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女性にとってかけがえのない経験、それは出産です。出産は、人生で限られた回数しか味わえない、何とも言えないイベントです。自分だけではなく、旦那さん、周りの家族、病院の先生、助産師さんなどたくさんの人々が力を合わせて、1つの命を誕生させるというのは、一生忘れることのない経験になるでしょう。
しかし、出産に伴う医療費って、皆さんどれぐらいかかるのかご存知でしょうか?出産費用には、当日出産に係る費用以外にも、出産後の入院費や、出産までの検診、帝王切開になった場合には、手術費用など、意外にかかるものなのです。
今回は、意外にかかる出産費用を抑える方法として、医療費控除についてお話していきたいと思います。
1.女性にとって人生の最大イベントといえる出産
女性にとって人生の最大イベント、それは出産ですよね。出産のイメージとして、とてつもない陣痛を何時間も耐え抜いて、1つの命を産む、女性が命がけで行うというものです。出産は経験すると、一生忘れることができない思い出になるでしょう。
しかし、結婚した全ての夫婦が、子どもを授かることができるのかというと、現状YESとはいえません。今の日本では、7組に1組の夫婦が、不妊に悩まされています。ここからは、少し、不妊について触れておきましょう。
日本で増えてきている不妊
なぜ、不妊に悩む夫婦が増えている原因として、
- 食の変化
- 晩婚化
- 運動不足
などが挙げられています。
食の変化
食の変化とは、昔の日本は、お米が主食で、おかずに魚や野菜など体に良いものをたくさん食べていました。しかし、現在は、お肉やパンなどを食べる日本人が増えており、いわゆる食の欧米化ですね。決して、お肉やパンが体に悪いとはいいません。お肉は、良質なたんぱく質、食パンには、人間の体を体を動かす大切なエネルギー、炭水化物がが多く含まれています。
しかし、お肉やパンというのは、欧米人の体には、適した食べ物ですが、日本人の体に適しているかというと、日本人の体に適しているのは、やはりお米や魚、野菜など、おじいちゃんやおばあちゃんが食べていた食材といわれています。
このように、日本人の体に適していないだろう食材を食べ続けることにより、日本人の体は変化してしまったといわれています。
晩婚化
不妊の夫婦が増えている1つの理由として、晩婚化があります。昔の日本では、結婚する平均年齢は、20歳前後と、今と比較すると、大分早い年齢で、皆さん結婚していました。今は、平均30歳前後と、昔よりも約10年ほど遅くなっています。
結婚するタイミングは、人それぞれ異なりますよね。なぜ、晩婚化が進んでいるかというと、今は、女性もアルバイトやパートではなく、正社員としてバリバリ働く時代となっていて、まだ結婚するよりも、働いてキャリアを積みたいという人が増えてきています。
こういった考えを持つ女性が増えてきているということは、すなわち、結婚するタイミングも自然と、昔と比較すると、遅くなってきており晩婚化が進んできているというのが現状です。
なぜ、晩婚化が進むと、不妊に悩む夫婦が増えてくるかというと、妊娠率は、若ければ若いほど高いというデータがあがっています。20代に比べると、30代の妊娠率は、低くなっており、35歳を過ぎると、さらに一気に低くなってしまいます。年齢が上がるにつれて、卵子の老化もますます進みます。もし、絶対に子どもが欲しいというのであれば、妊娠率が高い20代で結婚をした方が良いのかもしれないですね。
運動不足
あと、不妊の原因としていわれているのが、運動不足です。
不妊の原因として挙げられている運動不足ですが、今の日本は、健康ブームが到来していますよね!大きな公園に行くと、ウォーキングやランニングをしている人も多く、中から綺麗にしていくために、食事に気を遣っている人が増えてきています。
では、なぜ、運動不足といわれているのでしょうか?
今の日本では、移動手段として、車や電車など便利な世の中になっていますよね。さらに、施設内には、エレベーターやエスカレーターなど、不自由がない生活ができるように、日々進化しています。
しかし、昔は、車や電車などはなく、移動手段は徒歩のみでした。もちろん、エレベーターやエスカレーターはなく、階段で上り下りを行わなければなりませんでした。このような状況であれば、自然と、足腰は鍛えられますよね。
妊娠は、子宮や骨盤底筋など、下半身の臓器が非常に重要になってきてます。これらの臓器が、弱っていると、妊娠に影響が出てくるといわれています。妊娠を望むのであれば、日頃から運動する習慣を身につけ、体を鍛えるのも重要といえます。
出産とは
出産と聞くと、皆さん、どんなイメージがありますか。
出産を経験した女性に、出産についてどうだった?と聞くと、
- 鼻からスイカが出る
- 腰をハンマーで叩かれる
- 骨盤が割れそう
など、これだけ聞くと、出産って壮絶な痛みなんだ、死んでしまうかもしれないなど、怖いイメージが挙げられます。男性が、出産の痛みを経験すると、死んでしまうといわれてるぐらいなので、それを耐え抜く女性には、頭が上がりませんね。
無事に出産ができるまで、色んな課程があります。まずは、男性の精子と女性の卵子が受精しなければ、妊娠はできません。さらに、受精卵ができても、その受精卵が子宮に着床しなければなりません。そして、子宮に着床した受精卵が、約10ヶ月もの間、何事もなく、子宮の中で育つことにより、出産となります。
この約10ヶ月の間に、流産や死産などが起こる可能性もあるので、たとえ、受精卵が着床しても、無事に元気な赤ちゃんが誕生する確率は、たったの20%といわれています。
この確率を見ると、やはり出産というものは、奇跡に近い、感謝すべきものだといえるでしょう。
2.出産費用ってどれぐらいかかるの?
