目次
労働金庫のカードローンでお金を借りる方法とは
最初に、労働金庫のカードローンでお金を借りる方法について、基本的なところを解説しましょう。
やること自体は他の金融機関のカードローンと同じ
実際のところ、やること自体は銀行や消費者金融、信用組合や信用金庫のカードローンとほとんど変わりありません。つまり
- 労働金庫にカードローンを使いたいと申し込みをする
- 審査に通ればカードローン用のローンカードが発行される
- そのローンカードを使い、信用金庫のATMや銀行、コンビニの提携ATMから借り入れをする
- あらかじめ決められた条件に従って返済を行う
のが基本的な流れと考えましょう。
労働金庫と普通の銀行の違いは?

労働金庫とは、労働金庫法という法律に基づいて設立・運営されている金融機関の1つで、労働者の経済的地位の向上を目指す非営利組織です。つまり、労働組合や生活協同組合の組合員やその家族、一般の人に会員として出資してもらったお金(出資金)を元手に運営し、営利を目的とせず、利益は利用者に還元するのを大前提にしています。
銀行と労働金庫の違いも、まとめてみました。
区分 | 労働金庫 | 銀行 |
---|---|---|
根拠法 | 労働金庫法 労働組合法 |
銀行法 |
設立目的 | 会員たる労働者の相互扶助を目的とし、経済的地位の向上を図る | 国民経済の健全な発展に資する |
組織 | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 株式会社組織の営利法人 |
会員資格 | 労働組合などの組合員 生活協同組合の組合員および同一生計の家族 一般勤労者 退職者 ※ただし、その労働金庫の管轄地域に居住、勤務していることが前提 |
なし |
なお、労働金庫は全国に13あり、それらを取りまとめる中央機関として「全国労働金庫協会」が設置されています。どこに住んでいるのか、どこで働いているのかで、管轄する労働金庫が違うので注意してください。
エリア | 名前 |
---|---|
北海道 | 北海道ろうきん |
青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県 | 東北ろうきん |
茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県 | 中央ろうきん |
新潟県 | 新潟ろうきん |
長野県 | 長野ろうきん |
静岡県 | 静岡ろうきん |
富山県・石川県・福井県 | 北陸ろうきん |
愛知県・岐阜県・三重県 | 東海ろうきん |
滋賀県・奈良県・京都府・大阪府・和歌山県・兵庫県 | 近畿ろうきん |
鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県 | 中国ろうきん |
徳島県・香川県・愛媛県・高知県 | 四国ろうきん |
福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県 | 九州ろうきん |
沖縄県 | 沖縄ろうきん |
労働金庫と信用金庫・信用組合の違いは?
組合員や会員の相互扶助を目的していて、預金の取扱いやカードローンを含めた各種商品の販売を行っている非営利組織として、他にも信用金庫や信用組合があります。これらについても、どのように異なるのかを簡単にまとめておきましょう。
労働金庫 | 労働者の経済的地位の向上を目的としている、どちらかといえばサラリーマンやパート・アルバイトなど給与所得者のための金融機関 |
---|---|
信用金庫 | 地域経済の発展への貢献を目的としている、どちらかといえば個人事業主や中小企業経営者などビジネスオーナーのための金融機関 |
信用組合 | 信用金庫と基本的な役割は同じだが、営業エリアが信用金庫よりも狭い |

労働金庫は誰でも利用できる?
労働金庫は「労働者の経済的地位の向上」を目的として運営されている金融機関ですが、利用制限は特にありません。どこに住んでいるのか、どこで働いているのかで管轄する労働金庫は異なりますが、基本的に誰でも利用できます。
担当営業店が決まっている場合があるので確認しよう
ただし、勤務先の労働組合に加入している人に関しては、少し注意が必要です。1つの労働組合に対して、担当する労働金庫の営業店が決まっているため、基本的にはそこを利用する流れになります。もし、カードローンも含め利用したいサービスがある場合は、その担当営業店に問い合わせてみましょう。

労働金庫のカードローンのメリット
次に、労働金庫のカードローンのメリットについて考えてみましょう。
1.民間金融機関に比べると金利は各段に低い
労働金庫は、労働者の経済的地位の向上を目的とした非営利組織です。そのため、組織を運営・維持していくために最低限必要な収益を上げることを目標にしているため、会員に還元できる部分が大きくなります。銀行や消費者金融など、民間の金融機関に比べるとカードローンの金利が各段に低いのも、その表れでしょう。ここで
- 銀行のカードローン(みずほ銀行)
- 消費者金融のカードローン(アコム)
- 労働金庫のカードローン(中央労働金庫、一般の勤労者が利用する場合を想定)
の金利(2020年9月時点)を比べてみましょう。
銀行のカードローン(みずほ銀行) | 年2.0%~14.0% |
---|---|
消費者金融のカードローン(アコム) | 年3.0%~18.0% |
労働金庫のカードローン(中央労働金庫) | 年5.275%~8.475% |
