住むなら賃貸?持ち家?メリットとデメリットを徹底比較

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家や住まいに関するこだわりは、人それぞれです。例えば

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将来はマイホームを買って、犬も飼って、好きなインテリアにしたい!

と、持ち家が前提である希望を抱く人もいれば

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基本的に、安全で駅から近くて、普通に暮らせるレベルなら、別に賃貸でいいなー。家にいるより出かけるほうが多いし、転勤も多いし。

と、賃貸が前提である希望を抱く人もいるのが現実でしょう。

そこで、今回の記事では、賃貸と持ち家について、メリットとデメリットを比較してみましょう。

実際、どれだけの人が持ち家に住んでいるのか

本題に入る前に、実際、どれだけの人が持ち家に住んでいるのか、データを用いて解説します。

総務省「家計調査」より

総務省統計局がまとめた2019年度の家計調査報告によれば、持ち家比率は85.1%にも上りました。

出典:統計局ホームページ/家計調査年報(家計収支編)2018年(平成30年)

世帯主の年齢層別に見てみると、以下のような図表が出来上がります。

 
世帯主の年齢 持ち家比率(%)
~29歳 33.4
30~39歳 66.1
40~49歳 79.4
50~59歳 85.6
この表からもわかるように、年齢が上がれば上がるほど、持ち家比率は高くなる傾向が指摘できます。

賃貸のメリット・デメリット

次に、賃貸に住むメリットとデメリットについて解説しましょう。

メリット

メリットとしては

  1. 住宅ローンの返済をしなくていい
  2. ライフスタイルの変化に対応できる
  3. 修繕費を気にする必要がない
  4. 災害による被害を気にする必要がない

の4つが挙げられます。

住宅ローンの返済をしなくていい

賃貸住宅に住む場合、毎月の家賃および管理費・共益費だけを払えば、問題なく住み続けられます。もちろん、最初に物件の貸借契約を結ぶ場合は、敷金・礼金・仲介手数料などでまとまったお金を払わなくてはいけませんが、頻繁に引っ越しをしているのでもない限りは、何度もあることではありません。

持ち家の場合のように「銀行などの金融機関で住宅ローンの審査を受け、審査に通ったら毎月決められた条件で、スケジュール通りに返済する」という煩わしさはありません。

ライフスタイルの変化に対応できる

賃貸の強みとして、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できることが挙げられます。例えば

  • 業務上、遠く離れた都道府県や、海外への転勤・赴任を命じられた
  • 一人暮らしをしていたが、結婚が決まりもっと広い部屋に住みたくなった
  • 子どもが独立し、夫婦2人だけになったので、もっと狭い家でも足りるようになった

など、自身や家族を取り巻く状況が変わった場合、新しい物件に移り住むことが、持ち家の場合と比べるとはるかに容易です。

ご近所トラブルの場合も逃げ道がある

また、あまり考えたくない話ですが、近所に住んでいる人とトラブルを起こしてしまうことは、十分に考えられます。トラブルとはいかないまでも

  • 生活音がうるさく、夜も眠れない
  • 宗教やネットワークビジネスなど、何かしらの勧誘をしつこくしてくる
  • ベランダでタバコを吸っていて、においが自分の家まで流れてくる

など「できることなら、距離を置きたい」と思ってしまう事情が近所に住む可能性だってゼロではないのです。本来は、当事者同士で解決に結びつけられるのが一番ですが、うまくいかない場合だってあり得ます。

そうなったときでも「自分たちから引っ越す」という選択肢が残されているのが、賃貸のメリットの1つかもしれません。

修繕費を気にする必要がない

賃貸物件の場合、入居者の故意=わざとやったことが原因でない限りは、建物の修繕にかかる費用は大家が持つことになります。

ドアの立て付けが悪い
お風呂の給湯器が壊れた

など、日常生活を送っていて通常発生する程度の故障、摩耗であれば、管理会社に連絡すれば修理の手配をしてくれるはずです。

災害による被害を気にする必要がない

地震や台風などの災害が原因で、建物が壊れた場合であっても、賃貸であればその修理費用は大家が負担します。

家の中のものについては保険を使おう

ただし、災害による被害が生じた場合、建物についての修繕費は大家が負担しますが、家の中にある家具などの家財に生じた損傷や、住人がケガをした場合の治療費は、自身で負担することになります。入居する際は、火災保険への加入を必須としている物件がほとんどなので、契約する際に確認しましょう。

デメリット

一方、賃貸には

  • 社会的な信用度は低い
  • 家賃を払い続けても自分のものにはならない
  • 高齢になった時の住処を考える必要がある

というデメリットもあります。

社会的な信用度は低い

実際は、経済的には何ら問題がなくても

  • いわゆる「転勤族」であるため、マイホームを購入することが難しい
  • 健康上の理由で団体信用生命保険に入れないため、住宅ローンが組みづらい
  • 既に十分な収入も資産もあるが、住宅ローン返済の煩わしさを避けたい
  • 実家を相続するなどの事情があり、マイホームを購入したとしても住み続けられそうにない

