固定資産税はできれば少ない方がいい!固定資産税の節税方法、全部解説します。

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マイホームや不動産投資などで、住宅や土地を所有する際に気になるのが固定資産税です。土地や住宅を所有する人は固定資産税の課税義務があり、その金額が負担になっている人も多いのではないでしょうか。

様々な税金がある中でも固定資産税が占める比重は特に大きく、できれば少ない方がいいと思うのは当然です。

固定資産税は、所有する資産の評価額が基盤となって計算され、土地や建物の種類などによってそれぞれ評価額も異なります。それぞれの状況によっては特例措置が適用される場合もあり、どのような状態で土地や建物を所有していくかで税率も変わってきます。

今回は、固定資産税の節税方法について全部解説していきます。どうぞ、今後の節税対策にお役立て下さい。

固定資産税とは

では、まず最初に固定資産税とはそもそもどんな税金なのかを、しっかりと把握しておく必要があります。何となくわかっている人は多いと思いますが、固定資産税の仕組みを理解しておくことで、それぞれに合った節税方法を考えていくことができます。

固定資産の対象は?

固定資産の対象は土地や建物などの不動産だけでなく、設備や機械、自動車、家電、家具、ソフトウェア使用権などと、対象となるものは広範囲に渡ります。

固定資産は大まかに、実体が目に見える有形資産と目には見えない権利などを表す無形資産とに分類されています。土地や建物などの不動産関連は有形資産にあてはまります。

これらの、固定資産はいわゆる個人や法人が所有する財産です。財産を所有する人は、税法上で定められた税金を国や自治体に納めなければなりません。つまり、財産も課税対象である所得や利益の1つとして見なされるのです。

固定資産税の仕組み

それぞれが所有する財産は一定の方法で資産価値が評価されています。所有する土地・建物の評価額が基盤となり税率が計算されることになります。このように、不動産の資産価値が評価されることを、固定資産税評価額といいます。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、実際に売買された不動産の金額ではなく、国が定めた固定資産評価基準に基づいて評価が行われています。

この評価額は以下の3つの価格が基本となっています。

  1. 実勢価格→実際の市場での売買価格
  2. 地価公示価格→国土交通省が定めた土地の正当な価格
  3. 路線価→道路に面した宅地の1㎡の標準価格

大まかには固定資産税評価額は、地価公示価格の約70%に相当するといわれています。

課税標準額

課税標準額とは、上記で定められた固定資産税評価額のうち課税対象となる金額を表した数字となります。

土地や建物の種類や面積・形状などによって、課税対象となる評価額が軽減できることが規定されています。ですから、それらの軽減できる金額を差し引いたものが最終的な課税標準額となります。

固定資産税の計算方法

このように最終的に出された課税標準額の数字から固定資産税が計算されています。固定資産税の税率は1.4%です。

課税標準額(固定資産税評価額-軽減率)×1.4%=固定資産税

従って固定資産税は、上記のような計算方法となります。

※固定資産税の仕組みをもっと詳しく知りたい方はこちら。

固定資産税は節税できる?

そこで、固定資産税を節税していくにあたっては、どのような土地・建物であれば評価額を軽減することができるのかを把握しておくことがポイントとなります。

評価額を減らしていく方法がわからなければ、本来はもっと少なくできる税金を余計に払ってしまい損することになります。それぞれ、できる範囲で固定資産税を減らす方法を考えていくことが大切です。

それでは、実際に固定資産税を節税していく方法を解説していきます。

軽減措置で節約!

