不動産価格はどう決まる?価格情報の調べ方と3つの鑑定評価方法を覚えよう!

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不動産投資をする場合、土地や建物の価格がどの程度になるのかを知っておく必要があります。今回は、不動産価格の調べ方と、購入を決める際の指標について詳しく解説します。

不動産の価格は誰が決めるのか

株式の場合は、証券取引所で取引されているので、需給によって値段が決まります。しかし、不動産は相対取引なので、不動産の価格を決めるのは売主です。もちろんその前提として、不動産会社に相談しますが、売主がこの価格なら売りたいと思う値段が不動産の価格になります。

例えば、投資用ワンルームマンションがどれぐらいの価格で売却できるのか、不動産会社に問い合わせをしたとします。不動産会社の担当者は、不動産を見て次の手順で査定していきます。

1.中古マンションの価格情報が掲載されているレインズで、同じマンション内の違う部屋がどのくらいの価格で売却できたかを調べる。

レインズ・マーケット・インフォメーションは、宅地建物取引業法に基づいて収集した、実際の取引価格情報です。

2.その部屋がどのくらいの賃料で貸せるか調べる

次に、賃料を調べます。投資用不動産の場合、投資家は利回りがどれくらいになるかを購入の判断基準にするからです。利回りは、次のような計算色になります。

  • 利回り=年間の賃料 ÷ 購入価格

3.マンションの立地や築年数、駅の人気度などを調べる

ワンルームマンションの場合は特にそうですが、次のような条件によって不動産価格は大きく異なります。

 

1マンションの立地や周辺の環境

2.駅からの距離

3.築年数はどのぐらいか、新しいのか古いのか

4.急行等は止まるのか違う路線が乗り入れている駅なのか

 

このような手順を踏んで、不動産業者の担当者は依頼者のマンション価格を査定します。ただし、これで価格が決まるわけではありません。査定額が安過ぎると判断した場合は、売主は断ってくるからです。もしくは複数の不動産業者に頼んで、1番高く査定してくれたら会社に依頼することもあります。

しかし、その価格で売れるかどうかは別です。最終的な売買価格、市場が決めることになるからです。高すぎる価格ではいつまでたっても買い手が現れません。その結果、値段を下げることになります。不動産の価格を決めるのは、売主ですが、最終的な売却価格は市場で決まるのです。

不動産を購入する場合、不動産会社へ相談する前に、まずは自分で情報収集をしましょう。自分で情報を集めることで、ある程度不動産価格のイメージを持つことができます。ただし、そのイメージが間違っている場合もあるので、過度に先入観を持たないようにしましょう。イメージをつかんだら、不動産会社へ具体的な相談をするようにしましょう。

不動産の価格

不動産価格には、実際の取引価格以外に、公示価格、基準値標準価格、相続税評価額、固定資産税評価額などがあります。売買しようとする不動産の価格を知る上で参考となる取引事例は簡単に入手できるものではありませんが、比較的容易に入手できる個別の価格情報を物件種別ごとに紹介していきます。

公示価格

公示価格は、国土交通省管轄で、毎年 1月1日を基準日として3月下旬に発表されます。一般の土地取引の指標になっていて、公共事業用地取得の価格基準になっています。

基準値標準価格

基準値標準価格は、国土計画利用法に基づき、都道府県知事が毎年7月1日時点の基準値の標準価額を判定し、9月下旬に発表をしているものです。公示価格の補完的役割を担っており、国が行う公示地価公示と合わせて、一般の土地取引の指標となっています。

相続税評価額(路線価)

道路に面している標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格は、路線価をもとに計算されます。このほか、路線価図がない地域の評価方法が書かれている、評価倍率表というものがあります。

路線価は国税庁の管轄で、毎年1月1日基準日・7月上旬に発表されます。評価水準は公示価格の80%程度になります。相続・遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用されます。

固定資産税評価額

固定資産税評価額は、市町村区分管轄で、固定資産税・不動産取得税・都市計画税などの産出基準になっています。基準日は1月1日で、3年ごとに見直しが行われます。発表は3月下旬。氷菓水準は、公示価格の70%程度になります。一般に公開はされず、土地の所有者、借地人、借家人等は、固定資産課税台帳を閲覧する必要があります。

土地総合情報システム

土地総合情報システムは、国土交通省が安定的な不動産投資の促進、不動産市場の活性化のために、土地に関する情報を提供するサイトです。不動産購入者へのアンケート調査で把握した実際の取引価格情報が載っています。

また、地価公示・都道府県地価調査の情報は、公示や調査の時点が地図とリンクされているので、詳細なデータを得ることができます。地価公示価格及び都道府県地価調査価格は、不動産鑑定評価に基づく価格です。

