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国内の消費者をターゲットにした営業戦略はもちろん大切ですが、同時に外国人観光客へのニーズにどう応えていくのかも対策を考えておくことが今後は欠かせません。
訪日外国人による年間の消費額は年々増加し続け、2018年には4兆円超えと巨大な数字を記録しています。
色んな国籍の観光客が日本へ訪れていますが、韓国からのお客さんが目立つお店では韓国のキャッシュレス決済、kaKao Pay(カカオペイ)が気になっている経営者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、インバウンド・キャッシュレス対策として韓国の決済アプリ、Kakao Pay(カカオペイ)について解説していきます。
訪日観光客で2位の韓国
そういえば、コンビニや飲食店などで外国人を見かけるだけでなく、お店のお客さんでも外国人が増えてきたな、とインバウンドによる経済効果を実感し始める経営者は増えてきているようです。
今、店舗を構える経営者たちの間で頻繁に口にされているのが「インバウンド対策」です。
インバウンド対策とは
インバウンド対策とは、訪日外国人観光客が増えてきたことによって近年になって使われるようになった言葉です。
観光用語にて、
インバウンド→国に入ってくる外国人の数
アウトバウンド→海外に出国する日本人の数
というように入国者や出国者のことを意味しています。
インバウンド対策とは、つまり訪日外国人観光客を集客・販促していく対策のことをいいます。
インバウンド対策の例
インバウンド対策には、
- 多言語のメニューを用意
- 英語の広告・HPを作成
- 無料Wi-Fiスポットを完備
- 日本的な商品を開発
- 外国人が使えるキャッシュレス決済を導入
といったように様々な方法を店舗で検討していくことができます。
キャッシュレス決済の中でも、急速な普及拡大に伴いとくに導入しておきたいのがスマホ決済です。
国籍や年代などターゲットにもよるのですが、国内で導入が進んでいるのが中国のAlipayやWechat Pay。そして、中国のスマホ決済の次に導入すべきだといわれているのが、韓国のKakao Pay(カカオペイ)です。
お店の客層によっては韓国からのお客さんの方が多い場合もあるでしょうが、ここで、より効果的なインバウンド対策を検討するためにも、まずは訪日外国人の内訳を確認しておきましょう。
訪日外国人の国籍の内訳
※2018年度の訪日外国人の国籍別データ
日本政府観光局の調査統計によると2018年度の訪日外国人観光客の総数は約3,119万人でした。国籍別の内訳を見ると、
1位:中国 約838万人
2位:韓国 約753万人
3位:台湾 約475万人
4位:香港 約220万人
5位:シンガポール 約43万人
といった統計結果が出ています。統計からいけば、中国の決済アプリの導入が重視されるのは最もだといえますが、それでも韓国人観光客が占める割合もけっして軽視することはできません。
時期によっては、むしろ韓国からの観光客の方が多い場面もあります。
※2018年度の月別の外国人客数の内訳
中国と韓国からの観光客数は、上図のように夏場は中国の比率が著しく高く、年末年始にかけては韓国の方が上回っています。
また、口コミやリピーター、留学生などのコミュニティによってお店によっては、何故か韓国のお客さんの方が多いというお店もあるでしょう。
従って、韓国の決済アプリの導入は中国決済アプリ同様に重視すべきインバウンド対策だと見ることができるでしょう。
韓国の決済アプリの現状
日本は治安がよいことやATM設備が充実していることなどから、現金が好まれる傾向にありました。クレジットカード、デビットカード、スマホ決済を利用する消費者の数は少数派なのは事実ですが、消費税増税とともに開始された政府のポイント還元制度によって、状況は変わりつつあります。
おそらく今後は国内においても、利便性が高いことからスマホ決済などの普及が進むと予測できるでしょう。
では、韓国での決済アプリの事情はどうなっているのでしょうか。韓国の決済アプリによって売り上げ向上を狙うためには、ユーザーがたくさんいることが条件となります。
果たして、KaKao Payによる経済効果は期待できるのでしょうか。韓国の決済アプリの現状をチェックしていきましょう。
スマホ決済は韓国ではどうなの?
