目次
インターネットを使ったビジネスをネットビジネス、ネットワークを使ったビジネスをネットワークビジネスといい、この2つのビジネスは言葉から受けるイメージはとても似ています。でもネットビジネスとネットワークビジネスは根本的に全然違うものになります。
ネットワークビジネスは、マルチ商法やねずみ講とも呼ばれるもので、人と人のつながり、つまりネットワークを活用したビジネスとなり、中には怪しい詐欺的な要素を含むものもあります。
反面、ネットビジネスとはその文字通りインターネットを通じて行われるビジネス全般を指しています。
ネットワークビジネスをネットビジネスのことだと勘違いして、知らずに騙されてしまうことがないようにこの2つの違いを把握しておくことが大切です。
今回は、ネットビジネスとネットワークビジネスの違い、そしてネットワークビジネスの危険性、さらに勧誘を受けた場合の上手な断り方を解説していきます。
ネットビジネスとネットワークビジネスは根本的に違う!
ネットビジネスもネットワークビジネスも似たように、ネット上で行うビジネスのように聞こえてしまいます。
しかし、この両者の「ネット」は全く異なるもので、全然違うビジネスとなります。ではネットビジネスに使われるネットとネットワークビジネスに使わる「ネット」の違いを根本的に解説していきます。
ネットビジネスの「ネット」とは
ネットビジネスにおけるネットとは、まさにインターネットのことを意味しています。言葉通り、ネット、WEB、オンラインのことです。
つまりインターネットを介して行われるビジネスを表現する言葉となります。
ネットワークビジネスの「ネット」とは
一方、ネットワークビジネスのネットは、インターネットとは全く関係なく使われる言葉になります。
ここでいうネットとは、魚や野菜などを収穫するネット、水切りネット、クモの巣のネットのように、網の目状につながっていることを表現します。
人同士がつながっていること、コミュニティとして人が網の目のように結びついている状態に対して、ネットワークという言葉が使われています。
ネットビジネスとネットワークビジネス
それでは、実際にネットビジネスとネットワークビジネスとはどのようなビジネスなのかを、具体的にご説明していきます。
ネットビジネス
ネットビジネスは、正確にはインターネットビジネスと呼ばれるビジネス形式をいいます。インターネット上でビジネスが成り立つものを総称しています。
一番わかりやすいのが、ネット通販やアフリエイトなど、インターネットの普及とともに拡大しているビジネス手法で、その種類は無数にあります。
ネットビジネスの種類をいくつか挙げておきましょう。
ネットビジネスの種類
広告代理業
これまでの広告は、紙面、TV、ラジオが主流でした。PCやスマホの利用者が増えると同時に発達したのが、インターネット広告です。
たまたま、検索したWEBサイトやWEBページに現れる広告をクリックして商品やサービスを購入したことはないでしょうか?広告を載せる媒体が、WEBサイトへと移行してきており、集客力のある広告に高い代価を支払う企業も少なくないのです。
このようなインターネット広告を提供する会社は代表的なネットビジネスの1つです。
アフィリエイト
アフィリエイトとは、上述のインターネット広告をブログや専門サイトを通して個人が企業に対して提供するビジネス形式をいいます。
最近では、楽天やアマゾンなどのネット通販、ネット銀行、ネット証券会社などがアフィリエイトの窓口を一般公開しています。
成功報酬型となっており、クリックごと、あるいは販売ごとに、報酬が企業から支払われる仕組みとなっています。
ネット通販
こちらは、皆さまもお馴染みのオンラインショッピングのことです。
衣類、食品、家具、雑貨、靴などの商品をインターネットで販売するビジネスのことを言います。個人規模のものから、中小企業、大手企業と様々な業種がネット上で何かを販売しています。
ネットオークション
また、個人で不用になったものや、他から仕入れたものを販売するネットオークションも、最近では一般的に親しまれるようになりました。
趣味やおこずかい程度の収入を期待するものから、せどりや転売などで本格的な高収入を狙ったものまで様々です。
ネットサービス
そして、ソフトウェアやプログラムなど目には見えないシステムなどを販売するネットビジネスもあります。
システム入力、カスタマーサポートなどのサービス、WEBライティング、WEBデザイン、事務処理などIT端末を使って提供されるサービスなどを総称してネットビジネス、WEBサービスなどと総称しています。
というように、ネットビジネスは非常に多岐に渡り、現在では1つのビジネスとして確立されたジャンルとなります。
