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消費者金融や銀行などの貸金業者に借金をしていたが返済できずに2か月以上延滞した、自己破産・個人再生・任意整理といった債務整理を利用した、といった事情がある方は、信用情報機関に事故情報が登録されて、新たな借入ができない、いわゆるブラックリストという状態になっています。
このような状態にある人に対しては「ブラックでもお金借りられます」というDMや、スマートフォン・携帯にSMSでメッセージがくることになります。
このページでは、「ブラックでもお金が借りることができる」という業者から借り入れをしたらどうなるか、とどうしても必要な場合の方法についてお伝えします。
「ブラックでもお金が借りることができる」とするヤミ金融について知ろう
まずは、ヤミ金融とそれを取り巻く環境について知りましょう。
ヤミ金融とは
ヤミ金融に明確な定義はありませんが、「法律に規定されている登録をしないで貸金業を営んでいる者もしくは利息制限法・出資法に違反する利息で貸し付けをする者」と考えてください。
お金を貸して利息で収入を得る商売をするためには、貸金業法に基づく登録をしなければならず、これに違反して貸金業をおこなうと、刑事罰の対象になります。
また仮に貸金業法の登録を受けている場合でも、利息制限法・出資法の規定した利率に違反するような貸付を行う場合には刑事罰の対象になります。
ヤミ金融はこういった法律の規定をまもらない業者のことをいいます。
参考法律
利息制限法
(定義)
第二条 この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介…で業として行うものをいう。
利息制限法
第五条 2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
ヤミ金融の特徴
ヤミ金融の特徴は、次のような点にあります。
信用情報が原因で貸金業者から借り入れができない人を対象にしている
信用情報機関に事故情報が登録をされた人については、いわゆるブラックリストといわれた状態になります。
正規の貸金業者が貸付をするにあたっては必ず信用情報情報を参照して貸し付けを行いますので、事故情報の登録があると貸付を行いません。
新たな借入ができなくなっているので、冠婚葬祭のように急にお金が必要な事態になると、非常に困ってしまうような窮状につけこんで貸付をするのがヤミ金融の特徴です。
違法に収集した口座・携帯電話を保有している
貸金をするからには、資金の受け渡しをするための銀行口座・連絡をするための電話を保有している必要があります。
当然ながらヤミ金融をするために正規のルートで口座を開設したり、携帯の借り入れをできるハズはありません。
これらは実は、別のヤミ金融が返済に窮した依頼者から、返済の代わりに口座を開設させたり、携帯電話を契約させたりしたものを利用しています。
後述するDMやショートメールには申込先としてほとんどのケースで携帯電話が指定されているのは、このような事情によるものです。
DMやショートメールなどで勧誘してくる
勧誘方法としてはDMやスマートフォン・携帯のショートメール機能を利用して勧誘をしてきます。
当然ながら、だれの目にも触れる有料の広告などは利用できるものではありませんので、このような方法しかとれないのです。
非常にたくさんの情報をあつめる
ヤミ金融は貸し付けにあたって、本来の貸金業者よりも広範に情報を収集します。
通常貸金業者から借り入れする際には、勤務先・緊急連絡先程度のもので、勤務先はほんとうに働いているのかを確認するために利用します。
しかしヤミ金融は、こういった情報はもちろん、緊急連絡先としても親族、親族の職場、勤務先の親会社など、借り入れには不必要な情報まで取得します。
これらは当然ながら返済が出来なくなったときに、知れている連絡先全てを攻撃するために収集しますので、教えた連絡先には基本的にすべて迷惑がかかると考えましょう。
法定の利息を超える貸し付けを行っている
上述の通り、利息には利息制限法・出資法に規定された制限があり、それを超える貸し付けをした場合には「犯罪」になります。
ヤミ金融はこの規定を超える違法な利息での貸し付けを行っています。
よくヤミ金融の利率については「トイチ」「トニ」「トサン」という言葉が使われますが、これらは10日で1割・2割・3割の返済をする、というものです。
つまり、2万円の貸付を受けた場合には、10日後に利息だけで2,000円・4,000円・6,000円の返済をするというものです。
その利率はなんと、トイチで365%、トニで730%、トサンともなると1095%もの利息を払っていることになります。
完済をさせない
ここまでのお話しをしていると、「苦しい状況で貸してくれるのだから、それくらいの利息で済むのであれば払ってしまって返済をすればいいではないか」という方も中にはいらっしゃいます。
しかし、「返済自体はできる」人を見逃してくれるほど甘くはありません。
ヤミ金融からの借り入れをした人は、毎回返済期日前に指定される口座に振り込むことになるのですが、その口座が毎回違うというのはよくある事です。
これは、上述したとおり、ヤミ金融からの借り入れは違法なもので、そのためにつかっている銀行口座は、警察の権限で閉鎖することができるため、毎回同じ口座に入れられるかどうかがわからないからです。
そして、返済ができる人に関しては、この直前の指定口座の連絡が来ず、ヤミ金融に問い合わせをしても電話に出ないことがあり、支払いが遅延することになります。
