目次
学資保険の本来の目的
「学資保険の加入は何歳からがベスト?何歳からだと遅い?」
学資保険について簡単にまとめると「子供の教育資金を積み立てていく」ための学資保険です。
一般的な学資保険の場合は、子供が0歳~6歳程度までに加入するケースが多く、加入後は保険料として徐々に積立て行き、お金が掛かりやすい大学進学時等に保険金を受け取れると言ったようなものが多いです。
ただ、ここで気になるのは「学資保険に加入するのはいつから?いつまで?」というポイントでは無いでしょうか?というのも、学資保険は徐々に積立ていくものなので、例えば子供が10代になってから加入するのは、現実的ではありません。
このような点を考えると、学資保険には「ここまでに加入した方が良い」というポイントが、存在していると考える事が出来ます。
なので、今回は「学資保険はいつから?」というポイントを、
- 学資保険の本来の目的
- 加入タイミング
- 加入タイミングと満期
という観点から詳しくご紹介していきたいと思います。まず、初めに学資保険本来の目的から、解説していきたいと思います。
学資保険のおさらい
今回は、様々な観点から学資保険の加入タイミングについてご紹介していくので、まず初めに学資保険の基本的な部分について押さえておきたいと思います。
学資保険の必要性
学資保険は主に「教育資金」のために、加入するものです。では、なぜ教育資金のためだけに保険に加入する必要があるのでしょうか?公立の小中高に通っておけば、それほど教育資金というのはお金が掛からないものという認識が強い方もいると思います。
確かに公立の小中高と通った場合はそれほど教育資金は必要なく、一般的な家庭であれば十分に負担が可能なものになっていますし、仮に経済的に不安定な方であったとしても国・自治体から援助を受ける事が可能になっている事が多いです。
ただ「大学進学」となってくると別問題です。というのも、大学進学の場合は「国立」であったとしても4年間合計で「250万円」程度の費用が掛かってきます。
これが、私立の大学となると2倍くらいに膨れ上がり、お金の掛かる学部だとかなり大きなお金が必要になってくると言えるでしょう。数百万円という金額は一般的な家庭にとって大きな負担になりますし、捻出が難しくなってくるはずです。
この場合、必然的に奨学金等を利用する必要が出てきますが、近年は奨学金で「自己破産」してしまう人も増えてきており、そのようなケースにならなかったとしても「未成年に借金をさせる」という点に違和感を感じてしまう方も多いと思います。
このような点を解決してくれるのが、学資保険です。学資保険は、子供が0歳から小学生に上がるまでくらいに加入し、年間数万円~数十万円を積立ていき「100万円~500万円」程度の保険金を大学進学時等に受け取る保険です。
学資保険の目的と利点
学資保険の概要や必要性については、先程ご紹介させて頂きました。ただ、教育資金を貯蓄していくだけなら「学資保険じゃなくても良くない?普通に貯蓄していくのは?」という選択肢も考えられると思います。
学資保険を利用する本当の目的・利点というのは、以下の3つになると思います。
- 保険料という名目で、しっかりと貯蓄していける
- 親御さんが死亡した場合に、保険料が免除される
- 返戻率によっては、支払った保険料よりも保険金が多くなる
(プラスして返ってくる)
まず、初めに保険料という名目でしっかりと貯蓄出来るというのは、教育資金となってくるとどうしても「数百万円」程度の貯蓄が必要になるため、数十年後のイベントのために安定的に貯蓄していくというのは、難しいという方もいると思います。
簡単に言うと「貯蓄が苦手」という方が、保険料という形で毎月積立を行っていけるというのが目的で、学資保険に加入される方もいます。
次に挙げられる目的・利点は、親御さんが高度障害・死亡した場合に保険料が免除されるというポイントです。貯蓄というのは、数十年後を想定してコツコツ貯蓄していくので、その途中で死亡してしまった場合は中途半端な貯蓄しか残りません。
学資保険であれば、親御さんが死亡した場合は保険料が免除され、契約を結んだ際と同じタイミングに保険金を受取る事が可能です。
通常の生命保険と異なって「教育資金」が必要になるタイミングで支給されるので、生命保険よりも用途が明確な保険金として使われる可能性が高いと言えます。
最後の目的・利点は、今回中心的にご紹介するタイミングとも大きく関連するポイントで「返戻率によっては、プラスして返ってくる」という点です。
学資保険は返戻率(保険料に対して返ってくる保険金の%)に応じて、保険金が支払われます。つまり、いくら保険金が返ってくるのか?という点を左右するのは、返戻率によって異なると言えるです。
では、なぜ返戻率と加入タイミングに大きく関連するのでしょうか?それは「加入タイミングによって、返戻率が上下するため」です。
後にも詳しくご紹介しますが「払込期間・満期」というのを、どのように設定かによって学資保険の返戻率は大きく異なってきます。
そのため、この記事を読み進めていく上で「加入タイミングと返戻率」というのは、1つの注目したいポイントになってきます。
学資保険の加入タイミングと満期の関係性
先程、学資保険の概要や必要性等の基礎的な部分について解説させて頂きました。これから「加入タイミングと払込期間」という学資保険の加入タイミングを解説する上で、外せないトピックについてご紹介していきたいと思います。
学資保険と期間
学資保険は加入のタイミングというのが、返戻率や月々の保険料を左右してくる重要なポイントになってきます。ただ、その点を理解するには学資保険には払込期間があるという点を押さえないといけません。
学資保険の払込期間とは、名前の通り学資保険の保険料を支払っていく期間の事です。一般的に数年から18年程度に押さえる事が一般的で、出来るだけ短くする事が返戻率を上げたい場合は、重要です。
というのも、払込期間というのは文字通り「保険料を積立ていく期間」であり、保険会社からすると、この期間が短ければ短いほど良いのです。
なぜでしょうか?保険料を早く支払ってもらうという事自体にメリットがあるのも事実ですが、保険会社からすると「死亡保障が無くなる」というのも大きなメリットの1つです。
何故なら、払込期間を短くする事によって「払込期間で死亡・障害」等の保険事故に合う可能性は減るので、自然と返戻率も上がるものになっているという事です。
払込期間は短ければ短いほど良いのか?
