民泊投資のリスクと問題点を徹底的に全部解説します!

民泊投資は最近注目されている不動産投資の1つで、個人の投資家だけでなく企業の参入も目立ってきています。日本では民泊はまだ普及をはじめたばかりです。民泊投資に興味がありつつも、不安に思う方も多いのではないでしょうか。

国内の人口は今後は減少していくことが予想され、賃貸ニーズも低下していくだろうと見られています。そんな中、民泊であれば観光客がターゲットとなる点が従来の賃貸経営とは大きく異なり、新たな期待が集まっています。

急増する外国人観光客によって、一気に普及が進んだ民泊ですが、いざ民泊投資を始めるにあたってどのようなリスク・問題点があるのでしょうか。今回は民泊投資におけるリスクや問題点を全部解説していきます。

民泊投資が注目される理由は

そもそも民泊とは何なのでしょうか。海外でも利用されている宿泊サービスなのでしょうか。

ますは民泊について軽く解説しておきましょう。

民泊とは

従来のホテルや旅館などの宿泊施設ではなく、一般の住宅にて宿泊サービスを提供することを民泊といいます。民泊は、友人や知人などを自宅に泊めてあげることから始まり、友人の友人、知人の知人、親戚の親戚などを泊めるようなイメージで海外では以前から行われていた宿泊形態になります。

海外ではこのような宿泊形態を「シェア」「サブレット」「ルームレント」などと呼び、オンラインや街角の張り紙、地域の情報誌などで簡単に探すことができます。海外の主要都市では、意外と簡単に部屋を借りれることに驚く日本人は多いようです。

もともと、外国人の出入りが少なかった日本では、賃貸契約以外にて部屋を確保することが難しい状況にありました。そこで、民泊の普及や訪日外国人の急激な増加に大きく貢献したのが、民泊事業者のエアビーアンドビーです。

エアビーアンドビー

国内の民泊を語るにいたって、エアビーアンドビーの存在を避けることは不可能です。

エアビーアンドビーは2008年サンフランシスコで設立された民泊事業者で、これまでは個々で行われていた部屋の貸し借りを効率よく行えるように、マッチングサイトを立ち上げました。

その後、民泊の習慣があった各主要国にてまたたく間に普及拡大し、現在では世界で192国、80,000以上の都市で600万以上の物件のリスティングされています。

民泊のような習慣が全くなかった日本にエアビーアンドビーが進出したのは2014年の5月。そこから外国人観光客によって一気に利用が進み、現在のように日本でも民泊が行われるようになったのです。

民泊投資のメリット

民泊は単に、ビジネスとして収益が期待できるだけでなく、深刻な社会問題を解決する方法としても注目されています。民泊のメリットをここで見ておきましょう。

  • 外国人観光客のニーズが急激に高まっている
  • 国内の旅行者のニーズにも応えることができる
  • ホテルや旅館では提供できないサービスの実施が可能
  • 空室問題を解決できる
  • 空き家問題の解決につながる
  • 中古住宅市場の活性化につながる
  • 地方創生に貢献できる

などのメリットが期待されており、今後は民泊のニーズが高まり、将来的に一定の収益が期待できる投資方法となるのです。

しかし、先述のように日本では民泊は始まったばかりです。さらに、外国人が増え始めたのはごく最近のことであり、まだ解決すべき課題も多く、新しい分野であるが故に軽視できないリスクもあるのです

民泊投資のリスクと問題点

今後はビジネスとして一定の収益が期待できる民泊ですが、民泊のリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。

現段階にて考えられるリスクや問題点を、徹底的に全部解説していきます。

認可・許可が必要

まず、民泊投資において最初のハードルとなるのが民泊には認可や許可を取る必要があるということです。

2018年に施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)によって、認可をとらない民泊の経営はペナルティの対象となることが規定されました。言い換えれば、認可さえあれば法的に認められますので安心ではあるのですが、この認可を取る手間や時間がネックとなる人は多いようです。