韓国のニュースメディア「The Korea Herald」によると、韓国ではオンライン決済にて安全で便利だとのことから、Kakao Payでの決済が利用され始めたのは2014年頃からだとのこと。
キャッシュレス決済の基盤がすでに出来上がっていたことや、世界3大スマホメーカーの1つSamsungがSamsung Payを開始したことによって、ますます韓国ではスマホ決済への認知度が高まり、ごく自然に浸透していったようです。
Samsung PayからQRコードのKakao Payへと
韓国ではSamsung Payが主流だった
圧倒的なユーザー数を誇るSamsungが提供するSamsung Payは、韓国にて2018年3月の時点で約1000万人、取引総額は170憶ドルに普及拡大しています。
ただ、このSamsung PayはApple PayやGoogle Pay、Amazon Payなどと同様に、アカウントに保存されたクレジットカードを利用する方法が主流となります。
加盟店であればオンラインでは確かに便利なのですが、実店舗ではあくまでも読み取り用のリーダーが完備されてある必要があり、QRコードのような利便性に欠ける点がありました。
利便性の高いKakao Payが利用され始める
そこで、ここ1、2年にかけて銀行口座に直結できるQRコード決済のKakao Payが注目されるようになったのです。
QRコード・バーコード決済であれば、基本的に店舗ではQRコードを提示するだけでも消費者のスマホにて決済が可能となるため、初期費用がかかりません。消費者と店舗と双方にとって便利だとのことで普及拡大が進んでいる状態です。
2017年 AlipayのAlibaba Groupが出資
2017年には、世界的最大規模のモバイル決済Alipayの運営会社Alibaba Groupが、Kakao Payに対して2億ドルの出資を行いました。
2017年から2018年にかけて、Kakao Payは急激にユーザー数を伸ばし、kakao Payの市場規模は1年間で約900%拡大しています。
2018年12月のKakao Pay
2018年12月には、韓国内のKakao Payの加盟店数は19万店舗に拡大し、取引総額は170憶ドルとSamsung Payに追いついている状況です。
Kakao Payが利用できる、基盤のアプリは「Kakao Talk」です。(LINEとLINE Payのようなもの)Kakao talkのユーザー数は現時点で3,000万人を超えているのです。
※韓国のスマホ決済・Kakao Payに関する情報は以下のサイトからもご確認いただけます。(英語版)
Korea’s Mobile Market payment/
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20180403000679
Going walletless Korea’s mobile payment/
http://www.theinvestor.co.kr/view.php?ud=20190127000189
Kakao Pay(カカオペイ)とは
Kakao Payは韓国では急激にユーザーを伸ばし、市場規模を拡大させている注目の決済アプリです。
インバウンド対策の必需品ともいえる決済サービスですが、Kakao Payとはどんな会社が提供していて、どんな決済方法になるのかここで詳しく解説していきます。
Kakao Payの特徴
Kakao PayはLGCNSと株式会社Kakao(カカオ)が共同で設立した決済サービス会社です。Kakao Payは株式会社KakaoのKakao TalkというSNSアプリで利用できる機能の1つになります。
Samsungは確かに日本でも有名ですが、韓国の企業のことを詳しく知る人は少ないのが現状でしょう。まずは最初にLGCNSと株式会社Kakaoの概要を抑えておきましょう。
LGCNSの概要
LGCNSとは、LGグループに属する会社の1つです。LGグループとは韓国の財閥で、日本でいえば三井財閥や住友財閥、三菱財閥のように国の経済を支えている超大手企業になります。
LGグループは電機・化学事業を中核に、IT通信サービス、自動車部品製造などを手掛けています。
代表的な企業に、LGエレクトロ二クス、LG商事、LG化学などがある中、LGCNSは全く新しい分野であるビックデータやスマートテクノロジー、再生エネルギーシステム事業などを行う会社です。
