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個人向けクレジットカードで2枚持ちすることはよくある話ですが、それでは法人カードの2枚持ちはどうなのでしょうか。
法人カードを導入する一般的な目的が経費の支払いを1枚の法人カードにまとめることです。これには経費処理の効率化という理由があるので、2枚持ちではかえて効率の悪化が気になるかもしれません。
その一方、法人カードを1枚だけ持っているのでは業務が円滑に遂行できないことが考えられるでしょう。スペックの問題をはじめ、利用できないケースに遭遇した場合で、その対策として2枚持ちは有効になります。
当記事では、法人カードの2枚持ちにおける必要性をはじめ、2枚持ちすることのメリットとデメリットを解説。また、2枚持ちするときにチェックしたいポイントについてもまとめているのでぜひ参考にしてください。
法人カードの2枚持ちは必要性を優先する
法人カードの2枚持ちをしようと思った場合、いくつかの条件を考慮する必要があるでしょう。
そして、その中でも優先してほしい重要なことは、2枚持ちをする必要性が本当にあるかどうかということです。
必要に感じるならば2枚持ちをすべき
ビジネスを円滑におこなうにあたり、法人カードは欠かせないアイテムと言えるでしょう。そして、1枚の法人カードですべてを問題なく処理できるのであれば、あえて2枚持ちする必要はありません。
しかし、手持ちの法人カードのみでは決済できない場面に遭遇することもあります。そうなったときに2枚の法人カードを活用しないと業務に支障が出るのであれば、2枚持ちするのがスムーズです。
必要性がわからない場合はメリットとデメリットを見て判断
もっとも必要性を感じられるケースとなるのが、法人カードに付帯する国際ブランドの違いの点です。
たとえば、ビジネスで利用するサービスの支払いにVISAのカードを利用しているけれど、JCBでの決済が必要になった場合などです。
もしも利用しているサービスがJCBに対応していなければ、VISAとJCBの2枚持ちをすることが自然に必要になります。
しかし、上記のようなわかりやすいケースのみとはかぎらず、必要性のみで判断できないことがあるかもしれません。そんなときは、2枚持ちをすることのメリットとデメリットをチェックして、どちらを選ぶのが得になるのかを考えたうえで判断してください。
次に、法人カードを2枚持ちすることで得られるメリットとデメリットについて解説します。
法人カードを2枚持ちする主なメリットとデメリット
法人カードを1枚だけ持っているという法人代表者や個人事業主の方は、実際に少ないことでしょう。多くの場合で2枚持ち、あるいはそれ以上の法人カードを持っていることは多いです。その理由となるのが、以下のようなメリットがあるからです。
・利用限度額が増える
・利用できる加盟店が増える
・海外で利用できるようになる
・社員用の追加カードが作れる
・ステータスを高くできる
・紛失や利用停止などのトラブルに備えられる
・経理処理が簡単になる
上記のように法人カードの2枚持ちには多くのメリットがありますが、そのほかにデメリットも存在します。2枚持ちを考えている場合、このデメリットについても知識を高めておく必要があるでしょう。
・年会費が高額になる
・カードの管理や手間がかかる
こちらもチェックしていきましょう。
メリット1:利用限度額が増える
法人カードを2枚持つことで得られる大きなメリットが、利用限度額が増えることです。
持っているカードが1枚だけで利用限度額が100万円だった場合、急な支払いで50万円使ってしまえば残りの利用限度額は50万円です。そして、その後に緊急の出費が必要になってしまえば不安はつのるだけでしょう。
そこで2枚目の法人カードがあれば、利用限度額に対する不安がなくなります。もしも2枚目の利用限度額が200万円あれば、1枚目と合わせて合計300万円の利用限度額が確保できて、支払いの幅もより広がるのです。
また、1枚で利用限度額300万円となるのは審査の中で困難かもしれません。しかし、2枚持つことによってそれができるようになるのです。
利用限度額が大きければビジネスをおこなうことにも余裕がでます。それだけでも法人カードを2枚持つことのメリットが得られるはずです。
メリット2:利用できる加盟店が増える
次に解説する法人カードのメリットは、さまざまな加盟店でカード決済ができることです。
法人カードに付帯されるのは1種類の国際ブランドですが、2枚持ちすることで別の国際ブランドが使えるようになります。2種類の国際ブランドがあれば、利用できる加盟店もそれだけ増やせというわけです。
特に海外出張が多い方ですと、利用できる加盟店が増えることは大きなメリットでしょう。海外で何かを購入する際に、1枚目の法人カード加盟店で取り扱いがなくても、2枚目の法人カードの加盟店で見つかる場合もあります。
メリット3:海外で利用できるようになる
日本国内にいれば、基本的にどの国際ブランドでも使えるでしょう。しかし、海外に行くと意外なことに使えない国際ブランドがあるのです。
