株式投資をはじめる前に税金についておさらいしよう!株式投資で発生する税金とは

先日、金融庁より、定年を迎えた5年後の65歳から夫婦2人が30年間生きた場合に必要な生活資金として、2,000万円が必要だろうという報告書が提出され、今話題になっています。

近年、日本の平均寿命は、男女ともに、年々右肩上がりになっており、「人生100年時代」到来とも言われており、長生きすることはとても幸せなことですが、長生きすればするほど、老後に必要な生活資金は、ますます増えていくのが現実です。

高齢化社会が進む日本にとって、若い世代が老後の資金作りの一環として、資産運用をしていくという時代が到来しています。

資産運用と聞くと、利益が出ればいいけど、その分損失も出るのではないかと、マイナスイメージがつきがちです。

しかし、今の日本の金融商品(普通預金・定期預金など)は、金利が超低金利となっており、日本の金融商品では、資産を増やすことは極めて困難といえます。

資産運用は、金融商品にもよりますが、利益を得るだけはなく、損失を被るというリスクを伴うものが多くなっています。しかし、こういったリスクを受け入れなければ、私たちの老後の生活は、資金不足となり、生活が苦しくなってしまいます。

では、リスクを受け入れ、資産運用を行うにあたり、皆さんの身近にある資産運用の1つとして、株式投資があります。株式投資は、株の売買の差額で利益を得ることができ、証券会社の口座を開設すると、誰でも簡単にできる資産運用となります。

今回は、株式投資における税金に焦点当てて、株式投資で発生する税金には、どんなものがあるのか、そして、万が一、損失を被った時の対処方法などを詳しく解説していきます!

 

1.株式投資で発生する税金とは

まずはじめに、株式投資をしていると発生する税金にはどういったものがあるのか、2つお伝えします。

株式投資で発生す税金は、

  1. 譲渡益課税
  2. 配当課税

の2種類です。

それぞれどういった税金なのか詳しく解説します。

1.譲渡益課税

譲渡益課税とは、株を売却した時に得た利益に対して発生する税金です。

株式投資は、いかに株を安く購入し、いかに株を高く売却するかによって、大きな利益を得ます。

ある会社の株を1株1,000円で100株購入したとしましょう。1週間後にその株が倍の1株2,000円に値上がりしたので、このタイミングで100株全て売却するとします。

購入にかかった費用は、100株×1,000円で10万円、そして売却時には、株価が1株2,000円なので、100株×2,000円で20万円となります。

売却額から購入費を引くと、20万円-10万円で+10万円ですよね?

この+10万円に譲渡益課税が発生してきます。

ちなみに、購入時の株価よりも売却時の株価が下がっていると、損失が出てしまいます。株の売買で、損失が発生した場合には、譲渡益課税はかかりません。

譲渡益課税は、株の売買で利益が出た時に発生する税金であると、覚えておきましょう!

2.配当課税

株式投資で発生するもう1つの税金は、配当課税です。

配当課税とは、企業からの配当に関して発生する税金となります。

配当とは、企業から投資家に還元されるもので、企業から投資家へのプレゼントですね!

企業によって、配当金額は異なりますが、1株数円~何百円としている企業が多く、年に1~2回、決算時期あたりに還元されます。

配当は、全ての企業にある訳ではなく、一部の企業で発生してきます。さらに、配当は業績によって、前期まであったのに、今期から配当がなくなったり、逆に、今までなかった配当がなかった企業が、業績良好ということで配当を開始したりと、配当は注意が必要です。

配当金額も、ここ数年、一定の金額で還元されていたのに来期から1株50円から10円に減額されたり、逆に1株10円から50円に増額されたりと、変動があります。

では、配当をもらう方法は、どんな方法なのでしょうか?

配当をもらうには、その企業の株を保有していなければならないという条件があります。

企業によって、保有株数の条件が異なっており、最低100株という企業もあれば、500株、1,000株と配当をもらうために、多額の購入資金が必要な企業もあります。

2.株式投資での税金はどれぐらいかかるの?

前項で、株式投資で発生する税金は、譲渡益課税と配当課税の2種類ということは学びました。

では、譲渡益課税、配当課税それぞれ、どれぐらいの税金が徴収されるのでしょうか?

譲渡益課税

譲渡益課税で徴収される税金は、所得税15%住民税5%20%、そしてこれに、東日本大震災の復興資金の確保のために、2013年1月~2037年12月末日まで、復興特別所得税が加わり、20.315%の税金が徴収されます。

株の売買で、10万円の譲渡益が発生した場合、徴収される譲渡益課税は、10万円×20.315%で23,150円となります。実質、手元に残る利益は、76,850円ですね!

株で譲渡益が発生した場合には、20.315%分の税金が徴収されることを頭に入れておきましょう!

