FXにおける東京時間・ロンドン時間・ニューヨーク時間の勝ち方。データを重視した客観的な視点からおすすめの攻略方法を紹介します。

FXにおける重要な市場(時間帯)である東京時間・ロンドン時間・ニューヨーク時間について、実際の為替データを使って実戦的な視点から各時間帯を説明します。

この3大時間帯については、FXでトレードを行っている方であれば誰でもその存在を知っていることでしょう。

東京時間は穏やかに相場が展開し、ロンドン、ニューヨークへ行くに従い段々激しい値動きとなる・・・多くのトレーダーがそういった理解をされていると思います。

しかし、時間帯ごとの相場状況の違いが分かっていながらイマイチ思うように勝てなかったり、日によってはだいぶ異なった状況となる事も珍しくありません。

そこで本ページでは、FXの3大時間帯を正確に把握できるようになる事、そして適切な勝ち方ができるようになる事などを目的に、実際のレート情報に基づいた各時間帯の解説をしていきます。

全体的な状況

 

変化を伴う相場状況

「通貨ペアごと・月ごとの値幅変動状況(月間スイング)」
*2019/1~7月まで

  • 米ドル/円
始値 終値 差引
1月 109.648 108.854 -0.79
2月 108.854 111.377 2.52
3月 111.377 110.854 -0.52
4月 110.928 111.41 0.48
5月 111.41 108.286 -3.12
6月 108.31 107.864 -0.45
7月 108.198 108.759 0.56

 

  • ユーロ/円
始値 終値 差引
1月 125.672 124.592 -1.08
2月 124.592 126.606 2.01
3月 126.606 124.353 -2.25
4月 124.534 124.97 0.44
5月 124.97 120.962 -4.01
6月 120.925 122.702 1.78
7月 122.96 120.426 -2.53

 

  • ポンド/円
始値 終値 差引
1月 139.731 142.682 2.95
2月 142.682 147.704 5.02
3月 147.704 144.477 -3.23
4月 144.572 145.22 0.65
5月 145.22 136.797 -8.42
6月 136.804 136.981 0.18
7月 137.352 132.186 -5.17

 

通貨ペアごとのボラティリティ(値幅変動状況)については、一般的に知られているような「米ドル/円:最も波がゆるやか」、「ユーロ/円・ポンド/円:値動きが荒い」といったことが単純には言い切れない状態です。

ユーロ/円・ポンド/円はかつてあったギャンブル通貨的な印象が弱まり、非常に中途半端な値動きであるのが近年のその状況です。

ただ月ごとに見てみますとやはり特にポンドは大きな値動きをしており、502pipsの円安で終えた月があればマイナス842pipsといういかにもポンドらしい終わり方をしている月もあります。

半年間超の全体的な状況においてはこれまでの常識が素直に当てはまらないものであり、やはり相場状況は刻一刻と変化するもので、同じような攻略法ではトレードで長く生き残ることが難しいといった結論となってきます。

Sell in May

毎年5月は「Sell in May」(セル イン メイ)というアノマリー(慣習的な法則のようなもの)があります。

これは株式相場とともに5月は売りの傾向が強まるという内容ですが、2019年5月においてはこの法則がきれいに当てはまっています。

「2019年におけるSell in Mayの状況」

  • 米ドル/円・・・-312pips
  • ユーロ/円・・・-401pips
  • ポンド/円・・・-842pips

ちなみにまた、3通貨ペアともに前月4月の値幅がほぼ無かったという事も共通しています。

アノマリーは絶対にその通りになるというものではありませんが、時々このように見事にはまってしまいますと、心理的には次回もそうなるだろうと強く思ってしまうものです。

上昇が弱かった2019年前半

テクニカルチャートを見ても分かるように上記3通貨ペアのみならず数多くの通貨ペアで下落傾向となっています。

ファンダメンタル的には、米中貿易戦争やアメリカ大統領の閉鎖的な政治方針、またイギリスのEU離脱か撤回かといった、当事者がその判断を誤れば世界的に大きな惨事を生むことになるであろう非常に緊迫した状況となっています。

