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不動産投資はサラリーマンの副業や退職後の収入源として、注目の投資方法ですが、安易に始めてしまうと危険な罠にはまってしまうこともあります。
不動産投資は、管理会社に任せきりで収入が得られる場合も多く、不労所得の典型ともいえ確かに魅力的な投資方法です。
しかし、そこには危険なリスクが潜んでいることを忘れてはいけません。
基本的に不動産投資は、その他の投資に比べて多額の資金が必要です。不動産投資に潜むリスクを理解しておき、後で後悔することがないようにしたいものです。
今回は不動産投資に潜む5つの危険性について解説していきます。これから、不動産投資を始めるにあたって、ぜひ参考にして下さい。
不動産投資の危険な罠
不動産投資は、入居者さえ確保できれば家賃収入を毎月、長年に渡って得ることができる安定した投資方法として、人気があります。
人は誰しも住居がなければ暮らすことはできず、不動産は、水や食料と同様に私達の暮らしに欠かすことができません。
幸運にも自分で住宅を所有する人もいれば、賃貸物件にて住宅を確保する人もたくさんいます。
その賃貸ニーズにあやかって、収益物件を購入し、家賃収入を得るのが不動産投資の基本です。賃貸ニーズにかなった物件であれば、それこそ長年に渡って不労所得を得ることも夢ではありません。
不動産投資を始める理由
では参考までに、実際に不動産投資をしている人たちはどのような理由から始めているのかを見ていきましょう。
いくつかのメジャーな不動産投資サイトにて、皆さんが始めた理由を調べてみました。
20代、30代
若い世代の人たちは、「老後」というのはまだまだ先の話です。定年後や高齢時の生活も心配する人もいるにはいますが、ピンとこないのが現状でしょう。
不動産投資を始める理由も・・・
- 現在の収入が途絶えた時にため
- 病気や事故で働けなくなった時のため
- プラスアルファの副収入にしていくため
といったように、将来的な需要に備えて、貯蓄できる余分な収入を得ていきたい、というのが概ねのところです。
40代、50代
人生の半ばを過ぎたあたりから、定年後や高齢時というのが、徐々に現実的なものとして意識し始める人も多くなるようです。
このあたりの年代では資金的に余裕がある人もいるようです。
- 定年後の収入源とするため
- 余裕資金があるため
- 高齢時の医療費や介護費を確保しておくため
とうように現実的な対策となってきます。
60代~
60代以上になってくると、いよいよ「老後」というのは他人ごとではありません。実際に退職金や、余裕資金を使って、高齢時の生活費や家族に残す資産として、不動産投資を行う人が増えてきます。
- 退職金の使途として
- 住宅ローンの返済が終わったから
- 高齢時の収入源や子供に残す資産として
などという声が聞かれています。
騙されてはいけない5つの危険性
年代によって、不動産投資を行う理由に若干の差はありますが、共通しているのは、誰もが不動産投資にて一定の収入が得られることをあまり疑っていない、ということです。
しかし、先述したようにアパートや戸建などの住宅は、私達にとって必要不可欠なものであるが故、その需要に疑問を持つ人も少なくなる傾向にあるのです。
やり方さえ間違えなければ、ある程度の収入は見込めるだろう・・・と安易に思ってしまう人も多いのです。そんな思いから、知らず知らずに、つい悪質な業者に騙されてしまう人も出てしまうわけです。
そこで今回は、一見すると、手堅く安定した投資方法にも思える不動産投資の危険性を5つ解説していきます。
その広告で大丈夫?
近年では、何をするにおいても一般的にインターネットで検索する人が増えています。
不動産投資を行う際には、投資用収益物件などを専門に扱っている不動産会社や、不動産投資会社を検索するものです。中には、たまたまポストに入っていた広告等を参考にする人もいます。
収益物件を勧める不動産会社に共通しているのは、得てして不動産投資のメリットばかりが強調されていることです。
よくある不動産投資の広告
では、具体的にどのような甘い言葉を使った広告があるのか、そして、その裏に潜むリスクについて解説していきます。
自己資金ゼロ円で始められます!
一番よく見かける宣伝文句は、自己資金ゼロ円、頭金ゼロ円で不動産投資が始められる、といった言葉です。
これは、ある程度経験を積んだ社会人であれば、
「いやそうは言ってているけど、結局は何だかんだと費用はかかるのだ」
「いや結局は、ローンで返済していくのに変りはない」
と承知の上で、その他の情報を見ていきます。でも実際に、本当に全くのゼロ円で始めることも可能なのです。しかし、初期費用ゼロ円で始めて結局損するのは自分です。
自己資金ゼロ円の危険性とは?
