がん保険に解約返戻金は必要?金額や掛け捨てとの比較について

がん保険と解約返戻金

「がん保険の解約返戻金が気になるけど、本当に必要?掛け捨てとの比較は?」

養老保険や死亡保険等で、検討されるの事の多い解約返戻金ですが、がん保険においても解約返戻金を設定する事が可能な商品がいくつかあります。

ただ、一般的にはがん保険は掛け捨ての商品が多く、解約返戻金の商品自体も掛け捨ての商品と比較した場合にそれほど多くはありません。そのため、マイナーなプランである事から本当に加入するべきなのか?というポイントについて悩む人も多いと思います。

なので、この記事では主に「がん保険の解約返戻金」というポイントに絞って、以下の点を解説していきたいと思います。

  • がん保険・解約返戻金等についてのおさらい
  • 掛け捨てと解約返戻金の比較
  • 解約返戻金は本当に必要性が高いのか?
  • 金額はどのくらいに設定する事が一般的なのか?

上記したような点を中心的に解説していきますが、そもそもの「がん保険・解約返戻金」についてしっかりと理解していないと、がん保険の解約返戻金がどのような商品なのか?という点を把握する事は出来ません。

なので、まずはじめに「がん保険・解約返戻金とは?」という基本的な部分について解説していきたいと思います。

がん保険について

まず、始めにがん保険の基本的な部分について解説していきたいと思います。がん保険とは、名称の通り「がんだけを保障する保険」です。

三大疾病という日本人にとってリスクの高い疾患の総称がありますが、1つ目が「がん」2つ目が「脳卒中」3つ目が「心疾患」となっておりこれらの中で最もリスクの高いのが、がんと言われています。

もちろん、どのような観点からリスクと言えるのか?という点については議論があるとは思いますが、死因として最も多いのはがんであり、三大疾病の中で患者が最も多いのもがんになっています。

一生のうちに2人に1人が、がんになると言われており「リスクの高い疾患」だと言えるでしょう。このように、特にリスクの高い疾患を保障するために「がん保険」は誕生しました。

もちろん、健康保険等を使用すれば最低限の治療は可能であり、大幅に治療費を負担してもらう事が可能ではあります。しかし、それだけでは「先進医療(健康保険の保障対象外となる治療)」や「収入の補填」、「雑費」等を保障する事は出来ません。

なので、がん保険は健康保険でカバー出来ないような部分を、がんになった場合にのみ保障してくれる保険になっています。必要性は人それぞれではありますが、掛け捨てのものであれば保険料もそれほど高くないので、加入する方が多いのも事実です。

解約返戻金って何?

次に、解約返戻金についてご紹介していこうと思います。解約返戻金とは「解約すると保険料の一部が返ってくるお金」の事で、保険なので保障を受ける事も可能ですが、解約すると支払った保険料の一部が返ってくるというものです。

保険料が返ってくると聞くと、通常の「掛け捨て」と呼ばれる保険よりもお得に感じる方も少なくないかもしれません。掛け捨てとは、解約返戻金がないタイプの保険の事であり、解約返戻金が返ってくるものとは真逆のものです。

ただ、掛け捨ては支払う保険料が保障に集中していますが、解約返戻金が付いてる保険の場合は「貯蓄に回す分」「保障の分」というように、一見同じ保険料を支払うように見えても実際は2つの用途に対して保険料を支払っています。

そのため、一般的に解約返戻金が返ってくる時には「貯蓄に回す分のみ」が返戻金として返ってきます。つまり、支払った保険料全てが返ってくる訳ではありません。(一部例外も存在しています。)

解約返戻金が返ってくるタイプの保険は「貯蓄性を兼ね備えた保険」だと言えるでしょう。解約返戻金を受け取る事の出来る多い保険は「養老保険」「生命保険(死亡保険)」が多く、一般的に解約する事が前提となっている事の多い保険で、解約返戻金が設定されている事が多いでしょう。

保険料の部分について後に詳しくご紹介しますが、余分に支払う分保険料の負担が大きくなりがちで、メリットばかりではないという事を意識しておきましょう。

がん保険の解約返戻金は?

