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不動産に少額から投資ができるクラウドファンディングが最近注目されています。1万円からできるものも多く、実際にどんな物件があるのか情報を調べている人もいるでしょう。
不動産クラウドファンディングの募集企画をチェックするにあたって、おそらく最初に疑問となるのが、融資型や貸付型と呼ばれるファンドの存在です。
クラウドファンディングには様々な種類があるのですが、不動産型のクラウドファンディングは大きく、不動産投資型と融資型の2つのタイプに分類できます。一体この違いは何なのでしょうか。
今回は不動産クラウドファンディングにて疑問になりがちな、2つのタイプのファンドを詳しく解説していきます。
クラウドファンディングとソーシャルレンディング
不動産クラウドファンディングの2つのタイプ、不動産投資型と融資型を区別するために、まずはクラウドファンディングとソーシャルレンディングの違いを見ておく必要があります。
クラウドファンディングとソーシャルレンディングは似たような投資方法で、一緒に混同されている場合も多々あります。
結果的には同じことなのですが、投資したお金がどう使われるのかの仕組みが若干異なります。それぞれの投資の仕組みについてわかりやすく解説していきましょう。
クラウドファンディングとは
すでにご存じの方も多いと思いますが、クラウドファンディングは、寄付や募金、カンパなどの流れから発展してきた新しい投資方法です。
クラウドファンディングにはいくつかの種類があって、わかりやすく大まかに分類すると・・・
- 寄付型
- 購入型
- 投資型
- 融資型
上記の4つに分けられています。
これらのクラウドファンディングの仕組みを詳しく見ていきましょう。
寄付型
寄付型クラウドファンディングは、クラウドファンディングの原型とも呼べるタイプのファンドで、歴史も相当古くなります。
よくあるのが、
- 災害地への支援
- 建造物への支援
- 地域のイベントへの支援
- 医療や教育への支援
- 商品やサービスへの支援
- 企業や団体への支援
などで、見返りを求めずに募金やカンパをするタイプのファンドです。これらは寄付として資金を提供しますので、原則として特典などはつきません。(中には、ちょっとしたギフトや特典がつくものもあります)
購入型
購入型のクラウドファンディングとは、現金を資金として提供するわけではなく、商品やサービスを購入することでその企業や団体・個人を支援するタイプのファンドのことです。
購入型には、
- 新しいアイデアに基づいたもの
- これから需要が高まると思われるもの
- 市場調査の一環として試しに販売されるもの
- 寄付型ファンドの代替え品として商品が使われるもの
などがあります。購入型の場合は、割引きで新商品が購入できたり、ポイントがついたり、将来的な商品の購入が有利になったりするメリットがあります。多少の見返りが期待されるものが多くなります。
投資型
投資型クラウドファンディングとは、文字通り、将来的な収益を見込んで何かに投資をするクラウドファンディングです。
投資型は上場していない株式や投資信託をはじめ、不動産や様々な企画、商品やサービスに資金を提供します。その投資を行う企画の内容によって、分配金が定期的に支給されたり、償還時(売却時)に元本が増えたりと色々あります。
融資型
融資型は、そのクラウドファンディングに資金を提供するという点では投資型とほとんど変わりません。ただ、資金を提供するのが金融事業者になるという点が異なります。
つまり、投資をしたい商品やサービス・不動産などの運営を行う会社と投資家の間に金融事業者の存在があります。資金を直接収集するのは金融事業者で、その資金を別のクラウドファンディング事業者に融資を行うタイプです。
その融資先がどこなのか、何なのかを投資家は選ぶことができる仕組みになっています。
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは融資型のクラウドファンディングのことをいいます。様々なクラウドファンディングの種類がある中、ソーシャルレンディングと名称がつくファンドもありますので、最初に戸惑う人も多いでしょう。
金融事業者が資金収集をして、ある事業者に融資を行うタイプのクラウドファンディングは、ソーシャルレンディング、貸付型、ローン型などとも呼ばれています。