まず、固定資産税の節税方法として必ず覚えておきたいのが、軽減措置の特例です。

原則として居住用の宅地には、いくつかの特例が定めてあり、要件に合った場合は税率を軽減することができるのです。

では、軽減措置の特例をご紹介していきます。

住宅用地の軽減措置

住宅用地の特例では以下の要件に該当する部分は税率が軽減されます。

小規模住宅用地→建物の200㎡以下の部分は課税標準額×6分の1

一般住宅用地→建物の200㎡超えた部分は課税標準額×3分の1

併用住宅の特例

テナント(店舗)と居住用が併用している、ビル・マンション・戸建などの併用住宅の場合も、要件に該当する部分は税率が軽減されます。

地上5階以上・耐火建築物の併用住宅
  • 住宅部分の4分の1以上~2分の1未満→0.5%
  • 住宅部分の2分の1以上~4分の3未満→0.75%
  • 住宅部分の4分の3以上→1%
上記以外の併用住宅
  • 住宅部分の4分の1~2分の1未満→0.5%
  • 住宅部分の2分の1以上→1%

というように、通常の税率1.4%以下で計算することができるのです。だから、土地を所有するなら建物を建てた方がいいと、よく言われているのです。

新築住宅の軽減措置

次に軽減措置が適用される新築住宅の要件をご説明していきます。

新築住宅の場合は床面積や住宅の種類によって軽減税率が異なりますのでチェックしておきましょう。

3階以上の耐火構造・準耐火構造のマンション
→5年間、120㎡未満までを税率2分の1に減税

新築戸建て住宅
3年間、120㎡未満までを税率2分の1に減税

といった税率が適用されます。

長期優良住宅の軽減措置

また、長期優良住宅に認定される住宅を建てる、あるいは改修を行った場合は軽減措置が適用され、税率が低くなります。

長期優良住宅の条件とは、

  • バリアフリーに対応している
  • 耐震性に優れている
  • 省エネルギー対策に対応している
  • 地域の環境や景観を配慮している
  • 住宅のメンテナンス、管理が計画されてある
  • 数世代に渡って使用できる構造である
  • 戸建ては床面積75㎡以上、マンションのフロアは床面積40㎡以上

などのいずれかに該当する住宅が対象となり、認定レベルに応じて1年~7年間は固定資産税の税率が2分の1に軽減されます。

以上ご紹介した新築・長期優良住宅の場合は固定資産税だけでなく、不動産所得税、登録免許税などが優遇されています。

空き家減免規定

さらに、地域の自治体によっては空き家対策に対して減免規定が設けてあり、空き家の状態によっては減免の対象となる場合があります。空き家の今後の使途にお悩みの方は、まずは自治体に相談してみることが大切です。

自治体から空き家が倒壊の恐れがある「特定空き家」だと認定されてしまうと、住宅用地の軽減措置が適用とならずに固定資産税が6倍になってしまう恐れがあります。

自治体によっては空き家対策として以下の様々な補助金を用意しています。

  • 建物を取り壊す場合の費用
  • 建物を改修する場合の費用
  • 建物を賃貸・民泊活用への支援
  • 整地にする際の費用

など・・・

※以下の資料は、総務省が公表している税負担軽減措置に関する資料です。参考にして下さい。

※また、長期優良住宅の改修工事や申請方法などがこちらでご確認頂けます。

負担調整措置で節税!

それでは、次に固定資産税の節税対策として覚えておきたい、負担調整措置について解説していきます。

負担調整措置とは

負担調整措置とは、固定資産税が急激に上昇して税負担が過重になってしまわないように、税負担を調整する仕組みのことをいいます。

例えば、何らかの理由で地価が2倍に上昇した際には、土地の資産価値も2倍に増えて、固定資産税もそれに合わせて概ね2倍になってしまいます。

その土地を売却するのであれば、これは非常に嬉しいことになりますが所有し続ける場合は税負担だけが上昇する結果となるのです。

そこで、負担調整措置を適用することによって、固定資産の上昇率を緩やかに抑えていくことができるのです。

負担調整措置の仕組み

負担調整措置の基本は以下の3通りがあります。

  1. 前年よりも固定資産税が大幅に高くなる場合に少しだけ高くできる
  2. 前年よりも固定資産税が少し高くなる場合にはそのまま高くする
  3. 前年よりも固定資産税が安くなるならそのまま安くできる