相手の事情で遅延したにもかかわらず、延滞金の請求をされて、返済ができなくなるまで回収しつづけるのがやり方です。
過酷な取り立て
ヤミ金融への返済ができなくなった場合には、過酷な取り立てが待っています。
通常の貸金業者からの取り立ては、電話・通知と自宅・会社への直接訪問が限度で、その態様についても貸金業法・金融庁のガイドラインに違反しないような形でおこなわなければなりません。
しかし、ヤミ金融にこういった規則を守ってくださいというのが無理であって、過酷な取り立てをされることになります。
過酷といっても、テレビや漫画などで出てくるような、身体に直接の危害を加えたり、女性でいうと風俗業での勤務を強要される、とういものではなく、彼らが違法に所有している携帯電話で行うことができる迷惑行為に限定されます。
ヤミ金融は、暴力団などの犯罪集団とのつながりが深いので、たとえ末端の者でも逮捕されるようなことがあると、そこから芋ずる式に多数の逮捕者が出るのが通常です。
また刑事事件になったときには、情状酌量のための刑事弁護活動として、被害者に被害弁償を行うのが通常で、ヤミ金融から借り入れをしたものは、利息は当然・元金も返済する必要がないとされており、被害弁償にすごい量の金銭が必要になります。
こういった事情から、実はヤミ金融が一番おそれるのが、足がついた結果逮捕されることなのです。
ですので、違法に取得した携帯電話をつかってできる迷惑行為をすることによって督促を行うことになります。
連絡先がわかっている、親族・知人・職場などに電話連絡をすることになり、その内容も通常の貸金業者のようなものではなく、威圧的なもの・脅迫的な内容・大きな声量で行うなどで、精神的にまいって何をしてでも支払わせるのを目的としています。
職場にそのようなものが行われると、法律上の解雇ができないような場合でも、事実上居づらくなって退職せざるを得ないという事もあります。
逆に、たとえば自宅ドアや近辺に返済を迫る張り紙をする、自宅や職場に押しかけて身体に危害を加える、などの行為は逮捕をされる可能性があるので行いません。
解決は弁護士・司法書士に依頼するか、督促がこなくなるまで逃げるかしかない
この問題はどうやったら解決するかというと、弁護士・司法書士に依頼をするか、督促が来なくなるまで関係者全員が耐えるしかないというのが特徴です。
弁護士・司法書士は債務整理の一環としてヤミ金融問題の解決の依頼を受けています。
通常の任意整理の場合には、弁護士・司法書士に依頼をすれば本人に対する督促をしないのが金融実務上のルールになっていますが、ヤミ金融に関しては犯罪者集団なので金融実務上のルールを守るはずもありません。
弁護士・司法書士は警察・金融機関と連携をして、ヤミ金融の携帯電話や銀行口座を凍結するための行動を行います。
ですので、弁護士・司法書士が介入した場合、携帯電話や銀行口座がもったいないと考えるヤミ金融は督促をしなくなることはあります。
とはいえ、それも100%ではありませんので、ヤミ金融が弁護士・司法書士相手でも督促が止まらないことがあります。
弁護士・司法書士は、相手の携帯電話・銀行口座凍結のための行動をとってくれますが、これらもすぐに効力があるものではないので、督促自体をとめる直接の手段はないのが現状です。
問題の解決は結局被害を出さないと終わらない可能性があるという事をしっておきましょう。
被害者はヤミ金融の共犯者であると判断される事も
すこし上述したのですが、返済ができない状況になった際に、ヤミ金融側から「今回返済は良いので、銀行口座を差し出してくれないか」「利息の返済のかわりに携帯電話を作って送ってくれないか」と持ち掛けられることがあります。
返済に窮しているときなので飛びついてしまう方もたくさんいらっしゃるのですが、この行為によって「ヤミ金融に協力をしている」と判断される可能性があります。
つまり、ヤミ金融は手に入れた銀行口座・携帯電話を利用して営業しているので、こういったものを供出することは、ヤミ金融の営業を助けていることになるのです。
その結果警察から事情聴取されたり、銀行口座が凍結されるときは、全部の銀行口座が使えなくなり、あたらしく口座をつくることができなくなる結果、日常生活がままならなくなることがあります。
生活福祉資金貸付について
「ブラックでもお金が借りることができる」というヤミ金融は使えないとして、一時的にお金がなくなってしまうという事態には、どのような対策を打てるのでしょうか。
実は、市区町村に借入をすることができる、生活福祉資金貸付という制度があります。
この借り入れは低所得者・障がい者などの状態にある人が、生活に必要最低限の資金が必要になった場合に貸付を行うもので、制度の運営のための申し込み受付などの事務処理は、居住している地域の社会福祉協議会などが行っております。
詳しい制度の解説は
こちらのホームページを参照にしてください。
まとめ
このページでは、「ブラックでもお金が借りることができる」というDMやショートメールの主であるヤミ金融からの借り入れにより、どのような事態に陥るかと、緊急の対策手段としての生活福祉貸付についてお伝えしてきました。
借入金の延滞や債務整理をした事情があるような場合には、もともとの生活が苦しい場面も多く、急なものいりに対して借り入れをできなくなった状況で、非常に苦しい思いを強いられるケースは多々あります。
そのような場合に、ヤミ金融からの借り入れをすると、さらに厳しい状況に追い込まれる事になりますので、どうしても必要な場合には、生活福祉貸付の制度を利用することを検討してみるべきで、それには時間的に余裕をもった行動が必要であるということを知っておきましょう。