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がん保険と共済
「がん保険を共済で保障する事可能?どちらのほうがおすすめ?」
日本人ががんに一生のうちに掛かるリスクは二分の一程度だと言われています。つまり、日本人の二人に一人が、一生のうちにがんによって健康を害されるリスクが存在しているという事です。
もちろん、健康に関するリスクはもちろんですが、お金の観点から考えた時にも同様のリスクは存在しています。がんは場合にもよりますが治療が長期化し、治療費等も高額になってしまうケースが少なくありません。
そこで、がん保険を用いて保障を行っていくわけですが、一部ではやはり「一つの疾患に高額の保険料を支払うのは」「がん保険って意外に高い」という意見も存在しています。
そんな中でがん保険を掛け金の安い共済で代替できないか?という事を考えている方も少なくないでしょう。なので、この記事では「がん保険と共済」というテーマで
- がん保険と共済について
- がん保険と共済の違いについて
- 正しい使い分けについて
という3つの視点からがん保険や共済についてご紹介していきたいと思います。まずはじめに、がん保険のおさらいと共済のがん保障について触れていきましょう。
がん保険について
まず、はじめにがん保険について完結にご説明すると「がん治療の医療費に焦点を当てた保険」になっており、がん治療における医療費を様々な観点から保障していくものになっています。
類似する保険に医療保険が存在していますが、医療保険はがんに焦点を当てるというよりも医療全般に焦点を当てたものになっており、がん保険と医療保険を比較した場合「がん保険はがんのための医療保険」とも言えるでしょう。
そんながん保険を必要な理由とがん保険の保障という2つのポイントからご紹介していきたいと思います。
がん保険が必要な訳
日本には健康保険が存在しており、基本的にどんな高い治療費の医療を受けても自己負担3割で医療サービスを受ける事が可能になっています。(自由診療、先進医療を除く)
また、自己負担3割はもちろんですが、高額医療費制度という健康保険に加入している人なら誰でも利用できる制度によって、月の医療費負担が一定額を超えた場合にそれ以上の負担は必要がないという仕組みになっています。
つまり、公的な医療保険によってある程度はカバーしていく事が可能になっているのです。また、民間のものでも民間の医療保険で、医療費全般を保障することが可能です。
なんだか上記したようなものとがん保険を比較した際に、がん保険はがんのみを保障し、医療保険・健康保険は医療費全般を保障すると聞いたら、後者のほうがお得に感じてしまうかもしれません。
もちろん、そのような見方・意見が存在するのも事実ですが、がん保険はがんのみを保障しているので、がんについては民間の医療保険よりも利便性が高く手厚く保障していく事が可能です。
一生のうちに二人に一人ががんになると言われている時代で、がん保険に加入するという選択肢の一つとして検討したいものだと言えるでしょう。
がん保険の保障
がん保険や共済のがん保障についてしっかりとチェックするには、がん保険の保障について押さえておく必要性があると言えるでしょう。
がん保険の保障について予め理解しておくことで、がん保険と共済の比較を行う際に基礎的な知識として役に立つと思います。ただ、がん保険と言っても一括には出来ません。
一般的に、がん保険には様々な保障が一つの保険に付加されている事が一般的ですし、保険によっては少し変わったユニークな保障が付いてくるものもあります。なので、参考程度に一般的ながん保険の保障についてご紹介したいと思います。
- 診断給付金
- 手術給付金
- 入院給付金
- 先進医療に関するもの
- 女性に関するもの(女性特約等)
- 通院給付金
- 就業不能系の保障
- 実損型の保障
(損保系の保険会社に多い)
上記したものが、主ながん保険の保障になっています。一つのがん保険で「手術給付金と入院給付金、診断給付金がセット」というように、上記したものの中からいくつか保障が組み込まれています。
また、がん保険を分類する際に保障を用いて、保障の名称から
- 「入院給付型」
- 「診断給付金型」
- 「実損補填型」
- 「収入補償型」
というように明記されていることもあります。その際には、名称にある「保障の名前」に注目して見分けると良いでしょう。ただ、このように分類されていたとしても、一つの商品に通常いくつかの保障が組み込まれています。
ただ、保障の名称が付いているという事は、その保障が主なアピールポイントとして提供されている保険という事になるので、がん保険がどのような特徴を持っている保険なのか?という点をチェックする事が可能です。
共済のがん保障
次に、共済のがん保障について解説したいと思います。結論からご紹介すると、共済にがん保障は存在しています。他の共済と同じように「がん共済」という名称で、提供されている事が多いでしょう。
そもそもの共済について少しだけ解説しておくと、共済は何らかの組織や団体が集まった「協同組合」が運営しており、保険会社と異なり非営利で運営されている組織によって共済は提供されています。
つまり、掛け金(保険料)から利益を出す必要性が無く、一般的に共済と保険会社が同じような保障内容の場合は共済のほうが掛け金が安い事が多いです。
がん共済はそういった非営利の組織が提供している共済の一つであり、がん保険とがん共済を比較した時に、がん共済の方が加入した際の費用は安くなっています。
共済と聞くと難しいイメージを持ってしまいがちですが、細かな違い等は存在していますが、基本的に「協同組合が運営しているのか?」「保険会社が運営しているのか?」という違いであって、保障内容等は特段共済だからと言って何か変化すると言ったものではありません。
がん保険と共済の違いとは?