といった内容になり、納税者が大幅に損をしないような仕組みとなっているのです。

負担調整措置の課税標準額

負担調整措置を用いて、土地の評価額を定める場合に必要となるのが、本則課税標準額と負担水準となる数値です。それぞれ、どういうことなのかを解説いたします。

本則課税標準額

本則課税標準額とは、負担調整措置を行う上で通常の課税標準額に「本則」を付け足したもので、評価額自体はそのままですが、負担調整前の課税標準額であることを表したものです。

ですから、ここでいう本則課税標準額とは課税標準額を指しています。

負担水準

負担水準とは、前年度の課税標準額と今年渡の本則課税標準額から、以下のように計算して求めることができる負担する税額の割合となります。

前年度課税標準額÷今年度本則課税標準額×100%=負担水準

計算した負担水準が100%未満であれば課税標準額は上昇、負担水準が100%を超えれば課税標準額は低下していることになるのです。

つまり、もし今年度の固定資産税が大幅に高くなる時ほど、負担水準は小さくなります。反面、今年度の固定資産税が大幅に安くなる時ほど負担水準は大きくなっていきます。

負担調整措置の計算方法

負担調整措置の計算方法は、負担水準の数値によって適用される課税標準額を調整していきます。調整の基準は大まかには上記でご説明した100%が判断の区分となりますが、各自治体によって規定が多少異なります。

ここでは東京都の場合は解説していきます。

負担水準が100%以上の場合

本則課税標準額をそのまま適用します。

今年度の評価額に住宅用地特例率を乗じていた数値が、今年ドの課税標準額となります。

負担水準が100%未満の場合

前年度の課税標準額に、本則課税標準額の5%を加えた額を課税標準額とします。ただし、規定の割合以下の場合は(自治体によって規定が異なる)そのままその割合にて計算します。

非住宅用地の場合

商業施設などの非住宅用地の場合は、負担調整措置の計算方法が異なります。判断基準として、負担水準が60%~70%を目安として区分されています。

基本的には、目安となるパーセンテージを超えた場合はその評価額の70%(60%)を課税標準額とします。目安となるパーセンテージ以下の場合には、前年度の課税標準額が据え置かれる仕組みとなっています。

同様に、農地、山林等でも負担調整措置によって固定資産税を調整することが可能です。

それぞれの自治体の公式ページにて固定資産税の負担調整措置について確認する必要があります。

※以下は東京都稲城市による負担調整措置の資料です。わかりやすい図で説明してありますので、参考にしてみて下さい。

※また、こちらの記事では土地と建物の種類によって異なる固定資産税について解説しています。合わせてご覧下さい。

登記方法によっても節税!

また、登記方法を工夫することによって、固定資産税を上手に節税していくことが可能です。

登記を活用した節税方法には、分筆と分割という方法があります。それぞれどのような登記方法になるのかをご説明していきます。

分筆とは

専門的には、土地の登記は1つの登記に対して一筆という言葉が使われています。通常は土地のみ、土地と建物などと1つの区域をまとめて単一で登記をすると思います。

しかし、本来、一筆であった土地を分割して二筆、三筆と分けて登記することが可能なのです。

そうすると、評価額の高い土地、評価額の低い土地、軽減措置が適用できる建物などを効率よく小分けにして、それぞれの固定資産を下げていけるのです。

分筆のメリット・デメリット

分筆によるメリットは、効率よく土地を分けることによって、トータルの資産評価を低くして固定資産税を下げていく可能性が高いということです。

また、分割した土地の一部を売却したり、それぞれ抵当権、貸借権などの異なる権利を設定することができます。

反面、手間が税務関係の手間が増えて、建物の建て替えやリフォーム等が制限されてしまう可能性もあります。さらに、確実に固定資産が安くなるという保証はありません。

分割とは

そして、もう1つの登記方法が分割登記です。

上記でご説明したように土地を分割し、分筆登記した後にできる登記方法です。それぞれ分割した土地を複数人で登記することをいいます。同一の所有者であっても、個人名義と法人名義に分ける方法もあります。

または、夫婦、兄弟、親族、友人間でそれぞれ分割した土地を登記することもできます。相続税の節税方法としても、よく使われている登記方法です。

分筆では所有者は1人の名義となりますが、分割ではそれぞれ分筆した土地を名義変更して所有することができます。名義変更の名目としては、贈与、売買、現物出資などがありますが、いずれの場合も手間と労力がかかるのが難点だといえます。

他にもまだある節税方法!

