目次
信用組合のカードローンでお金を借りる方法とは
最初に、信用組合のカードローンでお金を借りる方法について解説しましょう。
基本的な流れは変わらない
信用組合のカードローンであっても、銀行や消費者金融のカードローンとやること自体はさほど変わりません。
- 信用組合にカードローンを利用したい旨を伝え、審査を受ける
- 審査に受かれば、カードローン専用のローンカードが発行される
- ローンカードを利用してATMから借り入れを行い、あらかじめ定められた条件に従い返済する
という流れです。しかし、利用するにあたっては「信用組合がそもそも何なのか」を理解しておいた方が、戸惑わなくて済むでしょう。
信用組合とは?


信用組合とは、中小企業等協同組合法という法律に基づいて運営される金融機関の1つです。特定の地域に住んでいる人や、そこで働いている人、事業を営んでいる人が組合員となって出資し、中小企業・小規模事業者への貸付などの事業を行うことで、地域経済の発展に貢献することを目的としています。
銀行、消費者金融などの営利企業とは違い、相互扶助=お互いの助け合いを理念としているため、営利企業に比べると、地域密着型の利用者に寄り添ったサービスを展開しているのも大きな特徴です。
信用金庫との違いは?
似た組織に、信用金庫があります。基本的な考え方は一緒ですが、信用金庫がどちらかといえば個人に向けたサービスを重視しているのに対し、信用組合は経営者・個人事業主などの事業者に向けたサービスを重視しているのが大きな違いです。

医師など特定の職業の人に特化した信用組合もある
なお、信用組合の中には医師、歯科医師など高額な設備投資を必要とする特定の職業の人に特化したものもあります。このような信用組合の場合
- 医師、歯科医師免許を持っている
- 医療法人の関係者である
など、特定の条件を満たさないと組合員になれません。
信用組合・信用金庫・銀行を比べてみよう
より知識を深めるために、信用組合・信用金庫・銀行を比べてみましょう。
区分 | 信用金庫 | 信用組合 | 銀行 |
---|---|---|---|
根拠法 | 信用金庫法 | 中小企業等協同組合法 協同組合による金融事業に関する法律(協金法) |
銀行法 |
設立目的 | 国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資する | 組合員の相互扶助を目的とし、組合員の経済的地位の向上を図る | 国民経済の健全な発展に資する |
組織 | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 組合員の出資による協同組織の非営利法人 | 株式会社組織の営利法人 |
会員(組合員)資格 | (地区内において) 住所または居所を有する者 事業所を有する者 勤労に従事する者 事業所を有する者の役員 <事業者の場合> 従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者 |
(地区内において) 住所または居所を有する者 事業を行う小規模の事業者 勤労に従事する者 事業を行う小規模の事業者の役員 <事業者の場合> 従業員300人以下または資本金3億円以下の事業者(卸売業は100人または1億円、小売業は50人または5千万円、サービス業は100人または5千万円) |
なし |
業務範囲 | 預金は制限なし ※融資は原則として会員を対象とするが、制限つきで会員外貸出もできる(卒業生金融あり) |
預金は原則として組合員を対象とするが、総預金額の20%まで員外預金が認められる ※融資は原則として組合員を対象とするが、制限つきで組合員でないものに貸出ができる(卒業生金融なし) |
制限なし |
出典:信用金庫と銀行・信用組合との違い | 一般社団法人全国信用金庫協会
信用組合のカードローンでお金を借りる方法のメリット
次に、信用組合のカードローンでお金を借りる方法のメリットとして
- 民間の金融機関のカードローン比べると金利が低い
- パート、アルバイト、主婦、年金受給者であっても利用できるケースもある
- 事業性資金に利用できるカードローンもある
の3つを考えてみましょう。
1.民間の金融機関のカードローン比べると金利が低い
実際に適用される利率は、その人に付与された利用限度額によって異なりますが、信用組合のカードローンの利率は銀行・消費者金融などの民間企業が提供するカードローンに比べると低い場合がほとんどです。ここで
- 銀行のカードローン(みずほ銀行)
- 消費者金融のカードローン(アコム)
- 信用組合のカードローン(君津信用組合)
の金利(2020年9月時点)を比べてみましょう。
- 銀行のカードローン(みずほ銀行) 年2.0%~14.0%
- 消費者金融のカードローン(アコム) 年3.0%~18.0%
- 信用組合のカードローン(山梨信用組合) 年5.9%~13.0%
信用組合のカードローンも、銀行・消費者金融の場合と同様、利用限度額として付される金額が低いほど、年率は高く提示されます。利息の上限だけを見たら、やはり信用組合が最も低いです。
2.パート、アルバイト、主婦、年金受給者であっても利用できるケースもある
信用組合も信用金庫と同様「地域住民、地域経済への貢献」を運営の目的の1つに掲げています。そのため、民間企業のように利益追求を最優先に考えるのではなく、許容される範囲内で、利用者の利便性を最大限図るのが特徴です。
カードローンにもそれが表れていて、主婦、パート・アルバイト、年金生活者が利用できるとしている信用金庫は珍しくありません。
3.事業性資金に利用できるカードローンもある
銀行・消費者金融が提供するカードローンの場合、あくまでも消費者を前提とした商品であるという観点から、利用目的から事業性資金が除外されているのが一般的です。
しかし、信用組合の場合は、地域の小規模事業者の発展に寄与するという視点から、カードローンにより借り入れた資金であっても、事業性資金に利用できることもあります。