では、実際に出産費用ってどれぐらいかかるのか、ここで見ていきましょう!
出産費用はいくらかかるのか
出産費用は、病院によって差がありますが、普通分娩で大体40万円~50万円が相場となっています。なお、今、日本で少しずつ増えている無痛分娩の場合は、普通分娩と比べて+10万円ほど高くなります。
出産費用ってどんな項目があるの?
出産費用といっても、その中には、様々な項目が含まれています。ここで、出産費用の項目がどうなっているのか、確認していきましょう!
入院費
出産後は、全ての妊婦さんは、病院に入院します。入院日数は、平均で、初産婦で5,6日、経産婦で4,5日になっています。帝王切開で出産した場合には、少し入院期間が延び、約1週間ぐらいとなります。
入院中は、1日3食の食事や、赤ちゃんへの授乳指導、お風呂の沐浴指導、最近の病院では、出産という大仕事をし終えたママへのご褒美として、エステや岩盤浴の設備が設置されているところもあります。
検診費用
妊娠すると、定期的に妊婦検診を受けることになります。妊婦検診は、お腹の中の赤ちゃんが順調に育っているのか、ママの体に異常がないかなどを検査する非常に重要なものになります。
妊婦検診は、全妊婦共通で検査回数は、
- 妊娠初期~妊娠23週⇒4週間に1回
- 妊娠24週~妊娠35週⇒2週間に1回
- 妊娠36週以降⇒1週間に1回
となっています。
検査内容は、赤ちゃんの場合は、お腹にエコーをあてて、頭の大きさや骨の長さなどを調べたり、心臓が正常に動いているか心音を確認したりします。ママの場合は、血液検査やおりものの検査、心電図などの検査を行います。
検査内容によっては、保険負担になるものもあれば、保険適用外になってしまうものもあります。しかし、毎回病院に行く度に、医療費を支払うと、なかなかの金額となってしまいます。そこで、役立つのが、妊婦検診費用助成です。
妊婦検診費用助成とは、妊娠し、病院から母子手帳をもらってきてくださいと言われたら、お住まいの地域の保険センターなどに行って、母子手帳をもらいに行きます。そこで、母子手帳と一緒に、病院で使用する妊婦検診の補助券が何枚かついている冊子をもらいます。この補助券には、1枚1枚金額が記載されていて、その金額分、妊婦検診で支払う医療費に充てることができます。
金額は、各市町村ごとに異なっていて、大半が5,000円前後、検査が多い時に使用するために11,000円~13,000前後と、バラツキがあり、この補助券を使用しても、医療費がオーバーする場合には、手出しが発生してきます。
妊婦検診費用助成以外にも、出産育児一時金というものがあります。
出産育児一時金とは、健康保険に加入している妊婦が支給を受けることができる補助金で、健康保険組合から支給されます。支給金額は、一律42万円となっています。加入している健康保険によっては、独自にプラスアルファでいくらか支給してくれる場合もあるので、妊娠した時には、一度健康保険組合に確認してみてもいいでしょう。
42万円の出産育児一時金を受け取る方法には、直接支払制度と受取代理制度があります。
直接支払制度
直接支払制度とは、医療機関と加入している健康保険組合が直接やり取りをするものになります。
事前に通院している産院から、妊娠34週前後になると、出産育児一時金についてお話されるかと思います。そこで、直接支払制度を利用するとなると、いざ出産を迎えた後、健康保険組合が直接医療機関に42万円の出産育児一時金を支払ってくれます。パパやママは、出産費用から出産育児一時金を差し引いてオーバーした分に関して、退院時に支払う形となります。
受取代理制度
受取代理制度とは、医療機関とパパやママのやり取りになります。
受取代理制度の場合、まず出産を終えて、退院時に一旦、かかった出産費用を全額自分たちで支払うことになります。出産費用は、40万円~50万円前後かかるので、退院するまでに準備しなければなりません。
一旦、医療機関に出産費用を支払った後に、加入している健康保険に、出産育児一時金を支給してくださいということで、手続きを行います。手続きが完了してから、すぐに出産育児一時金が支給されるかというと、約1ヶ月~2ヶ月ほどかかってしまいます。40万円~50万円となると、なかなかの支払額になるので、最近は、手続きも少ない、支払いに関して負担が少ない直接支払制度を利用する方が、ほとんどです。
3.出産費用を抑えるために医療費控除を活用しよう!
