事情を聴くのに参加することもあります。
弁護士・司法書士が示した解決策に納得がいった場合にはそのまま契約をすると、弁護士・司法書士はその日のうちにあなたの債務整理手続きに着手してくれることになります。
債務整理という案件に関する実情
債務整理という手続き自体は弁護士・司法書士にとってほとんどの場合にあまり難しい手続きではありません。
仮に弁護士なりたての人でも,手続きを過去にやったことがあるような事務員がいれば充分事務所として機能しますし、債務整理について書いてある書籍を見ながらやれば、7割くらいの通常の案件には対応できてしまいます。
1件につき得られる報酬が他の交通事故や離婚の案件に比べて多くないことから、弁護士・司法書士の中には「債務整理はやりたくない」と表立って言うかたもいらっしゃいます。
地方自治体や法テラスの法律相談を申し込んでも「私は債務整理はやっていないので、相談されても受けられない」という言い方をする方もいらっしゃいます。
あってはならない事なのですが、債務整理を仕方なく引き受けるため、処理が適当という場合もあるようなので、注意が必要です。
最近では、専門性、きちんと利益の出る組織づくり・マーケティング手法などを確立した弁護士・司法書士がサービスを提供しているので、このような弁護士・司法書士に相談・依頼をすべきでしょう。
債務整理の相談で失敗しないためにすべきこと
それでは、債務整理の相談で失敗しないために、どのような準備をすればよいかみてみましょう。
相談の準備
まず、相談にあたっては本人であることを確認することがあるので、免許証・健康保険証等の公的な身分証明証を持参します。
債務整理の相談にあたってどのような準備が必要か見てみましょう。
債務整理の相談においては、まずどのような状態にあるのかをできるだけ正確に把握する必要があります。
債務整理をすべきかすべきではないか、するとして債務整理の中でも任意整理・自己破産・個人再生のどの手続きにすべきかを判断するためには「債務額」と「返済能力」の2点を把握する必要があります。
そのため、相談に行っても債務額もわからない、返済できる金額も分からない、という状態だと、弁護士・司法書士としても何を提案してあげればよいか、わからないということになってしまいます。
ですので「債務額」と「返済能力」について大体でもよいので把握しておくようにしましょう。
債務額の調べ方
債務額がいくらなのかちょっとよくわからなくなってしまっているというのは実は珍しいことではありません。
事前に300万程度とお伺いしていましたが、実際に調査をすると500万程度になっていたということは、実はそんなに珍しいことではありません。ただ、できればだいたいの金額を把握しておくべきです。
たとえば、月5万円の借金返済ができる人でも、借金が200万程度なら任意整理でも返せる可能性がありますが、300万を超えると返済は不可能と判断して自己破産や個人再生を利用する事になるので、その見極めが必要になるのです。
とはいえ、1円単位のズレも許さない訳ではないので、だいたいの金額を把握してみましょう。
銀行や消費者金融であれば、最後支払いをしたときのATMで出てきた残高がそれです。
もし残高を書いた紙を捨ててしまっているような場合には、借入の限度額がいくらなのかを思い出して、そこからいくら返しているかを思い出してみましょう。
判断自体は総債務額で行うのですが、相談の際には、
- どこから貸金業者がどこか→難しい金融会社や、注意が必要な処理がないかを判断するのに必要です。
- いくら借りていて(残額)→あといくらあるのかを判断するのに必要です。
- いつから借りているか→借金が調査の結果減るかどうかの判断に必要です。
- 連帯保証人・担保・公正証書の有無→債務整理をする事によるデメリットの判断に必要です。
以上の事を同時にお伺いする事になります。
できれば一覧表にまとめるような形にして、弁護士・司法書士に見やすいようにしておくのが好ましいでしょう。
記載例)
貸金業者名 | 債務総額 | いつから借りているか | 連帯保証人・担保・公正証書 | 備考 |
消費者金融A | 50万円 | 平成17年から | 連帯保証人:なし
担保:なし 公正証書なし |
一度完済している |
信販会社B | 30万円 | 平成15年から | 連帯保証人:なし
担保:なし 公正証書:なし |
ショッピング利用をしている |
住宅金融支援機構 | 3500万円 | 平成13年から | 連帯保証人:妻
担保:あり 公正証書:なし |
住宅ローンの遅れはない
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貸金業者返済能力の調べ方
返済能力がどれだけあるかは、収入と支出のバランスから判断します。
返済能力=手取り収入―生活に必要最低限の支出で計算します。
返済できるかどうかは、いくら毎月返済をすることができるのかを検討することが重要なので、手取りの金額で検討をします。
支出については、生活に必要な最低限の金額で考えるようにします。
借金などの返済は基本的には優先されるべきなので、たとえば子供に塾や習いごとをさせたい、食事は外食をメインにしたい、週に1度はゴルフに行きたいといった借金返済に優先される事は生活に必要な最低限の金額に含まれません。
その他の事項
債務額と返済能力で手続きが8割決まるのですが、その他の事情についても検討しておく必要があります。
どのような手続きを希望するか、その理由
債務整理のメニューの中でも、どの手続きを希望するかをおうかがいします。例えば、債務額は自己破産するまでもないが、今の借金をなんとかして1日も早くやり直したいような場合には、自己破産手続きを利用します。
自己破産をする事に家族の了承を得られそうにないので、任意整理で返済をしていくという希望がある場合には、任意整理で和解が可能な状態であれば、任意整理を行います。
