共済とは?保険との相違点やメリット・デメリットをご紹介!

共済ってそもそも何?

共済という言葉は聞いたことはあるけど、内容はよくわからない方は多いようです。共済とは、「お互いに助け合う」、「お互いに少額ずつでもお金を持ち合って何かをする」といった意味を持つ言葉です。

共済は、組合員の協同救済=相互扶助を制度化したものです。さまざまな災難に対する経済的損失の補填と生活の安定を目的としたものであり、一定の地域や職域などで構成される団体によって行われ、そこではお互いに助け合うという精神が宿っています。

将来発生するかもしれない事故に備え、組合員があらかじめ一定の金額を拠出して協同の財産を準備し、万一共済事故が発生したときにはそこから共済金を支払います。つまり、組合員の誰かが困ったときに、他の組合員が全体で助けるという仕組みです。

現在、農協(JA)、生協、労働組合や漁協(JF)などが共済事業を行っています。これらの「共済」は、私たちの生活を脅かす様々な要因(死亡事故、入院、火事、自然災害、自動車事故など)に対して、組合員があらかじめ一定の共済掛金を拠出して協同の財産を準備し、不測の事故が生じた場合に、共済金を支払うことによって、組合員やその親族に生じる経済的な損失を補い、生活の安定をはかる相互扶助の保障の仕組みになります。

簡単に説明すると、誰かが困ったときに、その人を他の加入者全体で助けるという仕組みをイメージすると、わかりやすいかもしれません。

共済と保険の違い

そもそも保険を大きく分けると、「共済」と「民間の保険」があります。多くの人からお金を集めて、不測の事態が起こった人にまとまったお金を支払うという仕組みとしては変わりません。それらの最も大きな違いとしては、共済は非営利団体が運営しているのに対して、民間保険は営利団体が運営していることです。

また、それにより両者の用語についても違いが生じています。民間保険では「保険金」、「保険料」、「配当金」と表現される言葉ですが、共済ではそれらを意味する言葉として「共済金」、「掛け金」、「割戻金」が使われています。

さて、共済と一口に言っても、そのバリエーションは様々です。よく耳にする代表的なものを挙げるなら、全労済(=全国労働者共済生活協同組合連合会)の「こくみん共済」、JA(=農業協同組合)の「JA共済」、日本コープ共済生活協同組合連合会の「コープ共済」、全国生協連(=全国生活協同組合連合会)が運営している共済を「県民共済」と呼びます。

県民共済の運営は都道府県ごとに分かれています。各県民共済の名称は、神奈川県であれば、「神奈川県民共済」という形になっています。例外は県以外の、東京都の「都民共済」、京都府や大阪府の「府民共済」、北海道の「道民共済」などです。基本的にどの共済でも保障内容はおおよそ共通していますが、都道府県によって若干異なる部分も見られます。

さらに、注意したいのは、県民共済に加入したい場合、各都道府県の県民共済を自由に選べるわけではないことです。加入できるのは、居住もしくは勤務している地域の県民共済のみとなっています。

県民共済の特徴

県民共済の保障内容は、基本的に入院・通院をしたときの医療保障から、不幸があったり、障害を負ったりしたときの死亡・重度障害保障まで幅広く設定されています。年齢ごとに加入できるコースが分かれており、それに応じて保障のん内容に違いはありますが、医療保障から死亡保障まで全般的にカバーするという基本的な構成に大きな違いはありません。県民共済は、全体的にバランスのとれた保障を備えていると言えるでしょう。

また、オプションを付加すれば、医療保障に重点を置いたタイプにすることもできます。

県民共済の保険期間は、0歳から85歳までに設定されていて、もう少し細かく分解すると、0歳~17歳、18歳~64歳、65歳~85歳の3つの区分に分かれています。それぞれの区分に対して個別にコースが設けられており、それらの節目ごとに別のコースへ自動的に移行されます。それとともに保障内容も変わっていくことになります。そして、最終的には85歳で満期となり、すべての保障は終了します。

基本的に県民共済の掛け金は、1,000円、2,000円、3,000円、4,000円のいずれかで、コースごとに一律に設定されています。同じコースであれば、年代や性別、健康状態によって保険料に差はありません。これは民間の生命保険や医療保険だと保険料が割高になってしまう人には大きなメリットといえるでしょう。

また、県民共済に加入可能な年齢は、0歳から69歳までとなっています。保険期間は85歳までありますが、残念ながら70歳以降の方が新たに県民共済に加入することはできません。先述したように、県民共済では保険期間を3区分に分割しており、それぞれの期間に対して個別のコースを設けています。よって、加入年齢に応じて選べるコースは限定されますので、その点には注意が必要です。

