【不動産投資】不動産の取引や契約までにチェックしておきたいポイント

不動産投資では、契約が大切です。大きな金額を取引するので、売り主と買い主の信頼関係の上に成り立つからです。いったん契約を結ぶと、一方の都合で簡単に契約を解除することはできません。たいていは不動産業者の担当者が道筋を示してくれますが、自分でも流れが分かっていれば、重要ポイントを確認したり、余裕をもって書類作成などの準備をしたりすることができます。

今回は、不動産取引の契約の流れを確認しておきましょう。

不動産の契約の流れ

賃貸借申込書をチェックする

すでに入居者がいる物件を購入することを「オーナーチェンジ」といいます。この場合、どのような入居者がどのような契約をしているのかを「賃貸借申込書」で確認するようにします。

一般に申し込み時に必要なのは以下のようなものです。

 

契約者

身分証明書。収入証明

連帯保証人

身分証明書

 

これらを参考に、性別や年齢、どういう職業かを確認します。

さらに今までに賃料の滞納がなかったかどうかを調べる必要があります。借主が賃料を支払わなかったり遅延したりするようならマイナス要因となります。

連帯保証人の確認

親や親族が連帯保証人になっている場合は安心ですが、知人程度だと賃料を払ってもらえないケースもあります。最近は家賃保証会社を利用するケースも多くなっています。家賃保証会社は、親族等の連帯保証人に代わり、手数料を得ることによって連帯保証人となるサービスです。

貸主にとっては家賃の滞納リスクを軽減できるのが最大のメリットで、通常の連帯保証人よりも確実性が高くなります。一方、借主にとっては連帯保証人が不要になるというのがメリットです。誰が連帯保証人になっているのか、もしくは家賃保証会社を利用しているのかどうかをチェックするようにしましょう。

入居者の年数

賃貸物件では、必ず一定の割合で退去が発生します。空室が長く続くことは、家賃収入がない時期が続くということなのです。ただ、入居者を見つけるためにあまりにも家賃が安いのでは好ましい結果とはいえません。不動産オーナーは、退去による空室をいかに早く、なるべく高い家賃で埋めるかを考える必要があります。

1Kやワンルームマンションに住むのは、ほとんどが学生や単身者なので、就職や結婚など平均4年で引っ越していきます。中には、10年や20年以上住んでいる例もありますが、その場合は、キッチンやエアコン天井などほぼすべての設備を取り換えなければならないこともあります。

入居者があまりにも長く住んでいる場合は費用がかかるということを念頭に置いておきましょう。

重要事項に係る調査報告書の確認ポイント

賃貸借申込書と同じよう、必ずチェックしなければいけないのが、「重要事項に係る調査報告書」です。この書類は建物管理会社が発行していて、この書類を見ればそのマンションがどういった不動産物件なのかを把握することができます。

各管理会社によって表示方法は異なりますが、専有部分の用途制限や共有部分に関することなど、管理やマンション全体の管理に係る内容が記載されています。購入予定の不動産物件の管理費や修繕積立金などの金額はもちろんのこと、滞納があった場合の金額なども記載されています。

管理組合に対しての滞納があった場合は、新しく住戸を購入した人の負担になるので、必ず事前にチェックしておかなくてはいけません。

特に、気をつけなければいけない項目は次の3つです。

①修繕積立金総額

管理組合全体として、いくら位の積立金が貯められているのかのチェックにも使えます。マンションの資産価値を維持するためには、適切な修繕工事を行う必要があります。そのため、マンションでは「長期修繕計画」を作成し、「修繕積立金」を積み立てています。しかし、多くのマンションでは修繕積立金の額が十分ではありません。もし購入予定の中古マンションの修繕積立金の総額が100万円以下で、10年近く大規模修繕の公示を行っていないとしたら、ずさんな管理のマンションだといえます。