たとえばVISAなどは、ヨーロッパなどは使えない場所がありますし、日本国内では利用に何ら問題のないJCBはアジアやハワイ以外になると通用しない場合があります。
こうなった場合、国際ブランドの異なる法人カードを2枚持っていれば、どちらかのカードを使える可能性が高くなります。
また、海外で現地通貨が必要になったときも1枚では何かとう不安でしょう。とくに海外出張が多い方は、もしものときに備えて2枚持ちしておけば安心です。
メリット4:社員用の追加カードを作れる
法人カードの契約名義は法人代表者や個人事業主本人になりますが、社員に使わせたい場合は追加カードの発行ができます。
そして法人カードが2枚あれば、追加カードの発行枚数をさらに増やせるメリットがあります。
追加カードのメリット
追加カードを発行するメリットが、経理業務が簡単になることです。
社員が経費の支払いに自分の個人カードを使うと、後日経費の精算をおこなうのがとても面倒です。しかし、法人代表者名義の法人カードを社員が使うのは禁止なので、そんなときのために、社員用に追加カードを発行すれば安心です。
ETCカードのメリット
ETCカードも追加カードに含まれ、車載機に搭載すれば割引料金が適用になったり料金所の支払いの手間などがなくなったりします。
社用車で営業をする社員用としてETCカードを発行すれば、高速道路やガソリンの給油費用などを経費で落とせますから、経理業務の負担が軽減されるでしょう。
そして、法人カードを2枚持っていればETCカードの発行枚数も増やせることになります。
メリット5:ステータスを高くできる
法人カードを2枚持つことで、ステータスを高くできるメリットがあります。
国際ブランドの法人カードを持っていればステータスになりますが、これが2枚になるとさらなるステータスアップができるのです。
そこで、ステータスが上がることによって、どんなメリットがあるのかを説明しましょう。
空港ラウンジの利用
法人カードの付帯サービスはさまざまにありますが、そのうちの1つが空港ラウンジの利用です。空港ラウンジはカードランクによって利用できないことがあるので、ステータスのある法人カードを2枚目に持てば利用可能になります。
プライオリティ・パスの発行
世界主要空港のラウンジが利用できる「プライオリティ・パス」を発行するクレジットカードもあります。プライオリティ・パスで利用できる空港ラウンジは一般的な空港ラウンジとは異なり、ワンランク上の豪華さや快適さのある空間です。
2枚目にプライオリティ・パスが付帯するカードを持てば、出張で海外に行く際に活用できるなどメリットは広がります。
海外旅行傷害保険
法人カードには海外旅行傷害保険の付帯があります。海外にいると、思いがけないケガや病気にかかることがあるかもしれません。そんなときのために、海外旅行傷害保険はとても心強い存在になるでしょう。
なお、傷害保険には補償限度額があります。そこで法人カードを2枚持っていれば、保険料の額を合算できます。たとえば300万円まで医療費が支払われるカード、500万円まで支払われるカードを持っていれば、補償の幅が800万円まで広がります。
グルメクーポン
法人カードに付帯するサービスの中で人気の高いものがグルメクーポンです。
提携レストランに2名以上で予約をすれば1名分が無料になるなどの特典が受けられます。
ただし、法人カードのすべてで特典を受けられるわけではないので、2枚目にこのステータスが付いた法人カードを選んでおけば、活用できるメリットになるはずです。
メリット6:紛失や利用停止などのトラブルに備えられる
1枚しか法人カードを持っていない場合、カードを落としたり盗難の被害にあったりしたときに困ることになります。また、何らかの事情でカードが利用停止の措置をとられた場合にビジネスに支障が出る恐れがあるでしょう。
そこで、2枚持ちしておけば1枚に何かがあっても代替ができます。また、同じカード会社でなければ利用停止の影響も限定されることになります。
メリット7:経理処理が簡単になる
追加カードの発行の部分でも解説しましたが、経費の支払い用に社員へ追加カードを持たせておけば経理業務が簡単になります。
法人カードによっては追加カードの発行枚数に上限がありますが、2枚持ちすれば追加カードの発行枚数をそのぶんだけ増やすことができるので経理担当者の負担も少なくなるでしょう。
デメリット1:年会費が高額になる
法人カードは年会費の必要なので、2枚持ちになればそのぶんだけ支払う年会費が増えます。そのほかの経費の支出が多いと、年会費の支払いが負担になってしまうかもしれません。
法人カードの年会費は経費計上ができるのでデメリットにはなりませんし、カードによって年会費も異なります。
1枚目に安い年会費の法人カードを持っている場合は、2枚目は年会費の高いカードを選ぶ方法もあります。
デメリット2:カードの管理や手間がかかる
カード決済が増えれば増えるほどに、経理業務に負担がかかります。しかし、法人カードで経費を一元化できることを考えれば一概にデメリットとは言えないでしょう。
そこで問題になるのが、1枚のときより2枚の方がカード管理の手間がかかることです。たとえば、パスワードや利用明細の管理をしっかりとおこなう必要がありますし、紛失にも気をつけなくてはなりません。