先程、払込期間は短ければ短いほど「返戻率が高くなる」というポイントをご紹介させて頂きました。上記のような事をご紹介すると「払込期間は短い方が良いのでは?」という疑問が出てくると思います。
しかし、一概に短ければ良いというものではありません。もちろん、返戻率のみを重要視した時に、払込期間を短くするというのは大きな効果を持っており、最後に受け取れる保険金のみの観点で見た時にメリットは大きくなります。
ただ、払込期間のみに焦点を当てるとそうでもなく、払込期間を短くする事で以下のようなデメリットが生じます。
- 死亡保障の恩恵が無くなる
- 負担が大きくなる
- 税金的な観点
死亡保障の恩恵が無くなる
早くに保険料を支払うということは、既に保険料を支払ってしまった時に死亡した場合は「死亡保障の恩恵」を受ける事が出来ません。もちろん、保険金は支給されますが、学資保険のこの点に大きなメリット感じてる方にとっては、大きなデメリットになると思います。
先程、払込期間が短くなる事によって返戻率が下がる理由の1つに、死亡保障のリスクを保険会社が背負わないで良くなるというポイントをご紹介させて頂きました。
つまり、保険会社のリスクが1つ無くなるという事は、保障が1つ消えるという事に繋がるのでデメリットの1つに挙げられるでしょう。(学資保険を加入する上でのメリットが1つ消える)
負担が大きくなる
払込期間が短くなるということは、短期間で保険料を積立ていかないといけないので、自然と1回あたりの支払う保険料も大きくなります。
つまり、これは何に繋がるかと言うと、月々で支払う場合は「月ごとの保険料」年々で支払う場合は「年ごとの保険料」が高くなっていくという事です。
もちろん、それほど負担にならない程度の保険料なら十分に可能だとは思いますが、単純計算で保険金300万円程度の学資保険の保険料を10年程度で収めるとすると月々「2万4,000円~5,000円」程度の出費が必要になってきます。
家庭によって経済状況はそれぞれですが年収300万円程度の家庭の場合だと、年収の約1割り程度が学資保険の保険料に消えてしまう事になります。
学資保険は最初の数年で解約してしまうと元本割れを起こす保険になっているため、負担が大きくて解約という事になってしまうと本末転倒になってしまうので、払込期間を短くする場合はこのデメリットについて特に注意する必要があります。
税金的な観点
税金的な観点から見た時に、学資保険は税制において生命保険的な立ち位置になるため、生命保険料控除を受ける事が可能です。金額は収入等によって変化しますが、最大で住民税2万8,000円・所得税4万円の控除が可能です。
ただ、払込期間を短くするという事は控除を受けられる期間を短くするという事にも繋がるので、この恩恵を受けられないという事にも繋がります。
学資保険に加入する上で、税金的な観点から大きなメリットを見出していた場合、払込期間を短くするというのは大きなデメリットになってくると思います。
加入タイミングと払込期間
先程、加入期間と返戻率の関係性についてご紹介させて頂きました。ただ、払込期間は返戻率のみによって判断するものではありません。加入タイミングと満期というのも重要なポイントになってきます。
加入タイミングが早ければ早いほど、満期との期間が長くなります。逆に、加入タイミングが遅ければ遅いほど、満期との期間は短くなります。
これによって払込期間も上下し、加入タイミングが早い場合は払込期間を長く出来ますし、加入タイミングが遅い場合は払込期間は短くなりがちです。
もちろん、両方とも一長一短は存在しており、どちらを選択するのか?は人によって異なりますが、通常は加入が出来るだけ早い方が「選択肢が広がりやすい」というポイントを押さえておきましょう。
何故なら、仮に加入のタイミングが早かったとしても、払込期間を短くする事は可能です。ただ、加入タイミングが遅い場合は選択の余地は無く、自動的に短い払込期間でしか保険料を支払う事が出来ません。
加入タイミングによって満期との長さが変化し、加入タイミングによって払込期間の自由度が上下するというポイントをしっかりと押さえておきましょう。
目的から考える学資保険の加入タイミング
先程、加入タイミング・払込期間によって返戻率が変化するというポイントについてご紹介させて頂きました。これから「実際にいつ頃から加入するのが良いのか?」というポイントについて解説していきたいと思います。
