ETCカードとはそもそも何?
ETCとは、「Electronic Toll Collection System」の略で、有料道路や高速道路の渋滞を防ぐために開発された料金の支払いを自動化するためのシステムを指します。このシステムを利用するために必要なものは2つあります。ひとつは自動車に設置し、ETCカードを差し込む機械である「ETC車載器」、そして、もうひとつが「ETCカード」です。ETCは自動車にETC車載器を設置して、そこにETCカードを挿入することで利用できます。
ETCカードは車載器に挿入してETCレーンを通過するだけで有料道路の料金所で車を止めることなく、キャッシュレスで料金所をスムーズに通行できます。
ETCカードの種類
ETCカードにはクレジット機能ありの「ETCクレジットカード」と、クレジット機能なしの「ETCパーソナルカード」の種類があります。一般的にETCカードと呼ばれているのは前者のETCクレジットカードで、ETCパーソナルカードはデポジット料金がかかるためあまり普及していません。
- ETC専用カード:有料道路の通行料金を精算するためだけの専用カード。
- 一体型ETCカード:ETCカードとクレジットカードの機能が両方ついたカード。
- ETCパーソナルカード:高速道路6会社が発行する個人向けETCカードでデジポットが必要。
- ETCコーポレートカード:東/中/西日本高速道路株式会社が発行するビジネス向けETCカード。
ETC専用カード
ETC専用カードは、ETCシステムを使った有料道路の通行料金の精算のためだけに使えるカードで、最も一般的なETCカードです。クレジットカード会社が発行しており、クレジットカードの追加カードとしての発行になります。
ETC専用カードの発行手数料・年会費などは各クレジットカード会社によって異なりますが、最近は無料のところもかなり増えてきています。クレジットカード会社に追加でETCカードを申し込むか、クレジットカードを持っていない場合は新規にクレジットカードと一緒にETCカードを申し込む必要があります。
一体型ETCカード
一体型ETCカードはクレジットカードにETCカードの機能を持たせたカードです。一体型ETCカードはカードを複数も持ちたくないという方や、ETCカードの利用頻度が低く、たまにしか使わないという人におすすめです。
ただし、一体型ETCカードは紛失や盗難にあった場合、高速道路料金だけでなくショッピングにも不正利用される可能性があるので注意しましょう。
ETCパーソナルカード
ETCパーソナルカードは、高速道路6会社が共同で発行するETCカードで、クレジットカード会社が発行するETCカードとは異なり、カード審査がないかわりに、月の平均利用月額に応じたデポジットを支払うことがカード発行の条件となっています。
ここで、あまり聞きなれないデジポットに付いてすこし解説します。デポジットとは、「保証金」と日本語に訳され、サービスを利用する際に必要なETCカードなどを借りる際に支払う「預かり金」のことです。 使い捨て防止の観点から導入され、一般に、発行元に返却するとその支払った額が払い戻され、破損・紛失した場合には戻ってこない場合が多いのが特徴です。
ETCパーソナルカードの利用額は登録の銀行口座から引き落としされます。ETCパーソナルカードはクレジットカードを持たずにETC割引を利用されたい方にお勧めのETCカードです。ただし、ETCパーソナルカード明細書発行・発送の手数料として年会費1,234円がかかります。
ETCコーポレートカード
ETCコーポレートカードは、東・中・西日本高速道路株式会社より貸与される料金後払いのETCカードです。ETCコーポレートカードは月の利用額に応じて割引が高くなる大口・多頻度割引を受けられるので、有料道路を頻繁に使う個人や個人事業主の方におすすめのETCカードです。
ETCコーポレートカードは高速道路株式会社に直接申し込む方法と、協同組合を通して申し込む方法の2通りあります。カード申し込み時に保証金または出資金が必要になります。ちなみに、補償金額は月々の利用額、協同組合によって異なります。
- 保証金/出資金・・・月の利用額や協同組合によって異なる。返却あり。
