リスクを抑えた資産運用をするのに適した方法3選

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資産運用とは、自分の保有する資産を貯蓄や投資などによって効率的に増やすことです。資金がないから資産運用できない、と考える人もいるかもしれませんが、まずは資産運用を始めようという気持ちが大切です。

厳密にいうと、資産運用の目的はお金を増やすことだけではありません。また、投資信託などは100円から始めることができますし、月1万円もあれば十分に資産運用することができるのです。

資産運用はまず目標金額を定める

ただし、資産運用を始めるには、お金を増やす目的を持つことが大切です。なんのためにお金が必要なのかを考えましょう。子供のための教育資金のため、住宅を買うため、老後資金のためなど目的によって金額や時期などが異なります。

資産運用の期間を定めることも大切です。お金はすぐに増えるわけではありません。時間をかけてじっくりと運用していくことが大切です。計画的に運用することでまとまった資金を貯めることができるのです。

資産運用=投資ではない

資産運用のメインは投資ですが、必ずしも株などの価格変動リスクが高い金融商品で運用しなければいけないというわけではありません。もちろん金融商品への投資も資産運用の一部ですが、元本保証の預貯金などに貯蓄することも資産運用です。

ただし、元本を増やしていくためには、投資をする必要があります。たとえば、資産が倍になる年数を計算するのに72の法則があります。72を”金利で割ると、資産が倍になるのに必要な年数がわかります。

たとえば、金利2%で運用した場合、お金が倍になるには、72÷2=36年かかります。かつてのバブル経済のときは銀行の定期預金でも金利が7%ありました。10年あれば2倍になった計算です。

しかし、現在の定期金利は0.04%。2倍になるには1800年もかかる計算になります。定期預金などの貯蓄ではほとんど資産は増えません。効率よくお金を増やしていくためには、投資をする必要があるのです。

貯蓄好きの日本人

日本人は、世界で最も貯金が好きだと言われています。例えば、世界の個人金融資産に占める現金の比率を見てみると、アメリカは約13%、イギリスは約23%、ユーロ圏では約33%です。一方、日本では52%となっており、金額ベースでは900兆円に近い金額となっています 。

900兆円という金額は、日本の GDP の1.8倍もの現預金を保有していることになります。経済規模の2倍近い現預金を保有する国は日本以外にありません。1960年代の高度成長期以降、バブル経済が崩壊するまでお金を預けておけば勝手に増えると言うという時代もありました。金利が5%以上あったからです。そして、株価や不動産なども右肩上がりに上昇していました。しかし、バブル崩壊が起こり、株価や不動産と言った資産価値が大幅に下落する中で、日本人に投資は危ない・怖いものという概念が刷り込まれたのです。

つまり、日本人にとって貯金が好きというわけではなく、過去に起きたバブル崩壊という事象を客観的に理解できていないため、投資を行うことができてないという現状があります。

投資を行う、つまり金融リテラシーが欠如しているので、将来の資産形成について何をすればいいのかわからないと言った人が多いのです。また、金融や投資について学ぶ機会が多い欧米と異なり、日本ではお金に関する教育を受ける機会がほとんどありません。そうしたことから、積極的に資産運用をしようとする人が少ないというのも当然のことではないでしょうか。

リスクを回避した資産運用

資産運用には投資が必要といっても、いきなり価格変動が多い株式などから始めることはおすすめできません。大きな利益が期待できる一方、損失がでる可能性が大きいからです。大きな損失がでると運用を続けることが難しくなります。

まずは、安全度の高い金融商品で運用を始めましょう。世の中には多くの金融商品があります。自分にあった金融商品をみつけるようにしましょう。

資産運用の目的と期間を決めて、資産運用を始めましょう。

投資におけるリスクとは

一般的にリスクとは危険という意味ですが、資産運用においては不確実性を表します。代表的なリスクは次の3つです。

1.価格変動リスク

株式や債券の価格が変動する可能性のことです。株価などは市場の需給によって決まりますああ、国内及び海外の政治や経済・企業の業績などの影響を受けます。

2.為替変動リスク

為替相場の変動により損失が発生する可能性のことです。外貨建ての資産に投資する場合、一般的には円高になればマイナス、円安になればプラスの効果があります。

外国の株式や債券で運用する場合、為替変動リスクがあるので、現地建てでは利益がでていても、円換算するとマイナスになっているときもあるので注意しましょう。

3.信用リスク

投資先の会社が経営不振などの理由で債務不履行になることです。債券で使わるのが一般的です。債券などを発行する国や企業が財政難や経営不振などの理由によって利息や償還金をあらかじめ決めた条件で支払うことができなくなる可能性のことです。