信用組合のカードローンでお金を借りる方法のデメリット
一方、信用組合のカードローンには、デメリットもあります。
- 信用組合によって条件がだいぶ違う
- 自分で好き勝手に信用組合は選べない
- 個人信用情報に異動情報が登録されていたら使えない
の3つについて解説しましょう。
1.信用組合によって条件がだいぶ違う
全国どこの信用組合であっても「地域経済の発展のために運営する」という目的は同じです。しかし、経営方針はその信用組合の自治に任されている部分も多いにあります。カードローンももちろん例外ではありません。
- 利用限度額
- 融資の際の利率
- 利用可能な年齢
- 利用目的に関する制限
- その他、利用にあたっての条件
は、信用組合によってもまちまちなのが現状です。ただ「信用組合のカードローンだから、民間のカードローンより使いやすいだろう」という先入観だけで選ぶと、「こんなはずじゃなかった」と落胆する結果になりかねません。
信用組合によっては来店必須のケースも
銀行、消費者金融のカードローンに関しては、特定の銀行の口座を持っているなどの条件付きの場合があるにせよ、Webのみで申込からカードの発送までが完結するところも増えてきました。
信用組合もその流れにはなりつつありますが、やはり、店舗への来店を必須とする場合が多いです。自分が利用できそうな信用組合の申し込みの完了までの流れがどうなっているかは、必ず確認しておきましょう。
2.自分で好き勝手に信用組合は選べない
それなら比較検討を、と思うかもしれませんが、そうはいかないのも事実です。カードローンを含め、信用組合が提供するサービスを利用するには組合員になることが必要ですが、その条件として
- 信用組合の地区内に住所若しくは居所がある
- 信用組合の地区内において勤務している
- 信用組合の地区内において商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う小規模の事業者である
の3つの条件のいずれかにあてはまらなくてはいけません。つまり、どんなに自分にとっていい条件で融資が受けられそうな信用組合があったとしても、その信用組合が自分の住んでいる・働いている地域で営業していない場合は、カードローンも使えないのです。自分で好き勝手に信用組合を選べるわけではない点に注意しましょう。