その場合は、将来大規模修繕などの際に多額の出費を覚悟する必要があります。このような初来の出費も中古マンションの購入では重要な判断材料の1つになります。

②管理費・修繕積立金滞納額

購入予定の管理・費修繕積立金に滞納がある場合は、買主がその滞納額を請け負うことになります。そもそも滞納が頻繁にある場合には、管理に問題があります。滞納金があるままの状態で契約することはまずないと思いますが、万が一契約してしまうと、その滞納金は購入した新所有者が支払う必要があります。

また、同じマンションの他の部屋に関しても滞納金が発生していないかどうかをチェックしておきましょう。ある程度の滞納があるのはよくあることですが、その額があまりにも大きいと感じたときは要注意です。

③修繕工事履歴

修繕工事履歴は、マンションができてから今日まで、どのような修繕工事をしてきたのかを理解する重要な資料です。 ただ、どのマンションにも 維持修繕の記録が残っているというわけではありません。宅建業者は、マンションの管理業者または売主に記録があるかを照会し、記録が存在しないことが確認された場合は、その紹介をもって調査義務を果たしたことになります。

修繕工事利益には修繕が行われた日付が載っているので、過去どの程度の修繕が行われてきたのかが分かります。特に大規模修繕がいつ行われたのか、そして次回はいつ行われるかということに注意しましょう。大規模修繕は10年から12年に一度行われるものですが、築年数によって工事内容は変わります。

マンションの住み心地や資産価値は管理次第だということが一般化しています。マンションを購入する際には管理の問題を必ずチェックしておかなければなりません。とりわけ修繕の履歴は、今後老朽化してくるマンションが増加してくるに伴い、さらに重要性が増してきます。

修繕履歴を正確に把握しておくと、立て替えを実施するかどうか検討するにあたっても必要になります。理想は大規模修繕をしたばかりのマンションを購入することですが、こればかりはタイミングの問題なので難しいでしょう。

不動産売買契約に関する留意事項

それでは、売買契約の時に注意する点を確認しておきましょう。

建物の床面積の表示

一般的にマンションの場合、パンフレットなどの床面積は壁の厚さの中心で測った「壁芯面積」で表示されています。壁芯面積とは、壁や柱の厚みの中心線で測られた建物の面積のことです。建築基準法では、床面積は壁芯面積のことを差すため、広告やパンフレットなどの建物面積や専有面積は壁芯面積で表示されています。

一方、登記されている面積は壁の内側で測った「内法面積」で表示されています。マンションなどの区分所有建物は内法面積で登記されるため、パンフレットなどの専有面積より実際の登記面積はやや狭くなるので注意が必要です 。

手付金

手付金とは、売主と買主の間の契約成立を確認するために、買主から売主に支払われるお金で、申込金などとは異なり代金の一部に相当します。 一般に手付金といえば解約手付のことです。民法の規定では、買主が手付金を放棄すれば、また売主が手付金の2倍の金額を買主に支払えば契約を解除できると定めています。

ただし、宅地建物取引業者が売主で宅地建物取引業者以外が買主の場合、売買代金の2割を超える手付金を受け取ることはできません。また、宅地建物取引業者は手付金を貸付たり手付金を分割払いにして契約を勧誘することはできません。

手付金の額は特に法律で制限されていないものの、金額が小さすぎると売主も飼い主も気軽に解約できてしまいます。逆に、金額が大きすぎると解約は難しくなり、どちらも解約手付としての意味をなさなくなってしまいます。ですから、不動産の売買契約では手付金を売買代金の5%~20%の範囲内で決めるケースが一般的です。

瑕疵担保責任

瑕疵担保責任とは、不動産の品質などに隠れた結果(瑕疵)があった場合、売主が買主に対して負う責任です。例えば物件の修復や損害賠償、契約の解除などです。

売主は瑕疵があったことについて過失があったかどうかに関係なく賠償責任を負うとされています。これを「無過失責任」と言います。ただし、売主が瑕疵のあることを事前に知っていることを除き、買主との合意により売主が瑕疵担保責任を負わないとする特約をつけることはできます。