これから本ページではデータ分析によるFX相場状況の解説を行っていきますが、やはり人間ですのでそういった国際情勢の側面についても気になってしまうものです。

東京時間

 

東京時間の基本データ

本ページにおける東京時間の定義・・・9:00~15:00

 

「東京時間における米ドル/円の月ごとの相場状況・2019年」

全日数 円安日数 円高日数 円安率 毎日決済合計
1月 22 10 12 45% -92pips
2月 20 10 10 50% 16pips
3月 21 12 9 57% -15pips
4月 22 10 12 45% -62pips
5月 23 12 11 52% -9pips
6月 20 7 13 35% -91pips
7月 23 9 14 39% -68pips

「東京時間におけるユーロ/円の月ごとの相場状況・2019年」

全日数 円安日数 円高日数 円安率 毎日決済合計
1月 22 9 13 41% 28pips
2月 20 8 12 40% -52pips
3月 21 12 9 57% -56pips
4月 22 11 11 50% 66pips
5月 23 11 12 48% -8pips
6月 20 7 13 35% -105pips
7月 23 10 13 43% -97pips

「東京時間におけるポンド/円の月ごとの相場状況・2019年」

全日数 円安日数 円高日数 円安率 毎日決済合計
1月 22 10 12 45% -61pips
2月 20 7 13 35% -6pips
3月 21 7 14 33% -170pips
4月 22 12 10 55% 179pips
5月 23 14 9 61% 6pips
6月 20 6 14 30% -153pips
7月 23 9 14 39% -211pips

 

上記の表にある「毎日決済合計」とは、毎日この時間帯でエントリー&決済し、その日々の結果(レート差)を月間で合算した数字です。

2019年は円高傾向

どの通貨ペアにおきましても下落傾向が見て取れます。

7月までの毎日決済の合計は、米ドル/円がマイナス321pips、ユーロ/円がマイナス224pips、ポンド/円がマイナス416pipsとなっており、東京時間はショートポジションが勝ちやすいといった結果になります。

東京時間は値動きがあまりなくFX初心者が取り組みやすい時間帯などと言われることがありますが、トレード上はロングポジションが不利となることを知らないと大きな不利益を被ってしまう危険性が高いです。

もちろん月足レベルで上昇傾向が顕著な時期であればこれとは逆の結論となりますが、FXはどちらかと言えば「買い」から取引に入っていきやすいものです。

従って、今回の結果を踏まえずに何となくロングポジションを建てていた初心者の方の多くが利益を上げれなかったと推測されます。

東京時間にある規則性

FX経験が豊富な中・上級者においては、値動きに乏しいこの時間帯に最初から目を向けないトレーダーも多いです。

しかし東京時間のデータを見ますと、ここまでマイナスが連発する結果となったことから一定の値動きに期待することができます。

より検証を深めていき、下落方向への移動が著しい限定された時間帯や条件を絞ることができれば、この時間帯で繰り返し勝つ戦略を見つけ出すことができるようになってきます。

ロンドン時間

 

ロンドン時間の基本データ

本ページにおけるロンドン時間の定義・・・16:00~24:00

「ロンドン時間における米ドル/円の月ごとの相場状況・2019年」

全日数 円安日数 円高日数 円安率 毎日決済合計
1月 22 14 8 64% 180pips
2月 20 12 8 60% 125pips
3月 21 10 11 48% 15pips
4月 22 12 10 55% 7pips
5月 23 7 16 30% -197pips
6月 20 12 8 60% 78pips
7月 23 14 9 61% 112pips