株式会社Kakaoの概要
株式会社Kakaoは主にモバイル通信を中心にSNSサイト、kakao Talkを提供している会社です。
日本におけるLINEや、中国におけるWechat、そして世界的な規模で利用されているFacebookなどのように、メッセージ機能が充実したプラットフォームです。
その他、オンライン通販、TV、ゲームやマッチング、配車サービス、投資・金融事業などにも展開しており、金融事業の一環としてLGCNSと共同で開発したKakao Payとい決済サービス事業を行っています。
Kakao Payと直結できるKakao Bankも運営
また、2017年7月にはKakao Payと直結できるネットバンキング、kakao Bankも新たに創設しています。口座数は約3週間で200万口座を突破したとのことです。
QRコードを使ったスマホ決済
Kakao Talkにてkakao Payのアカウントを作成すれば、銀行口座やクレジットカードに紐づけることで、公共料金、携帯電話、お買物などの各種支払いが加盟店にて簡単に行えるようになります。
Kakao Payは日本のPayPayやLINEPayのようにQRコードやバーコードを利用して決済を行います。
加盟店となった店舗は上記のようにKakao Payのサインを店内外にて提示することができます。QRコードをお客さんがスマホで読み取って、支払い金額を確認し認証ボタンを押すだけで支払いか完了するのです。
カカオペイの利用方法
では、カカオペイを利用する方法をユーザー側の視点と店舗側の視点にて解説していきます。ユーザー側がどのように利用しているのかを知ることで店舗の利用方法もわかりやすくなります。
ユーザーとして利用
ユーザーとして利用する場合は、まずKakao Talkのアプリをインストールして新規会員登録をする必要があります。
参考までにKakao Talkのアプリはこちらからインストールできます。モバイル用アプリでは珍しくPC版とスマホ版と選べます。
Kakao Talkは一応日本語版がありますが、Kakao Payは韓国の電話番号と銀行口座が必要です。ユーザーの大半は韓国人となり韓国語か英語表記になります。(ユーザーとして登録したい経営者の方は参考にして下さい)
Kakao Payの登録方法
- 新規登録のボタンをクリック
- 電話番号を入力してSMS承認を行う
- SMS承認後メール承認を行う
- 認証番号を入力したらアカウント登録が完了
- Home画面よりKakao Payを選択
- 「인증」(認証)ボタンを押して個人情報・金融機関情報を登録
- Kakao Payから承認として1ウォンが振り込まれる
- Kakao Payの登録完了
※Kakao Payのボタンはホーム画面から
詳しくは韓国情報おまとめサイト「Noritter」からご確認頂けます。
Kakao Payのチャージ方法
Kakao Payにチャージする方法は、あらかじめ登録した銀行口座から10,000ウォン以上の金額を入力画面で入力して行います。パスコードを正しく入力して承認されたらチャージが完了します。
Kakao Payの送金方法
また、Kakao Payのアカウントや電話番号あてに送金を行うことができます。
送金する場合は銀行口座からチャージしなくとも、入力した金額を直接銀行口座から引き落とすことが可能な点が便利です。送料は無料です。
Kakao Payの支払い方法
支払い方法は、銀行口座からか紐づけたクレジットカードかを選ぶことができます。
- 自分のスマホにQRコードやバーコードを提示させる→お店が読み取る
- お店のQRコードやバーコードが提示してある→自分のスマホで読み取る
- 双方が金額を確認して承認したら決済が完了
店舗側の利用方法
店舗側で利用する最初のステップは、Kakao Payの加盟店になることです。
加盟店になるステップ
日本でもKakao Payの申し込みをして頂けます。申し込みはKakao Payの代理店またはKaKao Payを取り扱っている決済代行事業者を選ぶ必要があります。
- 加盟店の申し込みをする
- 金融機関の信用情報の審査がある
- 審査に通過した後、登録用のIDとパスワードが送付される
- 店舗用のKakao Payのアカウントを作成する
- Kakao Payの決済の受けつけスタート!