民泊の認可・許可の種類

民泊の認可は大まかに3種類あります。

  1. 民泊新法に沿った民泊の認可→自治体に届出を出す(民泊の認証番号が付与される)
  2. 特区民泊の規定に沿った認可→自治体に届出を出す(特区民泊の認定を受けた地域のみ可能)
  3. 旅館業法に沿った許可→ホテル・旅館業の許可、あるいは簡易宿所事業の許可

上記いずれかの認可や許可がなければ、違法民泊を行うことになり、最大で1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課されます。

認可の難易度は、

特区民泊→民泊新法→旅館業法

の順で厳しくなっていきます。

※民泊に必要な認可は国土交通省の民泊ポータルサイトからご確認いただけます。

申請までに手間や時間がかかる

それぞれの認可や許可の規定に沿って、宿泊施設として利用する住宅の要件を満たすことがまず第一段階。そして、各部屋や建物が建築基準法、消防法、衛生法などの規定に沿っているかどうかの確認が必要です。民泊・特区民泊の認可はとくに審査はありませんが、旅館業法の許可を得る場合は事前に現場の立ち入り調査があります。

さらに、必要書類や申請書を揃えるにも手間がかかり、申請から約2週間ほどで認可・許可がおりる流れとなっています。それぞれの許可や認可の種類を調べて手続きをするまでに手間や時間がかかってしまいます。

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しかし、これらの手間は最初の一度きりです。許可や認可さえとっておけば、後は何年でも、それぞれの計画に合わせて民泊経営を行うことが可能です。

※民泊の認可や許可の種類について、こちらから詳しくご覧になれます。

営業制限を受ける

民泊新法(住宅宿泊事業法)の認可は旅館業の許可に比べると、届出制で現地調査もなく比較的安易ではあります。しかし、営業制限を受けるデメリットがあります。

民泊新法(住宅宿泊事業法)では、民泊の営業日数が年間で180日以内と規定されています。ですから、収益物件を活用して利益を得るには非現実的です。そこで、最近では賃貸経営やマンスリー・ウィークリーと並行して民泊を活用する方法がとられています。あるいは、飲食店やレンタルスペース、その他店舗経営などと複合的に民泊経営を行う方もいるようです。

特区民泊、旅館業の許可であれば、営業日数の制限はありません。

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従って、収益物件を活用して一定の収益率を狙いたい方は、特区民泊の地域にて民泊を行うか旅館業の許可をとっておく方が無難です。
※規制のリスクを抑える民泊投資の3つの方法は以下の記事を参考にして下さい。

宿泊施設の管理の義務

次に確認しておきたい民泊のリスク・問題点は、民泊を行うにあたってオーナーは宿泊施設を管理する義務があると規定されていることです。

衛生管理

室内・浴室などの衛生の確保ができているうえで宿泊者を受け入れることが可能です。ゲストの滞在中の清掃はオーナーの義務ではありませんが、きれいに清掃した状態で次のゲストを案内しなければなりません。つまり、最低でもゲストが入れ替わるたびに清掃が必要となります。民泊では、この清掃の費用を別途で宿泊料に追加する物件が少なくありません。

清掃はオーナー自身が行うか、管理業者に任せるか、あるいは別途で人を雇う必要があります。

宿泊者名簿の作成から提出

民泊のオーナーは、宿泊者名簿を作成し3年間は保存する義務があります。また、作成・保存した宿泊者名簿は都道府県から要求があった際に提出する必要があります。

宿泊名簿には、宿泊者の氏名・住所・職業・宿泊日・旅券番号(外国人の場合)の記載が義務づけられています。

緊急・災害時の対応の義務

台風や集中豪雨、地震に火災など緊急・災害時には万が一に備えて、消火器や緊急用照明の用意するとともに、避難経路、避難場所、緊急連絡先などを事前に提示しておく義務があります。

※施設内の設備の使い方や周辺の交通機関の案内なども合わせて、通常は日本語版と英語版の2種類が用意されています。

家主居住型と家主不在型

これらの宿泊施設の管理を管理業者に委託することが可能ですが、そうすれば必然的に経費がかかってしまいます。オーナー自身で管理業務を行うことを希望する方もいるでしょう。そこで、確認しておきたいリスクは管理業者への委託が義務付けられるケースがあるという点です。