「ロンドン時間におけるユーロ/円の月ごとの相場状況・2019年」

全日数 円安日数 円高日数 円安率 毎日決済合計
1月 22 10 12 45% -13pips
2月 20 12 8 60% 130pips
3月 21 11 10 52% -191pips
4月 22 11 11 50% -60pips
5月 23 7 16 30% -188pips
6月 20 11 9 55% 206pips
7月 23 8 15 35% -77pips

「ロンドン時間におけるポンド/円の月ごとの相場状況・2019年」

全日数 円安日数 円高日数 円安率 毎日決済合計
1月 22 13 9 59% 208pips
2月 20 14 6 70% 207pips
3月 21 7 14 33% -305pips
4月 22 9 13 41% -118pips
5月 23 4 19 17% -502pips
6月 20 12 8 60% 221pips
7月 23 10 13 43% -83pips

 

 

上昇気味な米ドル/円

米ドル/円の毎日決済合計が毎月ほぼ円安となっているのが特徴です。

毎月の円安率についてですが50%以上となった月が5回あり、これは今回の3大時間帯及び3通貨ペアで構成された9つの分類中で最多の回数です。

東京時間全体の状況と同じく、こういった明確な特徴は取引ルールを作成するのに非常に有利であり、長期に渡る利益の獲得やシステムトレードで大きな力となってきます。

またこの時間帯の米ドル/円は東京時間の下落傾向とは逆の相場状況にあり、いわゆる「東京時間の逆が仕掛けられる」というロンドン・ヨーロッパ時間の一種の定説が米ドル/円限定ではあるものの強く確認することができます。

ただ、米ドル/円は3・4月はほぼトントンの結果で終了しています。

売り買いが交錯し上下動が激しいとどちらにも決着が付きにくくこういった結果になりやすいのですが、こういった場合あまりチャート画面をじっくり見ていますとメンタルへの負担が非常に大きいものとなります。

スキャルピングがメインのトレーダーの中では意外と勝ちにくいと思った方も少なくありません。

ユーロ/円とポンド/円は売りがメイン

ユーロ/円とポンド/円は米ドル/円とは対照的に円高で終了している月が多いことからショートポジションを基本にしたトレードが有効です。

またポンド/円の2月の円安率が70%、5月が60%という円安傾向が高いデータがありますが、どちらの月も200pips程度の上昇にとどまっています。

これはポンド/円にしては大人しい値動きであり、やはり勝率等にこだわらず利益確定幅・損切幅までをしっかり定め一喜一憂しない堅いトレードが収益向上へと繋がることとなります。

ニューヨーク時間

 

ニューヨーク時間の基本データ

本ページにおけるニューヨーク時間の定義・・・22:00~朝方

「ニューヨーク時間における米ドル/円の月ごとの相場状況・2019年」

全日数 円安日数 円高日数 円安率 毎日決済合計
1月 22 12 10 55% 85pips
2月 20 12 8 60% 161pips
3月 21 10 11 48% -132pips
4月 22 14 8 64% 76pips
5月 23 8 15 35% -76pips
6月 20 9 11 45% -13pips
7月 23 14 9 61% -18pips

 

「ニューヨーク時間におけるユーロ/円の月ごとの相場状況・2019年」

全日数 円安日数 円高日数 円安率 毎日決済合計
1月 22 11 11 50% 56pips
2月 20 9 11 45% 30pips
3月 21 8 13 38% -270pips
4月 22 6 16 27% -116pips
5月 23 8 15 35% -181pips
6月 20 8 12 40% -105pips
7月 23 7 16 30% -232pips

 

「ニューヨーク時間におけるポンド/円の月ごとの相場状況・2019年」

全日数 円安日数 円高日数 円安率 毎日決済合計
1月 22 15 7 68% 516pips
2月 20 12 8 60% 329pips
3月 21 7 14 33% -153pips
4月 22 7 15 32% -77pips
5月 23 10 13 43% -91pips
6月 20 10 10 50% -96pips
7月 23 8 15 35% -233pips