ショッピングローンを組んでいる
自動車やその他の高額なものについての購入をショッピングローンで組んでいるような場合には、債務整理をすると引き上げられてしまう可能性があります。
日用品の買い物のような場合には追及はしてきませんが、売却すると20万程度になりそうなものについては、引き上げられる事は確実だと思ってもらえれば良いです。
維持したい住宅がある
住宅を維持したいような場合には、住宅を維持しながら債務整理ができないかを検討します。
具体的には、任意整理や個人再生手続きを利用して住宅の維持をできないかといった観点から手続きを組み立てます。
自己破産できない職業についている
宅建業や警備業についているような場合には、自己破産をすると資格を利用した職種に一定期間就けなくなるので、個人再生を利用するような事があります。
ヤミ金融からの借入がある
ヤミ金融に借入があるような場合は特別な手当が必要になります。
金融と名乗っていても、法律上返済義務はなくそれでも返済を迫ってくる犯罪行為なので、通常の債務整理とは別なのです。
個人からの借入がある
債務整理と言うと貸金業者との関係のみを何とかするようなイメージがありますが、複数の借入をしているような場合には知人・友人など個人から借り入れをしているようなケースもあります。
そのような場合に自己破産手続きや個人再生手続きをやる場合には、支払いができなくなってしまします。
仮に支払いをするような事があると債権者は平等に扱ってくださいという法律の建前に反することになり、手続きが始まった後に取り戻しをされるような可能性もあるのです。
事業をやっている・会社の取締役などの地位にある
個人事業主や代表取締役のような人が事業に行き詰って借金をしたような場合には自己破産手続きにおいても慎重に行う必要があります。破産手続きを利用する場合には確実に少額管財になるので注意が必要です。
連帯保証人がいる
中小の消費者金融や商工ローンといった借入先がある場合には連帯保証人がついているような事があります。
このような場合には通常の債務整理のように行うと連帯保証人に請求が言ってしまうことになるので、事前に説明をしておくか・任意整理を利用してその業者だけ任意整理は行わないというような工夫が必要になります。
家が担保についている
家を担保にしてお金を借りているような場合には、抵当権という担保権が付けられていることがあります。そのような場合には、債務整理の方針に注意が必要になります。
公正証書がとられている
商工ローンなどからの借入について、裁判を飛ばして執行をすることができる公正証書という書類を取得されているような場合があります。
任意整理には応じてもらえても不利な条件になったり、破産手続き・個人再生手続きに手間取っていると給与や売掛金を差し押さえられてしまうような場合があります。
離婚して慰謝料・養育費を請求されている
離婚に当たっては慰謝料や養育費の支払いが発生します。
債務整理が必要な状況で離婚の慰謝料が相場よりも高い場合には財産隠しを指摘される可能性があるので、慎重に決定する必要が出てきます。
相続財産がある
相続財産がある場合には自己破産・個人再生手続きをすると、相続財産が資産と認定される事になります。
相続財産の分割手続きなども配慮しながら行う必要があります。
相談にあたっては包み隠さず話したうえで、手続きに関する希望をきちんと伝えるようにしましょう。
契約の準備
相談が終わって納得いくもので、すぐに依頼をしたい、となった場合には契約が必要になります。
ですので、ある程度依頼をするかもしれないと思える場合には、契約のための準備もしておきましょう。
契約にあたっては、印鑑・身分証明書は必須です。
費用をどのタイミングで支払いするかは事務所によって異なりますので、電話予約時にきいておくとよいでしょう。
債務整理で相談段階で気を付けるべき相手の特徴
債務整理で相談をしない方が良い相手にはどのような特徴があるでしょうか。
懲戒されている
弁護士・司法書士の中には、きちんと業務をしない・義務をきちんと果たさなかった等の理由から所属している弁護士会や司法書士会から懲戒を受けているような場合があります。
過去に債務整理に関するトラブルを起こしているような事務所が再度債務整理をしているような場合にはトラブルになりかねません。
懲戒されているかどうかの探し方は法律事務所・司法書士事務所に所属している弁護士・司法書士の名前+懲戒というキーワードで検索をすると、過去に懲戒された記録を閲覧することができます。
債務整理に関するスキルがない
債務整理は上述した通り基本的には高度な法廷でのやりとりがなかったりするので、弁護士・司法書士としては始めやすい案件なのですが、貸金業者の特徴や、離婚・相続が絡む場合の対応などの場合に難しい処理が必要となる事があり、これに対応するスキルを持っていないことがあります。
相談する弁護士がホームページがある場合にはホームページに債務整理を扱っているかどうかの記載をしています。
そのような記載がない事務所に無理に債務整理を依頼するよりかは、債務整理を専門としている事務所に依頼するようにしましょう。
非弁提携に注意
一番気を付けたいのが、非弁提携をする人です。民間の相談センターを名乗って債務整理が必要な人に近づき懲戒を受けてお仕事が来なくなってしまった弁護士・司法書士を紹介したり、場合によっては弁護士資格を持っていないのに弁護士を名乗る人を紹介したりしてきます。
債務整理は弁護士・司法書士が専門性をもってやっているので、きちんとしたところに相談する方が実は安く・確実に解決することができます。
まとめ
このページでは債務整理の相談をするのに必要な知識についてお伝えしてきました。
実際に債務整理をめぐる相談でトラブル等も発生しておりますので、選ぶ際には慎重に行いましょう。