売買ポイントを見極める!日経225先物取引の実践的分析手法とは

日経225先物の分析には主にファンダメンタル分析とテクニカル分析があります。

どちらが大切かという議論がよく起こりますが、投資手法によって違いはあれど、どちらも大切だといえます。

両方を理解できれば予測の精度もあがるでしょう。

今回は日経225先物に役立つファンダメンタル分析・テクニカル分析をまとめてみました。

日経225先物の仕組みについてはこちら

日経225先物のファンダメンタル分析とは

 

ファンダメンタル分析とは経済、金利、景気、要人発言など全般的な状況を元に将来の日経225先物を予測し、投資判断を行うものです。

 

NYダウなど海外指数の動きやドル円などの為替市場、そして日米の経済指標や金融政策などに注目します。

 

日経平均株価とNYダウ

 

NYダウは代表的な米国の株式指数の1つです。NY証券取引所に上場している銘柄のうち30銘柄を選定して指標化したもので、日経平均株価との相関が高い指数です。CMEのグローベックスでNYダウ先物が上場していて、ほぼ24時間取引されています。NYダウが上がれば日経平均株価は上昇する傾向にあります。

日経平均株価とNYダウ 比較チャート

出典 SBI証券

 

日経平均株価とドル円

 

日経平均株価はハイテク産業や輸出企業の割合が多いので、為替相場(特にドル円)に大きな影響を受けます。ドル円と日経平均株価の相関も大きくなっています。円安になれば日経平均株価は上昇し、円高になれば下落する傾向にあります。

日経平均株価とドル円 比較チャート

出典 SBI証券

日経225先物 重要な経済指標

米雇用統計

 

アメリカの労働省が毎月発表する雇用情勢を調べた経済指標です。非農業部門別就業者数と失業率が特に注目されています。毎月第一金曜日のNY時間午前8時30分(日本時間では21時30分:米夏時間、22時30分:米冬時間)に発表されます。

 

雇用統計発表前後はドル円やNYダウ先物がよく動き、日経225先物も大きく動くことがあるので注意が必要です。

 

GDP(Gross Domestic Product)

 

GDPとは国内総生産のことです。国内で新しく生産された商品やサービスの付加価値の総計。一国の国内の経済活動の規模や動向を総合的に示す指標として用いられ、GDPの伸び率がいわゆる経済成長率に値します。

 

GDPの数字が前年と比べて良ければ株価上昇要因、悪ければ株価下落要因となります。

 

日本では内閣府より年4回(2月・5月・8月・11月)発表

 

米国では商務省経済分析局(BEA)より年4回(1月・4月・7月・10月)発表

 

日米の金融政策

 

日本・・・日銀金融政策決定会合

 

日本銀行が年8回開催し、金融政策の方向性や政策金利などの金融政策運営を審議・決定する会合です。

議事内容は

(1)金融市場調節方針

(2)基準割引率、基準貸付利率および預金準備率

(3)金融政策手段(オペレーションにかかる手形や債券の種類や条件、担保の種類等)

(4)経済・金融情勢に関する基本的見解等

で、いわゆる利上げ・利下げを決定する会合です。

 

市場の注目は高く、決定内容に関心が集まります。日銀金融政策決定会合の終了後、直ちに公表されます。11時から13時ぐらいに発表されることが多いです。

また、15時30分からの日銀総裁会見も注目されます。

 

米国・・・FOMC

 

最近の日銀金融政策決定会合は現状維持が多いので、金融政策に関してはFOMCにより注目が集まっています。

 

FOMCとはFederal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、アメリカの金融政策を決定する会合のことです。年8回開催され、現在の景況判断と政策金利などの方針が決定されます。夏時間:日本時間午前3時15分、冬時間:日本時間4時15分に結果が発表されます。

 

 

日経225先物 現在の注目テーマ

 

マーケットにはその時の”旬のテーマ“が存在します。現在の旬のテーマは何なのかを見極める力が必要になります。

現在マーケットに注目されているテーマは

 

米国金利

 

FRB(連邦準備制度理事会)は米国経済が堅調なため、利上げをすすめています。一方で、日銀は低金利政策を続けているため、日米金利差は拡大しています。金利差が拡大するとドル円は円安傾向になり、日経平均株価が上昇する要因になります。特に米10年債利回りが3%を超えているかどうかということが注目されています。

出典 SBI証券

 

米中貿易戦争 

 

米国が3月からアルミや鉄鋼に対する追加関税を発動して以降、中国との貿易摩擦が深刻化しています。世界的に景気が悪化すれば輸出主導型の日経平均株価にも影響を与えます。また、貿易戦争のリスクが高まるほど、安全通貨とされる円が買われる可能性があり、円高が進めば日経平均株価は下落する可能性が高まります。

 

地政学リスク

 

米朝関係の緊迫化や米国のイラン核合意離脱など、地政学リスクが高まっています。特に中東情勢は原油価格に影響を与え、株価の値動きが激しくなる可能性があります。

 