それでは、最後に、他にもまだある固定資産税の節税方法をいくつかご紹介しておきましょう。意外と見過ごしがちな項目もありますので、この機会に、見落としている部分がないか確認しておくようにして下さい。

住宅設備等による節税

空調設備や電気設備などを見直してみることで、今後の固定資産税を最小限に抑えていくことが可能です。

例えば、建物から取り外すことができない、埋め込み型のエアコンやその他設備などは固定資産の一部として判断されてしまいます。しかし、これが一般家庭用の取り付け型の設備であれば、減価償却の対象として経費計上することができます。

電灯の場合は屋内は固定資産税の対象、屋外は減価償却資産の対象となるので注意しましょう。

また、建物の付属品となる浴槽、ユニットバス、流し台、屋根の素材など、それぞれ細かく評点が定められていて、どんな設備を使うかによって固定資産税評価額も異なってくるのです。

免税点を確認しておく

固定資産税には、各自治体によって免税できる課税評価額が定められています。

例えば、土地30万円以下、建物20万円以下、償却資産150万円などと免税対象となる金額があります。これらの免税点を上手に活用して分筆登記などで活かすことも可能です。

優遇制度を確認しておく

火災や風水害などで、被害を受けた場合に固定資産税の免除が受けられる場合があります。被害の程度にもよりますが、税制優遇が適用される条件を自治体に確認しておくことが大切です。

また、中小企業や個人事業主が保有する建物の場合は、特定の設備を導入することによって、減免制度が適用される場合もあります。最大で3年間の固定資産税が免除される場合もあるので確認しておきましょう。

非課税にできるものがないか

さらに所有する土地内で、公益性の高い土地は非課税にできる可能性があります。

私道、公園、公共施設など、公衆と共用できるものは非課税の対象として申告することができるので、今後の土地活用をじっくり検討してみてもいいですよね。

減価償却を忘れずに!

そして、固定資産税において必要不可欠となる節税対策が減価償却です。基本的に、価値が減少していく建物などの固定資産、事業用の建物、賃貸住宅などの収益物件は減価償却によって資産の評価額を下げていくことが可能です。

建物の築年数や構造によって償却できる金額が異なりますので、国税庁の法定耐用年数で正確に調べておきましょう。

国税庁・法定耐用年数
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/01.htm

その不動産が事業用の物件であれば、減価償却費を経費計上して課税される所得額を小さくすることができます。

※サラリーマンができる節税対策一覧がこちらからご覧頂けます。参考にしてみて下さい。

※なお、以下の記事では中古住宅を活用した節税方法をご紹介しています。

まとめ

固定資産税の節税対策は、まずはご自身の固定資産税評価額を調べることから始まります。

基本的に固定資産税の課税評価額は、固定資産税評価額を基準に各自治体が独自に算出しています。時には自治体の評価方法や計算方法が適正ではない場合も多々あります。

また、これまでには思いつかなかった、節税に役立つ土地や建物の活用方法があるかもしれません。

つまり、ただ課税された分を支払っていても、節税することはできません。自ら調べて動いて、申告することによって初めて固定資産税の節税が実現するのです。

知らずにいると、現状のままで放置していると、必要以上に税金を払って損してしまう場合があります。

毎年4月1日に自治体から「課税明細書」という書類が送られています。適正な課税内容となっているかどうか、何か改善できる項目がないかどうか、今回ご紹介した内容を参考にしっかりと確認・検討することが大切です。

不明点がある場合は、各市町村にて固定資産税の評価審査を申し出ることも可能です。また、ご自身での判断に自信がない方は、定期的に(3~5年に一度くらい)専門家に相談しておくと安心ですよね。

固定資産税は、個人差こそあれ決して少額とは言えない税金です。皆さんも、固定資産税はできれば少ない方がいいと、思われませんか?

 

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