レインズ・マーケット・インフォメーション

レインズ・マーケット・インフォメーションは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報システムです。宅地建物取引業法に基づいて収集した、実際の取引価格情報が載っています。

全国四つの指定流通機構で構成されている、全国指定流通機構連絡協議会が保有する、実際に売買が行われた物件の価格などの取引情報を検索することができます。

各地域の市場動向を調べる

各地域の平均的な相場や価格の値動きは、比較的入手しやすい情報です。それらを調べることによって、エリアごとのおおむねの価格帯やその変動を把握することができ、物件の条件や予算を検討する時に活用することができます。また、相場の上昇や下降において過去の特定の時点の価格情報を現時点の価格に修正する場合にも活用できます。

公示価格と実勢価格の違い

公示価格は、一般の土地取引価額の指標になるため、おおむね実勢価格に近い価格になります。しかし例外もたくさんあります。

例えば、分譲マンション用地は、マンションの分譲価格から逆算して土地の取引価格が決まります。都心の商業地は、商業ビルやオフィスビルなどの開発計画に基づく収益還元法( DCF 法)によって土地が評価され売買されます。このような土地の場合、近隣の相場ではなく、その土地にどんな建物が建てられているかによって土地の価格が大きく異なるのです。

また、間口が狭い・急傾斜地など特殊な条件の土地は、公示価格よりかなり安くないと売れないことが多いです。さらに、ここ10年ほどの間にリーマンショックや東日本大震災など、市場環境の急激な変化がありましたが、公示価格は1年に1回のため、このような急激な変化が反映されるのは、少なくとも1年後になります。このような場合には不動産鑑定士による評価が役に立ちます。

不動産の鑑定評価

不動産の価格は、それが正常な価格であるかの判断が難しいため、通常不動産鑑定士に評価を依頼します。不動産鑑定とは、不動産の専門家である不動産鑑定士が、対象の不動産の評価額を決めることで、地域の調査や不動産そのものを調査します。

不動産を鑑定するということは、建物や土地を有効活用した際の適切な価格を出すことです。所有者本人とってもわかりづらい土地の価値は、売買において妥当かどうかわからないまま取引が行われる可能性もあります。つまり、不動産鑑定は不動産価格における暴落や高騰を回避するという点においてもとても重要なのです。

不動産の鑑定評価方法は次の3つです。

 

原価法

取引事例比較法

収益還元法

 

それぞれ詳しく解説します。

原価法

評価すべき不動産をその時点で新しく購入したとした場合の価格(調達原価)に基づいて計算し、時間の経過による価値の低下を差し引いて不動産価格を計算する方法です。

もしも建物を最初から立て直したらどのくらいの費用がかかるのかという点に基づいて評価します。新築の状態の価格が最終評価ということにはならず、対象の不動産が建設時からどのくらい時間が経っているのかを見て、新築時の価格から差し引くことになります。

原価法の特徴は、売買取引の対象となっている不動産物件が、土地でも建物でも再調達原価と減価修正が的確にできれば有効な手法となることです。再調達原価とは、原価を疑似的に改めて求めることをいいます。減価修正とは、建設時の値段から経過年数の劣化分の価値を引くことです 。

原価法は、通常造成住宅や建物に適用します。既存の市街地の土地では、再調達原価が算定困難なため、適用できないことが多いためです。

取引事例比較法

取引事例比較法とは、評価すべき不動産と条件が近い物件の取引事例を集め、比較することによって評価する方法です。鑑定基準では売り急いだ物件や、投機的(売買目的)な物件などは補正を加えて算出します。また取引の時期や、市場全体の動向も比較検討します。

収益還元法

収益還元法とは、不動産が将来生み出す賃料収入などの収益を現在価値に割り戻して求める方法です。収益還元法は、賃貸用不動産屋・事業用不動産などの価額を求める場合に有効です。競売住宅や分譲マンション及び収益を目的としない公共目的の不動産の場合は、通常適用できません。

収益還元法は直接還元法と DCF法の2種類の評価方法があります。

  • 直接還元法

一定時期の総収益を、還元利回りによって割り戻して価額を求める方法です。計算式は以下の通りです。

直接還元法による価格=(総収入-必要経費)÷還元利回り

還元利回りをあらかじめ設定することで計算結果が大きく変わります。還元利回りの設定は次の点から考えます。

 

    • 割引率との関係
    • 借入金と自己資金に係る還元利回り
    • 土地と建物に係る還元利回り
    • 類似不動産の取引事例の比較

具体例を見ていきましょう。

 

不動産からの年間総収入  500万円

年間必要経費       250万円

還元利回り        5%

直接還元法による価格

=(総収入―必要経費) ÷ 還元利回りより

(500万円―250万円)÷5%=5,000万円

 