では、ここからは、出産費用をさらに抑えるための手段として、医療費控除について解説していきます。
妊婦検診費用助成や出産育児一時金を利用したら、出産費用は一切発生しないの?
市町村から支給される妊婦検診費用助成、そして健康保険組合から支給される出産育児一時金、これらを利用すると、60万円前後の補助を受ける形になりますよね。では、妊婦検診費用助成や出産育児一時金を利用したら、出産費用は、一切発生しないかと聞かれると、答えはNOです。
妊婦検診費用助成は、赤ちゃんやママに何事もなく、順調に出産の日を迎えることができれば、妊婦検診に関しては、手出しが0円になる可能性はあります。しかし、妊娠によるママのつわりや便秘がひどい場合には、薬が処方されます。あまりにもつわりがひどい場合には、入院をする可能性もあります。妊娠中に受ける様々な検査で、引っかかってしまうと再検査、再検査も引っかかると、大きな病院を紹介されて、産院とダブルで通院する形になってしまいます。
こうなった場合には、保険適用外となってしまうものも多く、妊婦検診費用助成を使用しても、医療費の支払いが不足する形となり、手出しをしなければなりません。
出産育児一時金は、支給額が42万円となかなか高額となっていますが、例えば、出産するタイミングが、深夜や土日祝日と診療時間外となったり、出産時に会陰切開など、プラスアルファで処置が発生して場合には、当然ながら医療費もプラスアルファになります。
妊婦検診、出産で医療費の支払いが度々手出しとなると、手出しが、トータル10万円以上になってしまう可能性があります。出産費用に関しては、あまり少なめに見積もるのではなく、実際かかるだろうと予測した出産費用にプラスアルファ10万円はかかるものと思って順調しておくと良いでしょう。
年間で医療費で10万円以上支払った場合には、医療費控除を利用しよう!
妊婦検診費用助成や出産育児一時金を利用しても、手出しになったのだから仕方ないかと思ったあなた、ちょっと待ってください!
日本には、医療費控除という制度があり、出産で発生した手出し分の医療費が、医療費控除を利用することにより、いくらか還付される可能性があるのです。支払った医療費がいくらか還付されるのであれば、利用せざるを得ないですよね。医療費控除がどういった制度なのか、見ていきましょう。
医療費控除とは
医療費控除とは、1年間(1/1~12/31)で医療費で10万円以上支払っている場合に利用できる制度です。
医療費控除額は、所得金額によって異なり、
- 所得が200万円以上⇒支払った医療費ー保険金等で補填される金額ー10万円
- 所得が200万円未満⇒支払った医療費-保険金等で補填される金額ー1年間の所得の5%
となります。
「保険金等で補填される金額」とは、入院や手術で保険会社から支払われる保険金や出産に関しては出産育児一時金が該当します。
所得が200万円以上で、出産費用の総額が70万円、出産育児一時金が42万円だった場合は、医療控除額は、18万円(70万円ー42万円ー10万円=18万円)となります。実際に、還付される医療費は、医療費控除額に、所得税率をかけたものとなります。
医療費控除は、1家族合算で利用することが可能
出産費用で手出しになった金額が8万円、あと2万円で医療費控除が利用できるのに、諦める方がいらっしゃいます。もし、あなた以外の家族(夫・子ども)が、出産をした年に、風邪やケガで医療機関を利用し、医療費を支払った場合は、あなた以外の家族の医療費を合算することが可能です。
すなわち、夫や家族が支払った医療費が2万円以上あれば、あなたが出産費用として支払った8万円と合算して10万円を超えるので、医療費控除を利用することができます。
医療費控除を利用するには、確定申告をしよう!
医療費控除を利用するのであれば、毎年2月16日~3月15日の1か月間の間に、確定申告を行う必要があります。確定申告では、確定申告書はもちろんのこと、いくら、どこの医療機関に医療費を支払ったのかを証明するために、医療機関で発行される領収書や明細書が必要になってきます。
領収書や明細書は、必ずお会計の際にもらえるものなので、確定申告まで失くさずに大事に保管しなければなりません。保管場所を家族で決めて、まとめて保管するといいでしょう。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
出産って意外と医療費がかかることはお分かり頂けたでしょうか?
妊婦検診費用助成や出産育児一時金という妊婦にとって、ありがたい制度があるといえ、それらを利用しても、やはり手出しがあるものです。そこで、さらに、医療費控除を利用することで、出産費用を抑えることが可能です。
ぜひ、医療費控除を利用して、出産後の育児に役立ててくださいね!