10月の消費税増税で住宅ローン控除制度の内容はどうなる?消費税増税に伴う住宅ローン控除制度の変更点とは

いよいよ消費税10%増税まで2ヶ月を切りましたね!

消費税が増税されるにあたり、私たちの生活に大きな影響がくるのは、もう目に見えています。

人間の心理で消費税増税までに、駆け込み需要により、様々なものを購入しようとします。駆け込み需要により購入を検討されやすいモノの1つとして、「住宅」が挙げられます。

住宅を購入すると、住宅ローン控除制度というものを受けることができます。この住宅ローン控除制度、消費税が10%に増税されることにより、制度内容に変更があるのかとても気になるところですよね。

今回は、消費税増税にあたり、住宅ローン控除制度にどのような変更点があるのか解説していきます!

1.2019年10月に消費税が増税!

冒頭でもお伝えしたとおり、今年の10月から消費税が8%から10%へと、2%増税されます。

消費税増税の目的として挙げられるのが、

  • 国の借金の返済
  • 社会保障関係費の確保

です。

国の借金の返済

日本が多額の借金国というのは、1度耳にしたことがある方もいらっしゃると思いますが、日本の借金は1,000兆円超え、そして日本国民1人あたり約830万円といわれています。

知らぬ間に、私たち日本国民は多額の借金を背負わせられているのです。この多額の借金を少しでも減らすために、消費税が増税されます。

社会保障関係費の確保

日本の社会保障関係費も日本の借金に拍車をかけている1つの原因となっています。

社会保障関係費とは、医療費や公的年金などを指します。それぞれの項目についてみていきますね。

医療費

皆さん、日本の医療制度はご存知でしょうか?

日常で風邪を引いたり、ケガをすると病院に行って、治療を受けますよね?治療を受けると、窓口で当然ながら治療費=医療費を支払います。この医療費は、全額負担(※治療項目によって全額自己負担になる場合もある)ではなく、年齢や収入に応じて、負担割合が異なります。

  • 0歳以上6歳未満(小学校に上がる前)⇒2割負担
  • 6歳以上70際未満⇒3割負担
  • 70歳以上75歳未満⇒2割負担
  • 75歳以上⇒1割負担  ※70歳以上の方で、現役並みに収入があれば、3割負担

現在の日本は高齢化社会がますます進んでおり、4人に1人が高齢者となっています。この高齢者の割合は、将来的に増えていくと予想されています。さらに、日本の平均寿命は、2019年7月に厚生労働省により発表された簡易生命表によると、男性81.25歳、女性87.32歳とこちらも年々上がっています。

これがどういうことかというと、70歳以上になると、医療費の負担割合は減っていますよね?高齢者が増えれば増えるほど、国が医療機関に支払う医療費が多くなり、社会保障関係費が不足状態となり、結果的に国の借金を増やしてしまう原因になってしまうのです。

医療費の負担割合が減るのは、国民的には嬉しいことなのですが、国の借金は増える一方なので、結局日本国民1人あたりの借金も同様に増えてしまうということになります。

公的年金

次は、公的年金です。公的年金とは、主に、国民年金厚生年金を指します。

私たち日本人は65歳になると、国から年金をもらうことができます。この年金をもらうには、国民年金や厚生年金を支払い続けなければなりません。もし、途中で国民年金や厚生年金の支払いが滞ると、将来もらえる年金額が減ってしまいます。

国民年金は、第1号被保険者(日本在住の20歳以上60歳未満の自営業やフリーター、無職の方など)と第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている方)が該当します。厚生年金は、第2号被保険者(会社員や公務員の方など)が該当します。

この公的年金も、先ほどの医療費と同様で、将来支払われる年金の財源は、60歳までの第1号被保険者~第3号被保険者が支払っている国民年金と厚生年金で賄われているのですが、今高齢者が増えている日本では、財源は減る一方、支払われる年金は、右肩上がりになっているので、将来、年金が支給されないのではないかと懸念されています。

こういった事態を避けるために、消費税を増税し、社会保障関係費の確保に努めようとしているのです。

2.住宅ローン控除制度とは

では、ここからは、住宅ローン控除制度について説明していきます。

住宅の購入というのは、人生において1番高価な買い物といってもいいぐらいのものです。住宅の購入のタイミングは人それぞれで、結婚・子どもの誕生・親へのプレゼントなどです。

しかし、やはり住宅は中古でも最低何百万、新築では、数千万円~数億円と簡単に購入できるものではないのでためらってしまいますよね?ここで、ぜひとも活用していただきたいのが、住宅ローン控除制度です。では、住宅ローン控除制度とは、一体どんな制度なのでしょうか?

住宅ローン控除制度を受けるための条件とは?