消費税の増税

 

消費税は2014年4月に5%から8%に引き上げられました。2017年4月には10%に増税される予定でしたが、2019年10月まで先送りになりました。2014年の増税時は年初から日銀が追加緩和を決定する10月まで、株価は軟調な展開が続きました。このため、2019年に入ると株価は軟調な展開になる可能性が高いとみられています。ただし、政府は増税対策として大型経済対策を行う予定なので、その中身が注目されます。

 

新興国通貨安

 

米国の金利上昇の影響で新興国通貨が売られています。これが新興国の経済成長を鈍化させ、世界経済の停滞を招く可能性があります。特に、トルコ・ブラジル・アルゼンチンなど政治・財政リスクを抱えた新興国通貨が対ドルで売られています。今のところ他の新興国まで影響を与えている状況ではないものの、一時的な株安要因となり得るので注意が必要です。

 

米国中間選挙

 

11月6日の米国議会選で下院全議員と上院議員のうち3分の1が改選され、トランプ政権の是非が審判されます。現在、上下院とも過半数を与党共和党が取っていますが、下院では共和党の過半数獲得は相当厳しいといわれています。米中貿易戦争もトランプ政権が中間選挙を意識しているためとも言われ、トランプ大統領の強硬姿勢は続く可能性があります。

Man
テーマが多すぎてどれに注目すればわかりません。
Expert
ニュースをチェックして、どのテーマに焦点があるのかを把握しましょう。現在のメインテーマは米中貿易戦争です。秋以降は米中間選挙、来年は消費税増税など、時期によってメインテーマが変わる可能性があります。いち早くメインテーマをつかめるようにしましょう。

日経225先物のテクニカル分析とは

テクニカル分析とは将来の取引価格を過去に発生した価格や出来高等の取引実績の時系列パターンから予想・分析しようとする手法です。

 

移動平均線

 

まずは、もっともメジャーな移動平均線について見ていきます。移動平均線とは、過去の一定期間の終値の平均値を計算し、その値をつないだ線のことです。例えば「25日移動平均線」といえば、今日を含んだ過去25日間の終値の平均値となります。

移動平均線の傾きが上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンドと判断できます。

 

また、現在の価格が移動平均線より上にあれば上昇トレンド、下にあるときは下降トレンドを示していると判断できます。

 

移動平均線は日数に応じて、短期線、中期線、長期戦に分類されます。設定期間が短いほど直近の価格に影響を受け、期間が長くなるほど長期的な流れを示します。

 

一般に日経225先物の日足では5日移動平均線・25日移動平均線・75日移動平均線・200日移動平均線が使われ、週足では13週移動平均線・26週移動平均線が使われます。

 

ゴールデンクロスとデッドクロス

 

短期の移動平均線が上昇トレンドで、中・長期の移動平均線を下から上に抜けたときがゴールデンクロス。短期の移動平均線が下降トレンドで、中・長期の移動平均線を上から下に抜けたときがデッドクロスとなります。

 

ゴールデンクロスが現れると相場が強気であることを表し、デッドクロスが現れると弱気であると判断できます。ただし、もみあい相場では注意が必要です。

 

移動平均線は大きなトレンドがでる大相場に強いといわれていますが、もみあい相場には弱いのです。ゴールデンクロスがでたからといって必ずしも大きな上昇が始まるとは限らないので注意が必要です。あくまでも投資判断の1つとして見るという姿勢が大切です。

出典 SBI証券

移動平均かい離率

 

株価が移動平均線からどの程度離れているかを数値化したチャートが移動平均かい離率です。移動平均線からどの程度離れているかで、買われすぎか売られすぎかを判断します。日経225先物では一般的に25日移動平均かい離率が利用されます。

計算式は、

25日移動平均かい離率=(株価-25日移動平均値) ÷ 25日移動平均値 × 100

 

となります。

 

 

移動平均かい離率の数値は、0%を中心に上にプラス、下にマイナスで表示され、プラス(マイナス)5%以上(以下)で相場が反転しやすくなります。そして、プラス(マイナス)10%以上(以下)になると天底になりやすいと言われています。

出典 SBI証券

騰落レシオ

 

騰落レシオとは、東証1部の値上がり銘柄と値下がり銘柄の比率から、市場の過熱感を見る指標で、いわゆる買われすぎ、売られすぎを見るテクニカル指標です。

 

騰落レシオ(%) = 値上がり銘柄数 ÷ 値下がり銘柄数 × 100

 

一般的には 25日間の値上がり銘柄数の合計 ÷ 25日間の値下がり銘柄数の合計を計算した25日騰落レシオが使われます。

 

騰落レシオは100%が中立の状態で、120%を超えると加熱気味、70%以下は底値ゾーンといわれます。

 

騰落レシオはモーニングスターのサイトで確認できます。

 

 

空売り比率

 

