節税対策でサラリーマンが使える方法一覧:不動産投資や副業の効果を解説!

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  • ここ数年は勤務先のお給料アップも頭打ち…せめて出ていく税金の負担は小さくできない?
  • 毎月天引きで持っていかれる税金の金額が大きくて給与明細を見るたびにテンションが下がる…これってどうにもならないの?

税金は、得ている収入に応じて負担しなくてはならないのが大原則ですが、負担を小さくできる方法があるのであればできるだけ活用して、少しでも手取り収入を多くしたいところですよね。

この記事では、サラリーマンの人向けに利用できる節税対策の方法を具体的に解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

節税対策でサラリーマンが使える方法一覧

サラリーマンの方が節税対策として選択できる方法としては、以下のようなものが考えられます。

  • 副業の不動産投資を活用する
  • iDecoに加入する
  • ふるさと納税を使う
  • 特定支出控除を使う
  • 医療費控除を使う
  • 生命保険料控除を使う
  • 配偶者控除や扶養控除を使う
  • 家族のために払った社会保険料を社会保険料控除に入れる
  • 株式投資の損失などを税金計算に含める

以下ではそれぞれの方法について、具体的に見ていきましょう。

副業の不動産投資を活用する

サラリーマンとしての本業の他に、賃貸アパートなどを所有して、家賃収入を得る「不動産投資」が注目されています。

不動産投資は、物件を手に入れて入居者が見つかりさえすれば、基本的に労力をかけることなく収入を得られる方法ですので、忙しいサラリーマンの人でも実践できる方法として人気があります。

また、大手企業に勤めている人であれば、物件購入時の金融機関のローン審査に極めて通りやすくなりますから、元手となる資金がないという方でも始められるというメリットもあります。

さらに、不動産投資では収入を得るために支出した費用(不動産業者に支払う物件管理費用や、仲介手数料など)や、購入した物件費用を使用する期間に応じて割り算して計算する「減価償却費」を必要経費として所得から控除してもらうことができるというメリットがあるのです。

不動産投資が節税につながる具体例

例えば、家賃収入として毎月20万円副業収入が得られたとして、その収入を得るために以下のような支出を行ったとしましょう。

  • 物件購入費用:5000万円(ローンで購入)
  • 物件の耐用年数22年
  • 物件管理費用や仲介手数料など:年間100万円

この場合、減価償却費として年間230万円を必要経費として計上できますので、その他の経費と合算して330万円を必要経費とすることができます。

毎月20万円の家賃収入ということは、年間で240万円の収入となりますが、ここから必要経費330万円を差し引きすると、不動産投資としては90万円の赤字ということになります。

この90万円の赤字については、不動産投資以外の収入(お給料の所得など)から差し引きすることが可能となるのです。

ポイントは、物件取得のための費用はローンによってすでに支払い済みであるという点です。

減価償却費の仕組みを活用すれば、あなた自身のキャッシュフロー(現金の収支)には影響を与えることなく、節税対策としての高い効果を期待することが可能となります。

不動産投資の赤字は給与所得から差し引きできる

物件購入の初年度などは赤字となることも考えられますが、その赤字相当額は給与所得の金額から差し引きしてもらうことも可能ですから、サラリーマンとしての収入が多い人にとって、不動産投資は節税対策の方法としても利用価値があるといえるでしょう。

(もっとも、赤字が続くと結果として出ていくお金の方が大きくなりますから、不動産投資として利益を出すべく努力をするのはいうまでもありません)

不動産投資はサラリーマンの方の副業として適しているだけでなく、税金負担が極めて少ない副業方法でもありますから、活用を検討してみると良いでしょう。

iDecoで「貯蓄しながら節税」を実現

サラリーマンの方でも手軽に使える節税方法として、iDeco(個人型確定拠出年金)があります。

iDecoとは、ごく簡単にいえば現役の時に掛け金を積み立てておき、積み立てたお金をいろんな金融商品に投資をして収益を受け取るというものです。

以前からある個人年金とよく似た制度ですが、iDecoは以下の2点で従来からある個人年金と異なります。

  • ①投資する対象を自分で自由に決められる
  • ②支払った掛け金がすべて所得控除として節税対策になる

iDecoでは、申し込みをする金融機関で取り扱っている運用商品を選んで投資することができます。

より多くの収益を目指したい人であれば株式投信などの収益性重視の商品、安定的に運用をしたい人であればリスク分散型の投資信託といったように、ご自分のライフスタイルに合わせて運用を行えるのが特徴です。