カードローンの場合、利用限度額として提示される金額が低ければ低いほど、金利は高くなる傾向があります。この点、中央労働金庫は、どんなに利用限度額が低かったとしても、金利の上限は年8.475%であるため、銀行や消費者金融のカードローンに比べると格段に金利は低いです。
団体会員、生協会員であればさらに金利は低くなる
また、労働金庫によっては、カードローンの金利に関して
- 労働組合、その他類似の団体の構成員
- 生活協同組合の組合員および同一生計の家族
- 一般の勤労者
それぞれに違った金利を提示しているケースもあります。例えば、中央労働金庫のカードローン(マイプラン)の場合、提示されている金利は以下の通りです。
労働組合、その他類似の団体の構成員 | 年3.875%~年7.075% |
---|---|
生活協同組合の組合員および同一生計の家族 | 年4.055%~年7.255% |
一般の勤労者 | 年5.275%~年8.475% |
2.提携ATMからの借り入れの際に手数料がかからない
労働金庫の強みは、利用できるATMが多い上に、手数料が無料になる時間帯も多いということでしょう。さらに、本来手数料が無料にならない場合であっても、カードローンの借り入れの場合は手数料のキャッシュバックが受けられるので、非常に便利です。ここで、中央労働金庫の場合について、引き出し・入金ともに手数料が無料になるATMを紹介しておきましょう。
名称 | 利用日 | 取引 | 利用時間 | 手数料 |
---|---|---|---|---|
イオン銀行 | 平日 | 引出し、入金 | 1:00~23:00 | 無料 |
土曜日・日曜日・祝日 | 8:00~21:00 | |||
イーネット、ローソン銀行のATM | 平日、土曜日・日曜日・祝日 | 引出し、入金 | 0:00~24:00 | 無料 |
その他利用できるATMと手数料の条件については、以下のリンクから確認できます。
3.パート、契約社員であっても利用できる
労働金庫の目的は、労働者の経済的地位の向上です。当然、その「労働者」の範囲には、パート、契約社員も含まれます。ほとんどのカードローンが、パート、契約社員などの非正規雇用者であっても利用できるのも、労働金庫ならではの特徴でしょう。
シングルマザー応援ローンを販売しているところも
労働金庫の中には、カードローンとは別に、シングルマザー応援ローンを販売しているところもあります。長野労働金庫が販売する「ろうきんchou-chou YELL」は、以下の条件に当てはまる女性であれば利用が可能です。
- 満20歳以上満65歳未満であり、子どもがいる
- 安定継続した収入がある
- 長野労働金庫が定める審査基準および保証機関の保証基準を満たしている
4.お金を借りていることが周囲に知られにくい
カードローンというと「自分の収入でやりくりできないから借りる=お金の管理ができない、だらしない人が使うもの」というように、ネガティブなイメージを持つ人がいます。
たしかに、従来は貸金業法も今のようには整備されておらず、コンプライアンスを無視した運営が行われていたのも確かなので「関わったら終わり」というような雰囲気もありました。しかし、今は
- 消費者金融自体も大手銀行の傘下企業になっている場合がほとんどである
- カードローン自体は、銀行や信用金庫、信用組合も扱う一般的なものである
ことから、以前に比べるとだいぶカードローンを利用するハードルは下がったでしょう。
しかし、それでも「自分の収入でやりくりできないから借りる=お金の管理ができない、だらしない人が使うもの」というイメージを持ち、使っている人に対して非難する人は確かにいるはずです。自分の周囲にいる人がそのような人だった場合は、カードローンを使っていることが知られた場合、何を言われるかわかったものではありません。
そうなると、やはりカードローンを使っていることは、できる限り周囲に知られない方がいいでしょう。労働金庫のカードローンであれば、手続きの際に一度労働金庫の営業店に足を運ぶ必要がありますが、それ以外はローンカードを使ってATMから引き出したり、入金したりしておくだけです。
Web完結型のカードローンを扱う労働金庫もある
近年では、仮審査から本申し込み、ローンカードの発行までをすべてWebで完結させるカードローンを扱う労働金庫も出てきました。このようなカードローンを使えば、労働金庫に足を運ぶ必要すらありません。
労働金庫のカードローンのデメリット
一方、労働金庫のカードローンについて、デメリットも考えてみましょう。
1.自分で自由に利用する労働金庫を選べない
2020年9月現在、日本には以下の13の労働金庫があります。
エリア | 名前 |
---|---|
北海道 | 北海道ろうきん |
青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県 | 東北ろうきん |
茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県 | 中央ろうきん |
新潟県 | 新潟ろうきん |
長野県 | 長野ろうきん |
静岡県 | 静岡ろうきん |
富山県・石川県・福井県 | 北陸ろうきん |
愛知県・岐阜県・三重県 | 東海ろうきん |
滋賀県・奈良県・京都府・大阪府・和歌山県・兵庫県 | 近畿ろうきん |
鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県 | 中国ろうきん |
