ポンド/円の値動きの特徴は?激しい値動きから神経質な展開まで実際のデータを使い客観的に解説します。

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FXではその値動きが非常に激しいことで知られている「ポンド/円」(GBP/JPN)ですが、ユーロ/円と同様ポンド/円は近年そのボラティリティ(値幅変動率)の縮小が見て取れます。

アベノミクス全盛時代では1ポンド約220円、それ以前ではさらにレートが高かったポンド/円ですが、実際の値動きやその性質は現在の所どの様なものであるか?

多くのベテラントレーダーやFXをギャンブルチックに楽しむ方に今もなお愛好されるポンド/円について、かつての魅力を再発見すべく過去5年間(2014~2018年)の為替データを元に今回は月ごとの特徴にスポットをあて検証していきます。

ポンド/円の値動きの概要

 

2014~2018年までの月別値動き

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 平均
1月 -6.59 -9.46 -4.53 -2.39 2.83 -4.03
2月 2.91 8.13 -16.12 -2.26 -8.21 -3.11
3月 2.43 -6.63 4.89 0.20 2.18 0.61
4月 0.49 5.31 -6.18 4.77 1.36 1.15
5月 -1.98 6.67 5.15 -1.36 -5.76 0.54
6月 2.70 2.54 -23.00 3.58 1.52 -2.53
7月 0.25 1.23 -2.28 -0.37 0.73 -0.09
8月 -0.82 -7.59 0.60 -3.52 -2.84 -2.83
9月 4.92 -4.73 -4.34 8.57 4.62 1.81
10月 1.92 4.77 -2.84 0.42 -4.03 0.05
11月 5.70 -0.68 14.82 1.25 0.54 4.33
12月 0.67 -8.18 1.36 0.15 -5.28 -2.26
平均 1.05 -0.72 -2.71 0.75 -1.03 -0.53

*1.00 = 100pips

ポンド/円の一般的な値動きの傾向

今回は過去5年間に渡るポンド/円の値動きを月ごとの特徴を中心に検証をしていきますが、その中で1・2・8・9・12月にはそれぞれ特徴的な性質を見出すことができました。

その他の月は、ポンド/円の一般的な相場状況を映し出していますが、特筆すべき傾向が無いわけではありません。

そこでまずはポンド/円の基本性質を知ってもらうべく1・2・8・9・12月以外の月の状況について解説していきます。

3月における年ごとの円安・円高実績

(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・12ー9
  • 2015年・・・9ー13
  • 2016年・・・15ー8
  • 2017年・・・11ー12
  • 2018年・・・10ー12

合計・・・57ー54(円安率:51.3%)

2016年までの日々の値動きはいかにもポンド/円らしい激しいものとなっていますが(詳細は省きます)、近年になるに連れ穏やかな値動きです。

4月における年ごとの円安・円高実績

(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・12ー10
  • 2015年・・・15ー7
  • 2016年・・・10ー11
  • 2017年・・・9ー11
  • 2018年・・・13ー8

合計・・・59ー47(円安率:55.6%)

突発的な大きな値動きを起こすことはあるものの、ポンドにしては比較的穏やかで30~50pips程度の上下動がメイン。4月は安全にスキャルピングがしやすい月でもあります。

ただし、2016年4月28日にマイナス414pips、翌営業日もマイナス243pipsという破天荒な展開もあり油断はできません。

5月における年ごとの円安・円高実績

(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・9ー13
  • 2015年・・・14ー7
  • 2016年・・・13ー9
  • 2017年・・・13ー10
  • 2018年・・・7ー16

合計・・・56ー55(円安率:50.4%)

4月同様比較的穏やかな値動きですが、2018年以降は下落する日が多く見られ、「セル・イン・メイ」(5月に売れ)という相場格言が徐々にあてはまりつつある感じです。

「2019年5月の結果」

  • 円安日数ー円高日数・・・5ー18
  • 30pips以上上昇した日・・・3回
  • 30pips以上下落した日・・・11回
  • 100pips以上下落した日・・・3回
  • 月間騰落結果・・・マイナス842pips

6月における年ごとの円安・円高実績

(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・10ー11
  • 2015年・・・14ー8
  • 2016年・・・10ー12
  • 2017年・・・16ー6
  • 2018年・・・11ー10

合計・・・61ー47(円安率:56.4%)

上記では円安で終わる日の方が多いデータとなっていますが、全体的にはポンドの割に値動きが弱い日が多いです。

しかし2016~2017年だけは乱高下が激しかった時期で、2016年は6/24に-17.9円、月間で-23円という結果でした!