一方で、収益がマイナスとなった場合にはせっかく積み立てたお金が目減りしてしまう可能性もありますから、注意が必要です。

支払った掛け金がすべて所得控除として節税対策になる

iDecoの特徴として、支払った掛け金が全額所得控除として扱われる点があげられます。

従来の個人年金では生命保険料控除としての所得控除(支払った掛け金の一部だけが所得控除となります)しか認められませんでしたが、iDecoでは支払った掛け金のすべてが所得控除となるのです。

一般的なサラリーマンの型であれば毎月2万円程度まで掛け金を積み立てることができますから、所得税の税率が5%の人であれば、年間24万円×5%=1万2000円の節税効果を得ることができます。

(所得税の税率は所得の金額によって異なります)

ふるさと納税のメリットとデメリット

ふるさと納税もサラリーマンの方の節税方法として注目されている方法です。

ただし、結論から言うと「節税対策」としてはそれほど大きな効果が見込めるものではないことを理解しておきましょう。

どちらかというと、自分の好きな自治体(都道府県や市区町村)に寄付をしながら、返礼品を受け取ることができるという点が最大のメリットで、節税効果というメリットは付随的なものと考えておくのが賢明です。

具体的には、ふるさと納税として寄付をした金額に基づいて、以下の計算式で算出した金額だけ所得税や住民税の金額が安くなります。

  • (寄付をした金額-2000円)×所得税率

例えば、所得税率が5%の人が10万円の寄付をしたとすると、(10万円-2000円)×5%=4900円だけ税金が安くなるという仕組みです。

もちろん、寄付をしたときに10万円のお金を支払っていますが、出ていっている現金はマイナスになりますが、ふるさと納税ではその寄付した金額と同等以上の特産品などがもらえます。

ふるさと納税の節税対策としての効果は決して大きなものではありませんが、魅力的な特産品がある場合には使ってみるメリットは大きいといえるでしょう。

実は使い勝手悪い?特定支出控除

「仕事のためにスーツを買ったら節税になる」として一時期話題になったのが「特定支出控除」です。

特定支出控除とは、ごく簡単にいえば、サラリーマンの人が仕事で使うもの(通勤費や転居費用、スーツや資格取得など)を購入した場合に、購入に要した金額の一定割合を所得金額から差し引きしてもらえるというものです。

もっとも、結論から言うと特定支出控除は、以下のような理由からサラリーマンの方の節税対策の方法としてそれほど使い勝手のよいものではありません。

勤務先の証明書がそのつど必要

第一に、特定支出を認めてもらうためには、勤務先の企業に支出をするたびに報告をし、「この支出は業務上必須のものである」という内容の証明書を出してもらわなくてはならないのが不便な点です。

スーツを買ったら会社に報告して…というのは現実問題として積極的にやりたい人は少ないでしょうし、通勤費や転居費用といった支出については勤務先企業が負担してくれるケースが多いでしょう。

そうなると、実際に特定支出として勤務先に認めてもらう金額というのはごく小さなものとなってしまう可能性が高いのです(なお、仕事で使うために必須の資格取得などがある方は、利用価値があるかもしれません)

特定支出として所得から差し引きしてもらえるのは「給与所得控除の2分の1を超えた部分」だけ

また、特定支出として所得から差し引きしてもらえるのは「給与所得控除の2分の1の金額を上回った金額」という条件があります。

給与所得控除とは、自営業の人でいう必要経費のような概念で、サラリーマンの人は法律で金額が具体的に決まっています(自営業の人は実際に支払った金額だけを必要経費にできます)

例えば、年収が500万円のサラリーマンの方であれば、「収入金額×20%+54万円」で給与所得控除を計算しますから、この人の給与所得控除額は500万円×20%+54万円=154万円となります。