4.カントリーリスク

特定の国や地域の政治や経済状況が変化することによって、証券市場や為替市場が混乱し、そこに投資した資産の価値が変動する可能性のことをいいます。

たとえば、日本の株式市場であれば主に価格変動リスクや信用リスクの影響を受けます。外貨建て資産の場合は、為替変動リスクやカントリーリスクの影響が大きくなります。自分の許容できるリスクの大きさによって、投資できる金融商品が決まってきます。

債券投資

債券とは、国や企業などにお金を貸した証として発行される有価証券のことです。貸した分も利息を受け取って運用するので、預金に近いといえます。ただし、償還までの年限や発光体の信用リスクによって条件が異なります。

預金のように元本保証ではありませんが、国債など信用力の高い債券は安全度が高く、預金よりも高い金利が望めます。また、途中で売却して換金することも可能です。

個人向け国債

初心者の人が始めやすいのは「個人向け国債」です。リスクが低い債券ですが、発行体が破綻して貸したお金が減ってしまったり、もどってくるまでに時間がかかったりする可能性があります。

もっともリスクが低いのが国債です。国の破綻は極めて珍しいので、投資先としての信用度が高く、低リスクだといえるでしょう。

そんな国債を個人でも買いやすくしたのが「個人向け国債」です。主な特徴は次の通りです。

    • 国が発行しているので安心で元本割れなし
    • 1万円から購入可能で中途換金もできる
    • 0.05%の最低金利保証で毎月は発行

個人向け国債は、半年ごとに適用利率が変わる変動10年、発行時に設定された利率が満期まで変わらない固定5年、固定3年の3タイプがあります。

発行体のリスクを見るは、債券の安全度を評価する格付けを参考にしましょう。企業や政府・自治体などの分析を格付け会社が行い、その格付けが高いほどリスク・リターンともに小さくなります。

また、外国の債券は外貨建てで運用するため、為替変動によって利息や償還時の金額が変わります。利息を受け取るときや償還時の為替レートが購入日よりも円安になっていればリターンは増えますが、円高になるとリターンが減り、投資金額を下回る可能性があります。

生命保険での運用

あまり資産運用のイメージがない生命保険ですが、立派な金融商品です。学資保険や養老保険などでは、一定期間お金を積み立てて満期金を受け取るような貯蓄型の保険があります。また、一部の保険会社では米ドル建てや豪ドル建てなどの外貨で積み立てることができる保険もあります。

このような貯蓄型の保険を利用することによって、資産運用を始めることができます。貯蓄型の保険は定期預金などよりも高い利回りが期待できます。たとえば、都市銀行の定期預金金利は0.01%ですが、養老保険の場合、予定金利は0.05%~1.3%となります。

また、基本的に毎月決まった保険料を振り込むだけで運用を始められます。難しい投資の知識が必要なく、経済や金融の仕組みを詳しく学ぶ必要がありません。

さらに、保障の効果も期待できます。保険なので死亡・高度障害など万一のときに保険金が支払われます。学資保険の場合も、契約者である親が不慮の事故に陥ったときには、養育資金が受け取れたり、保険料の支払いが免除になったりするメリットがあります。

さらに、貯蓄型保険は一般生命保険料控除の対象なので、所得税・住民税の節税にもなります。ただし、貯蓄型保険はあくまでも保険なので、保険料の一部は保障に当てられます。途中解約をした場合、支払った保険料よりも少ないしか戻りません。

また、保険の場合は年齢によって掛け金が異なります。同じ保険でも老齢世代の保険料が高くなり、返戻率も低くなります。保険を利用する場合は、条件があるということを忘れないようにしましょう。

外貨建て保険

国内の低金利が続く影響で、終身保険や養老保険など、これまで貯蓄性のある保険の販売が困難になってしまいました。そこで、高い金利が期待できる外貨建て保険(主に米国ドル建て)に力を入れる保険会社が増えてきています。

外貨建て保険のメリット

外貨建て保険のメリットは、高い予定利率です。主な運用対象である10年債利回りは、日本国債だとマイナス0.011%ですが、米国国債は2.5~3%程度あります。

外貨建て保険に加入した場合も保険料を支払う必要がありますが、日本円でも外貨でも可能です。ただし、円を外貨に替える場合や、外貨を円に変える場合は、為替手数料がかかるので注意が必要です。

また、為替レートの変動によって元本割れの恐れもあります1ドル=100円のときに10万米ドルの保険に加入していた場合、同じレートなら1000万円が返ってきます。しかし、償還時の為替レートが1ドル=80円のときは保険金が800万円になってしまうのです。

また、解約するときもドルベースなので、円安なら為替差益が期待できるものの、円高が進んだ場合は、為替差損が発生してしまう可能性があります。

インデックス型の投資信託

本格的に資産運用を始める場合、信託から始めることをオススメします。それは、投資を始めるにはいくつかのハードルがあるからです。

 

1.運用は資産・経済に関する知識を学ばなければならない

2.ある程度の運用資金を貯める必要がある

3.定期的に運用状況を確認する必要があること

 