不動産運用会社に融資を行うソーシャルレンディングの場合は、融資型、不動産担保型などの名称がついている場合もあります。
というように、不動産クラウドファンディングは不動産投資型と融資型の2つに大きく分類されています。
2種類の不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングには、不動産投資型と融資型の2種類がありますが、それぞれの仕組みを詳しく解説していきましょう。
これから、不動産クラウドファンディングを選ぶ際の参考にしてみて下さい。
不動産投資型のしくみ
不動産投資型は単にファンド型とも呼ばれています。不動産投資型のクラウドファンディングは、不動産の運用を行う不動産会社へ投資をする方法になります。
どのような不動産運用を行うのかというと、その企画によって多少異なるのですが、大まかな運用の流れは以下のようになります。
- 不動産会社が運用資金を募集します。
- 資金が集まったら収益物件の運用にあてます。
- その収益物件の賃貸経営を行います。
- 賃貸料の収益の1部が投資家に分配されます。
- 定められた運用期間が終了すると資金が償還されます。
収益物件の運用資金を募集
クラウドファンディング事業を行う不動産会社は、収益物件の購入から運用に必要となる資金をオンラインで募集をします。
原則として、募集期間は限定されており、目標金額に達した時点で締め切られます。人気のある物件だと、わずか数分で募集が終了する場合もあります。
収益物件の詳細が公開される
不動産クラウドファンディングの企画募集では、基本的にその収益物件の詳細が公開され、投資家はそれぞれ内容を確認できるようになっています。
例えば・・・・
- 物件の用途(住居、店舗、事務所、宿泊施設など)
- 立地(地域、地域の特徴、賃貸ニーズなど)
- その物件の特徴(築年数、新築・中古、構造、特徴など)
- 想定される分配金利回り
- 取得金額+運用に必要な資金のトータル(目標金額)
などを確認することができます。写真やイラスト付きで、その物件をリアルにイメージできるようになっています。
主な収益の内訳
不動産投資型のクラウドファンディングの主な収益は賃貸料から発生します。その賃貸料が不動産会社の収益となり、その収益の1部が投資家に還元される仕組みになっています。
クラウドファンディングとしての運用期間が終了した際には、物件の売却益が出る場合もあります。売却益による利益が大きければ、もちろん償還金額が増えることもあります。
融資型(貸付型)のしくみ
融資型(貸付型・ソーシャルレンディング)の不動産クラウドファンディングは、不動産会社に融資を行う金融事業者に投資する方法です。
運用の流れは、
- 金融事業者が資金を募集します。
- 不動産会社へ融資を行います。
- 不動産会社が収益物件の運用を開始します。
- 不動産会社は金融事業者へローンの返済と収益の1部を支払います。
- 金融事業者は受け取った利息と収益の1部を投資家に分配します。
- 投資期間が終了すると資金が償還されます。
不動産会社への融資資金を募集
融資型の不動産クラウドファンディングの場合も、不動産投資型と同様に、オンラインで期間を定めて募集が行われます。
融資型と不動産投資型の大きな違いは、収集した資金を直接不動産運用に使うわけではなく、運用を行う不動産会社に融資するという点です。
融資型も不動産投資型も人気がある物件は即終了となり、人気が集まらない物件は目標金額に達するのに時間がかかる傾向にあります。
融資する不動産情報が公開される
融資型でも、不動産情報を確認することができるのですが、物件によっては、不動産情報があまり詳しく公開されない場合もあります。
融資先の不動産会社が匿名で表示されたり、物件の情報が地域と用途しか大まかに提示されない場合もありますので、慎重に選ぶことが大切です。
主な収益の内訳
融資型の不動産クラウドファンディングの収益は、融資先の物件の賃貸料とさらにローン返済についてくる利息が対象となります。
利息の1部と賃貸収益の1部が投資家に分配金として還元されます。
不動産投資型のメリットデメリット
メリット
まず、不動産投資型の1番のメリットは、