特定支出として所得からの差し引きが認められるのは、上でも見たように「給与所得控除の2分の1を超えた部分」だけというルールがありますから、上のケースでは154万円×2分の1=77万円を超える特定支出を行ったときにだけ節税効果を得られることになります。

常識的に考えて、サラリーマンの方がこれを超える金額を自己負担するケースというのはあまりないでしょう(勤務先の企業が支払いを負担するのが一般的です)

このように、特定支出控除によって節税対策の効果を得られるケースは、現実的にはあまりないということを理解しておきましょう。

医療費控除は必ず活用しよう

自分や家族が病院にかかるために支払った医療費は、確定申告を行うことによって一部を所得控除として認めてもらうことができます。

具体的には、以下の計算式で計算した金額を、所得控除として認めてもらえます。

  • 医療費控除の金額=実際に支払った医療費の金額-受け取った保険金など-10万円
  • ※医療費控除の金額は200万円が上限額です。

例えば、年間で支払った医療費の自己負担金額が100万円の人であれば、100万円-10万円=90万円を所得から差し引きしてもらうことができます。

この90万円は所得控除として扱われますから、例えば所得税率が5%の人であれば、90万円×5%=4万5000円だけ所得税が安くなるという仕組みです。

医療費が毎年多く出る人にとって、医療費控除は極めて節税効果が高い方法ですから、必ず活用するようにしましょう。

医療費控除を受けるには確定申告が必要

なお、医療費控除の適用を受けるためには、必ず確定申告が必要になる点に注意が必要です。

医療費を支出した際に病院や薬局から受け取る領収書が必要になりますから、必ず保管しておきましょう。

確定申告は、毎年2月16日~3月15日の期間に税務署に対して確定申告書を提出する形で行わなくてはなりません。

勤務先が発行してくれる源泉徴収票などは大切に保管しておき、上の期間がきたら必要な手続きを行うようにしてください(確定申告のやり方については税務署の相談窓口でくわしく教えてもらえます)

生命保険料控除の仕組み

生命保険に加入している人は、加入している保険の種類に応じて「生命保険料控除」を利用することができます。

生命保険料控除は、保険の種類に応じて以下のように計算します(3つの種類の合計で限度額12万円)

  • 死亡保障に関する保険:最高4万円を所得から控除
  • 介護医療に関する保険:最高4万円を所得から控除
  • 老後に生活資金を受け取る保険:最高4万円を所得から控除

加入しているそれぞれの保険の種類に応じて所得控除額を計算する必要がある点に注意しておきましょう。

生命保険料控除の上限額は12万円ですから、所得税率が5%の人であれば、12万円×5%=6000円程度の節税効果を得ることが可能です。

なお、生命保険料控除は確定申告を行わなくても、勤務先の年末調整手続きで適用してもらうことができますので、年末調整の時期が近づいてきたら勤務先に控除証明書などを提出するようにしましょう。

家族や配偶者を扶養に入れる

あなたが生活費を負担している配偶者や家族がいる場合には、所得税の計算上「配偶者控除」や「扶養控除」の適用を受けることができます。

配偶者控除は専業主婦(主夫)の配偶者がいる人に適用される所得控除で、所得から38万円を差し引きしてもらうことができます。

また、扶養控除は16歳以上の親族の人の生活費を負担している場合に適用してもらえる所得控除です。

扶養控除は通常1人につき38万円ですが、学費などの負担が大きくなりがちな19歳~23歳未満の人(大学生の家族を想定しています)は「特定扶養親族」として1人につき63万円を所得から差し引きしてもらえます。

さらに、70歳以上の父母や祖父母と同居して生活の面倒を見ているという場合には、「同居老親等」として1人につき58万円の所得控除が認められます。

例えば、配偶者である専業主婦の奥さん、19歳と22歳の子供2人、75歳の父親と70歳の母親の2人の生活の面倒を見ている人であれば、以下の金額を所得から差し引きしてもらえます。

  • 配偶者控除:38万円
  • 扶養控除(特定扶養親族):63万円×2人=126万円
  • 扶養控除(同居老親等):58万円×2人=116万円
  • 合計:38万円+126万円+116万円=280万円