自己資金ゼロ円、頭金ゼロ円の危険性とは、
- 本来かかる収益物件が割高に設定されてある場合がある
- 不人気な物件のみ紹介される可能性がある
- 融資額が高額になるため利息の返済が大きくなってしまう
- 許容範囲以上の投資金額でもつい無理してしまう
などのリスクが潜んでいるのです。
思わず納得してはいけない言葉
他にも、用心していても、思わず納得してしまいがちな言葉の代表的なものを見ておきましょう。
今だけ、あなただけにこの価格で販売します。
そんなことはありません。常にお得な物件は、いついかなる時でも探すことは可能ですし、あなた1人に使われている言葉ではありません。
公的年金もどうなるかわからないですよ。
確かに、このまま少子高齢化が進むと年金の行方は不安です。でも、だからといって、今すぐその物件を購入することが解決策になるわけではありません。
年金が不安だからこそ、確実に成功できる物件を慎重に探すことが大切です。
節税対策や保険替わりになりますよ。
これは、根拠がないわけではありませんが、かなり語弊のある表現となります。
その他の不動産や事業の収入がある人にとっては、減価償却が可能な物件を購入することで節税することが可能です。また、融資を受ける際に、借入者は万が一の時(死亡など)には返済が免除される保険がついていますが、その他の保険が不要になるわけではありません。
など・・・
※以下のサイトでも、不動産投資の甘い罠について解説されています。
その物件で大丈夫?
次に2つの目の危険性とは、物件を探す時のリスクです。
まず初心者が最も騙されてしまいやすい物件に、「高利回り物件」というものがあります。ここで、利回りに関するリスクを知っておくことが大切です。
高利回り物件
収益物件を探していると、至るところで「利回り〇%!」「高利回り物件!」という言葉を目にします。この利回りとは、あくまでも表面利回りのことになるのです。
表面利回りとは
ここでいう利回りとは、あくまでも満室が365日続いた場合の計算です。基本的に、賃貸ニーズの高い物件ほど、利回りは低くなる傾向にあります。高利回りの物件が必ずしも、実際の収益につながるわけではありません。
例えば、東京都23区の賃貸ニーズの高い地域で5.6%の利回り物件があったとします。そして、一方では利回り14.5%の地方郊外(山奥の)物件があったとします。
どちらが、実際の家賃収益は高くなるでしょうか。一概にはいえませんが、常識でいくと東京23区の物件の方があきらかに空室率は低そうですよね。
高利回り物件はリサーチが重要
利回りはあくまでも目安となる数字であって、実際の収益率を表したわけではないの注意しましょう。
ただ、賃貸ニーズを見極めるリサーチを十分に行うことで、高利回りの物件の中にも、賃貸ニーズの高い物件を探すことは可能です。
賃貸ニーズの例
- トヨタの新工場が開設予定
- 空港が開設予定
- 人口流入率が増加傾向にある
- 出生率が増加傾向にある
- 観光事業に力を入れている
- 外国人受け入れ制度を強化している
など・・・
※不動産の利回りの相場はこちらの記事を参考にしてみて下さい。
その収支で大丈夫?
それでは次に不動産投資に潜む危険性として、投資額や融資額と収入のバランスについて解説していきます。
先述したように、不動産投資は場合によっては、本当に資金ゼロ円から始めることが可能です。また、金融機関によっては多少無理な融資でも審査に通ることもあり得ます。
とくに、物件を販売する側にしてみれば、できれば高額な物件を1人でも多くの人に販売したいのが本音です。極端な話、ローンの審査にさえ通過すれば物件を販売した利益は入手できます。
後のことは関係ないという態度で、
時には、相手の収支状態など無視して話が進められてしまう場合もあるのです。
b融資やローンは借金と同じ
いくら月々に少額から返済できるとしても、融資を受けてローンを組むということは、借金と全く同じことなのです。要は、500万円、1,000万円、2,000万円のお金を借金して、返済していかねばなりません。
この感覚が、不動産投資では家賃収入が入ってくるという期待があるため、マヒしてしまう場合も多々あります。
想定した家賃収入は、あくまでも想定でしかないことに注意する必要があります。
収入に応じた支出
例えば、普段の生活にて洋服や家電、家具や日用品を購入する時は、今月の収入がいくらだから、いくらのものなら購入できる、とそれぞれ判断しています。
貯金がある場合でも、その貯金から、では今回の購入金額はいくら以内に抑えようなどと計画を立てます。
ところが、不動産投資においては、確定していない収入を頼りに無理な支出を計画してしまいがちです。
家賃収入まだ主収入ではない
ここで、ポイントとなるのは、最初はあくまでも家賃収入は副収入として考慮することです。余裕を見て少な目に計算しておくことが大切です。
給与収入や事業収入にて、まずは収入がいくらあるのかを基盤に借入額を決めていきましょう。その上で、月々いくらの返済なら可能なのかが見えてきます。
無理な支出計画は控える
実際には、給与収入にて余裕があるのは5万円、でも家賃収入を期待して10万円の返済したとします。もし、これで空室が続いた場合はどうなるでしょうか。
さらに借金をつくって返済しなければなりません。
※こちらの記事では、不動産投資の2つの利益についてご覧頂けます。
その契約で大丈夫?