※ちなみに、ネットビジネスを副業で始めてみたい方はこちらの記事もご覧ください。
ネットワークビジネス
では、ネットワークビジネスとはそもそもどのようなビジネスとなるのでしょうか。インターネットとは全く関係ないことは先にご説明しましたが、具体的にイメージできない人もいるでしょう。
身近な人の口コミによって、その商品が売れ渡っていくようなイメージです。ただ、ネットワークビジネスは、マルチ商法やねずみ講と呼ばれることもあり、一般的にはその仕組み自体に怪しいものが多くなります。
ネットワークビジネスの商品
ネットワークビジネスで取り扱われる商品もかなり多岐に渡っています。
よくある商品としては、
- 化粧品、サプリメントなどの美容・健康関連商品
- 食器用洗剤、洗濯用洗剤、トイレ・バスグッズ
- 英会話やビジネススクールなどの会員権
- 寝具、家具
- 空気清浄機、掃除機
- アイデア商品
- 投資関連の金融商品
などがあります。
ネットワークビジネスの仕組み
ネットワークビジネスは原則として、広告を一切行わず、人同士の口コミだけで販売網を広げていくのが大きな特徴です。
いい商品を、誰かに宣伝することは日常的によくある話で、ここまで聞いてみると別に怪しくも何ともないと思う人も多いでしょう。ただ、その仕組みにはかなり悪質なものもあり、法的には実にグレーゾーンに位置するものが多いのです。
このような営業手法はマルチ商法・ねずみ講とも呼ばれており、大きな損失をかかえる危険性を秘めているのです。
マルチ商法・ねずみ講の危険性
マルチ商法やねずみ講とも呼ばれる、ネットワークビジネスが、ただの口コミと大きく異なるのは、自分が家族や友人に商品を販売しなければ損してしまう点です。
なぜなら、このネットワークに加わるためには、まずは一定額の商品を自分が購入する必要があるからです。もし、その商品を仕入れたのに売れなければ、その金額を損したことになります。
一般的な販売との違い
例えば、ネットや店舗にてお店を開く場合も、商品を仕入れなければなりません。しかし、お店で何かを販売する場合は、インターネットや店舗、広告などを介して一般消費者を対象に営業を行います。
いい商品であれば、リーピーターや口コミによって広がりお客さんは増えていきます。お客さんが増えれば、当然ながら利益を得ることができ、仕入れにかかった費用も相殺できます。
電話や訪問による営業もある
さらに、何かの商品やサービスを販売する場合には、もちろん電話や訪問などで営業活動を行うこともあります。しかし、あくまでも一般の消費者が対象です。
家族や友人に販売することもある
そして、当然ながら、自分がお店を構えて何かを販売していくにあたって、家族や友人に付き合いで購入してもらうこともしばしばあり得る話です。
しかし、ここで注視しておくことは、あくまでも家族や知人を営業の対象として見ることはほぼあり得ません。
家族や友人に販売
原則として、マルチ商法・ねずみ講は店舗を構えていません。広告も宣伝も何もありません。販売網として使えるのは人脈だけです。
そして、必ずといっていいほど1人の人間に対して、少なからず2、3人の家族や友人がいるものです。家族や友人との付き合いが活発な場合は、軽く5,6人ぐらいに声をかけることができます。
マルチ商法やねずみ講では、その家族や友人が販売の対象となります。それで十分なのです。
なぜならネットワークビジネスの狙いは、自分が商品を販売した身近な誰かが、さらにその人の家族や友人にその商品を販売してくれる点にあるからです。
報酬の仕組み
では、マルチ商法・ねずみ講の報酬の仕組みはどのようになっているのでしょうか。
マルチ商法・ねずみ講の報酬の仕組みをわかりやすく下記の図を参考にイメージしていきましょう。
※マルチ商法・ねずみ講のイメージ
一番典型的なマルチ商法・ねずみ講は、もともとアメリカの化粧品会社で始まった営業手法となり、ピラミッド商法とも呼ばれています。
上に行けば行くほど人数が少なくなり収入が増えていく仕組みです。まず、このネットワークのトップに1 人の人間がいます。その1人は、会社のトップから
と説明されます。
と納得してしまい、2つの商品を仕入れてそれを両親2人に買ってもらいます。ここで、大切なのは、両親にも自分が言われたと同様のことを伝えることです。
と説明します。そこで、父親と母親はそれぞれ2個ずつの商品を娘から仕入れます。娘はそこで両親に2個、さらに4個の商品を販売したことになります。
そして、父親は兄夫婦に、母親は妹夫婦にその商品を買ってもらい、全く同じ「たった2人だけ・・・」の話をします。
「たった2人だけ」を2人に伝えて売れた商品は?
