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私たちは、日々の生活の中で、様々な税金を支払っているのをご存知ですか?
最も身近な税金といえば、消費税ですよね。その消費税も2019年10月に、8%から10%へ、2%の増税まで1ヶ月を切りました。消費税の他にも、会社勤めの人であれば、毎月の給料、年に1,2回ある賞与から所得税、さらに、会社勤めの人問わず、日本に居住している人なら、住民税も支払わなければなりません。皆さんに馴染みのある、消費税・所得税・住民税だけでも、支出と考えると、痛い出費となっています。
もし、この税金を少しでも節約できるのであれば、したいものですよね?実は、身近な税金のうち、所得税・住民税に関しては、ふるさと納税という制度を利用すれば、節税対策になるんです!
ふるさと納税という言葉を1度は耳にしたことがある人も大勢いらっしゃると思いますが、実際にどんな制度なのか、本当に節税対策になるのか、手続きが面倒ではないのかなど、色んな不安点をお持ちだと思います。
今回は、ぜひ節税対策に活用して頂きたい、ふるさと納税について、分かりやすく解説していきます!
1.ふるさと納税とは
まずはじめに、ふるさと納税がどういった制度なのか、ふるさと納税の基礎についてお話します。
ふるさと納税ってどんな制度なの?
ここ数年で、メディアにもたくさん取り上げられているふるさと納税。TVやインターネットで調べてみるものの、なんか難しそうと思う人もいらっしゃるでしょう。
ふるさと納税を簡単に説明すると、日本にはたくさんの自治体があります。ご自身で応援したいと思う自治体に対して、寄付金を支払うことにより、実質自己負担2,000円で、その自治体からお礼品を貰えることができ、さらに、所得税・住民税が還付されたり、控除されたりと、ふるさと納税は、節税対策になる優秀な制度なのです。
寄付をする自治体ってどこでもいいの?
寄付する自治体は、今お住まいの自治体じゃなくても、どこの自治体でも構いません。寄付する自治体には縛りがないので、例えば、災害で大きな被害を受けた自治体に対して、復興のために寄付金を使ってほしい、これも立派な理由ですよね。
後ほど説明しますが、寄付をすると、寄付してくれたお礼にということで、寄付した自治体から、お礼品をもらえるケースがほとんです。このお礼品から寄付する自治体を選んでいる人も多くいます。
各自治体特有のお礼品もあるので、ふるさと納税をする際には、どこの自治体がどんなお礼品を掲載しているのか、じっくり見てみてくださいね!
寄付をすると貰えるお礼品ってどんなものがあるの?
前述で少しふれた、お礼品についてお話していきます。
ふるさと納税は、自治体に寄付金を支払うことにより、所得税・住民税の還付・控除を受けることができる制度でしたよね?実は、ふるさと納税には、所得税・住民税の還付・控除といった節税対策だけではなく、自治体よりお礼品がもらえるというメリットがあります。
お礼品は、各自治体によって異なります。お肉や野菜、魚介類、お米などの食料品は、ほとんどの自治体でお礼品とされていますが、最近では、旅行券や美容系などバラエティ豊かなお礼品が続々登場しています。
メジャーな食料品で人気なのが、お肉やお米です。お肉に関しては、普段なかなか手が出せないA5ランクの牛肉や、子どもが多い家庭には大助かりの、もうすでに切られている5キロなどの大ボリュームの切り落としなど、毎月の食費を抑えることができるものも多くあります。お米も、こしひかりやあきたこまちなど、スーパーで購入するには、ちょっと高めなものもお礼品としてもらうことが可能です。
実は、お礼品をもらうには、各自治体が設定している寄付金額を支払う必要があります。一体どういうことかというと、お礼品には、1つずつ寄付金額が設定されています。大体、設定金額が低いもので5,000円、高いもので30,000円ぐらいのものが多いです。
しかし、お礼品によったら、55,000円や旅行券やホテルの宿泊券などに関しては、100,000円以上の寄付金額が設定されていたりもします。インターネットでふるさと納税のお礼品を見ていると、「あれも欲しい!これも欲しい!」となるのですが、よく考えて寄付する必要があります。
寄付って、1人いくらまでできるの?寄付したい分だけできるの?
自治体に寄付金を支払うだけで、所得税・住民税の還付・控除を受けられ、さらにお礼品までもらえるなんて、ふるさと納税ってメリットしかないんじゃないかと思いますよね?