運用を行う不動産会社の詳細がしっかりと確認できることです。これまで、どのような不動産運用を行ってきているのか、どんな人達が運用を行うのかを企業情報・会社概要から調べることができます。
もう1つの大きなメリットは、
物件の詳細が細かく公開されてあるものが多いということです。物件の詳細がわかればわかる程、投資判断もつきやすくなります。
また、不動産投資型クラウドファンディングのほとんどが、不動産クラウドファンディングをメイン事業として展開していますので、今後の展開も期待することができます。
デメリット
メリットとしてお伝えしたように、不動産クラウドファンディングを不動産会社が主要事業として展開していることがデメリットになる場合もあります。
例えば、その不動産会社がクラウドファンディング事業からの収益で成り立っている場合です。
その会社の主要な収益が不動産クラウドファンディングのみとなる場合、収益が予想通りに展開しなかった時に、会社の存続自体が危ぶまれるリスクがあります。
融資型(貸付型)のメリット・デメリット
メリット
融資型の不動産クラウドファンディングの1番のメリットは、
個人や企業・団体などの身許がしっかり保証されているということです。ソーシャルレンディング事業者は、原則として金融事業者として金融庁に登録していることが前提となります。
もう1つのメリットは、
融資を行った時点で、原則として不動産の運用状況に関わらず、毎月決まった金額の返済金+利息を業者は受け取ることができるということです。
また、ソーシャルレンディング事業者には、不動産以外にも融資先を複数持つ業者が多くなります。ですから、融資先の不動産運用が不調だったとしても経営破綻に陥る可能性は低くなります。
デメリット
融資型(貸付型)の不動産クラウドファンディングの場合、1部の業者を除いて、融資先がどこなのか、投資する物件の詳細がわからないものが多くなります。
その物件にもよりますが、地域や物件の用途が大まかにしか提示されていない企画もたくさんあります。
要は、融資型の場合は、そのソーシャルレンディング事業を行う業者の腕を買って投資をするというイメージです。
どちらに投資すべき?
不動産クラウドファンディングは不動産投資型と融資型とどちらに投資するべきか迷う人も多いでしょう。
どちらに投資すべきかは、それぞれの判断にもよりますが、選び方のポイントを参考までにいくつかご紹介いたします。
不動産投資型がおすすめな人は・・・
不動産投資型がおすすめな人は、不動産会社のことを調べたり、収益物件の賃貸ニーズを調べたりとリサーチが好きな人です。
立地環境をGoogleマップで調べたり、その物件の利点やリスクを自分なりに分析して楽しみたい人は不動産投資型でないと物足りないでしょう。
融資型がおすすめな人は・・・
融資型の不動産クラウドファンディングは、比較的に規模が大きいソーシャルレンディング会社が多くなります。その業者の信用面を重視したいならソーシャルレンディングの方がいいかもしれません。(業者による)
あるいは、不動産にも興味があるけど、融資や不動産担保の仕組みなどに興味がある人はソーシャルレンディングの方がやりがいがあるでしょう。
その他の企画募集の内容を確認すれば、そのソーシャルレンディングに投資をしてもよいかどうかの目安になるでしょう。
※クラウドファンディングとはそもそも何なのか、こちらから詳しくご覧頂けます。
まとめ
国の政策としても、国内の不動産事業を活性化させていこうという動きが強まっています。2017年12月に不動産特定共同事業法という法令が改正され、クラウドファンディング事業へ参入しやすい基盤が整ってきています。
これからは、さらにクラウドファンディング事業に参入する企業も増えてくるでしょう。
そんな中、突如として現れた少額1万円から投資可能な不動産クラウドファンディングは、様々なメディアで話題になりました。
様子見で開始された不動産クラウドファンディングの多くは、ほんの短期間で目標金額を収集しています。投資の初心者でも、不動産投資のベテランでも誰でも、不動産運用に参入することが可能です。(中にはトラブルが発生した業者もあるので注意しましょう)
不動産クラウドファンディングを選ぶにあたって、最初にぶつかる疑問が、今回ご紹介した不動産投資型と融資型(貸付型)の2種類のファンドがあることです。
それぞれの特徴、メリット・デメリットを把握した上で、自分に合った不動産クラウドファンディングを探していきましょう!