など、マイホームを購入することが難しい事情があり、賃貸に住んでいる人はたくさんいます。しかし、冒頭で触れたように、日本はまだまだ持ち家比率が高く、「マイホームを持っている人が一人前」と考える風潮があるのは事実です。

そのため「マイホームのない人=マイホームを手に入れられるだけの収入がない、半人前の人」という見方をされてしまうこともあるでしょう。

家賃を払い続けても自分のものにはならない

住宅ローンを組んで家を買った場合、毎月の返済をしていけば、返済が完了次第、その家は自分のものになります。

しかし、賃貸はあくまで「人から借りているもの」であるため、どんなに家賃を払い続けたとしても、自分のものにはなりません。

高齢になった時の住処を考える必要がある

賃貸ならではの問題として「高齢になった場合、更新を断られることがある」ことが挙げられます。

  • 高齢で収入がなくなることによる家賃の回収漏れが生じる
  • 入居者が孤独死をするリスクがある

などの背景があるため、できることなら1人暮らしの高齢者に入居してほしくないと考える大家は決して少なくありません。このような事情を考えると、賃貸に住み続けるつもりであっても

  • 定年退職など、ある程度生活が落ち着いたタイミングで中古住宅を購入する
  • 高齢者専用賃貸住宅(サービス付き高齢者向け住宅)に入居する

など「高齢になった場合の住処をどうするか」を考えておいた方がよさそうでしょう。

持ち家のメリット・デメリット

次に、持ち家のメリット・デメリットについても考えてみましょう。

メリット

持ち家のメリットとして

  • 社会的信用度に結びつく
  • 自分の住みたい家に住める

が挙げられます。

社会的信用度に結びつく

ほとんどの人が、マイホームを購入するときは、住宅ローンを組んで購入するのを前提に動くはずです。利用する金融機関によっても多少の差はありますが、やはり、安定継続した収入があり、健康状態にも特段問題がない状態でないと、審査にはまず通りません。

このような背景があるため、持ち家があるということは「住宅ローンを組める人」として、相応の社会的信用度があると見なされます。

もちろん、住宅ローンを組んでまでマイホームを購入するかどうかは、その人の置かれている状況や、家や資産に対する考え方によっても全く異なるため、一概に「持ち家がない=社会的信用がない」というのは言い過ぎです。しかし、クレジットカードやローンなど、お金の貸し借りが伴う取引の審査においては、持ち家に住んでいることが加点事由になるなど、社会的信用を推し量る1つの要素として用いられています。

自分の住みたい家に住める

住まいに何を求めるかは人それぞれですが「できることなら、自分好みの間取りの家に住み、インテリアにもこだわりたい」など、要求水準が高い人であれば、持ち家に住んだほうが満足は行くでしょう。

賃貸住宅の場合、入居者は「原状回復義務」を負っています。つまり、何らかの理由で引っ越す際は、入居したときの状態に部屋を戻さないといけないということです。このような義務を負っているため、賃貸住宅ではリフォームは言うに及ばず

  • 壁に画びょうやネジで額縁を止める
  • 便座を温水洗浄便座に換える
  • 食器洗い機を取り付ける

など、持ち家なら難なくできることであっても、大家(実際は管理会社)とのやり取りが必要である場合がほとんどです。

また、ペットを飼いたいという人も、賃貸住宅に住む際は注意が必要です。ペット可の物件増えてきたものの飼える動物の種類に制限があったり、退去する際に通常より割高の修繕費を求められたりすることは多々あります。さらに、引っ越しを検討するタイミングで運よくペット可の物件に空きがあるとは限らないのも事実です。

しかし、持ち家であれば、このような心配はしなくてもいいでしょう。注文住宅であれば、設計の段階から自分好みにカスタマイズすることが可能です。もちろん、中古一軒家や中古マンションを購入して、自分好みにリノベーションしてもいいでしょう。ペットについても、周囲の住民に対する配慮は必要ですが、賃貸に住むよりは、自由に飼うことができるはずです。

デメリット

一方、デメリットとしては

  • ライフスタイルの変化に対応しにくい
  • 住宅ローンの返済ができなければ手放す羽目になる
  • 修繕費を確保する必要がある
  • 災害による被害を考えなくてはいけない

の4点が考えられます。

ライフスタイルの変化に対応しにくい

マイホームを購入するとき、住宅ローンを組む人がほとんどであるはずです。しかし、このことが、持ち家がライフスタイルの変化に対応しにくいというデメリットにもつながっています。