実は、ふるさと納税にも大きな落とし穴があるんです!それが、所得税・住民税の控除額には、1人1人上限額が設けられていることです。
どうして1人1人に所得税・住民税の控除額に上限額が設定されているかというと、寄付をする人の1年間の年収や家族構成等に応じて異なるからです。
所得税・住民税の控除額を超えて寄付金を支払ったとしてもふるさと納税の制度は利用できます。しかし、控除額を超えた部分は、自己負担になってしまうため、ふるさと納税のメリット、実質自己負担2,000円で節税対策ができるとう点を活かせれなくなってしまいます。
ふるさと納税をするのであれば、まずは、ご自身の所得税・住民税の控除額が一体いくらなのかを調べる必要があります。
控除額の調べ方ですが、今は色んなサイトで、年収や家族構成等を入力することによって簡単に控除額を計算してくれるツールがたくさんあります。ツールにも、簡易計算タイプと詳細計算タイプがあるので、ざっくりでいいから控除額を知りたい人は簡易計算タイプを、1円たりとも自己負担額を増やしたくない人は詳細計算タイプを利用するといいでしょう。
簡易計算タイプ
簡易計算タイプのツールを利用する人は、計算された控除額ぴったりで寄付をするのではなく、少し限度額に余裕を持って寄付をした方が、自己負担額を増やすことなくふるさと納税を活用することができるでしょう。
必要な入力項目として、ふるさと納税をする人の年収、夫婦2人なのか子どもがいるかなどの家族構成があります。大体のツールが、この2点を入力することにより、控除額を計算することができます。
詳細計算タイプ
詳細計算タイプのツールを利用する人は、会社から発行される源泉徴収票を準備した方が、より細かく入力することができ、正確な控除額を計算することができます。
詳細計算タイプの必要な入力項目は簡易計算タイプよりも多く、年収・家族構成の他に、
- 社会保険料等の金額
- 小規模企業共済等の掛金の金額
- 生命保険料控除の金額
- 地震保険料控除の金額
- 医療費控除の金額
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン)の金額
などがあります。
ふるさと納税の他に、生命保険料控除や住宅借入金等特別控除など、他の控除制度を受ける場合には、ふるさと納税以外に控除を受けない場合と比較すると、控除額の上限は少なくなってしまうので、注意が必要です。
所得税・住民税の控除額の計算方法
所得税・住民税の控除額は、計算ツールを利用することにより、簡単に知ることができますが、ここでは、実際にどのような計算方法で控除額が計算されているのかを説明します。所得税と住民税で計算式が異なるので、それぞれ見ていきます。
所得税
上記の式で、所得税の還付額が計算されます。2,000円は、ふるさと納税の実質自己負担額ですね。そして、所得税率は、年間の所得によって異なるため、1人1人税率は異なります。
住民税
住民税に関しては、基本分と特例分の2つに分かれます。
- 住民税(基本分)=(寄付金の合計額-2,000円)×10%
- 住民税(特例分)=(寄付金の合計額-2,000円)×(100%-10%-所得税率)
(寄付金の合計額-2,000円)は、所得税と同様で、住民税の基本分も特例分も、実際の寄付金の合計額から実質自己負担額の2,000円分を引く形となります。
住民税の特例分の-10%は、住民税の基本分の10%を引いている形となります。そこからさらに、所得税率を引くことにより、住民税の特例分を求めることができます。
2.ふるさと納税の手続き方法について
では最後に、ふるさと納税を利用するにあたり、どのような手続きが必要なのかお話していきます。ふるさと納税を利用するには、ただ自治体に寄付金を支払うだけではなく、手続きをしないと、所得税・住民税の還付・控除を受けることができません。手続きには、確定申告とワンストップ制度の2パターンがあるので、それぞれ説明します。
確定申告
確定申告は、皆さん1度は耳にしたことがあるかと思いますが、毎年2月16日~3月15日の1ヶ月の間に、お近くの税務署に確定申告書類等を提出し、税金を納めたり、還付・控除を受けるための手続きとなります。確定申告は、年中できる手続きではないので、手続き可能な期間中に必ず行う必要があります。
確定申告を行うにあたり必要な書類には、確定申告書の他に、寄付金受取証明書があります。寄付金受取証明書とは、寄付を行った自治体より送られてくる確かにこの人から寄付金を受け取りましたという証明書です。寄付金受取証明書は、寄付を行ってすぐ送られてくるものではなく、寄付をして、1~2ヶ月後ぐらいに送られてくるので、11月、12月の年末に寄付をする人は、少し注意が必要です。
ワンストップ制度
ワンストップ制度は、普段会社勤めの人で、なかなか確定申告の手続きを取る時間が取れないという場合には、ぜひ活用して頂きたい制度です。
ワンストップ制度を簡単に説明すると、自治体に寄付をする際に、画面に、「ワンストップ制度を利用する」というような項目があります。これにチェックをし、寄付した自治体に、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」と本人確認書類(免許証やマイナンバーに関する書類等)を提出することにより、簡単にふるさと納税を利用することができる制度です。