また、カード会社から送られてくるメールや郵便物の管理などもあります。2枚持ちはメリットも大きいものの、管理をおこなう点はデメリットです。
管理についてのデメリットは以下のようになっています。
支払日に注意
法人カードは支払日がそれぞれ異なります。
15日の場合、月末の場合というように、2枚持ちになれば支払日も2つになるので、忘れたり間違えたりしないようにしなくてはなりません。
社内ルールが必要になる
法人カードの2枚持ちをすることで、不正利用のリスクがあります。追加カードを社員に渡して私的な買い物をされないとはかぎらないからです。
それらのリスクをなくすために、カードの使用に関する社内ルールを作る必要があるでしょう。そして厳格に管理していかなくてはなりません。
2枚持ちのメリットを最大化する法人カードの組み合わせ
2枚持ちのメリットを最大限に発揮し、お得に利用するための組み合わせとなるのが、以下のパターンです。
2枚を活用する場合
2枚の法人カードそれぞれを積極的に活用するパターンがあります・
2枚の選び方は、利用状況によって変わりますが、カード決済を分割する場合は同じ程度のスペックを持つカードを組み合わせるのがスムーズでしょう。
また、支出用途によって使い分ける方法もあり、「消耗品や備品の決済用のカード」「接待の支払い用のカード」という分け方です。
利用限度額の金額差のあるカードを組み合わせることで、決済金額の大小によって使い分けができますし、支払方法の選択肢が多いカードと組み合わせれば資金繰りの調整もできるようになります。
メインとサブに分ける場合
メインとサブのカードを2枚持ちする場合、メインは高スペックかつ付帯サービスが充実した1枚、サブはメインカードにはない部分を補強できるカードを選ぶのがおすすめです。
2枚目を予備カードにする場合
基本的に1枚の法人カードを使い、2枚目は予備カードとして使う場合、1枚目にニーズに対する過不足がないカードを選びましょう。
そして、2枚目はクレジットカードの最低機能があれば問題ないです。
使いやすいと思えることが重要
法人カードを2枚持ちするにあたって、自身が使いやすいと思えることも重要です。
使い勝手が悪い法人カードを選ぶことのないように、さまざまな角度からチェックして選ぶようにしてください。
2枚持ちの法人カードランキング
法人カードを2枚持ちするときにチェックしたい5つのポイント
法人カードは1枚で持つよりも、2枚で持つことにメリットが多いと言えるでしょう。
しかし、2枚目の選び方によって、デメリットに感じることも出てきます。
2枚持ちのメリットを最大限に活かすためにどんなことをチェックすればいいのかの具体的なポイントが以下のようになります。
・1枚目には付帯しないサービスを選ぶ
・ワンランク上のステータスのカードを選ぶ
・共通ポイントに交換できるカードを選ぶ
・発行枚数の上限がないカードを選ぶ
まず、2枚目の法人カードを選ぶときは、1枚目とは異なる国際ブランドを選ぶようにしてください。なぜなら、利用できる加盟店や付帯サービスの幅が広がりますし、海外で利用可能なエリアもそのぶんだけ広がるからです。
1枚目と同じ国際ブランドのカードを選ぶようでは、あえて2枚持ちする必要はないかもしれません。
2枚目の法人カードを選ぶとき、1枚目の法人カードにはない付帯サービスがあるかどうかをチェックしてください。異なる法人カードであっても、同じ付帯サービスの場合もあります。
そして、こんなサービスがあれば良いのに、こんなサービスを利用できたら良いという希望があらかじめ決まっていれば、そのようなサービス付帯がある法人カードを探すのもおすすめです。
さらにゴールドやプラチナランクの法人カードになれば、一般ランクの法人カードにはない魅力的なサービス付帯があり、ビジネスや出張などで役立ちます。とくに接待の場でゴールドやプラチナの法人カードを利用することで、相手からの見る目が変わります。
大事な機会でステータスの高さを利用するために、2枚目にワンランク上の法人カードを選ぶ方法があるのです。
また、法人カードを使ってポイントを貯めて景品やマイルに変えたりもできます。そこで2枚目を選ぶときに、1枚目と共通のポイントに交換可能かをチェックしてみましょう。共通ポイントなら合算して貯められるからです。
そして、法人カードは追加カードの発行枚数に上限を設けていることがあるので、1枚目がそのようなカードであれば、2枚目は発行枚数に上限がないカードを選ぶのが良いでしょう。
まとめ
法人カードは1枚で持っていても問題はありませんが、2枚持ちにすることでさらにビジネスが有利に進むことがわかったかと思います。2枚持ちのデメリットとして、年会費が発生する点がありますが、これらは経費計上ができるので深刻な問題にはならないでしょう。
実際に法人代表者の方で2枚持ち、あるいはそれ以上の法人カードを持っている方も多くいます。それは2枚持ちのメリットを十分に理解しているからと言えるでしょう。
今持っている法人カードだけでは利用しにくいと考えている方、ビジネスをより円滑に進めるために2枚持ちを考えている方は、ぜひ当記事の内容を参考にして、自分のニーズにあった法人カード2枚を選んでください。