住宅ローン控除制度は、住宅を購入したり、増改築を行った場合に、ある一定の条件を満たしていれば、年末のローン残高に応じて所得税の減税を受けることができる制度です。

住宅ローン控除制度は、住宅を購入・増改築を行った方全ての人が受けることができるという訳ではなく、いくつかの条件を満たす必要があります。しかも、その条件は、新築と中古で異なるで注意しなければなりません。では、住宅ローン控除制度を受けるためには、どういった条件を満たす必要があるのでしょうか?

新築住宅の場合

新築住宅の場合の条件は以下のとおりです。

  1. 住宅ローンを支払う人が、新築住宅に居住すること
  2. 新築住宅に6ヶ月以内に居住し、かつ控除を受ける年の12月31日まで居住していること
  3. 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
  4. 新築住宅の床面積が50㎡以上、かつ床面積の1/2以上が居住用であること
  5. 住宅ローンを支払う人の控除を受ける年の所得金額が3,000万円以下であること
  6. 住宅ローン控除を受ける年、もしくは前後2、3年に他の税優遇制度を利用していないこと

1.住宅ローンを支払う人が、新築住宅に居住すること

これは、住宅ローンを契約し、実際にローンを支払う人が、購入した住宅に住まないといけないということです。例えば、子ども夫婦のために、親が住宅ローンを契約してローンを支払うが、実際にその住宅に住むのが、子ども夫婦のみで親が住まないという場合は、住宅ローン控除制度を受けることができないということになります。

2.新築住宅に6ヶ月以内に居住し、かつ控除を受ける年の12月31日まで居住していること

これは、実際に日付を出して見ていきましょう!

住宅購入が2019年1月1日とします。この条件を満たすためには、まず2019年6月30日までに居住する必要があります。さらに、控除を受ける2019年12月31日まで居住し続けなければ、住宅ローン控除制度を受けることはできません。

どちらか一方の日付が満たされていなければアウトなので、十分に注意しましょう!

3.住宅ローンの借入期間が10年以上であること

住宅ローンの借入期間も条件の1つとなっています。基本的には、住宅ローンの返済期間は、20年・30年と長期で設定する方が多いのですが、現金がある程度手元にあり、頭金として1部支払い、残額を10年未満で住宅ローンを契約してしまうと、残念ながら住宅ローン控除制度は受けることができません。

4.新築住宅の床面積が50㎡以上、かつ床面積の1/2以上が居住用であること

この条件で気を付けないといけないのは、住宅を居住用兼店舗用として使用する場合です。よく見かけるのは、1Fが店舗、2F以上が居住用となっている住宅ですね。この場合は、床面積が条件を満たしているかしっかり確認しておきましょう。

5.住宅ローンを支払う人の控除を受ける年の所得金額が3,000万円以下であること

所得金額の条件は、普通の会社員の方は、該当することがないのであまり気にしなくてもいい条件になります。所得金額が3,000万円以上となると、どこかの会社の社長さんや医者などが該当する恐れがあります。

6.住宅ローン控除を受ける年、もしくは前後2、3年に他の税優遇制度を利用していないこと

住宅関係の税優遇制度には、住宅ローン控除制度以外に居住用財産の3,000万円特別控除居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などがあります。

これらの税優遇制度を利用している場合、住宅ローン控除制度を受けることができない可能性がありますので、注意が必要です。

中古住宅の場合

中古住宅の場合は、上記の新築住宅の条件の6つと以下の条件を満たす必要があります。

  1. 耐火建築物は25年以下、耐火建築物以外は20年以下の築年数の条件を満たしていること
  2. 贈与による取得ではないこと

1.耐火建築物は25年以下、耐火建築物以外は20年以下の築年数の条件を満たしていること

これは、購入した住宅が耐火か耐火ではないか、あとは築年数に条件が設定されています。中古住宅の場合、築年数が古ければ古いほど、購入価格は安くなる傾向にあるので、住宅ローン控除制度を受けるのであれば、築年数にも注目して物件探しを行いましょう!

2.贈与による取得ではないこと

これは、例えば、おばあちゃんが孫に住宅をあげるという贈与に関しては、住宅ローン控除制度は受けれないということになります。実際、住宅を手に入れるのに、費用が発生してないからですね。

新築住宅と中古住宅では、住宅ローン控除制度を受けられる条件が異なります。特に、中古住宅の場合は、条件が多くなっているので注意が必要です。

住宅ローン控除制度の控除期間や控除金額は?