- カード発行手数料:1枚につき617円
- 年会費(毎年5月請求):1枚につき617円
- カードの再発行手数料:1枚につき617円
法人ETCカード
個人事業主・法人向けにETCカードを取り扱っている協同組合発行の法人用ETCカードというものもあります。法人ETCカードはETCコーポレートカードとの違いは、マイレージサービスが登録できること、登録車両以外の車両、例えばレンタカーなどでも利用可能です。
法人ETCカードの申し込み時には各協同組合によって金額が異なりますが、組合への出資金(脱退時返金)、カード発行手数料・保険代等の費用が必要になります。
ETCマイレージ
ETCカード保有者であれば、誰でも受けることが出来る割引サービスもまとめておきます。ETCマイレージサービスでは、お申込みいただいたETCカードでの通行料金のお支払額に応じて、 ポイントが付きます。ポイントは、無料通行できる還元額に交換のうえ、通行料金の支払いにご利用いただけます。
ポイントが貯まると言われるとクレジットカード自体のポイントシステムを連想しがちですが、ETCマイレージは別物です。ETCを利用すると、クレジットカード自体のポイントと、ETCマイレージポイントとが、それぞれ別々に貯まるということになります。
ポイントを貯めるには、ETCマイレージ登録を行う必要がありますが、登録は無料ですし、年会費もかかりません。ポイントを貯めておいて損はないので、ぜひETCを導入したタイミングで登録しておきましょう。
ETCマイレージ登録は、ETCマイレージサービスのホームページからインターネット上で申し込むことができます。郵送でも申込めますが、インターネットのほうが手続きが早く進むうえ、申し込んだ当日からポイント付与対象になるのでインターネットから登録しない理由はありません。
貯まったポイントは、インターネットや電話で照会・交換をして、交換後は通行料として利用できます。毎月20日にポイントが一定数貯まっていたら自動的に交換するというサービスも利用できます。登録するだけでポイントが貯まるETCマイレージですが、ポイントの発行量や還元率は各会社ごとに異なります。平均を見てみると各社のポイント還元率は3%〜10%前後で、1ポイントの価値は、ある程度ポイントを貯めると1ポイント=1円として交換できるようです。
ETCマイレージの注意点は、有効期限が意外と近いことです。ポイントの有効期限はすべて共通で、ポイントが付与された年度の翌年度末です。
ポイントの自動交換サービスがあるとはいえ、自動交換されるポイントは道路会社によってさまざまです。もし利用額が少なく、ポイントの有効期限内に自動交換サービスが発動するかどうかが微妙な場合は、自動交換サービスまかせにせず、自らポイント交換を行うようにしてもいいかもしれません。
ETCのお得な割引制度
各道路会社は、ETCの利用促進のためさまざまな割引サービスを提供しています。中には最大50%割引になるようなサービスもあるので、うまく活用できれば通行料が大幅に節約できます。現在だと平日朝夕割引、休日割引、深夜割引、対距離料金などの割引制度があります。なお、割引が適用される条件は変更されやすいので注意が必要です。
平日朝夕割引
通勤時間帯の平日朝6~9時、夕方17~20時に地方高速を頻繁に使うと、最大で50%割引が受けられるサービスです。
ETCマイレージ登録が必須でかつ、1ヶ月における利用頻度が割引率の指標であったり、割引対象に最大100km相当分というルールがあったりと、ほかの時間帯割引サービスに比べて条件が複雑ですが、割引率は非常に高いので、通勤などで地方高速を頻繁に使う方は是非チェックしましょう。
こちらは、NEXCO3社(NEXCO東日本、中日本、西日本)が管理する地方高速道路が対象です。
深夜割引
平日や祝日、車両を問わず、毎日深夜0時~4時の通行料が30%割引になるサービスです。NEXCO3社が管理する全国の高速道路が対象です。
休日割引
普通車と二輪車を含めた軽自動車を対象とした、土曜日も含めた休日の地方高速での通行料が30%割引になるサービスです。NEXCO3社が管理する地方高速道路が対象です。
ETC2.0の割引が受けられるのはETCカードだけ!