特徴的なユーロ/円の下降相場

ユーロ/円のみが強い下落傾向となっているのがこの時間帯の特徴です。

Expert
FXにおいてよく見られる特徴としては、どの通貨ペアも同じような値動きであったりローソク足チャートがどれもそっくりな描かれ方をしているといったものがあります。

しかしユーロ/円がここまで目立った特徴を示すとなりますと、ユーロにまつわる政治的・経済的なファンダメンタル要因が大きいという事になります。

ニューヨーク時間であったりFX相場といった大きな視点からのアプローチよりは、ユーロ/円やヨーロッパ圏という局地的な観点を中心とした相場分析が有効です。

大きな上昇に期待したいポンド/円

ポンド/円は1・2月合わせ840pips程度の上昇を見せましたが3月以降は歯切れの悪い値動きとなっています。

下落するにしてももっと大胆に下がってくれれば投資方針が決めやすいものなのですが、いかんせんハッキリとした値動きに乏しい状況です。

ただ相場の世界には「ジャニュアリー・エフェクト」というアノマリーがあり、1月の結果がその年全体の結果になりやすいといった言い方がされることがあります。

1月に516pips上昇した事実やそれに続く消極的な下落状況から、年末に向けて大きく上昇する可能性が伺われます(あくまでも予想です)。

ニューヨーク時間は一方向に流れやすい?

ニューヨーク時間の特徴として、それまでで上昇傾向が強ければ買いの方に多くの注文が入ったり、下落傾向であれば売りポジションが多く発せられるといったものがあります。

これは、今目の前で起こっている事に忠実な行動を取ろうとするアメリカ人の国民性からきていると言われています。

ここでは時間帯全体から日々の動向を見てみますと、米ドル/円は1月に8営業日連続で円安となった直後、7営業日連続で下落するというケースがまず挙げられます(ほぼイーブンで終わった日もあります)。

また5月には「7営業日連続円高」⇒「7営業日連続円安」⇒「4営業日連続円高」といったパターンもあり、通常この事がよく言われている短期足レベルだけでなく、時間帯全体においても同一方向への値動きが確認できます。

もちろん他の通貨ペアでもこの傾向が見られ、例えばユーロ/円では4月中旬から5月上旬にかけ19日間で上昇が3日、下降が16日というパターンがあり、1日ごとの値動きは大きくはなかったのですが、ズルズルと2円60銭程度マイナスとなっていった時期がありました。

またポンド/円の場合は、1月に11営業日中上昇が9日、下降が2日発生した時期がありました。しかもそのうち50pips以上上昇した日が5日、1円以上上がった日も2日存在しています。

他の要件と合わせ一方向への値動きの可能性がある程度認められるのであれば、ニューヨーク時間に連日同一方向のポジションを持つことは非常に有効なトレード方法となってきます。

まとめ

 

FXはその相場状況は刻一刻と変化するものであり、本稿で取り上げた相場状況や取引手法のヒントも、いつかはその風向きの変化に従って有効では無くなる可能性があります。

ただ、通例となっている各時間帯の性質や特徴をいったんクリアにし、実際の為替データを入手して客観的に相場を分析することは、どのような時代や相場状況であっても勝利を得るにおいては極めて大切なアクションです。

FXにおける取引時間帯には今回取り上げました3大時間帯以外にもいくつか存在しています。

また日本時間夜遅くにはロンドン時間とニューヨーク時間が交差する時間帯もあり、様々な切り口でデータ分析を行うことが可能です。

以下に今回取り上げた3つの時間帯の2019年における特徴的な点をいくつか挙げておきます。

  • 東京時間は通貨ペア全般で売りが有利
  • ロンドン時間は米ドル/円は買いが有利
  • ニューヨーク時間はユーロ/円で下落傾向が顕著
  • ニューヨーク時間ではどの通貨ペアでも上昇・下落いずれかかが連続する日(期間)が存在
  • それぞれの時間帯において定説とは異なる現象が発生することも珍しくない

 

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