しかも金融商品は様々な種類があるので、投資商品にどのようなものがあるかということを知っておかなければいけません。そんな中で、初心者におすすめなのが投資信託です。投資信託は投資運用のプロであるファンドマネージャーが運用を行ってくれるため、個別銘柄のような詳しい情報を知らなくても資産運用に取り組むことができます。さらに少額から投資できるというメリットもあります。ネット証券などでは100円から投資することも可能です。これは大勢の投資家から資金を集め、株や債券不動産などを複数の投資を行う仕組みが作られているからです。

初心者はインデックスファンドでの運用がオススメ

投資信託は、運用手法により次の2種類に分類できます。

1.インデックスファンド

インデックスファンドとは、日経平均株価や東証株価指数 (TOPIX) などのインデックスをベンチマーク(運用成績の基準となる指標)として、ベンチマークの値動きに連動するように運用する方法です。つまり、日経平均株価をベンチマークにしたインデックスファンドは、日経平均株価と値動きが同じようになるように運用するということです。

2.アクティブファンド

アクティブファンドとは、対象企業の調査研究を行い、ベンチマークと異なるリスクを取ってベンチマークを上回る運用成績を目指す方法です。ファンドマネージャーが各銘柄の調査研究を行うので、パッシブ運用よりも運用コストが高くなります。

また、銘柄を絞り込んで投資する傾向があるので、インデックスファンドよりも高いリターンが目指せるものの、損失の可能性も高くなります。

インデックスファンドは、ファンドマネージャーやアナリストなどが企業調査などを行う必要がありません。また、銘柄入れ替えなどの頻度も低くなります。そのため、アクティブファンドと比べ運用コストが安くなる傾向があります。

また、ベンチマークとなる日経平均株価などは、毎日テレビやネットで知ることができる身近な株価指数です。そのため、値動きが はわかりやすく、株式市場全般に分散投資できるということも大きなメリットです。たとえば、日経平均株価ならば225銘柄、TOPIX( 東証株価指数)なら約2000銘柄に分散投資しているのと同じ効果があるのです。

インデックス型ファンドは、ベンチマークとどれだけ高い連動率を維持できるかということが評価の対象になります。対象となるベンチマークを大きく上回ったり、逆に下回ったりするようでは目的通りの運用がされてないと判断されます。そのため、運用成績がベンチマークから離れないような運用を目指すのです。

インデックス運用の手法としては次の二つがあります。

1完全法

完全法とは、ベンチマークを構成する全ての銘柄を組み入れて買い付けるというものです。たとえば、日経平均株価をベンチマークとした場合は、日経平均株価に採用されている225銘柄を全て買います。対象となるインデックスを構成する銘柄に完全に同期させることで、連動を目指す方法です。

ただし、ベンチマークと高い連動性が期待できますが、パフォーマンスがあまり良くない銘柄や倒産確率の高い銘柄も保有する可能性があります。

そこで、倒産の可能性のある信用リスクが高い銘柄を排除してポートフォリオ(銘柄の組み合わせ)を構築したのが、準完全法です。

2.層化抽出法

層化抽出法は、各業種から銘柄を選んでポートフォリオを構築する方法です。一部の銘柄をサンプリングしてファンドを組成します。 銘柄数が多く流動性にばらつきがある国内債券や海外債券などの資産に層化抽出法は向いています。

インデックスファンドは投資商品なので、元本が保証されているわけではありません。とくに株式をベンチマークとしたインデックスファンドの場合、大きく元本を割り込むリスクがあります。ただし、通常の個別銘柄よりも幅広く銘柄を分散されているので損失のリスクは軽減されます。

一度にまとめて購入するのではなく、毎月購入するなど積立投資を行うことをおススメします。購入のタイミングを分散することで、値動きの影響を受けにくくなります。

時間の分散投資を行うことは、積立をする上でとても重要です。たとえば、毎月1万円ずつ投資信託を買っていた場合、基準価額(投資信託の価格)が安くなった時はたくさん買い、高くなった時は少しだけ買うことができます。一度 にまとめて購入するよりも平均単価を下げる効果が期待できるので、投資信託を始める場合は積み立てで行うようにしましょう

まとめ

今回は、初心者向けにリスクを抑えた投資手法として、以下の3つをご紹介しました。

 

1.債券投資

2.生命保険での運用

3.インデックスファンド

 

投資のリスクには、価格変動リスク信用リスクなど様々なリスクがありますが、まずはリスクが限定された金融商品での資産運用を始めましょう。

資産が増え経験を積み重ねると株式などよりリスクを取った運用もできるようになります。現在の自分の許容できるリスクの大きさによって投資できる金融商品は決まってきます。自分に合った金融商品を見つけ、まずは安定的な運用を心がけましょう。

 

 

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