民泊にはいくつか種類があり、家主居住型と家主不在型の2つのタイプがあります。

家主居住型は建物内や敷地内にオーナーが居住しているタイプの民泊です。家主不在型は宿泊施設とは全く異なる住所にオーナーが居住するタイプの民泊です。

家主不在型は管理業者への委託が義務

通常の民泊の認可、特区民泊の認可にて民泊を行う場合、家主不在型は宿泊施設の管理業務全般を管理業者に委託することが義務づけられています。従って、宿泊施設の管理には毎月一定の経費がかかることになります。

旅館業法にて民泊を行う場合の管理業務は、家主不在型であってもオーナー自身でマネージすることが可能です。

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管理業者に委託する場合の費用は、宿泊料や別途の清掃・管理費用としてゲストに上乗せで請求するケースが多いようです。オーナー自身が管理業務を行いたい場合は、やはり旅館業をとっておいた方が融通がききます。

※民泊事業者の義務に関する規定は、民泊ポータルサイトからご確認いただけます。

近隣住民とのトラブル

賃貸経営でも近隣住民とのトラブルは以前からリスクの1つとして挙げられてきました。民泊でも同じように、騒音、ゴミ出し、マナーについて近隣住民から苦情が出るリスクがあります。

これまでに近隣住民から民泊に対する苦情が多かったこともあり、民泊新法ではオーナーの義務として、宿泊者に対して事前に注意しておくことを規定で定めています。

民泊はもともと外国人観光客のニーズによって普及しはじめた宿泊サービスです。国内の旅行者も最近では増えてきていますが、大半は外国人観光客です。地域によっては、外国人が出入りしている、というだけでトラブルの原因となる場合もあるのです。

最悪の場合は民泊の撤退を強いられるケースもありますので注意する必要があります。

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民泊開始前の近隣住民への挨拶や相談、宿泊客に対する事前の注意喚起がトラブルを避けるポイントとなるでしょう。

 

※近隣住民とのトラブルの事例と対策について、こちらの記事を参考にして下さい。

ゲストとのトラブル

 

基本的に民泊はオンラインの民泊サイトを利用して宿泊サービスを提供します。

サイト内のシステム上でのやり取りとなりますので、情報不足や勘違い、言葉のハンディなどによってゲストとのトラブルも発生する可能性があります。各種民泊サイトのレビューを参考にしてみると、以下の内容がトラブルの原因として多いようです。

  • 料金の内訳
  • 住所や地域・エリア
  • 清掃の有無
  • 備品の有無
  • 利用できる設備の詳細
  • チェックイン・チェックアウトの時間
  • カギの受け渡し方法
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トラブルにつながる可能性がある要件は、予約前に確認ができるように配慮しておくことが大切です。外国人観光客の場合は、言語の違いが要因となることもありますので、民泊サイトの外国語サポートを上手に活用しましょう。

ゲストが部屋や設備に損害を与えることも

また、ゲストの過失によって部屋や設備に損害を受ける可能性を考慮しておく必要があります。民泊サイトの情報からは、このようなケースは稀であるようですが、万が一に備えておくことが欠かせません。

  • 備品を盗まれた
  • 家電や置物を盗まれた
  • 壁や床に傷がついた
  • 家具や設備を壊された

など、ゲストが部屋や設備に損害を与えたケースが報告されています。

民泊用の保険を検討

エアビーアンドビーなどの大手の民泊サイトでは、ホスト(オーナー)の損害を補償する「ホスト保証」や「ホスト補償保険」を提供しています。

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ただ、民泊サイトの補償だけでは、ゲストが起因となる火災、水漏れなどの損害には対応できません。火災保険の事業者用、もしくは、最近提供が始まった民泊保険に加入しておくと安心です。