3.個人信用情報に異動情報が登録されていたら使えない
信用組合のカードローンの大きな特徴の1つに、銀行・消費者金融などの民間企業だと融資を断られがちな主婦、年金生活者、パート・アルバイトであっても、申し込むことができるということが挙げられます。しかし、個人信用情報に異動情報が登録されていた=ブラックリストに載っていたら、当然信用組合のカードローンであっても利用はできません。
他での借り入れが多い場合もNGになりがち
また、信用組合のカードローン以外にも
- 銀行・消費者金融などの民間企業のカードローン
- クレジットカードでのキャッシング
など、お金を借りる商品の利用残高が大きい場合は、審査に通らないことが多くなります。信用組合の審査担当者に「この人は十分な支払能力があると思えない」ととられる上に、年収の3分の1以上を貸し付けてはいけない(総量規制)という決まりに引っかかる可能性が高くなるためです。
信用組合のカードローンでお金を借りるまでの手順
次に、信用組合のカードローンでお金を借りるまでの手順について考えてみましょう。大まかな流れは、以下の通りです。
- 自分の住んでいる、働いている場所で営業している信用組合を探す
- カードローンの仮審査を受ける
- 実際に支店に行き、本申し込みに進む
- 審査に通れば、ローンカードが交付され、借り入れができる
- あらかじめ定められた条件に従って返済をする
1.自分の住んでいる、働いている場所で営業している信用組合を探す
まだ、口座を持っていたり、取引をしている信用組合がなかったりする場合は、利用できる信用組合を探すところから始めましょう。全国の信用組合を取りまとめる団体である一般社団法人全国信用組合中央協会のホームページから、所在地ごとに信用組合を探せます。
2.カードローンの仮審査を受ける
自分が使えそうな信用組合がカードローンを商品として扱っていることがわかれば、仮審査を受けてみましょう。信用組合によっても多少の扱いの差はありますが、一般的にインターネットやファックスで受け付けている場合が多いです。必要事項を入力・記入して送信すれば、結果が届きます。
3.実際に支店に行き、本申し込みに進む
仮審査に通過したら、実際に信用組合の支店に行き、本申し込みに進みましょう。最低限、以下のものは持っていくようにしてください。
- 運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)などの写真付きの身分証明書
- 借り入れ希望額が100万円以上の場合は、源泉徴収票など、年収を証明する公的な書類
- 印鑑
その他にも、信用組合の担当者から持ってくるよう指示があったものがあれば、忘れないように持っていきましょう。
4.審査に通れば、ローンカードが発行され、借り入れができる
必要な手続きを終えると、本審査に進みます。本審査の結果、通過できればローンカードが発行されるので
- 信用組合のATM
- 銀行、コンビニなどの提携ATM
から引き出して借りてみましょう。
5.あらかじめ定められた条件に従って返済をする
あとは一般的なカードローンと同じように、契約時に定めた条件に従い、返済をしていきましょう。支払元として指定した信用組合の口座からの引き落としはもちろん、ATMからの繰上返済も可能です。
信用組合のカードローンでお金を借りる方法の注意点
最後に、信用組合のカードローンでお金を借りる場合の注意点として
- 事業融資に影響するおそれがある
- 営業地域外に転居する場合は口座の解約、繰上返済が必要
の2つを解説しましょう。
1.事業融資に影響するおそれがある
これは、実際にカードローンを使おうとする人が、会社を経営していたり、個人事業主としてビジネスをしていたりする場合で、しかも、その信用組合から事業資金の融資を受けていた場合の話です。
信用組合などの金融機関から、事業資金の融資を受けようとする場合、代表者による個人保証が求められる場合がほとんどです。

個人保証を行う場合、当然、代表者に相応の支払能力があるかどうかが問題になります。カードローンを使うこと自体は何も問題はありませんが
- 未返済残高があまりに多い
- 返済分の延滞・滞納を頻繁にしている
など、明らかにカードローンの利用状況に問題があった場合、信用組合側の判断で、カードローンの利用停止はもちろん、事業融資の引き上げが行われる恐れもあります。こうなってしまうと
- 新しい新規投資ができない
- 不渡りを出して倒産する
など、事業の継続に大きな影響が及ぶので注意しましょう。
2.営業地域外に転居する場合は口座の解約、繰上返済が必要
逆に、事業を営んでおらず、会社員や公務員など、どこかに勤めて給料をもらっている人(給与所得者)の場合を考えてみましょう。人によっては
- 明らかに信用組合の営業地域外にある都道府県への赴任を命じられる(例:東京→大阪)
- 海外派遣を命じられ、一家で海外に移住する
と、突然引っ越しをしなくてはいけないこともありえます。その場合、信用組合のカードローンの残債はできる限り早く返済し、口座も解約しましょう。
信用組合はあくまで「その地域に住んでいたり、働いていたりする人で、出資金を払って組合員になってくれた人」に対してサービスを提供する金融機関です。信用組合の営業地域外に引っ越すだけでその前提が崩れる以上、カードローンや口座は使えなくなります。
さらに、海外に引っ越してしまう場合は、そもそも日本の金融機関の口座自体を使い続けることが、ほぼ不可能になります。
三井住友銀行や三菱UFJ銀行などが海外在住者向けの口座利用サービスを設けていますが、そのような対応を行っている銀行口座は極めてまれです。ほとんどの銀行は、国外への長期にわたる転居(1年以上)により非居住者になる場合、口座の解約を求めています。