空売り比率とは投資家が株式の信用取引において、空売り(信用売り)したまま買戻していない残高を出来高で割った比率です。空売り比率が高いと空売りの買戻し期待が高まり、株価上昇の要因となります。

 

空売り比率(%) = (売残株数 ÷ 出来高) × 100

 

一般的に東証の空売り比率は40%を超えると高水準とされています。

 

空売り比率は東京証券取引所が毎日その日の取引を夕方に発表しています。

 

 

 

ボラティリティ

 

ボラティリティとは価格変動の度合いを示す言葉です。ボラティリティが大きいという場合は、日経225先物の価格変動が大きいことを意味し、ボラティリティが小さいという場合は、日経225先物の価格変動が小さいことを意味します。特に日経225先物が下落するときに上昇する傾向があり、日経225先物とボラティリティは弱く逆相関する傾向があります。通常は一定のレンジ(20~30程度)で推移しますが、数値が急上昇した後はレンジに回帰するという特徴があります。

 

日経平均株価のボラティリティを見るには日経平均VIが便利です。

 

日経平均VIは、市場が期待する日経平均株価の将来1か月間の変動の大きさ(ボラティリティ)を表す数値で、株式収益率の標準偏差のようにパーセント単位で表示されます。計算には日経225オプション価格が用いられ、日本経済新聞社によりリアルタイムで算出・公表されています。

出典 日経プロフィル 

 

NT倍率

 

NT倍率とは、日経平均株価をTOPIXで割ったものです。日経平均株価はファーストリテイリングやソフトバンクなどの値がさ株に影響を受けます。また、輸出企業が多いため為替相場、特にドル円の影響を受けやすくなります。一方、TOPIXは時価総額の大きい銀行株などの影響を強く受けます。両指数ともに日本を代表する株価指数ですが、計算方法の違いにより値動きに差が出てくるのです。通常は10~12倍台で推移しますが、2018年7月13日現在、NT倍率は13倍を超え19年ぶりの高水準となっています。現在の水準は日経平均株価がTOPIXに比べ大きく上昇しているということを示しています。

出典 SBI証券

海外投資家売買動向

 

東証1部銘柄の売買比率の7割、日経225先物の売買比率の8割を占める海外投資家の動向は非常に大切です。

 

毎週木曜午後3時に東京証券取引所が発表する「投資部門別売買状況」は、海外投資家の動向に加え、国内金融機関や個人の前週の売買状況を示しています。他の投資家がどのような売買を行ったのかをチェックすることは、時に相場動向を見通す手掛かりとなります。

 

海外投資家の売買は、おおむね順張りが多くなります。日経平均株価が上がればさらに買いあがり、下がっていればさらに売り下がるような売買をするのが特徴です。また、国際優良株に投資する傾向があるので、日経平均株価が上がっている状況では外国人持ち株比率が高い銘柄が買われやすくなります。

 

詳しくは日本取引所グループの投資部門別取引状況で確認できます。

 

 

ドル建て日経平均

 

そして、最大の投資主体である海外投資家は主に日経平均株価をドル建てでみているため、ドル建て日経平均株価をチェックすることも大切です。

 

ドル建て日経平均株価とは米ドルベースで価格を算出します。計算方法は簡単で、日経平均株価 ÷ ドル円レート です。

日経平均株価が20,000円で1ドル=100円の時にはドル建て日経平均は200ドルになります。

 

日経平均株価が一定でも、ドル高円安になればドル建て日経平均は下落し、ドル安円高になればドル建て日経平均は上昇します。つまりドル円相場に影響を受ける指数といえます。

 

為替レート次第では円建ての日経平均株価とドル建て日経平均の景色が大きく変わる可能性があります。ドル建て日経平均もチェックして、海外投資家がどのように日経平均株価をみているのかということを把握するようにしましょう。

出典 四季報ONLINE 

 

日銀ETF買い入れ

 

最大の投資主体は海外投資家ですが、日銀ETF買い入れも株式市場の買い手として影響力が大きくなってきています。

 

日銀ETF買い入れとは、公開市場操作において、日本銀行が市場から買い入れて、資金を市場に供給することで、ETF(指数連動型上場投資信託受益権)を年間6兆円買い入れる政策です。

具体的な買い入れルールは公表されていませんが、TOPIXの前場終値が前日終値より0.2%以上値下がりすると、日銀のETF買い入れ確率が高くなっています。

まとめ

日経225先物の分析には主にファンダメンタル分析とテクニカル分析があります。

ファンダメンタル分析およびテクニカル分析、それぞれ単独の指標で完璧に日経225先物の値動きを予想することはできません。しかし、日経225先物に影響を与えると考えられる種々の指標を組み合わせることで、予想の精度を上げることはできます。

一般に短期トレードにはテクニカル分析、長期投資にはファンダメンタル分析が向いているといわれています。

証拠金取引で決済期日のある日経225先物取引は短期投資に向いている商品です。ファンダメンタル分析を考慮しながらテクニカル分析で売買ポイントを見極めるという手法が有効ではないでしょうか。

 

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