収益が得られる保証はない

では最後に民泊のリスク・問題点として、収益が100%保証されているわけではないことを解説していきます。諸所の民泊のリスクや問題点をクリアして、どんなに準備万端に民泊投資を行ったとしても、必ずしも宿泊客がゲットできるとは限らないのです。

宿泊客があるかどうか、予約状況はどうなのか、どれくらいの頻度で利用されているのかなどによって、収益は大きく左右されます。

民泊が賃貸と大きく異なるのは、1年・2年などの賃貸契約において、先々の収入が見込めるわけではない点です。民泊において収益を左右する要素を確認しておきましょう。

宿泊ニーズの有無

民泊投資において収益を得るためには、その民泊物件の宿泊ニーズを考慮することが大切です。その物件の宿泊ニーズを図る目安として、いくつかポイントを絞って分析していくことが可能です。

インバウンド需要

インバウンド需要とは、外国人観光客が求めているものが何なのかを指しています。これまでは、主に東京・大阪・京都などの国内の主要都市が外国人観光客の滞在先として人気がありました。

最近では、主要都市部だけでなく近畿・四国・九州・東北方面でも滞在を望む観光客が増えてきています。その民泊物件はインバウンド需要が見込めるのかどうかが1つのポイントです。

国内旅行者の需要

また、民泊の中には外国人観光客でなく日本人の国内の旅行者や出張者を狙った物件もあります。国内におけるニーズも合わせて考慮しておきましょう。

観光事業との関係

次に考慮しておきたいポイントは、民泊経営を行う地域の観光事業です。

各自治体によって、観光事業に積極的な地域、消極的な地域とに分かれます。同じ市内であっても、エリアが変わるだけでも観光事業に対する取り組みが異なります。少しでも有利なエリアを選ぶ必要があります。

立地環境や利便性

商店街にある物件なのか、閑静な住宅地にあるのか、有名な観光スポットの周辺なのかなど、その物件の立地環境にも宿泊ニーズは大きく左右されます。

駅に近い、バス停のそば、徒歩で〇〇まで行けるなど、交通の利便性から宿泊先が重視されることも多いです。

競合の存在

そして、民泊経営において忘れてはならないのは、着々とその数を増やしている競合の存在です。

民泊新法が施行された時点では、将来的な民泊の届出件数が懸念されていました。確かに、地域によっては規制が厳しく、民泊事業者の認定数が伸び悩む地域もあります。しかし全国的な規模で見ればやはり確実に民泊の数は増加し続けています。

さらに、民泊の競合者に加えて、ホテルや旅館の存在もあります。その他の競合とどのような点で差別化を図り、宿泊ニーズを高めていくのかによって、収益は大きく変わってくるでしょう。

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それぞれの民泊の内容によっては、宿泊客が得られないリスクがあることを、十分に理解しておくことが成功していくポイントとなるのです。

※民泊とホテル・旅館などの宿泊業におけるターゲットの違いについて、こちらの記事を参考にして下さい。

まとめ

国内の外国人宿泊者の数は、2011年から2017年にかけて3大都市部にて約3.8倍、地方部にて約5.3倍に増加しています。一方では、ホテルや旅館などの宿泊室数ほとんど変動が見られず、特に地方部での宿泊ニーズに対して供給が追い付いていない状態だといわれています。

おそらく2020年の東京オリンピックを契機に、さらに外国人観光客は増加する見通しであり、人口減少による経済低迷が懸念される国の政策として、国際化を図った観光事業に力を入れていく方針です。そうなると、さらに外国人観光客による宿泊ニーズ・民泊のニーズは高まることが予想されています。

同時に、民泊に対して戸惑いを見せる動きもある中、徐々に国際化に伴う民泊への理解は深まり、法的にも緩和されていくことが期待できるでしょう。

ただ、現時点では法的な規制も多く、いざ民泊投資を始めるとしてもいくつかのハードルを乗り越える必要があり、それなりにリスクの高い投資だといえます。そこで、民泊が合わせ持つリスクを知ることで対策を考えることが可能です。

今回の記事が、それぞれにとって最良となる民泊投資を検討するうえでお役に立てれば幸いです。

 

 

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