ファンダメンタル要因によってはポンド/円の本領が見事に発揮されることとなります。

7月における年ごとの円安・円高実績

(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・11ー12
  • 2015年・・・12ー11
  • 2016年・・・7ー14
  • 2017年・・・10ー11
  • 2018年・・・14ー8

合計・・・54ー56(円安率:49%)

10月における年ごとの円安・円高実績

(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・10ー13
  • 2015年・・・17ー5
  • 2016年・・・9ー12
  • 2017年・・・9ー13
  • 2018年・・・11ー12

合計・・・56ー55(円安率:50.4%)

11月における年ごとの円安・円高実績

(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・11ー9
  • 2015年・・・13ー8
  • 2016年・・・16ー6
  • 2017年・・・12ー10
  • 2018年・・・11ー11

合計・・・63ー44(円安率:58.8%)

ポンド/円を攻略するための基本的なFX手法

このセクションで取り上げる月は、次以降の1月などと比べあまり特徴的な動きが見られませんが、突発的に大きな値動きが発生した際は、いかにもポンド/円らしい豪快な値動きを見せます。

また値動きの傾向が読み取れない時期に発生する激しい値動きは、スピーディーな相場判断やポジション捌きが要求されることとなり、多くのトレーダーがうまく対処できない結果となりやすいです。

従って、日頃から利益確定・損切りを徹底することや、あまり深みにはまらないよう最新の注意を払うことが大切です。

また上記11月のように高い円安率となっている月であってもこのセクションで取り上げた月は、下落時の値幅が大きくなりやすいポンド/円においては、必ずしもロング(買い)が勝ちやすいといった訳ではありません。

やはり勝率よりもしっかりとした利益確定・損切り、また逆張りスキャルピングをメインとすることで安定感のある収益スタイルを狙うのがおすすめです。

売りに始まり売りに終わる:1月

「1月における年ごとの円安・円高実績」(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・10ー12
  • 2015年・・・7ー14
  • 2016年・・・8ー12
  • 2017年・・・12ー9
  • 2018年・・・12ー10

合計・・・49ー57(円安率:46.2%)

下落しやすい1月

毎年1月は円高になりやすいと考えておくことが賢明です。

特に下落が激しかったのが2014~2016年。この間は3円以上下げた日が必ず1回はありました。また1円以上下げた日が7~8営業日もあり、ロング中心のトレーダーにとっては地獄のような月です。

(参考)「2015年1月の日々の値動き」

日付 始値 終値 差引
1/2 186.53 184.67 -1.85
1/5 184.36 182.40 -1.96
1/6 182.39 179.33 -3.05
1/7 179.32 180.18 0.87
1/8 180.17 180.54 0.37
1/9 180.47 179.67 -0.80
1/12 179.58 179.52 -0.07
1/13 179.52 178.75 -0.77
1/14 178.72 178.70 -0.03
1/15 178.68 176.31 -2.37
1/16 176.31 177.99 1.68
1/19 177.69 177.63 -0.06
1/20 177.63 179.90 2.27
1/21 179.87 178.61 -1.26
1/22 178.58 177.82 -0.76
1/23 177.83 176.55 -1.28
1/26 176.40 178.59 2.19
1/27 178.51 179.10 0.58
1/28 179.10 177.88 -1.22
1/29 177.86 178.16 0.30
1/30 178.15 177.07 -1.08

*差引における1.00は100pips

Expert
ただ2017年からこの下落傾向が鈍化し、今年2019年では295pipsのプラスで終わるなど円安日数が徐々に増加しつつもあります。

正月はお年玉相場!?

毎年1月の第1~第3営業日は次の表の通り非常に円高となりやすい傾向があります。

 

「1月第1~第3営業日の相場状況」

結果(第1営業日) 結果(第2営業日) 結果(第3営業日)
2014年 -1.97 -0.21 -0.94
2015年 -1.85 -1.96 -3.05
2016年 -1.30 -1.00 -1.28
2017年 -0.19 0.38 -1.23
2018年 0.44 -0.55 0.75
2019年 -2.48 -1.29 2.11

 

全18データ中下落した日は14回、レート変動合計でマイナス15円60銭!

データ上はショートポジションに徹すれば大きく勝ち越しを得られる結論となります。ここまで強い傾向を表すことからもはやこれは立派な攻略法です。

Expert
上記のパターンは2014年から6年間のみの検証ですが、下手な投資信託よりよほど儲かります。

ポンド/円で1月を攻略するためのFX手法

ここ近年においてはある程度円安で終了する日も増えてきており、ロング・ショート両方からトレードを考える柔軟性が大切です。

また傾向が変わるまさにそのタイミングは、いつにも増して売り買いが激しく交錯しスキャルピングにかかるスキルも非常に高いものが要求されてきます。

あまりポンド/円でのトレードに自信がない方であれば取引を控えるのも賢いやり方です。

ポンド/円をギャンブルとして思い切り楽しみたい方であればまさに1月は絶好の月となります!

FX最大の危険な1カ月:2月

「2月における年ごとの円安・円高実績」(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・11ー9
  • 2015年・・・13ー7
  • 2016年・・・5ー16
  • 2017年・・・8ー12
  • 2018年・・・5ー15

合計・・・42ー59(円安率:41.5%)

年により上へ下へと大暴れ!