ETC2.0の仕組みを簡単に紹介しますと、
- 高速道路上に設置されているITSスポット(ETC2.0に対応した通信アンテナのこと)から自動的にETC2.0車載器へ情報が送信されます
- 受信された情報が車載器と連動した、ETC2.0対応のカーナビやスマートフォンに表示されます
- 現在走行中の道路で渋滞が発生していたら、渋滞情報の表示、また最適なルートへの案内を開始
このように、各地に点在するITSスポットの情報をもとに、私達に様々な高速道路状況を教えてくれます。さらに、ETC2.0を導入するメリットは他にもあります。
- 一部高速道路区間の料金を割引
- 事故情報、渋滞情報をドライバーへ通知
- 駐車場の利用料金決済、フェリー乗船時の手続き簡素化
- 案内するルートを辿れば利用料金を割引にするサービスを実施
ETCを使う最大のメリットといえば、高速料金所通過の簡略化と「割引制度」にあります。先ほど紹介しました深夜割引・休日割引といった割引は、ETCを搭載した自動車の特権といえます。
もちろん、ETC2.0でも従来の割引制度を利用可能ですが、その他にも圏央道を利用しただけで20%割引になりますし、大阪都心流入割引も利用できます。今後はさらに、圏央道に限らず多くの区間で割引が実施されるかもしれません。
おすすめのETCカード
ここまでいろいろとETCカードの特徴を紹介してきましたが、初心者の方にはこれまでの情報から自分にあったETCカードをいきなり選ぶことは難しいかと思います。
そこで、わかりやすいメリットである、年会費無料+発行費用無料+更新費無料+ポイントが貯まりやすいという条件すべてを満たす、おすすめのETCカードをいくつか紹介しておきます。
オリコETCカード
オリコカードザポイントで作ることが出来るETCカードも、年会費や発行費など全てが無料で作れるETCカードです。ETCカード利用分もポイント加算の対象となるので、オリコカードザポイントの高還元なポイント制度を高速料金の支払いにも適応させることが出来ます。
加えて入会キャンペーンで大量ポイントが獲得できる点もこのETCカードの魅力。
各種条件を達成する必要性はありますが、入会+利用で8,000円分以上のポイントが貰えるのでETCカードが欲しい方なら狙い目です。
出光まいどプラスETCカード
この出光まいどプラスETCカードは、無料のETCカードと格安のロードサービスが付いています。そしてもちろん、ガソリンカードならではの機能である給油代値引きもバッチリ備わっています。
こちらは何よりガソリン代の節約に繋がるという点が最大のメリットですね。
給油で貯まるポイントは残念ながら少なめですが、それ以上の割引をカード提示で受けることが出来るので、大きな節約効果が得られることでしょう。また、ETCカードの発行費や入会金ももちろん無料。出光カードまいどプラスそのものの年会費も無料なのでご安心ください。
このカードは、24時間、365日対応で、連絡してから30分以内に現場に到着すると言う、優秀なロードサービスに750円で加入することができます。気になるサービスですが、以下が対応してくれる3つのサービスです。
- バッテリー上がり、タイヤ交換、ガス欠、キー閉じ込みなどの現場路上サービス
- 10キロまで無料のレッカーサービス
- 電話サポートでわからないことを相談できる
セゾンETCカード
永久不滅ポイントが貯まるセゾンカード インターナショナルでも、ETCカードの作成が可能。
このETCカードだけのメリットは最短即日発行、つまり申し込んだ日に入手することが出来るETCカードになっている点です。そのため、とにかくすぐにETCカードが欲しいという方は、セゾンETCカード発行を検討してみてください。
しかし、永久不滅であるというメリットがあるものの、ポイント還元率で考えると、このセゾンETCカードはやや物足りなさがあります。ポイントをどんどん稼いでいきたいという方は、この記事で紹介している他のETCカードを検討した方がいいかもしれませんね。
JCBカードWのETCカード
今回の記事で、一番おすすめ出来るETCカードです。残念ながら39歳以下の方しか申込をすることは出来ませんが、あなたが39歳以下であればこのETCカードが最適なのではないでしょうか。そのくらい自信をもっておすすめできる1枚です。
JCBという大手発行のETCカードなのにポイント還元率もかなり高く、年会費、発行費が無料でポイント還元率が1.0%と文句の付けようがないサービス内容に仕上がっています。また、通常の還元率は1.0%ですが、JCB オリジナルシリーズパートナーの提携店舗である、セブン-イレブンやイトーヨーカドー、アマゾンなどでは還元率2.0%、スターバックスでは、3.0%とポイントが圧倒的に貯まりやすいカードです。
また、ガソリンスタンドのいくつかとも提携していて、ポイント還元率アップや割引などの特典がつくガソリンスタンドが3つあります。
- エッソ・モービル・ゼネラル・・・ポイント還元率1.5%&割引有り
- 昭和シェル石油・・・ポイント還元率1.5%
- エネオス・・・ポイント還元率1.0%&割引有り
ライフカード
ライフカードの最大の特徴は、自身の誕生日月にポイント還元率が3倍になることです。そのため、大きな買い物は全て誕生日月にまとめるなど、効率の良い使い方をすれば驚くほどポイントが貯まります。
また、ライフカードで発行できるETCカードは発行手数料・年会費無料で発行できるので、追加のコストが発生しません。カード発行期間も最短3営業日となっているので、急いでETCカードが欲しい方にもおすすめの一枚です。
まとめd
ETCカードは極力、年会費やカード発行手数料などのコストが無料のものを選んだほうが管理など煩わしいことが少なくなります。また、ETCカードを利用する際は、マイレージサービスに登録しておくと、クレジットカードとは別にポイントが貯まり、通行料金として利用することができますので必ず利用しましょう。
導入には若干手間がかかりますが、いったん使い始めるととても便利で、さらにポイントも貯められるのがETCカードです。使用するカードを厳選して、お得に高速道路を利用できるようにしましょう。