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訪日外国人の集客・販促にて、アリペイ(Alipay)とWechat Payが注目されています。すでに導入済みの企業も増えてきているようで、中小・個人規模の経営者の間ではアリペイとWechat Payが気になっている方も多いのではないでしょうか。
中国のスマホ決済を導入することで、インバウンド効果から売り上げ向上が期待できます。アリペイとWechat Payのどちらを導入した方が集客できるのだろうか、と悩んでいる方もいるでしょう。
今回はアリペイとWechat Payのそれぞれの特徴を解説していきます。皆様の戦略に応じたスマホ決済を選ぶ参考にしてみて下さい。
インバウンドで売り上げ向上!
近年、国内ではインバウンド市場の規模が驚異的に拡大しています。
2018年の訪日外国人の数は前年比8.7%増の約3,119万人。トータルの消費額は4兆円を超えています。
※訪日外国人数の推移
※インバウンド消費額の推移
観光庁の統計によると、2012年から2017年にかけての5年間で訪日外国人の数は約3.5倍、インバウンド消費額は約4倍に拡大していることが報告されています。
さらに東京オリンピックが追い風となり、国内のインバウンド市場は今とどまることを知らぬ勢いで増加し続けています。この契機を、地域や店舗の規模はさておき経営者であれば利用しない手はありません。
そこで、インバウンド需要に応える営業戦略があるかどうかが、今後の売り上げを大きく左右していくことになります。
訪日中国人の巨大な消費
インバウンド対策の1つとして今注目されているのが、アリペイとWechat Pay、この2つの中国のスマホ決済です。
訪日外国人の中でも、とくに中国の消費額には目をみはるものがあります。
訪日外国人の4兆円をこえる消費総額のうち、3分の1以上は中国の観光客によるものです。
中国の観光客をいかに集客・販促していくかが勝負の決めどころだといっても過言ではありません。
中国はアメリカも恐れる程の経済大国に
かつては、世界でもその経済力の高さを誇っていた日本ですが、今となっては状況は全く異なります。
2018年のGDP比較において、中国はとっくに日本を追い越しています。企業の時価総額においても、それは一目瞭然です。現在、世界の企業時価総額ランキングにおいて10位以内にランクインするのは米国と中国のみです。
このように経済成長を遂げた中国においては、消費者の購買余力も非常に高くなっているのです。幸運なことに、日本はたまたま隣の国で、気軽に行き来できることからその恩恵を深く受けている状態にあります。
経営者として、このチャンスを逃すわけにはいかないですよね。
中国の観光客を狙うならモバイル決済
そこで、中国観光客を狙うなら最低でも備えておきたいのが中国で主流のモバイル決済、アリペイやWechat Payです。
日本はもともと治安もよくATMも充実していることから現金派が主流です。最近では、政府が行うポイント還元制度によって、国内でもクレジットカードや電子マネー、スマホ決済などのキャッシュレス決済が話題になっていますね。
中国では盗難や金融犯罪のリスクが高く、金融インフラ設備が国土全体に完備しきれていないこともあって、日常的にモバイル決済を利用するのが一般的になっています。
中国ではモバイル決済があたりまえ?
中国ではモバイル決済がオンラインショッピングはもちろんのこと、
- バスや電車、タクシーなどの交通費
- 水道、光熱費の支払い
- 飲食店
- 自転車・車のシェア
- 飲食店・映画館
- 衣料・医薬品の購入
- 病院での治療・入院費
- 税金の支払い
- 旅費、渡航先での各種支払い
など、ほとんどの支出がモバイル決済によって支払われています。
モバイル決済の市場規模は202兆円!