先程、がん保険の概要や必要性、がん共済等についてご紹介させて頂きました。両者の概要についてご紹介させて頂きましたが、その違いについてはまだあまり掴めていないという方も少なくないでしょう。
なので、がん共済とがん保険の違いについて「がん保険とがん共済の特徴」という観点から、両者の違いについて押さえていきたいと思います。
がん保険の特徴
がん保険とがん共済を比較した時に、最も大きながん保険の特徴として挙げられるのは「種類の多さ、選択肢の広さ」という点でしょう。
現在、沢山の保険会社が存在しており、多種多様な保険が存在しています。また、がん保険は「第3分野」に該当する保険であり、特に競争が激しい保険になっているのです。
そのため、保険会社は加入者を増やすために様々なニーズを汲み取るに、色んな特徴をもったがん保険を販売しています。そのため、必然的に利用者からすると種類が多い、選択肢が広いという事に繋がるのです。
また、がん共済と比較した時に、共済の商品は基本的に「パッケージ化」されたものになっています。つまり、ある程度必要な保障を一つまとめて、みんなと同じような保障内容で加入するといった形になっているのです。
一方のがん保険は、保険に加入する際に保険金の金額、特約、プランの設定、入院日数の限度調整等によって細かな変更が可能になっています。つまり、がん保険は「一人ひとりが細かな保障を設定出来る」という特徴を持っています。
これは、がん保険が保険会社と契約者との間で、多種多様な契約という形で保険の様々なルールの取り決めを行う事が可能だからです。がん保険に限らず、他の保険にも見られる最も大きな特徴でありメリットでしょう。
がん共済の特徴
先程、がん保険の特徴についてご紹介させて頂いたので、次にがん共済の特徴について解説していきたいと思います。ただ、がん共済はがん保険と比較した時に特筆するべき点が多いです。
なので「掛け金が一律」「保障内容がシンプル」「割戻金が返ってくる」という3つのポイントから、がん共済を解説していきたいと思います。
掛け金が一律
掛け金が一律であるというのは、がん共済の持っている最も大きな特徴でしょう。がん保険は営利の保険会社が運営しているため、出来るだけ保険事故の発生するリスクを抑えた形で保険を運営したいという意図があります。
もちろん、共済の場合でも共済金の支払いが発生する保険事故は出来るだけ避けたい事柄である事に代わりはありませんが、非営利のため保険会社ほど重要視はされていません。
そのため、年齢・性別・病歴等によって掛け金が変化する事はありません。つまり、どんな人でも他の加入者と同じような掛け金で加入する事が可能になっているのです。
年齢・性別によって、通常のがん保険に加入できない方はもちろんですが、一度がんになった病歴をお持ちの方にも大きなメリットになりゆる特徴だと言えるでしょう。
保障内容がシンプル
保障内容がシンプルであるというのも、がん共済の特徴です。がん共済は基本的に「最低限の保障を安い掛け金で」という形のパッケージ化された商品です。つまり、保障内容がシンプルなものになっているのです。
一方の保険会社が運営しているがん保険は、選択肢が多い・カスタマイズを行えるというメリットが存在している反面、どうしても無駄な保障まで付加してしまい保険料が上がってしまうというケースが存在していることも否定できません。
そのため、がん共済の保障内容がシンプルであるというのは、がん保険と比較した時に大きな特徴になるでしょう。ただ、カスタマイズを行い方にとってはデメリットになる部分であり、人によってメリット・デメリットが別れるポイントであるとも言えます。
割戻金が返ってくる
割戻金が返ってくるというのも、がん共済の持っている大きな特徴の1つです。割戻金とは、共済を運営している協同組合で余剰資金が発生した際に、加入者に再分配される仕組みであり保険会社にはあまり見られない特徴になっているのです。
そもそも、保険会社にとっては余剰資金こそが利益を出せる部分であり、それを再分配していては保険が成り立ちません。一方の共済は非営利であるため、掛け金から余剰資金が発生した場合は再分配を行う事が可能なのです。
もちろん、その年・加入している共済によって返ってくる金額というのは異なってきますが、無駄な掛け金・保険料を支払いたくないという方にとっては、大きなメリットになる特徴だと言えるでしょう。
本質的な違い
これまで、がん保険やがん共済の特徴についてご紹介させて頂きました。実は、上記した特徴には本質的に同じところから出てきている特徴なのです。それは「運営している組織の形」というポイントです。
がん保険になく、がん共済の持っている特徴というのは、がん共済を運営している組織が非営利であるという特徴から来るものであり、本質的に協同組合なのか?保険会社なのか?という点から大きな違いが発生していると言えるでしょう。