冒頭でも少し触れましたが、がん保険の解約返戻金はそれほど多くありません。というのも、がん保険は「定期型」「終身型」が存在していますが、長期間加入する場合は終身型を選択する事が一般的ですし、終身型は解約しない事を前提としている事が多いので、相性が悪いのです。

そもそも、がん保険とはもしもの時のためにがんを保障するものであり、がんの疾患率は年齢が増すごとに上がっていきます。つまり、長期的に加入する場合は、解約しない方がお得なものになっているのです。

逆に、定期型のものは一定期間のみ保障するというものですが、一般的に終身型に切り替えるまでに加入したりする事が多く、その用途の殆どが「数年間~十数年」程度で考えられています。

この程度の年数ではそれほど解約返戻金で大きなリターンは返ってこないため、定期型も解約返戻金に向いているプランではないです。

つまり、まとめると終身型は解約しない方が得なため、解約する事が前提の解約返戻金に向いておらず、定期型の場合は加入期間が短いので解約返戻金に向いていません。そのため、がん保険と解約返戻金はマッチしにくい保険であり、商品の数も少ないのが実情です。

ただ、少ないだけで存在していない訳ではありません。この記事ではがん保険の解約返戻金について解説していきますが、がん保険において解約返戻金はマイナーであるという点を押さえておきましょう。

掛け捨てと比較

先程、がん保険・解約返戻金等について解説させて頂きました。そこで「掛け捨て・解約返戻金」は真逆のものであり、解約返戻金のある保険と掛け捨て保険について比較していく事で、解約返戻金の理解をより一層深く出来ると思います。

なので、掛け捨て保険・解約返戻金のある保険の両者を様々な観点から、比較していきたいと思います。

保険料の観点

まず、始めに保険料の観点から「掛け捨てのがん保険」と「解約返戻金のあるがん保険」を比較していきたいと思います。結論から言うと保険料の安さでいうと「掛け捨て保険」の方が安いです。

当然と言えば当然ですが、保険会社としても掛け捨てのがん保険の場合は「保障内容のみ」の保険料しか必要ないので、必要になってくる保険料もそれに伴って安くなります。

一方の解約返戻金の場合は、先程も解説させて頂きましたが「保障・貯蓄」と行った2つの分の保険料を請求する必要性が出てくるので、保険料は高くなりがちです。

どのくらい違うのか?と言った点は、保険等によっても異なるので一概には言えませんが、1.5倍~3倍程度には保険料が膨らむと考えた方が良いでしょう。

保険に加入する上で、保険料というのは非常に大切なポイントです。何故なら、どの保険も満期になる前に解約すると損をしてしまうケースが多く、安定して満期を迎えるには余裕を持って支払っていける保険料という要素が必要不可欠です。

そのような点を考慮した場合に、解約返戻金のあるがん保険は少し掛け捨てのものよりはデメリットが大きくなるという考え方が出来ます。

バリエーションの多さ

保険に加入する上で、加入出来るバリエーションの豊富さというのは意識したいポイントの1つでしょう。何故なら、バリエーションが多く、競争の激しい保険ならニーズにあった保険を見つけやすく、他社と競争するため保険料も安くなりがちだからです。

バリエーションの多さという観点から見た時に、掛け捨て型のがん保険の方が圧倒的に多いと言えるでしょう。そもそも、がん保険は掛け捨て型で加入するケースが一般的であり、解約返戻金に絞った場合がん保険の選択肢はそれほど多くはありません。

もちろん、少ないバリエーションの中にニーズとマッチしているがん保険があれば問題ありませんが、通常バリエーションの乏しい保険の場合は、ある程度妥協をして加入する必要性があります。

どうしても、解約返戻金のがん保険に加入する場合は選択肢が少なく、自らのニーズに合うがん保険が無いかもしれないという点を考慮した方が良いと思います。

お得なのは?