配当課税

配当課税で徴収される税金は、譲渡益課税と同様、所得税20%住民税5%20%+復興特別所得税の20.315%となっています。

譲渡益課税も配当課税も同じ税率となっているので、株式投資で徴収される税金は、一律20.315%と覚えておきましょう!

3.株式投資ではNISAを活用しよう!

株式投資で得た利益に関して投資家の方たちは、税金を納めなければなりません。でもせっかく得た利益や配当金から税金を徴収されるのは、やっぱり嫌ですよね?

実は、株式投資で得た利益や配当金に対して、税金が発生させない方法があるのです!それが、NISAです。

皆さん、NISAを耳にしたことはありますでしょうか?

NISAは、2014年1月からスタートした個人投資家に対する税制優遇制度で、日本語にすると、少額投資非課税制度と呼ばれています。NISAは、2014年~2023年までの間、利用できる

制度となっています。

NISAを利用すれば、利益に対して徴収される20.315%の税金が発生しない(非課税)ので、株式投資で得た利益や配当金は、丸々自分のものになるという訳です。

個人投資家にとっては、有難い制度ですよね!では、NISAについてさらに詳しく見て行きましょう!

NISAには非課税限度額や非課税期間が設けられている

NISAは、株式投資で得た利益や配当金が非課税になる制度でしたよね?実は、NISAには、非課税限度枠が設けられています。

非課税限度枠とは、毎年120万円の投資分に対して発生する利益や配当金が非課税となります。そして、非課税期間は、5年となっています。

ここで注意したいのが、120万円分の利益や配当金ではなく、投資分に対して非課税になるということです。分かりやすく例を出していきますね!

ある企業の株を50万円分購入し、20万円の利益が発生したとしましょう。この例でいくと、非課税限度枠120万分として使用されるのは、20万円の利益ではなく、購入分の50万円が、非課税限度枠として使用されます。50万分使用されたので、残り70万円の購入分に対して発生した利益や配当金が、非課税になるということになります。

余った未使用の非課税限度枠が翌年に繰り越すことは可能?

毎年120万円の投資分に対して発生する利益や配当金が非課税になるNISA。もし、今年の非課税限度枠が、50万円分余ったとします。この余った50万円分を翌年に繰り越し、非課税限度枠を120万円+50万円で170万円に増額できるのでしょうか?

結論は、余った未使用の非課税限度枠は、翌年に繰り越すことはできません。もし、非課税限度枠が50万円分余ったとしても、この50万円は捨てることになり、翌年の非課税限度枠は、120万円となりますので、注意してください。

2014年に購入した株が、5年間の非課税期間の満了を迎えました。この場合、満了以降はどういった扱いになるの?

2014年からスタートしたNISA。スタート時に購入したある企業の株を、非課税期間の5年間、ずっと保有し続けていて、6年目以降も保有したい。でも非課税期間は5年間だし、その後の扱いをどうすればいいのか分からない、そんな方も多くいらっしゃると思います。

この場合、特定口座や一般口座に移管するという方法があります。しかし、特定口座や一般口座に移管してしまうと、利益や配当金に対して、税金が発生してしまいます。

では、税金が発生しないようにするには、何か方法はないのか気になりますよね!NISAにはロールオーバー(非課税期間延長)という制度があります。

ロールオーバーとは、もし5年間の非課税期間を終えて、さらにNISA枠で株を保有したい場合に、さらに5年間、非課税期間を延長できる制度となっています。

もし、2014年にある企業の株を50万円分購入し、さらに5年間ロールオーバーを利用した場合、2019年からまた新たに5年間、発生した利益や配当金が非課税となります。

ロールオーバーした場合には、新たにNISAを始めるというような扱いになり、ロールオーバー開始時の年の非課税限度枠を利用する形になります。

ロールオーバーをする際に注意しておかなければならないのが、ロールオーバー時に使用する非課税限度枠の対象となる投資分は、当初の投資分ではなく、ロールオーバー時の企業の株価が使用されます。

どういうことかといいますと、2014年に50万円分(1株5,000円×100株)の株を購入したとします。そして、2019年からロールオーバーをする場合に、その時点で、2014年に購入した企業の株価が上がっていて、価値が、100万円(1株11,000円×100株)になっています。

この場合は、非課税限度枠の対象となるのは、2014年の購入金額50万円ではなく、2019年のロールオーバー時点での企業の株価、1株11,000円となり、非課税限度枠の対象は、100万円ということになります。

なので、2019年の残りの非課税限度枠は120万円-100万円で20万円になるということになります。

ロールオーバーをする際には、ロールオーバーをする企業の株が、その時点でいくらなのかを把握しておく必要があります。

もし、ロールオーバー時点で、企業の株価が大きく値上がりしており、価値が200万円になっていたとしても、120万円を超過している80万円が、課税対象になる訳でなく、全額ロールオーバー可能となります。

しかし、ロールオーバーをする年の非課税限度枠120万円は全額使用したことになり、新たに株を購入する場合は、その株で得た利益や配当金に対しては、NISAを利用することが出来ず、課税対象の特定口座か一般口座で保有する形となりますので注意しましょう!