さらに、一般の民間保険と同じように、県民共済へ加入する際に加入者は自分の健康状態を申告する必要があります。県民共済の健康告知については、一般の医療保険や生命保険と比較して、やや緩めになっています。基本的にいくつかの質問事項に該当するかどうかを答えるだけで、医師の診査や詳細な告知は必要ありません。そのため、持病や入院歴・通院歴がある方でも加入しやすい保険だと言えるでしょう。

県民共済にはどんなコースがあるのか

前節で県民共済の特徴について述べてきました。次に気になるのは、具体的にどのようなコースがあるのかというところです。ここでは都民共済を例にして、年齢別にいくつか代表的なコースをピックアップし、それらの内容を見ていきましょう。

0〜17歳向けの子供型

こども型は、病気・怪我による入院・通院を始めとして、死亡や重度障害・高度障害までを手広くカバーしてくれます。他のコースに比べて特徴的なのは、他人への損害賠償や、契約者の死亡保障なども付いており、子どもならではのリスクに対応していることです。

こども型には、こども1型こども2型があり、掛金と保障のボリュームに違いが見られます。子ども1型は、掛金が1,000円/月で、主な保障は入院保障5,000円/日、通院保障2,000円/日、病気死亡200万円、交通事故死亡500万円です。こども2型は、掛け金・保障ともにこども1型の2倍で、より手厚い保障を備えています。なお、こども型の保険期間は18歳までで、それ以降、こども1型は総合保障1型へ、こども2型は総合保障2型へ自動継続されます。

18から64歳向けの総合保障型

総合保障型は、病気・怪我による入院・通院から死亡・重度障害・後遺障害まで、バランスよく保障を備えたコースです。細かく分類すると、総合保障2型総合保障4型に大きく分けることができます。

総合保障2型は、掛け金が2,000円/月で、主な保障は事故入院5,000円/日、病気入院4,500円/日、事故通院1,500円/日、交通事故死亡1,000万円、病気死亡400万円となっています。総合保障4型は、掛け金・保障ともに掛け金・保障ともに総合保障2型の倍となっていて、より手厚い保障を備えています。

また、総合保障の注意点としては、60歳を迎えた段階で死亡保障や高度障害・後遺障害保障がコンパクトになることです。それぞれの保障が、不慮の事故が800万円から530万円へ、病気死亡が400万円から230万円へ少なくなります。

なお、総合保障型の保険期間は65歳までで、それ以降、総合保障2型は熟年2型、総合保障4型は熟年4型へ自動継続されます。

65歳以上の人向けの熟年保障

熟年型は、病気・怪我による入院・通院から死亡・重度障害・後遺障害まで、バランスのとれた保障を得られるコースです。熟年型もまた、熟年2型熟年4型に分かれています。二つに別れるところを見ると、先ほどご説明した総合保障型を連想するかもしれませんが、それよりも保障は小さくなっています。

熟年2型の場合、掛け金は2,000円/月で、主な保障は事故入院・病気入院2,500円/日、交通事故死亡200万円、病気死亡100万円となっています。総合保障型には備わっていた通院保障は付いていません。

また、熟年型のコースで注目したいのは、65歳から80歳にかけて、2段階に分けて保障が少なくなっていく点です。まず70歳の時点で、交通事故死亡が200万円から150万円へ、不慮の事故による死亡が200万円から150万円へ、病気死亡が100万円から50万円に減額されます。

そこからさらに、80歳を迎えると、事故入院が2,500/日から1,000円/日へ、交通事故死亡が150万円から50万円へ、病気死亡が50万円から30万円に目減りしてしまいます。そして、これ以降、病気入院の保障はありません。最終的に85歳で満期を迎えて、すべての保障が終了します。

共済の種類

共済には、組合員の生活を取り巻く様々なリスクへの備えとして、生命保障分野と損害保障分野の共済があります。各共済団体は、組合員のニーズに応じ多様な共済をラインナップしています。そのなかでも代表的な共済種類を紹介します。

火災共済

建物や家財等が、火災や落雷、破裂・爆発などにより損害を受けた場合の保障を行う共済です。また、地震や風水雪害などの自然災害により損害を受けた場合の保障を行う共済もあります。

生命共済

人の生命・身体に関する様々なリスク(死亡や後遺障害、病気、けが、介護など)の保障を行う共済です。
また、老後の生活資金や子どもの教育資金を準備できる共済もあります。

自動車共済

自動車事故による相手方への賠償、加入者ご自身やご家族の搭乗中の傷害、ご自身の車の損害などの保障を行う共済です。

自動車共済の最も大きな役割は当然、自動車事故の損害を補償することです。これは自動車保険の役割と違いはなく、契約者に対して補償を提供しています。

ただし細かな保険の補償内容という点に関しては、共済により異なります。小規模共済の場合、人身傷害補償がない、車両保険がつかない、またはオプションになるなど、補償としては見劣りするケースもあります。ただ、なかには掛け金が安い共済があります。それは共済の成り立ちにも関係してきます。