このように「たった2人だけ」を2人に伝えただけでもすでに6個の商品が口コミだけで販売できたことになるのです。
後は、黙っていても次の2人が次の2人に、そのまた次の2人が次の2人へとどんどん数は増えていき、最終的に仕入れを行う最初の1人は黙っていても50個100個の商品を販売することが可能となるのです。
報酬額アップの仕組み
マルチ商法やねずみ講で売り上げを上げていく方法として、本人から広がった人脈、(下に控える人の数)が増えれば増えるほど、それに比例してインセンティブが加算される方法があります。
また、1人に対してマージンが課金される場合もあります。
他にも、
売り上げ高に対してインセンティブが追加されたり、グループの売り上げが一定額を超えると、独立して直接会社から仕入れができたりと、より収入が増えていく仕組みとなっています。
在庫を抱える危険性
そして、最も恐るべきマルチ商法・ねずみ講の危険性とは、コミッションや割安の仕入れ額をキープしていくために、多数の在庫を抱えてしまう危険性があるということです。
一定額の商品を仕入れなければ、ネットワークビジネスの仕組みに参加できなかったり、どうせ後で取り返せるからと説得されて多額の商品を仕入れてしまったりする可能性があります。
誰でも簡単に稼げるイメージを与えてしまうため、つい、その気になってしまう人も少なくないのです。
人間関係が崩壊する危険性
また、もう1つのマルチ商法・ねずみ講の危険性とは、家族や友人などの純粋な人間関係を崩壊させてしまう恐れがあるということです。
そもそも、家族や友人は利害関係を問わない、ごく純粋な信頼性によって結ばれています。例えば、一文無しで不幸のどん底にあるとしても、精神的に支えてくれるのが家族や友人です。
ところが、ネットワークビジネスに徹するあまりに、商品の販売だけが目的となってしまい、本来純粋であるべき関係にビジネス上の駆け引きが生じてしまいます。
商品を売りたいから、会う・話すといった不純な動機に支配されてしまう人もいます。そこでお互いの信頼関係が壊されてしまう可能性があるのです。
100%否定すべきか
おそらく誰でも1度くらいは、親戚や友人、あるいは話もろくにしたことがない人から、ある日突然、このようなネットワークビジネスの話を聞く機会があると思います。
確かに、ネットワークビジネスで取り扱う商品の中には、オーガニック100%商品だったり、環境保護に役に立つものだったり、美容や健康に効果のあるものだったりと、本当にいい商品を取り扱っている場合もあります。
それに実際に数千万円、数百万円と稼いでいる人がいるのも事実です。
そんな時に、100%否定すべきなのかどうか疑問に思う人も、中にはいるでしょう。
ビジネスの仕組みをチェックする
ネットワークビジネスには、これまでご説明してきたような、マルチ商法・ねずみ講的な要素のビジネスが大半を占めています。
ただ、中には本当に卸売りと代理店の関係のようにシンプルに仕入れて、商品を販売していく形態のものもありますし、ただ単に商品を購入してほしいだけの話である場合もあります。
要は、そのビジネスがどのような報酬の仕組みになっているのか、チェックすることがが大切です。
- 販売者(本人)にとって一般消費者が対象となるビジネスなのか
- 仕入れ価格と販売価格のバランスは正当か
- その商品は本当におすすめの商品か
- 単純にその商品を購入するだけでいいのか
- 誰かに紹介した場合の特典は豪華すぎないか
など、一般的に通常と思われれる商品の購入となるのかどうかを判断する必要があります。
例えば・・・
- 商品を紹介することが義務づけられているのか
- 在庫を一定量仕入れる必要があるのか
- 延々と販売者が下に続いていく仕組みになっているのか
- 何かに入会、加入する必要があるのか
- コミッションやノルマは発生するのか
- 話が一方的、勧誘がしつこくないか
というように、何か不自然な内容がないか、何となく怪しいと思える要素がないか、しっかり確認するように注意して下さい。