徳島県・香川県・愛媛県・高知県 | 四国ろうきん |
福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県 | 九州ろうきん |
沖縄県 | 沖縄ろうきん |
自分がどこの労働金庫を使うかは、住んでいる場所、働いている場所によって決まってしまうので、自由に利用したい労働金庫を選べるわけではありません。ある労働金庫のカードローンの方が金利が低かったとしても、自分がその労働金庫の管轄エリアに住んでいたり、働いていたりするのでない限りは、利用することはできない点に注意しましょう。
2.学生は利用できない
銀行や消費者金融のローンのように、労働金庫のカードローンも学生は利用できません。やはり、継続して安定した収入があるわけではない、とみなされているのも背景の1つにあるでしょう。
就職内定者向けローンを用意している労働金庫もある
カードローンとは違いますが、就職内定者向けローンを用意している労働金庫もあります。例えば、長野労働金庫の場合
- 長野県内に住んでいる(Uターン就職で戻る予定である)
- 長野県内に本社や事業所を置く企業から内定を受けていて、正式に就職する予定である
学生を対象に、就職内定者向けローンを販売しています。学生のうちから利用したいということであれば、このような商品を検討するのも手段の1つでしょう。
3.他からも借りている場合はやはり審査に通りにくい
いくら労働金庫が労働者の経済的地位の向上を掲げ、労働者にとって使いやすいサービスを目指しているとは言え、他からも借りている場合はやはり審査に通りにくいのが事実です。貸金業法には総量規制といって、年収の3分の1を超える貸付をしてはならないという決まりがあります。この決まりに抵触する場合は、当然審査に通りませんし、抵触しない場合であっても、支払能力が不足していると判断された場合はNGになります。
労働金庫のカードローンでお金を借りるまでの手順
次に、労働金庫のカードローンでお金を借りるまでの手順について解説しましょう。
1.仮審査を受ける
労働金庫のカードローンを利用する場合、最初にWeb上で仮審査を受けるのが一般的な流れです。
- 金利タイプ
- 希望利用金額
- 使い道
- 返済予定期間
- 希望返済額
などの必要事項をフォームに入力し、送信しましょう。その後、電話もしくは封書で仮審査の結果が通知されます。
2.担当営業店に出向き、本申し込みの手続きをする
仮審査を通過したら、担当営業店(自宅か職場のそばになるケースがほとんど)に出向き、本申し込みの手続きをしましょう。その際
- 労働金庫の通帳、キャッシュカード(あれば)
- 印鑑
- 運転免許証などの写真付きの本人確認書類
を持っていく必要があります。また、これとは別に持ってくるよう指示されたものがあれば、忘れないようにしましょう。
3.審査に通ればローンカードが発行される
本申し込みを済ませた上で、審査が行われ、通過すればローンカードが発行されます。
4.労働金庫のATMや提携ATMで借り入れをする
ローンカードが届いたら、労働金庫のATMや提携ATMで借り入れをしましょう。
5.あらかじめ決められた条件に従い返済をする
あとは、あらかじめ決められた条件に従い返済をしていくだけです。労働金庫によって、返済方法が異なるので、事前に確認しましょう。例えば、中央労働金庫の場合は、利用限度額または利用限度額に応じて毎月の返済額が決まる方式を採用しています。なお、まとまったお金がある場合は、繰上げ返済をすることももちろん可能です。
労働金庫のカードローンでお金を借りる際の注意点
最後に、労働金庫のカードローンでお金を借りる際の注意点について解説しましょう。
1.お金の使い道が決まっているなら目的別のローンも検討する
仮に、カードローンで借りたお金を何に使うのかが明確に決まっているなら、目的別ローンも併せて検討した方がいいでしょう。用意すべき書類が多かったり、審査に時間がかかったりなどのデメリットがありますが、貸す側にとっては貸し倒れリスクを下げられるので、総じてカードローンよりも金利は低いです。
例えば、中央労働金庫の「カーライフローン」の場合、金利は以下のようになっています。
労働組合、その他類似の団体の構成員 | 【変動金利】年2.400% 【固定金利】年2.900% |
---|---|
生活協同組合の組合員および同一生計の家族 | 【変動金利】年2.600% 【固定金利】年3.100% |
一般の勤労者 | 【変動金利】年3.675% 【固定金利】年3.900% |
カーライフローンという名前なので「自動車を買うときにしか使えない」と思うかもしれませんが、実際は
- マイカーに関する費用(新車・中古車・バイクの購入費用、保険、車検、修理、車庫建設、免許取得費用など)
- マリンスポーツに関する費用(クルーザー・モーターボート・ジェットスキー・ヨットなどの購入や船舶免許取得費用など)
- 自転車に関する費用(スポーツバイク・電動アシスト車の購入など)
- 他行やディーラーの自動車ローン借換費用
など、意外にいろいろなことに使えるローンです。
参照:カーライフローン(中央ろうきんの自動車ローン)|中央労働金庫

2.金利が低いからといって使いすぎないようにする
銀行や消費者金融など、民間企業が提供するカードローンに比べると、労働金庫のカードローンの金利は低いです。しかし、低いからといって無節操に使っていれば、返済に行き詰まる可能性はやはり高くなります。