不動産投資の危険な罠として注意する、最も重要な内容は不動産会社と結ぶ契約内容です。
契約内容をしっかりと確認していなかったため、不利な条件で契約を結んでしまい、後で後悔することもあります。
ですから、契約書は印鑑を押す前に必ず確認することが大切です。
不動産売買契約における確認項目
では、必ず確認しておきたい契約項目を挙げておきたいと思います。
- 不動産物件の詳細、面積、図面など→詳細は購入する物件と相違はないか
- 物件の購入金額→手付金(頭金)、支払い方法は正しく表記されているか
- 物件の引き渡しと登記の時期→どの時点で引き渡し、登記が可能か
- 契約解除方法→やむを得ない理由により契約解除は可能か、また方法は?
- 違約金→契約違反した際の違約金の規定は
- 危険負担→物件の引き渡しまでの間に起きる損害に対する補償
- 瑕疵担保責任→物件に非告知の欠陥が見つかった場合の補償
- 抵当権の抹消→売主が抵当権を抹消するのは約束されているか
- 各種手数料・残預金→物件の受け渡しまでに支払う金額の確認
などが、最低でも確認・理解しておく内容となります。
サブリース契約
他にも、最近では不動産会社が収益物件の家賃を補償するサブリース契約というものがあります。すべてのサブリース契約が危険だとはいえませんが、中には問題だらけの詐欺まがいの契約もあるので注意して下さい。
では、サブリースとは何なのかをご説明いたします。
サブリースとは
サブリースとは、不動産会社が賃貸物件のオーナーに「一定額の家賃を補償する制度」のことです。これを聞いて、そんな制度があるなら安心だ、と思って安易に契約すると、そこに落とし穴があります。
サブリースの仕組みは、
この借り上げは、契約によって2年、5年、10年、または20年以上と契約期間もいろいろありますが、法的にはオーナーの方から解約解除がしづらい仕組みとなっています。
サブリースによる危険性は
家賃が補償されれば確かに安心ですが、サブリースには以下のようなリスクが生じます。
- 不動産会社の判断で家賃が下げられてしまう
- 敷金・礼金・更新料は不動産会社の収入となる
- 1カ月前に予告するば不動産会社は一方的に解約が可能
- メンテナンスに手を抜く会社もある
- その不動産会社が倒産する可能性もある
など、最近では実情を知らずに契約してしまった多数のオーナーによって裁判沙汰となるケースも多く見られています。
※不動産の具体的な失敗例について、以下の記事も参考にしてみて下さい。
そのローンで大丈夫?
それでは、5つ目の不動産投資の危険性として、不動産投資ローンについて解説していきます。
クレジットカードの分割払いのように、ローンを組めば月々少額から返済していけますから、不動産のように高額な買い物の場合は大変便利です。
しかし、不動産投資ローンにはいろいろあって、それぞれ金利が異なります。
いかにトータルの融資額に無理がないとしても、20年、30年と長年に渡って払い続ける金利だけでも相当な額になってしまいます。
安易に、審査の通りやすさなどでローンを選んでしまうと、後で利息の支払いに苦しむ結果となりかねないので注意して選ぶ必要があります。
不動産投資ローンの金利の相場
不動産投資ローンまたはアパートローンの金利の相場は、
概ね1.5%~4.5%ぐらいです。
金利が低い順番に、
- 大手銀行系ローン
- 地方銀行系ローン
- ネット銀行系ローン
- 消費者金融系ローン
となり、金利が低い金融機関ほど審査は厳しくなる傾向にあります。低金利、短期間にてローンを組むのが理想的ではありますが、それぞれの状況によって組めるローンが異なってしまいます。
金利の負担を抑える対策
金利の負担を抑える対策として、
- 頭金を多めに払う
- 返済期間を短くする
- 物件自体の見直しをする
- 物件購入の時期を改める
などの方法があります。
※アパートローンに関する記事がこちらからご覧頂けます。
※また、ローンと利息、ローンの選び方はこちらの記事も参考にして下さい。
まとめ
物件探しや支払い方法を不動産会社に相談していく過程では、売り上げを上げたいがために納得のいかない条件・無理な条件でも、その気にさせようとする営業マンもいます。
家賃収入があるから大丈夫、高利回りだから大丈夫
あなたの年収なら大丈夫、この物件なら大丈夫
この金利なら大丈夫、月々の返済額は少ないから大丈夫
などと様々な方法であなたを説得しようとするでしょう。でも、そこで一旦、冷静になって考えることが大切です。不動産投資を行う時には、もう1度自分に問いかけてみましょう。
- この地域でどのような賃貸ニーズが存在するか
- 実質の利回りはどれくらい見込めそうか
- この年収でいくらの借入なら無理がないか
- なぜこの物件がいいと思ったのか
- この金利だと30年でいくらになるか・・・
- 本当に今、この物件に決めるべきか・・・
全国には数えきれない程の物件があり、中古物件、空き家物件は余り過ぎて問題になっている程です。購入する物件が逃げてなくなってしまうわけではありません。
不動産の購入は数万円の話ではなく、数百万、数千万の大きな買い物です。そして、その金額を支払っていくのは他の誰でもなくあなた自身なのです。
内容がわからないまま、納得がいかないまま、知らずに了承することがないように、慎重に取り組むようにしたいものです。