なんとなく非営利の方がお得に感じられるかもしれませんが、一概には言えません。保険・共済というのは、1つの商品で全ての人のニーズを満たせるものは存在しておらず、一人ひとりにあった保障の形というのが存在しています。
その点から言うと、がん保険は様々な保険会社が競争を行っており、保険料はがん共済と比較した時に割高になっているかもしれませんが、利用者にとってはニーズをしっかりと満たしてくれる保障を提供出来るという特徴を持っています。
この点を考慮すると、がん保険・がん共済のどちらの方が良いという話ではなく、どんなものを保障したくて、どのくらいの保険料・掛け金を保障に掛けられるのか?という各契約者・加入者の事情を最も考慮すべきだと言えるでしょう。
収入、世帯構成等を把握して「本当に必要な保障は何か?」というポイントをはっきりさせる事が、自分に適切なのはがん保険なのか?・がん共済なのか?という点を見分けるポイントだと言えます。
ニーズによって異なる適切な保険
先程、がん保険とがん共済の特徴・違いについてご紹介させて頂きました。そこで、おすすめできる選択肢というのは、人によって異なるという点をご紹介させて頂きましたが、ある程度の目安があった方が掴みやすいと思います。
なので、これからがん保険とがん共済の特徴・違いから考えた「がん保険がおすすめできる人」「がん共済がおすすめ出来る人」についてご紹介していきたいと思います。
がん保険がおすすめ出来る人
がん保険がおすすめ出来るのは、以下のような方です。
- 保障したいポイントが特殊である
- 保障内容を手厚くしたい
- 保障内容を自分で組み立てたい
- 保険金を自分で設定したい
- どうしても加入したい保険がある
上記したようなおすすめ出来る方というのを、まとめるとやはりがん保険の最も大きな特徴から来る「カスタマイズしたい」という人に通じると言えます。
がん保険の最も大きなメリットは、やはり細かなニーズにも対応出来るというポイントです。いくら共済の方が掛け金が安いとは言っても、ニーズに沿った保障内容でないと加入している意味はありません。
そのため、がん共済よりも保険料は高いが、がん保険の特徴が大きなメリットに感じるという方は、少し高い保険料を支払ってでもがん保険に加入した方が、結果的には良い選択肢になる言えます。
ただ、1つの注意点は「本当に必要な保障に絞る」という点です。がん保険は自らカスタマイズが可能なため、極論どんな保障でも付け加える事が可能です。
例えば、生命保険でしっかりと死亡保障を行っているという方にとっては、それほどがん保険の死亡保障に保険料を支払う必要性はありません。ここで、死亡保障に過剰な保険金を付けてしまうのは無駄な保険料を支払ってしまいかねないと言えるでしょう。
どんな保障でも付け加える事が出来るというのは大きなメリットではありますが、時に無駄な保険料を支払ってしまうという事に繋がります。がん保険に加入する際には、十分に注意しましょう。
がん共済がおすすめな人
がん共済がおすすめ出来るのは、以下のような方です。
- 最低限の保障で良い
- 掛け金を出来るだけ抑えたい
- パッケージ化された共済に魅力を感じる人
- 性別・年齢の観点からがん保険だと保険料が高い
- がんの病歴がある人
がん共済は、やはり「掛け金が安い」「掛け金が一律である」というのが、大きなメリットの1つになる特徴を持っていると言えるでしょう。そのため、掛け金について大きなメリットを感じている方は、がん共済がおすすめ出来ます。
また、がん保険はがんに焦点を当てた保険になっているため、民間の保険会社が販売しているがん保険だと、どうしても病歴があると保険料が高額になる・そもそも加入出来ないというケースが多いです。
そのため、そのようなケースに当てはまる方にも、がん共済はおすすめ出来るものになっていると言えます。ただ、がん共済はどうしてもパッケージ化された商品が多い為、自分に百パーセントあった保障内容を期待する事は出来ません。
ある程度、保障内容については割り切った姿勢で加入する必要があると言え、手厚く保障を行いたいという方にとっては物足りない保障となる可能性があります。
まとめ
がん保険と共済について
- がんのみを保障する保険
- がん保険の必要性は個人の裁量による部分も大きい
- がん共済という選択肢もある
がん保険とがん共済の特徴と違い
- がん保険は選択肢が広い
- がん共済は掛け金が一律、保障内容がシンプル
- 運営している組織の違いによるものが大きい
ニーズによって異なる適切な保険・共済
- がん保険がおすすめなのはカスタマイズしたい人
- 最低限の保障でいい、掛け金の面でメリットを感じるならがん共済
今回は、がん保険と共済というテーマで、がん共済についてがん保険とがん共済の特徴の違い、ニーズによって異なるおすすめな選択肢の違い等についてご紹介させて頂きました。
がん保険・がん共済とも異なった特徴を持っている保険ですが、特徴というのはメリットにもデメリットにもなり得ます。両者の特徴を把握して、メリットが出来るだけ大きいと感じる方を選択しましょう。