株式投資で得た利益や配当金が非課税になるなら、開設している証券口座全てで、NISAを活用したらお得?

株式投資で得た利益や配当金が非課税になるのであれば、積極的にNISAを活用していきたいですよね?

株式投資をしている人の中には、いくつもの証券口座を開設している人も多いでしょう。では、開設している証券口座全てにおいて、NISAを活用することは可能なのでしょうか?

残念ながら、NISAは、1人1口座のみとなっています。やはり、税制優遇制度となっているためそんな甘くはないようです。もし、NISA口座を開設するのであれば、よく利用する証券口座で開設した方が便利でしょう!

もし、NISA口座を開設した証券口座を使用しなくなった場合やよく利用する証券口座が変更なる場合には、1年に1度だけ、NISA口座を変更することが可能となっています。

4.株式投資での損失に対して、優遇制度はないの?

株式投資で全ての人が利益を出せる訳ではありません。最初は順調に利益を出していた人でも、いきなり調子が悪くなり、利益よりも損失が大きくなる可能性もあります。

しかし、株式投資で損失を出してしまったら、ある2つの制度を上手に使いこなせば、支払う税金を節税できるかもしれないのです!

ここでは、株式投資で損失を出してしまった場合のある2つの制度について、ご紹介します!

1 .株式投資で得た利益と損失の損益通算を行う

株式投資で得る利益には、株の売買で得る譲渡益と企業からもらえる配当所得があります。

例えば、企業Aへの株式投資で、50万円の譲渡益が発生したとしましょう。この場合、NISA口座ではなく、特定口座や一般口座で企業Aの株の売買を行った場合、50万円の利益に対して、20.315%の税金が徴収されます。徴収される税金は、50万×20.315%で101,575円となります。

一方、企業Aの他に、企業Bへの株式投資を行っていて、こちらでは、10万円の損失が出てしまったとしましょう。この場合、企業Aの50万円の譲渡益と企業Bの10万円の損失を相殺することができるのです!

どういうことかというと、50万円の譲渡益-10万円の損失で40万円の譲渡益が発生したということになります。40万円の譲渡益に対して徴収される税金は、40万円×20.315%で81,260円となります。

企業Aで徴収された税金が101,575円だったので、企業Bの10万円分の損失を相殺することにより、101,575円-81,260円で20,315円の税金が確定申告をすることにより還付されるしくみとなっています。

株式投資で損失を出してしまった場合で、他に譲渡益がある場合には、忘れずに確定申告を行いましょう!

2 .損失の繰越控除

先ほど、株式投資で得た利益と損失を相殺できる損益通算のしくみについてご紹介させて頂きました。

しかし、損益通算を行っても、損失が大きすぎて、まだ損失が残ってしまうこともありますよね。その場合、残ってしまった損失を、3年間損失の繰越控除を行うことができる制度があります。

例えば、2015年に、50万円の譲渡益と100万円の損失が発生し、損益通算を行った結果、50万円の損失が残りますよね?この残った50万円の損失を、確定申告をすることによって、2016年、2017年、2018年の3年間、株式投資で得た利益と相殺することが可能となります。

2015年に損失が50万円、翌年2016年に、株式投資で30万円の利益が出た場合には、2015年の50万円の損失と2016年の30万円の利益が、損益通算されて、20万円の利益になり、2016年の30万円の利益に対してではなく、損益通算後の20万円の利益に対して、税金が徴収されるので、徴収される税金が少なくなり、節税効果が発揮されます。

損失の繰越控除も、確定申告をしないと使用できないので、必ず確定申告を行うようにしましょう!

5.まとめ

資金作りの1つとしてせっかく始めた株式投資。しかし、稼いだ利益に対しては、がっつり税金が徴収されてしまいます。どういった税金が発生するのか、いくら徴収されるのかを知っているのと知らないのでは、やはり株式投資をする上で、大きなハンデとなってしまいます。

そして、株式投資をするのであれば、NISA制度や損失と利益の損益通算、損失の繰越控除はぜひともおさえておきたいところです!

株式投資で利用できる制度は最大限利用し、上手に利益を生み出せば、無駄な税金を徴収されることなく、資産を増やしていくことができるでしょう。

株式投資をするのであれば、無理に生活費を削ってまでするのではなく、余裕のある資金を使用して行ってくださいね!

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