2月は年によりその傾向が180°変化し非常に危険です。

2015年は約8円の上昇で終わるも翌2016年においては約16円の下落。

日々の結果としては、2015年は6回もの100pips以上の上昇及び100pips以上の下落はゼロだった所、2016年は1円以上上昇した日は3回、下落が8回(最大-254pips)という具合に年によってその様相がコロっと変わるのです。

ポンド/円で2月を攻略するためのFX手法

やはりリスクを大きく下げることを目的にスキャルピングしかありません。

1月同様かそれ以上に予想が難しく大変危険なので積極的なトレードはおすすめしません。

ユーロ/円も似たような傾向があり、ポンド/円でうまくいかなかったという理由でユーロ/円でトレードしても同じように苦戦を強いられるかもしれません。

揺さぶりに注意:8月

「8月における年ごとの円安・円高実績」(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・11ー10
  • 2015年・・・9ー12
  • 2016年・・・12ー11
  • 2017年・・・10ー13
  • 2018年・・・8ー15

合計・・・50ー61(円安率:45%)

大人しい時も油断は禁物

日々の値動きを見ますとそれほど大きな相場変動とは思えません。

例えば2018年は下落した日が非常に多いのですがポンドの割に1円以上下落した日が3回しかなく、しかも最大でマイナス131pipsという大人しい結果となっています。

一方、一度下落日が発生すると連続で下落する傾向が少なからず発生していますので、損切り放置が大きな痛手となりやすいのです。

8月は「夏枯れ相場」と言われますが、それは大きな逆行だけでなくこういったいやらしく分かりにくい値動きの場合もあることを覚えておくことが大切です。

ポンド/円で8月を攻略するためのFX手法

基本的な攻略方法としてはやはりスキャルピングが有効です。損切幅をやや深めにしてただのノイズで損失とならないようにするといった工夫が、明瞭さに欠ける相場状況では効果的です。

しかし、相場参加者が減少しやすい夏においては完全に一方的な流れが突然現れることもあり、難しい判断に迫られることもありそうです。

またちょっとした相場変動に振り回されず、無駄なエントリーを抑えるようにすることも重要です。

巧みなロング捌きが功を奏する:9月

「9月における年ごとの円安・円高実績」(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・13ー9
  • 2015年・・・9ー13
  • 2016年・・・9ー13
  • 2017年・・・11ー10
  • 2018年・・・11ー9

合計・・・53ー54(円安率:49.5%)

買いが結果を残しやすくなってくる

9月は月間の結果がマイナスの年であっても30~50pips上昇した日や、1円以上の円安で終了した日も散見されます。

日・時間単位の値動きを重視するスキャルピングにおいてはロングを中心としても悪くはありません。

上記にある年別の円安・円高実績では特に円安傾向が強いといった結果とはなっていませんが、6~8月が円高で終わりやすい反動からロングポジションに対する注文が増加していく可能性があります。

ポンド/円で9月を攻略するためのFX手法

FX経験が豊富で利益確定・損切りがためらいなくこなせるようであれば、果敢にスキャルピングすることで安定した利益を確保し続けることができるようになります。

またポンド/円のトレードをした経験が無い方でも、9月は比較的トレードしやすくポンド/円の練習にはもってこいです。

ただあくまでも相手はポンド/円ですので細心の注意を怠らないようにすることが大切です。

神経戦:12月

「月における年ごとの円安・円高実績」(円安日数ー円T高日数)

  • 2014年・・・14ー9
  • 2015年・・・7ー16
  • 2016年・・・11ー11
  • 2017年・・・8ー13
  • 2018年・・・4ー17

合計・・・44ー66(円安率:40%)

ポンド/円らしくない歯切れ悪い月

月間平均としては上がりにくく下がりやすいのが12月です。

わずかにプラスで終了した年でも下落する日が連続したり(2017年)、かなり大き目の下落(2014年)が突発的に発生するなど神経質となりやすい傾向です。

米ドル/円も12月は下落傾向となりますが、ポンド/円においては米ドル/円よりもいやらしい値動き、歯切れの悪い相場状況が伺えます。

ポンド/円で12月を攻略するためのFX手法

他の月と同様スキャルピングを駆使するやり方となってきますが、動きが読みずらいので、これもまた上級者向けの月であり、慎重なトレードを心がけるかあまりエントリーを行わないことが大切です。

ただ上級者向けということもあって、連日の下落後や突発的な相場変動後に逆張りが成功しますと非常に大きな利益を上げることも夢ではありません。

まとめ

ポンド/円は値動きが荒いことが最大の特徴ですが、それ故に高度なトレードスキルが要求されてきます。

ただ、1月のように下落色が強いといった傾向や8月や12月のように豪快ではないナーバスな動きも見せるなどの特徴を掴めば、自ずと負けにくいトレードを行うことができるようになってきます。

FX全体としては米ドル/円を始め膠着した状況が続きますが、過去のデータを参照しながらよりミクロな視点を持つことで今でも連勝は可能となってくるのです。

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