お店で決済したら入金を待つ
店舗では読み取り用のリーダーを用意するか、またはステッカーや小型スタンドにて店舗のQRコードを提示する方法があります。
それぞれのお店にて対応しやすい方法を選ぶといいでしょう。
決済するのは即時で可能ですが、基本的に売上高としての記録は残っても、入金にはしばらく日数を要します。入金までの期間は申し込みを行う代理店や契約内容によって異なりますので、事前に確認するようにして下さい。
※Kakao Payの店舗用の公式サイトはこちらになります。英語か韓国語にてご覧いただけます。Googleの翻訳機能を使うと日本語でも表示できます。(ただ文章が少しおかしい・・・)
日本で導入する方法
Kakao Payを店舗で利用するためには、まずはKakao Payの加盟店になる必要があります。ようやく2019年に入ってから代理店や決済事業者にて、日本でも加盟店の申し込みができるようになりました。
最後に、代理店や決済事業者を介して日本でKakao Payを導入する方法をいくつかご紹介いたします。
PayPay
日本では、驚異的なポイント還元などでユーザー数や加盟店の規模を急展開させているPayPay。PayPayの加盟店になることで、PayPayのバーコードやQRコードにてKakao Payの決済が可能となります。
専門的には、コードの中に、Kakao Payに転換できる翻訳コードが含まれているとのことです。ですから、通常通り何もしなくともKakao Payの決済が可能となります。他にも、中国決済アプリAlipay、AlipayHK(香港)の決済ができます。
PayPayでは、サインやスタンドにてPayPayマークの下にkakao Payのマークが提示してあります。
※PayPayの加盟店申し込み・問い合わせはこちら
Nippon Pay
ECコマース事業の支援サポートを行う株式会社ボーダーラインでは、NIPPON Payという決済サービスを提供しています。
NIPPON PAYでは複数の決済サービスがセットになっています。Alipay、Wechat Pay、銀聯カード、LINE Pay、そしてkakao Payの導入が同時に可能です。
他にも、それぞれの決済サイトで活用できるSNSが利用できたり、必要であれば翻訳・通訳サポートを依頼できたりと便利なのですが、初期費用もかかりそれなりに費用がかかるサービスだといえます。
※NIPPON PAYの加盟店申し込み・問い合わせはこちら
Univa Pay
Univa Payは決済代行会社ユニバペイキャストが運営している決済サービスです。Alipay、Wechat Pay、AlipayHK(香港)、d払い、PayPayがセットになったマルチ決済アプリを提供しています。
同時に各種クレジットカード、コンビニ決済などもご相談して頂けます。キャッシュレス決済の導入を幅広いジャンルに渡って検討したい方におすすめです。
※Univa Payの加盟店申し込み・問い合わせはこちら
まとめ
Kakao Payが日本での加盟店展開を行うと発表したのは、2018年の11月でまだ最近のことです。PayPayがKakao Payとの連結を開始したのも2019年10月であって、まだKakao Payを取り扱う代理店が少ないのが現状です。
PayPayでは確かに容易に中国の決済アプリやkakao Payが利用できるのですが、直営の代理店ではないため、単に決済ができるだけというデメリットがあります。
つまり、他国の決済アプリの加盟店としてアカウント登録をするわけではないので、現地の決済サイトを宣伝に活用するなどの運用ができません。かといって加盟店としてセットで複数の決済サービスを導入するには、コストの面が心配です。
Kakao Payに関しては、もうしばらく様子を見てみることで、条件のよい代理店の数も増えてくるかもしれません。
インバウンド対策としては、韓国の決済アプリの需要は中国での需要に比べると低いこともあり、どうしても中国決済のアプリに決済事業者が集中してしまっている状況にあります。
ひとまずは、中国決済アプリ、AlipayとWechat Payを導入し、様子を見ながらKakao Payの導入を徐々に考えることも1つの方法となるでしょう。
※ちなみにAlipayやWechat Payについて詳しく知りたい方はこちらを参考にして下さい。
※またAlipayとWechat Payの中国2大決済が、導入費用や使用料などを一切かけずに導入できる代理店はこちらです。ぜひ、詳細を問い合わせてみましょう。