モバイル決済の年間の取引額は2017年には約202兆円。モバイル通信の利用者数は2019年には8憶人を超えているのです。
これだけモバイル通信やモバイル決済の市場規模が拡大している中国では、日本で滞在する際にも普段利用しなれているモバイル決済にて、支払える方が簡単で便利なわけです。
- わざわざ人民元(中国のお金)を両替する必要がない
- 言葉がわからなくても支払いができる
- モバイル決済サービスの特典が利用できる
などの利便性から、日本でも各自で使っているモバイル決済を利用できた方がいい、との声が多かったようです。
そこで、今国内でも急速に中国のモバイル決済の導入が相次いでいるのです。
アリペイとWeChat Pay
中国のモバイル決済は、アリペイとWechat Payの2つが全体の約92%を独占しています。
2018年の中国メディアの統計によると、ユーザー数が最も多いのはアリペイで、全体の約54%。続いてWechat Payが約38%のシェア率となっています。
などと、どちらのモバイル決済を導入した方がお店にとって効果的なのか、悩んでしまう経営者も多いでしょう。
そこで、アリペイとWechat Payの2つのモバイル決済の特徴をそれぞれ解説していきます。
加盟店が利用できるサービスが何なのかを、まず重視してみましょう。
ユーザー側のメリットも合わせて見ていきましょう。
アリペイ決済とは
アリペイは、
英語→Alipay 中国語→支付宝(ジーフーバォ)
というモバイル決済で、中国ECコマース大手のアリババグループが提供しているサービスです。
アリペイの特徴
多彩なアリババグループの事業の中でも、ファンナンス事業を行っているアントファンナンスという金融事業者が運営しているため、金融関連のサービスが充実していることが大きな特徴です。
アリペイのサービス
アリペイで利用できるサービスは、
- ネットショッピング・加盟店(実店舗)での支払い
- スマホ料金の管理・公共料金の支払い
- 旅行関連の予約・支払い
- 送金・割り勘機能
- 直結の銀行口座・クレジットサービスの利用
- 資産運用・資産の管理
- 投資情報ツール
- 口コミ情報検索サイト
などが大まかなサービス内容となります。
加盟店が利用できるサービス
- 実店舗・オンラインでの決済
- 経営の収支管理
- 経営に必要な各種ツール
- 口コミ情報サイトに店舗情報が掲載できる
アリペイを利用するユーザーのメリット
アリペイを利用するユーザーのメリットとして、
- 中国内において必要な支出のほとんどすべてに対応できる
- 海外でも利用できる店舗・サービスが多い
- ネットショッピングが多彩で、即時に対応できる
- 国内外での送金・割り勘機能が利用できる
- クレジット評価によってローン適用など優遇を受ける
- 投資・預金などトータル的な資産の管理ができる
などを挙げることができます。
※アリペイ代理店のサイトからも、アリペイに関する情報がご覧いただけます。
WeChat Pay決済とは
WeChat Pay(ウィーチャットペイ)は、
中国語→微信支付(ウェイシンジーフー)と呼ばれるスマホ決済で、中国のソーシャルメディア大手企業のテンセントが提供しているサービスです。
WeChat Payの特徴
中国でトップのシェア率を持つSNSサイトWechatの機能の1つとして、決済サービスWechat Payが利用できる仕組みになっています。
Wechat Payのサービス
Wecha Payで利用できるサービスは、
- 実店舗・オンラインでの決済
- 日常生活における各種支払い
- エンターテイメント系のサービスが充実
- 出品・出店者に便利な機能
- 教育・医療機関でも利用できる
- 送金・割り勘機能
- 年金や保険金の受取などの機能
などが大まかなサービスになります。
加盟店が利用できるサービス
- 実店舗・オンラインでの決済
- 経営に役立つ各種ツール
- オンラインマッチングサイトの活用
- SNSサイトの活用
Wechat Payを利用するユーザーのメリット
Wechat Payを利用するユーザーのメリットは、
- Wechatユーザーなら誰でも簡単に利用できる
- 友人や知人とコミュにケーションがとれる
- メッセージ機能で問い合わせなども便利
- 出品や出店に便利
- 幅広いユーザーからの情報入手が可能
- ゲームやオンラインコンテンツが充実
など・・・
※WeChat Pay代理店のサイトから、WeChat Payに関する情報を調べることができます。
店舗に導入するならどっちが集客できる?