掛け捨てのがん保険と解約返戻金のあるがん保険を比較した場合に、どっちの方がお得か?というと、もしも満期まで加入できるなら、解約返戻金のあるがん保険の方がお得だと言えます。

やはり、がん保険の主流が掛け捨てだったとしても、解約返戻金と比較した時に保険料が安いとしても、保険料が返ってこない事には変わりません。その点、解約返戻金のあるがん保険なら、支払った保険料が一部が返ってくるので、金銭的な面で見た時にお得だと言えます。

ただ、しっかりと注意して考えたいのは「お得なのは満期まで加入できる場合」という点に限るというポイントです。解約返戻金のあるがん保険は、早期に解約してしまうとかなり大きな損をしてしまう事が一般的です。

まだ、保険料が掛け捨て程度のものだったら許容範囲なのですが、解約返戻金のあるがん保険は、保険料が高いのでどうしても損をする額面自体が大きくなってしまいます。

保険料は保険会社によって異なり、がん保険特徴一つ一つも商品によって異なります。ただ、しっかりと押さえたいのは「解約返戻金のあるがん保険は、保険料の負担が大きい」という点です。

保険料の負担が大きいという事は、余裕が無くなってしまい解約の増加にも繋がるので、ちゃんと加入すれば解約返戻金のあるがん保険だと言えますが、中途半端に加入して解約すると大損する可能性も含んでいます。

解約返戻金は必要なのか?

先程、掛け捨て型のがん保険と解約返戻金のあるがん保険の比較をご紹介させて頂きました。ただ、掛け捨て型のがん保険と比較した時に掛け捨て型のがん保険の方が魅力的なものだったとして、解約返戻金のあるがん保険の必要性がないとは言えません。

なので、これから解約返戻金のあるがん保険は本当に必要なのか?そうじゃないのか?という点について解説していきたいと思います。

解約返戻金のあるがん保険はおすすめ出来ない

必要性という観点から見た時に、もちろんニーズがマッチしている方にとっては必要性の高い保険になる可能性は存在します。保険に求めるものは人それぞれですし、ニーズが異なるならおすすめのがん保険も異なります。

ただ、1つ言えるのは「多くの方にとって、解約返戻金のあるがん保険はおすすめ出来ない」というのが結論になります。様々な理由が挙げられますが、根源に「がん保険は解約返戻金に向いていない」というポイントにまとまります。

というのも、がん保険の特徴の1つとして、長期的な加入の場合は解約に向かないという特徴があります。というのも、終身型のような長期的な加入を前提としたがん保険の場合、健康な時に加入しておくというのが基本的なスタンスになります。

仮に解約返戻金のあるがん保険に加入し、解約返戻金を貰うためにがん保険を解約したと仮定しましょう。年齢が上がると自然と保険料は上がりますし、年齢が上がると疾患率が高くなるため、がん保険はその特徴が強く現れます。

そうなった時に、解約返戻金は解約を前提として加入する保険のはずなのに、解約するタイミングを測るのがかなり難しいのです。(ある程度の解約返戻金を受け取るには、長期的な加入が必要)

また、がん保険自体「がんのみ」という部分に保障の焦点を当てています。解約返戻金のあるがん保険の場合は、自然と保険料は高くなる傾向にあるため、がん1つのために高い保険料を支払う事に違和感を感じてしまう方も少なくないでしょう。

このような点を踏まえるとやはり「がん保険は解約返戻金に向いていない」という結論になってくると思います。

ただ、もちろん必要性は人それぞれなので明確な計画があり、高くなりがちな保険料もきっちりと支払っていけるという目処が立っている場合は、加入しても問題ないとは思います。上記の内容は、万人向けではないという事です