280万円を所得から控除してもらえるということは、所得税率が20%の人であれば、13万円程度の節税効果を得ることができます。

生活費を負担している家族が多い人は、配偶者控除や扶養控除を必ず利用するようにしましょう(これらの控除は、勤務先の年末調整手続きで適用してもらうことができます)

家族の社会保険料を支払った場合

健康保険料や厚生年金といった社会保険料を支払った場合には、その支払額は全額を社会保険料控除として所得から差し引きしてもらうことが可能です。

サラリーマンの人の場合、自分自身の社会保険料についてはお給料から天引きされる形で負担しているケースがほとんどですが、一方で家族の社会保険料を代わりに支払うといったケースもあるでしょう。

(なお、専業主婦の配偶者など年収130万円未満の人は、健康保険や厚生年金の扶養に入ることできますから、そもそも社会保険料を負担する必要がありません)

社会保険料は20歳以上の人であれば収入が無くても支払わなくてはなりませんから、例えばフリーターをしていて収入が少ない子供の国民年金や国民健康保険料を代わりに払うといったケースも考えられます。

本来は家族が自分で支払うべき社会保険料を、あなたが代わりに払った場合、その支払額はあなた自身の社会保険料控除として扱うことができます。

(過去の年度の社会保険料をまとめて払ったという場合にも、今年の税金計算に含めることが可能です)

家族の分の社会保険料支払い額は、勤務先の年末調整の計算には含まれていない

ただし、多くのケースでは勤務先の年末調整ではあなたのお給料から差し引きされている社会保険料だけを社会保険料控除として計算しているでしょうから、家族の分の社会保険料支払い額をあなたの社会保険料控除とする場合には確定申告が必要になることを知っておきましょう。

年末調整の結果として勤務先から受け取る源泉徴収票には「お給料から天引きで払った社会保険料=あなた自身の社会保険料支払い総額」だけが計算に含まれています。

そのため、家族の社会保険料については支払時の領収書などから金額を計算し、確定申告書上で金額を加算する必要があります。

株で損をした場合にやるべきこと

サラリーマンとして収入を得ている人の中には、株式投資などの形で副業収入を得ている人も少なくないでしょう。

これらの方法で収入を得た場合にも、得た収入の金額に応じて税金を負担しなくてはなりませんが、株式取引で利益が出た場合には、使っている証券会社などが源泉徴収の形で税金を徴収しています。

(税金を徴収された後の金額があなたの出金口座に反映されます)

一方で、株式取引では年間トータルで利益がマイナスとなることも考えられます。

利益がマイナスなのであれば税金は1円も支払う必要がありませんから、利益が出たときに源泉徴収されていた税金は確定申告によって還付してもらうことが可能となります。

また、損失が出た年に確定申告を行っておくと、その後3年間にわたってその損失額を繰り越せるという特典があります。

例えば、2019年に株で100万円損をしたという人がいたとして、翌年以降は以下のように利益が出たとしましょう。

  • 2019年:損失100万円
  • 2020年:利益30万円
  • 2023年:利益50万円
  • 2023年:利益30万円

この人が2019年に確定申告の手続きを行っていたとすると、損失の100万円を翌年以降3年間にわたって利益の金額から差し引きしてもらうことができるのです。

具体的には以下のようにそれぞれの年の所得を計算することになります。

  • 2019年:損失100万円(損失なので所得は0円)
  • 2020年:利益30万円(所得は0円:繰越残高100万円-30万円=70万円)
  • 2023年:利益50万円(所得は0円:繰越残高70万円-350万円=20万円)
  • 2023年:利益30万円(所得は10万円:今年の利益-繰越残高20万円=10万円)

株式取引を行なっているサラリーマンの方は、損を出してしまった年には必ず確定申告をして、源泉徴収された税金を還付してもらうとともに、翌年以降の税金を安くしてもらえる制度を活用するようにしましょう。

まとめ

今回は、サラリーマンの人が利用することができる節税対策の方法について解説いたしました。

税金の計算上、給与所得者として扱われるサラリーマンの方は、自営業の人などと比べると、選択できる節税対策の方法は少ないのが実際のところですが、本文で見たように活用できる節税対策は少なからずあります。

利用できる節税方法はもれなく活用して、少しでも手取りの収入を確保するようにしてみてください。

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