アリペイとWechat Payのどちらを導入した方が集客できるのでしょうか。
ユーザー数で見てみる
ユーザ数でみればアリペイの方が有利だといえますが、企業規模で考えれば、Wechat Payがアリペイのユーザー数をいつ追い抜いたとしても不思議ではない状況にあります。
2018年の世界時価総額ランキングでは、アリババグループが世界で7位、テンセントが世界で8位です。
この順位は時期によって前後することがあります。つまり両者は、企業の規模でいってもほぼ対等なレベルにあり、ユーザー数においても前後する可能性は十分考えられます。
競合数で見てみる
次に日本国内における競合数で考えてみましょう。
アリペイの国内の加盟店は、何と2019年5月の時点で30万店舗を超えています。アリペイはPayPayと業務提携していることもあって、国内では加盟店を開拓しやすい環境にあったのです。
一方、Wechat Payは加盟店数では数歩遅れていましたが、2018年に急激に導入が進んでいる状況です。
競合数が少なめのWechat Payの方が、お店を選んでもらう確率としては高くなるかもしれません。
ただ、Wechat PayはLINE Payと提携していることから今後加盟店の数が倍増する可能性は高いです。
ユーザーの属性から見てみる
双方とも中国では人気のスマホ決済ですから、一概にはユーザーの属性を決めることはできませんので、あくまでも傾向として分析しておきます。
このスコアによって、手持ちの金額が不足していても購入できたり、ローンが組めたりというメリットがあります。客単価や商品単価が高いお店では、アリペイの方が販促効果が期待できるといえます。
また、Wechat Payのユーザーに関していえば、ゲームや娯楽関連コンテンツの利用に適した決済サービスであることから、エンターテイメント好きのユーザーを誘導しやすいメリットがあるでしょう。
宣伝効果を考えると
宣伝効果を考えた時には、アリペイでは具体的なジャンルに沿って情報検索をした時にお店の宣伝ができます。より確実な集客につながりやすいです。
一方、Wechat Payではソーシャルサイト内で膨大な数のユーザーから情報を見てもらえる可能性があるため、旅行を計画していない人にも幅広くアピールできるメリットがあります。
決済サービスの使途を考えると
アリペイの場合は、金融機関が提供しているサービスであるため、資産全体をアリペイで管理している人も多くなります。資産運用の一環として、決済サービスが使われています。
→資金に余裕がある消費者が多い?
また、WechatPayはもともとSNSサイトを利用するユーザー達が、たまたま支払いにも使えるということで拡大しています。
→気軽なショッピングに少額決済が多い?
アリペイとWechat Pay
では、最後にそれぞれの店舗にて、どちらの方がインバウンド対策効果が高いのかを選ぶポイントをいくつかご紹介しておきます。
店舗で選ぶポイント
- 客単価が→高い/アリペイ 低い/Wechat Pay
- 商品単価が→高い/アリペイ 低い/Wechat Pay
- PayPayの導入も考えている→アリペイ
- LINE Payの導入も考えている→Wechat Pay
- ネットショッピングにつなげたい→アリペイ
- 出品や出店も検討したい→Wechat Pay
- フォーマルな客層を狙いたい→アリペイ
- カジュアルな客層を狙いたい→Wechat Pay
- 現地から確実に予約を受けたい→アリペイ
- エンタメ関連の商品・サービス→Wechat Pay
など・・・
両方導入すれば最強のインバウンド対策!
アリペイもWechat Payもどちらもシェア率が高いのは事実。どちらも捨てがたい選択です。
アリペイのユーザーも、Wechat Payのユーザーもどちらも逃したくないという経営者は両方導入することをおすすめします。
両方同時に導入できる代理店
アリペイ代理店/アリペイ.net
※お申込み・お問合せはこちらから
WeChat Pay代理店/Wechat Pay.info
※お申し込み・お問合せはこちらから
まとめ
今回は、インバウンド対策が気になる経営者の皆様を対象に、話題のアリペイとWechat Payのそれぞれの特徴を解説いたしました。
この2つのスマホ決済は微妙な差があるとしても、双方とも最強のシェア率を有しています。お店が狙うターゲットによって、確実に効果が期待できる決済サービスを選ぶようにしましょう。
また、1人も逃すことなく幅広く訪日中国人を狙っていきたい方は、やはり両方に対応できた方が有利です。
仮に、初期費用や使用料金が一切かからず、利用した分だけの決済手数料が発生するだけであれば、両方同時に導入したとしても損失のリスクはないといえます。
けっして軽視できないインバウンド消費額。1人でも多くの訪日中国人が集客できるよう、アリペイとWechat Payで万全に備えておきたいものです。