住宅ローン控除制度を受けることができる条件を全て満たしているし、これで所得税の減税を受けられると安心するのはまだ早いですよ。住宅ローン控除制度は、新築住宅や中古住宅を購入したら、ずっと受けられる制度ではなく、控除期間や控除金額に限度があります。ここでは、住宅ローン控除制度の控除期間や控除金額を見ていきます。

控除期間

住宅ローン控除制度では、控除期間は10年となっています。

控除金額

住宅ローン控除制度の控除金額は、毎年年末のローン残高に対して、1%分が所得税から控除されます。例えば、2019年の1月に3,000万円の新築住宅を購入し、2019年12月31日時点でローン残高が2,500万円の場合、25万円(2,500万円×1%)分が所得税から控除されます。

控除金額で注意したいのが、控除金額には限度額があり、1年で40万円、10年間で400万円となります。もし、1億円の住宅を購入して、年末のローン残高が9,500万円の場合の1%分は95万円になりますよね?しかし、控除金額は40万円の限度額が設定されているので、実際に所得税から控除される金額は、40万円となります。

住宅ローン控除制度を受けるには何か手続きが必要なの?

住宅をGETしたら、自動的に所得税が控除されると思って、そのまま何もしないのは大間違い!住宅ローン控除制度を受けるには、実は、手続きが必要なのです。

その手続きとは、確定申告です。確定申告は、翌年の2月16日~3月15日までと期間が1ヶ月しかないので、住宅ローン控除を受けるには、忘れずに手続きを行わなければなりません。

手続きに必要な書類は、確定申告書やローンを契約した金融機関から送付される住宅ローン残高証明書など、いくつか用意しないといけないので、どういった書類が必要なのか事前に確認しておいて方がスムーズに手続きを行うことができます。書類が整ったら、お近くの税務署に忘れずに提出しましょう!

金融機関から送付される住宅ローン控除関係の書類は、確定申告の期間よりも早くに手元に届きます。間違えて捨ててしまわないように、大事に保管しておいてくださいね!

この確定申告は、会社勤めの方は、住宅を購入した年、初年度のみとなるので、2年目以降は、確定申告の手続きは不要となります。その代わりに、毎年年末に会社で行われる年末調整で簡単に申告できます。その際に必要な書類は、

  • 給与取得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

の2点となります。年末調整の用紙に書類を添付して会社に提出しましょうね!

所得税で控除しきれない場合は、どうなるの?

年末のローン残高の1%分が所得税から控除されるのは先ほどお伝えました。では、所得税から控除したけど、まだ控除しきれていない分がある場合は、一体どうなるのでしょうか?

住宅ローン控除で所得税から控除しきれない場合は、さらに住民税から控除される形となります。

 

 

3.消費税増税に伴う住宅ローン控除制度の変更点

2019年の税制改正に伴い、住宅ローン控除制度の内容が一部変更されます。今後、住宅購入を検討されている方にとって、大きく関わってきますのでしっかり押さえておきましょう!

控除期間の延長

現在の住宅ローン控除制度は消費税8%で購入した住宅を対象としていますが、消費税増税後の10%で住宅を購入した方からすると、多く税金を払っているのに、所得税の控除額が、消費税8%と同じだと何か腑に落ちない感じになりますよね

でも、安心してください!消費税増税後の10%で住宅を購入した場合、控除期間の延長の対象となります。

消費税8%で住宅を購入した方は、10年間の控除期間を受けることができますよね?消費税10%で住宅した方は、10年+3年の合計13年間の控除期間が設けられます。

延長3年間の控除金額の変更

次は、控除金額についてです。消費税8%の場合は、1年で最大40万円、10年間で最大400万円でしたよね?

実は、消費税10%で住宅を購入した場合も、はじめの10年間は、消費税8%の住宅と同じ控除金額となります。相違点は、延長された3年間分です。

延長された3年間の控除金額は、

  1. 年末のローン残高の1%
  2. 建物の価格(土地は除く)の2%分÷3

上記のうち、少ない金額となります。

2の2%分は、 消費税8%と10%の差となります。2%分を延長期間の3年間で割った金額を出すことによって、消費税8%の住宅を購入した方と公平になるようになっています。

延長分の3年間の控除金額が、上記1の年末のローン残高の1%だとすると、はじめの10年間で最大400万円+延長3年間で最大120万円の合計520万円分の控除をうけることができるということになります。

 

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

住宅購入というのは、皆さんにとって1つの大きな夢かと思います。しかし、金額が金額だけになかなか欲しいと思っても、手が出せないのも現実です。こういった大きな買い物をした方を援助する制度、それが住宅ローン控除制度です。

2019年10月の消費税10%の増税を間近に控え、金額が大きい商品というのは、消費税増税前に駆け込み需要で購入する方が多くなります。しかし、税制改正により、消費税10%で住宅を購入した場合には、控除期間延長の対象となり、しっかり、税金控除の優遇制度は受けることができます。

住宅購入は、1度購入して気に入らなかったら、売ってまた違うものを購入するというように、簡単に売買できるものではありません。住宅購入を検討している方は、消費税が増税されるからと慌てず、落ち着いて納得した上で、行動に移しましょうね!

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