特定疾病保障保険という選択肢も

もしも、がんを保障したい・同時に貯蓄も行いたいという事であれば「特定疾病保障保険」にと同時に加入するのが良いと思います。

特定疾病保障保険というのは、三大疾病・死亡・高度障害等になった場合に保障してくれる保険の事で、この保険に解約返戻金を付けて、がん保険にも加入するという事です。

なぜ、こちらの方が良いかと言うと、まず始めにがん以外の三大疾病にも対応出来るようになるというポイントです。また、解約返戻金のあるがん保険と同時に加入した場合の保険料は、それほど変化しません。

がんはどうしても長期間出来るだけ解約しないという特徴を持った保険なので、このような用途の保険に解約返戻金を付けるという事自体が、あまり万人におすすめ出来ません。

しかし、特定疾病保障保険のような保険であれば、三大疾病に対応出来るのみではなく、プラスアルファで解約返戻金を受け取れます。ただ、解約した場合もがん保険の保障は続いているので、リスクの高いがんについては保障し続けていく事が可能です。

もちろん、併用するので保障内容によっては保険料が高くなってしまい、大きな負担になってしまう事も十分に考えられるので、保障内容と保険料を天秤に掛けて検討しましょう。

ただ、解約しにくいがん保険で解約返戻金を設定するよりも、併用して解約返戻金のために新たな保険に加入した方が、多くの方にとってはメリットが大きいと思います。(もちろん、例外はあります)

金額はどのくらいに設定?

最後に仮に解約返戻金のあるがん保険に加入した場合は、どのくらいの金額に設定した方が良いのでしょうか?貯蓄という観点から、解約返戻金についてご紹介していきたいと思います。

返戻率は低い

まず、はじめに大前提として「受け取れる保険金」は、支払う保険料と保障内容・加入期間によって左右されるので、なんとも言えない部分になってきます。また、必要な保険金という観点から見た時も事情が個々で異なるので、一概にこれ!とご紹介する事は出来ません。

一般的にがん保険の解約返戻金の場合は、多くても100万円~400万円程度だと言えます。保障を重要視したようながん保険の場合だと20万円~30万円というケースも少なくありません。

ただ、1つ共通して言える事は、解約返戻金のあるがん保険の返戻率はそれほど高くないという点です。やはり、がん保険という保険が付いてしまっているため、学資保険等とは異なり、返戻率は一般的に「20%~40%」程度に収まる事が一般的です。

そのため、解約返戻金のあるがん保険のみで「老後の資金を貯蓄していく」と言ったような事は、難しい事が多いという点を押さえておきましょう。保険に加入しながら貯蓄をしたいなら、以下の記事もおすすめです。

掛け捨て・貯蓄型どっちの方が良い?各保険・年齢に合った選び方を徹底解説

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まとめ

がん保険と解約返戻金

  • がん保険はがんに焦点を当てた保険
  • 解約返戻金は、解約した時に保険料の一部から返ってくるお金
  • 解約返戻金のあるがん保険は少ない

掛け捨てと比較

  • 保険料は掛け捨ての方が安い
  • バリエーションは掛け捨ての方が多い
  • お得なのは、しっかりと満期まで支払えば解約返戻金

解約返戻金は本当に必要か?

  • 解約返戻金とがん保険は相性が悪い
  • どうしても保障がほしいなら、特定疾病保障と一緒に加入

金額はどのくらい?

  • 加入期間や保険料等によって左右される
  • 返戻率はそれほど高くない

今回は、がん保険の解約返戻金について、基本的な部分から掛け捨てとの比較、必要性、金額等についてご紹介させて頂きました。

少し、この記事はがん保険の解約返戻金についてマイナスな内容が目立ちましたが、万人に勧められる保険がないように万人に合っていない保険も存在していないと思います。そのため、もしも解約返戻金のあるがん保険に大きな魅力を感じたのなら、加入するのも選択肢の1つとしてはありだと思います。

ただ、その際はぜひこの記事で執筆したような内容をチェックしながら、加入してみるときっと参考になると思います。

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