しかし、ワンストップ制度は誰でも利用できる制度ではなく、2つの条件を満たす必要があります。
1.寄付先が5自治体以内であること
2.確定申告を行う予定がないこと
1.寄付先が5自治体以内であること
まず1つめが、寄付先が5自治体以内であることが条件となります。
所得税・住民税の控除額の上限以内であれば、いくつの自治体に寄付しても問題ありません。もし、上限額が100,000円の場合、11,000円のお礼品を掲載している自治体に1つずつ、10自治体に寄付してふるさと納税を利用する上では、全く問題はありません。
しかし、ワンストップ制度を利用したいのであれば、寄付先を5自治体以内におさめる必要があります。
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NGパターン(上限額100,000円)
A市→11,000円×2品、B市→11,000円×2品、C市→11,000円×2品、D市→11,000円×2品、E市→11,000円×1品、F市→11,000円×1品
上記の場合、上限額の100,000円以内におさまっていますが、寄付する自治体が、A市~F市で6自治体と条件の5自治体をオーバーしていますよね?これでは、ワンストップ制度を利用することはできなくなるので、確定申告をする必要があります。
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OKパターン(上限額100,000円)
A市→11,000円×3品、B市→11,000円×3品、C市→11,000円×2品、D市→11,000円×1品、E市→11,000円×1品
上記の場合は、上限額の100,000円以内におさまっていますし、5自治体以内という条件もクリアしているので、ワンストップ制度を利用することができます。
2.確定申告を行う予定がないこと
ワンストップ制度を利用する上でクリアしないといけない条件のもう1つが、確定申告を行う予定がないことです。
この条件に気をつけないといけないのが、会社勤めの人です。通常会社勤めの人の税金の手続きは、年末に行われる年末調整です。年末調整で会社に必要書類を提出すると、会社の方で税金の手続きをしてくれるので、確定申告を行う必要はありません。
しかし、住宅借入金等特別控除(住宅ローン)は、2年目以降であれば、会社に書類を提出すれば問題ありませんが、初年度に関しては、皆さん必ず、確定申告を行わなければなりません。その他にも、医療費控除を受ける予定の人は、会社の年末調整では、医療費控除は手続きの対象外となりますので、ご自身で確定申告を行う必要があります。
このように、ご自身で確定申告を行わなければならない控除を受けようとするのであれば、ワンストップ制度を利用することはできません。ワンストップ制度を利用するには、確定申告を行う予定がないことが大前提となります。
ワンストップ制度を利用すると、所得税の還付を受けることができない?!
ワンストップ制度を利用する際に覚えて頂きたいのが、ワンストップ制度を利用すると、所得税の還付を受けることができないという点です。
所得税の還付を受けることができないのであれば、所得税の還付を受けれて、住民税が控除される確定申告の方がお得ではないのかと思いますよね?安心してください!ワンストップ制度を利用すると、確かに所得税の還付を受けることはできませんが、その分、住民税の控除分に上乗せされます。
住民税の控除分に上乗せがどういう意味かといいますと、ふるさと納税の上限額が55,000円で55,000円を寄付すると、実質自己負担額は2,000円なので、48,000円分の還付・控除を受けることができます。
もし、確定申告を行うのであれば、分かりやすく、所得税の還付を1割、住民税の控除を9割受けることができるとしましょう。所得税は1割分なので、4,800円の還付されます。そして、住民税は残りの9割分なので、43,200円控除されます。
一方、ワンストップ制度を利用するのであれば、所得税の還付はありません。なので、確定申告であれば、住民税は9割分の控除を受けることができましたが、ワンストップ制度の場合は、所得税分が住民税に上乗せされるので、10割分の48,000円が住民税から控除されるということになります。
ふるさと納税を利用する上で、手続き方法が、確定申告でもワンストップ制度でも、実際に還付・控除される合計金額は同じなので、安心してくださいね。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
ふるさと納税は、所得税・住民税の還付・控除を受けることができ、尚且つ、寄付する自治体よりお礼品をもらえる、ぜひ積極的に活用して頂きたい節税対策です。
しかし、ふるさと納税を利用するにあたり、所得税・住民税の控除額の上限の確認、あと、手続き方法を十分に理解していなければ、ふるさと納税の恩恵をフルで受けることができません。むしろ、損失を被る可能性もゼロではありません。
ふるさと納税がどういう仕組みなのかをしっかり理解し、普段の生活に上手に取り入れることにより、浮いたお金で、家族で外食をしたり旅行などに行ったりして、豊かな生活を送りましょう!