中には売る商品など何でもいい、どうでもいい、とにかく販売網が拡大できればそれでいい、という悪質な業者もあります。極端な例を挙げると、在庫をそろえるために、消費者金融などを紹介して借金をすすめる業者もあるのです。
ネットワークビジネスの上手な断り方
少しでも怪しいと思える勧誘には、「触らぬ神にたたりなし」で臨むのが一番です。でも、勧誘する人にとっては、それはとても素晴らしいビジネスであり、断ることによって相手の気持ちを傷つけたり、不快な思いをさせてしまう可能性もあります。
それが家族や友人であれば、本音で相手と話しをすることも可能で、場合によっては本人がネットワークビジネスにはまり込んでしまうのを思い留まらせることもできるかもしれません。
でも、礼儀を必要とする相手からの申し出だったり、あまり親しくない相手からの申し出だったりすると、断りたくてもどう対応すればいいのか悩むこともあります。
そんな時は、どうしようもない理由をつくって、やんわりと上手に断るようにしましょう。
マルチ商法やねずみ講には触れない
断る時は、あくまでもマルチ商法やねずみ講については触れない方が無難です。真相はあくまでも加入してみないとわかりませんし、反論することで話が長くなってしまいます。
「実は付き合いがあって、他のところから購入しなければならない」
「家族や友人が○○関係の会社で働いているので、他社から購入するわけにいかない」
「アレルギーがあって、その商品は使えない」
「医者から、指定のものしか購入するなと言われている」
「今月は大事な予定があるので、これ以上の買い物はできない」
「実は今借金を返済していて、家計が苦しい」
など・・・これ以上勧めることが難しい理由を考えてみましょう。
とにかくお金はないと言い張る
また、どんなにしつこく勧誘されたとしても、実際にない袖はふれません。
一番効果的なのは、「とにかくお金がない」と言い張ることです。本当にお金がないのであれば、商品を購入しても払いようがありません。それでも勧誘がしつこいようであれば、本格的に怪しいビジネスだと判断することにもつながります。
最悪、借金を勧めるなどの話が出た場合は、その場を怒って立ち去ったとしても全く問題ないといえます。むしろ、そのような人との人間関係を断つことができて幸いでもあります。
とにかくその場を逃げる
また、マルチ商法やねずみ講の勧誘に口で対抗しても無駄であることを理解しておきましょう。相手は、その道のプロです。
どんなに正当性を訴えて、その商品を購入しない意向を伝えようとしても言い負かされてしまうのが落ちです。
そんな時は「逃げるが勝ち」です。腕時計や携帯電話の時計を見ながら、「ごめんなさい、もう行かないと間に合わない」と急いでかつ失礼がないように、その場を逃げましょう。
そのあと、連絡がきても、「母が病気で・・・また、こちらから電話します」と丁重に逃げ続けることで、そのうち相手もあきらめてくれます。それでも執拗な勧誘が続くようであれば、常識に問題がある人物だと判断できます。
その時は強めの口調ではっきりと迷惑だと断るようにしましょう。
※万が一、悪質なネットワークビジネスの勧誘に悩まされたり、つい入会してしまって後悔している場合には、以下サイトにて相談センターを調べることができます。一人で悩まずに、専門家に相談して早めに対応することが大切です。
まとめ
今回は、ネットワークビジネスとネットビジネスの違い、そして、ネットワークビジネスの危険性や上手な断り方を解説していきました。
どんなビジネスにも、リスクやメリットはあり、報酬を得る方法も様々です。ただ、1つだけ言えることは、よほどの資産家でもない限りは、簡単に多額の収入を得る方法とは無きに等しいということです。
ある程度常識のある社会人であれば、それくらいのことは百も承知だと思われる方がほとんどだと思います。しかし、どんなに常識としてわかっていることでも、つい金銭的な魅力に惑わされてしまうのは誰にでもあることです。
そんな中でも、ネットワークビジネスとはどういうものなのか、世の中にはどのような怪しいビジネスがあるのかを知っておくことで、未然に甘い誘惑から逃れることは可能です。
今回の記事も是非、そんな情報の1つとしてお役立ていただければ幸いです。