出来るだけ早いほうが良い
学資保険はいつから加入するのが良い?という点に関しては、結論は1つです。「早ければ早いほど良い」という一点につきます。逆にいつまでに加入?という疑問については小学生に入学する前くらいを、基準に考えると良いと思います。
学資保険は払込期間によって返戻率やその他のメリット等、様々なポイントが変化してきます。ただ、どのような払込期間を選択する場合でも「早い方が選択肢が広がる」というポイントに変わりはないと言えます。
そのため、学資保険の加入はいつがベスト?というポイントは、早い方がベストだと言えます。では、いつから加入する事が可能なのでしょうか?この点については、保険会社によって対応が異なる部分でもあります。
ただ、妊娠中に加入する事が可能な学資保険が増えている事も事実で、妊娠の経過が順調であり、既に140日を経過しているというのが主な条件になっている所が多いです。(細かな条件は保険会社によって異なります)
妊娠中に加入した場合でも、生まれてくる前の段階で加入者になにかあった場合は保険料免除で子どもが保険金を受取る事が可能になっています。
また、子どもが妊娠中にもしもの事(死産等)があった場合は保険料の払い戻しが可能で、生まれてすぐに加入しておこうと計画している方は妊娠中に加入してしまうのも1つの選択肢だと言えるでしょう。(保険会社によって、保険料の払い戻しに関する詳細は異なります)
目的別の払込期間
先程、加入の時期は早ければ早いほど良いというポイントをご紹介させて頂きました。それにあわせて「おすすめの払込期間」という点を目的別にご紹介していきたいと思います。
出来るだけ返戻率を上げたい
出来るだけ返戻率を上げて保険金を受取りたい・資産運用の面が強いという方の場合は、出来るだけ早くに加入して「払込期間を短くする」というのがベストだと言えます。
払込期間が短くなるに応じて、返戻率は上がります。具体的には、保険会社によって大きく異なる部分ではありますが、ただ、18年のものと10年のものを、10年の学資保険の方が比較した場合に「2%~3%」程度返戻率が上がります。
300万円程度の保険金の場合は、6万円~9万円程度プラスしてお金を受け取る事が可能です。大学の教科書や雑費に当てられるくらいの金額なので、バカに出来ない金額です。
また、学資保険には進級ごと・進学ごとのように細かく受け取っていくタイプと、大学入学もしくは卒業時のようにまとめて受け取るタイプが存在しています。両者を比較した時に、まとめて受け取るタイプの方が返戻率は上がる傾向にあります。
返戻率を上げたい方は「短い払込期間」がおすすめで、プラスして「まとめて受け取る」というポイントを押さえておきましょう。
死亡保障・控除も重要視している
返戻率が高い事がベストではありますが、死亡保障や税金の控除と言ったような恩恵も受けたいという方の場合は、無理して払込期間を短くする必要はないと思います。
もちろん、最終的に保険金を受け取る時に返戻率が高い方がベストではありますが、払込期間を短くすると負担も大きくなってしまうというのも実情としてはあります。
そのため、返戻率をそれほど重要視しておらず、他の保障や恩恵を重視している場合は「余裕を持って支払っていける払込期間」というのも意識すると良いと思います。(払込期間が長過ぎると著しく返戻率が下がることもあります)
まとめ
学資保険の目的
- 子どもを大学に入学させる場合、必要性が高い
- 学資保険の利点は「返戻率・死亡保障」
加入タイミングと満期
- 払込期間が大きなポイント
- 払込期間の長さはバランスが重要
目的から考える加入タイミング
- 加入タイミング自体は早い方が良い
- 出来るだけ返戻率を上げたいは、払込期間を短く
- 税金・死亡保障の恩恵を受けたいなら払込期間を長く
今回は、学資保険の加入タイミングや払込期間というテーマで、学資保険の目的という基本的な部分から詳しく解説させて頂きました。
学資保険の払込期間というのは、様々な要素を変化させる重要なポイントになっています。しかし、その払込期間の自由度を決めるのは「加入タイミング」なので、もしも学資保険への加入を検討しているなら、出来るだけ早く加入しておいた方が良いでしょう。