住宅ローンを組む際、銀行などの金融機関は、融資対象となる不動産(持ち家)に対して抵当権を付します。仮に、住宅ローンの返済が滞った際は、金融機関がこの不動産を差し押さえ、競売にかけてしまうということです。

持ち家であっても、抵当権が付されている間は、自由に売ることはできません。そのため、抵当権を外してもらう手続き(抵当権抹消登記)を売る前に済ませなくてはいけませんが、この手続きは住宅ローンの返済が残っている(残債がある)うちは、行うことができないのです。

仮に、何らかの理由で持ち家を売って引っ越さないといけない場合、住宅ローンの未返済残高より高く売れた場合は、そのお金で一括返済をし、抵当権抹消登記をすれば何ら問題はありません。しかし、逆に安かった場合は、不足部分を現金で一括返済しないといけないのです。

つまり、引っ越すまでの手続きが面倒である上に、ある程度まとまったお金を用意できないと引っ越しすらままならない可能性もあることに注意しましょう。

そして、このような背景もあり、持ち家はライフスタイルの変化に対応しにくいといわれています。もちろん

  • いわゆる「ご近所トラブル」に巻き込まれた
  • 離婚することになり、どちらかが家を出ていかなくてはいけなくなった

など、自分や周囲を取り巻く状況が変化した場合も、賃貸に比べると急に住まいを変更しにくいのは事実です。

住宅ローンの返済ができなければ手放す羽目になる

例え、引っ越す予定がなかったとしても、家を手放さざるを得なくなることはあり得ます。その原因の1つに「住宅ローンが返済できなくなったこと」があるのです。

住宅ローンを借り入れる際は、金融機関との間で

  • 毎月の返済額
  • ボーナス返済額
  • 金利タイプ
  • 返済方式
  • 返済スケジュール

などの詳細を詰めてから、契約を締結します。しかし

  • 債務者(住宅ローンを組んだ人)が病気やケガで働けなくなった
  • 債務者の勤務先が業績不振に陥り、給与やボーナスが大幅にカットされた
  • 債務者がリストラされた

など、住宅ロ―ンを組んだ当初とは全く条件が食い違ってしまうことは、誰にでも起こりえます。当然、金融機関の担当者と

  • 毎月の返済額の増額・減額
  • ボーナス返済の増額・減額
  • 返済期間の延長・短縮
  • 元利均返済等・元金均等返済の切り替え
  • 金利タイプ(固定・変動)の切り替え

などの条件を変更を視野に最初は話し合うことになりますが、調整がうまくいかなかった場合は、最終的には家を手放さざるを得ないのも事実です。

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特に、2020年の場合、新型コロナウイルス感染症が流行したことにより、大手企業であってもボーナスの支給がなかったり、給料の大幅カットや大規模な人員削減が行われたりしています。住宅金融支援機構にも、住宅ローンに関する相談はたくさん来ているんですよ。

出典:住宅金融支援機構「新型コロナウイルス感染症の影響で返済困難となったお客さまへの返済方法の変更メニュー及び相談窓口のご案内」

つまり、持ち家の場合、何らかの理由で住宅ローンが払い続けられなくなった場合、住む家を失うリスクが高いでしょう。

修繕費を確保する必要がある

賃貸住宅とは違い、持ち家の場合、建物や設備に関する修繕費は、全部自分持ちです。マンションの場合も、共用部の修繕費は住民全員が払う修繕積立金から捻出しますが、専用部(自分の部屋とその設備)については、すべて自己負担になります。

持ち家に住み続けていくためには、修繕費としてまとまったお金が必要になった場合でも問題なく出せるように、ある程度貯金をしておく必要があることに、注意しなくてはいけません。

災害による被害を考えなくてはいけない

仮に、東日本大震災クラスの激甚災害があった場合、持ち家にも及ぶ被害は甚大になります。状況次第では、持ち家に住み続けられなくなることも十分に考えられるでしょう。しかし、そうなった場合、家の修理や立て直しにかかる費用は、全部自分が持つことになります。もちろん、火災保険や地震保険に入っていれば、このような災害が起きた場合でも、一定の範囲で保障は受けられますが、損失をすべてカバーできるとは限りません。

また、住宅ローンが残っている状態で持ち家が被災した場合でも、一部の例外を除いて、住宅ローンの減免を受けることはできません。東日本大震災の被災者に対しては、住宅ローンの減免制度「個人債務者の私的整理に関するガイドライン(個人版ガイドライン)」が設けられていましたが、実際にこの制度の適用に至った人はごくわずかでした。

つまり、大半の人は、被災した家の住宅ローンを返済しながら、新しい家を建てる方法を模索しないといけなかったのです。

持ち家に住みたいと思うなら

  • 火災保険、家財保険、地震保険など、必要な保険をしっかり見極める
  • 災害があった場合にも対応できるよう、ある程度の現金は持っておく

など、災害に対する自衛策を講ずるのも必要になるでしょう。

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