共済の対象者は、一部の地域や団体などに限定されており、お互いが助け合うことを目的としています。そのため、利益を追求する必要がなく、余分な経費を抑えることができ、その結果として掛け金が安く抑えられます。このおかげで掛け金が割安になるのが、最大のメリットといえますね。

障害共済

様々な事故による死亡やけがなどの保障を行う共済です。

年金共済

老後の生活安定のために資金を積み立て、一定の年齢から年金方式で共済金を受け取れる共済です。

共済を利用するメリット

掛け金が保険と比較すると安い

共済は組合員の助け合いのための保障制度という性質を持っているため、共済掛け金(保険料)が割安に設定されていることが多いです。ただし、共済に加入するためには組合員になる必要があり、人によってはデメリットとなることもあります。

決算内容次第では、割戻金をもらえる

共済は、助け合いを基本としており営利を追求していないため、生命保険でいう保険料にあたる共済掛け金が決算によって余った場合には組合員に還元される仕組みがあります。例えば都民共済(東京都)では、3月31日現在の加入者を対象として、8月に掛け金振替口座に割戻金として振り込まれています。

支払った掛け金が一定額還元されるため、保険料の負担をできるだけ抑えたい人にとってはメリットと言えます。しかし、決算の結果によっては割戻金が発生しない可能性もあるので注意が必要です。

掛け金を決めるのに複雑な条件はない

共済は、共済掛け金が年齢と性別でほぼ決まっていることが多いです。よく耳にする、こくみん共済では共済掛け金は満15~満60歳の男性か女性かによって決められており、その他の共済でも年齢や性別で掛け金が決められているケースが多く見られます。

一般的に、10代や20代は病気のリスクは少ないですが、50代や60代では病気のリスクが高まるため保険の掛け金が割高になるケースが多いです。しかし、共済は組合員がお互いに助け合いながら運営することを目的としているので、幅広い年齢層の掛け金を同一にして掛け金の負担を軽減しています。

県民共済のデメリット

万が一の際の保障が一般の保険に比べると少ない

県民共済の死亡保障で受け取れる額は、その原因によっても変わってきますが、決して高額ではありません。掛け金の設定がかなり割安な分、必ずしも死亡保障が手厚いわけではないのです。残念ながら、県民共済だけでは、自分に万が一のことが起こったときに、小さい子どもの学費や残された家族の生活などすべてをカバーすることは難しいと言わざるを得ません。それらの費用も保険でまかないたいのであれば、民間保険の定期保険なども併せて活用するべきでしょう。このように死亡保障のボリュームが少ない点は、県民共済のデメリットだと言えそうです。

高齢期に入った時の保障が心許ない

県民共済では、60歳以降から医療保障・死亡保障ともに徐々に保障が減額されていきます。そして、やがて85歳で満期となり、すべての保障は終了になります。しかし、言うまでもなく、病気・ケガや死亡のリスクは高齢になればより高まります。そのような肝心な時期に保障が少なくなったり無くなったりする点は、県民共済のデメリットだと言えるでしょう。老後の保障をしっかり確保したいということであれば、民間保険でカバーすることを検討しなければなりません。

住んでいる地域によっては加入できない!?

冒頭でお伝えしたように、県民共済は47都道府県すべてで取扱いがあるわけではありません。現在(2019年7月)では、県民共済を取り扱っているのは、40都道府県となっています。残りの都道府県には県民共済はありません。そのため、居住もしくは勤務している地域によっては、県民共済に加入することができないのです。この地域差は県民共済のデメリットだと言えるでしょう。

医療保障と死亡保障に別々に加入できない

県民共済は、医療保障と死亡保障がセットになっているコースが多く、それぞれ別で加入することはできません。それは複雑な選択肢から選ぶ必要がないというメリットでもあるのですが、より細かく自分のニーズにマッチしたオーダーメイドの保険に加入したいときにはデメリットになります。この、自分に合わせて保障を細かくカスタマイズしにくい点は、あらかじめ認識しておいたほうが良いでしょう。場合によっては、より自由度の高い民間保険を検討してみるのも1つの方法かもしれません。

まとめ

今回は、共済について総合的に解説してきました。ここまで読んで頂いた方は、共済のザックリしたイメージは掴んで頂けたのではないかと思います。この知識をもとに民間保険や共済というフレームに捉われることなく、本当に自分に合った保険を見つける参考にしてください。

 

 

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