DCF法

不動産から将来も継続して生まれる各期の総収益(賃貸収益等)と保有期間終了後のその不動産の価額(売却価格ー売却費用)を求め、現在価値に割り戻す金額を合計して、評価額を求める方法です。

DCF法にはNPV法とIRR法の2種類があります。

NPV法

投資期間中の不動産の賃料などの収益の合計現在価値の合計から投資額の現在価値の合計額を引いて、投資すべきかどうかを判定する方法です。差額がプラスであれば、その不動産の投資は価値があるとみなします。

IRR法

不動産から得られる「内部収益率」と投資家が期待する「期待収益率」を比較して、投資すべきかどうかを判定する方法です。内部収益率とは、投資期間中の収益の現在価値の合計と保有期間終了後の不動産価格の現在価値の合計が、初期投資額と等しくなる割引率のことです。

内部収益率が投資家の期待収益よりも上回れば、採算が取れる有効な投資とみなされます。

具体的には以下のようにして求めます。

 

不動産からの収入   500万円

所有期間(3年経過後の不動産価格)  50000万円

割引率 3%

1年目の現在価値 500万円÷1.03=485万円

2年目の現在価値 500万円÷1.03÷1.03=471万円

3年目の現在価値 500万円÷1.03÷1.03÷1.03=457万円

売却価格の現在価値 5,000万円÷1.03÷10.3÷1.03=4,575万円

評価額 485万円+471万円+457万円+4,575万円=5,988万円

 

不動産の投資判断

評価額はわかりましたが、不動産はどこで買うのでしょうか?これは、新地物件か中古物件かによって異なります。新築マンションや新築建売住宅の場合は、マンションや建売住宅を建設したデベロッパーから購入することになります。もしくは売主の物件を不動産会社が代わりに販売することもあります。

新築物件の情報を得るには、売主や販売代理会社が新聞の折り込み(チラシ)やテレビ CM 、ネット広告などで宣伝することが多いので、そういったものから見つけます。気になった物件に連絡をして、実際購入することになったら売主や代理の会社で契約するという手順になります。

売主や販売代理会社から直接購入する場合は、不動産の仲介手数料がかかりません。そのぶんお得です。

中古のマンションや中古の戸建て住宅の場合は、売主と買主をつなぐ仲介会社から購入することになります。飼い主はネット・店舗の張り紙・チラシ・不動産会社からの紹介などで物件を探します。中古物件の場合、買主が仲介物件を購入する際は、物件費用とは別に仲介手数料を支払うことになります。中古物件でも不動産会社が所有している物件を購入する場合は仲介手数料がかかりません。

不動産事業の採算性を見る指標には、表面利回りと実質利回りの2種類があります。

利回りとは、投資額に対してどのくらいのリターン(収益)があるかを計る尺度のことで、預貯金や株式などの金融商品の場合はごく一般的に使われます。不動産投資における利回りは投資額に対してどれほどのリターンが得られるかを見極める指標です。

表面利回りは、年間の家賃収入の総額を総投資額で割った価格です。投資用物件を探す場合、「表面利回り何パーセント以上」と最初の目安として対象物件を絞り込むのが、表面利回りという指標です。

表面利回り=年間収入の合計額÷総投資金額(自己資金+借入金)×100

一方、実質利回りは、年間の家賃収入から管理費や固定資産税など諸経費を差し引き、物件価格に購入時の諸経費(登録免許税など)を足したもので割った数字です。計算式は次の通りです。

実質利回り=(年間収入の合計額―諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

まとめ

今回は不動産の価格と鑑定方法について解説しました。不動産は相対取引なので価格を決めるのは売主です。しかし、売主が売りたい価格で売れるかどうかというのは別です。最終的な売買価格は市場が決めることになるからです。

高すぎる価格では買い手が現れません。その結果、値段を下げることになります。投資用不動産を買う場合は、自分で情報収集を行うようにしておくと有利です。例えば、公示価格や基準値標準価格、相続税評価額などを調べ、都市情報システムやレインズ・マーケットインフォメーションで実際の取引情報価格などを調べることができます。

不動産の鑑定評価は、原価法・取引事例比較法・収益還元法の三つです。実際の取引価額というのは分かりづらいので、不動産鑑定士という専門家に任せて土地と建物の評価をしてもらいます。

そういった情報を仕入れた上で利回りがどれぐらい出るかを計算する必要があります。不動産投資の利回りには、表面利回りと実質利回りの2種類があります。一般に広告やチラシなどで書かれているのは表面利回りです。「利回り10%」と書いてあっても、実際は購入時に諸経費がかかるので実質利回りは下がります。ですから、表面利回りを鵜呑みにすることなく、実質利回がどの程度になるか自分で計算できるようにしておきましょう。

 

 

 

 

 

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