瑕疵には物件に関する物理的な瑕疵だけではなく、事件や事故、自殺などの心理的瑕疵もあります。 売主が瑕疵とは思っていなくても、買主によっては瑕疵になることがあるので注意が必要です。

原則、買主は瑕疵により目的を達成できない場合、瑕疵を知った日から1年以内であれば契約の解除が可能です。そして、解除が難しい場合は損害賠償請求ができます。

宅地建物取引業者が自ら売主となる場合には、引っ越しから最低2年間は瑕疵担保責任を負うことになりますが、それよりも買主に不利になる特約を付けることはできません。

危険負担

売買契約を結んだ後、引き渡しの前までに売主が責を負わない事由(例えば台風で建物が倒壊した、あるいは隣の家の失火に寄って建物が類焼したなど)によって、売主の引渡し義務が履行できなくなった場合、買主の代金支払債務が消滅するのかしないかの問題です。

民法では契約は有効とされ、買主は売買代金を支払う必要があります。しかし、一般的には特約を付けることにより、建物の引き渡し前であれば売主の危険負担(売主が責任を負う)とすることができます。その場合、買主は売買代金を支払う必要はありません。

不動産広告

不動産広告には消費者保護を目的として、表示方法などに関していくつかの規制があります。一つは宅地建物取引業法による規制で、誇大広告の禁止や広告の開始時期の制限が定められています。また、業界の自主規制である「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」では、広告の表示の仕方や基準などが定められています。

例えば、以下のような点に注意する必要があります。

 

①取引に著しく不利な条件がある場合は、それを明示する。

②最寄り駅からの時間は、道路距離80mを徒歩1分に換算して表示する。

③パンフレットに表記されている専有部分の床面積は壁の中心で測った壁芯面積である。

④「 広い」「明るい」など主観的な表現は禁止

⑤「新築」と表示できるのは、建築後1年未満で、誰も住んだことのない物件に限られる。

 

クーリングオフ

クーリングオフとは、不動産の契約を行った後でも契約を破棄することが可能な制度です。ただし、クーリングオフの対象となるかは、売主や契約した場所で決まります。まず条件の一つに、売主が宅地建物取引業者であるということが挙げられます。個人や宅地建物取引業者以外は、クーリングオフ適用対象外となるため注意が必要です。

また、契約場所が宅地建物取引業者の事務所が関連建物以外であれば適用となります。ただし、買主側が自宅での契約を希望し、それを実行した場合もクーリングオフを利用することはできなくなるので注意しましょう。買主は原則としてクーリングオフに関する書面を受け取ってから、8日以内であれば書面で契約を解除できます。

不動産売買契約の準備と締結

登記簿謄本

不動産の売買の前に必ずチェックしておかなければならないのが、「登記簿謄本」です。

不動産の登記とは、登記所法務局にある不動産登記記録(登記簿)に不動産に関する権利関係、例えば所有者や債権者、土地の種類などを記載して公示することをいいます。登記謄本はいわば不動産の履歴書です。登記謄本を見ると次の二つの事が分かります。

 

1.土地の所有者

2.不動産の担保

 

登記簿は一筆の土地(一区切りの田畑や宅地)又は一個の建物ごとに作成される電磁的記録です。不動産の登記記録は表題部と権利部に分かれて作成されます。表題部は登記義務があり、所有権を取得してから1ヶ月以内に所有者が申請しなければいけません。権利部については登記義務がないため、登記の名義と真の権利関係が一致しない場合もあります。

区分所有の場合表題部には、不動産の所在、構造、床面積、家屋番号をとともに敷地権の目的たる土地の表示が書かれています。

権利部は、甲区と乙区の二つに分けられます。

甲区は、所有権に関する事項を表示していて 、仮登記所有権、移転登記、差押などが書かれています。特にここでは不動産の所有者が誰であるかということをしっかり確認する必要があります。

乙区には所有権以外の権利に関する事項が表示されています。例えば、抵当権、地上権、借地権などです。抵当権が最も一般的ですが、質権などほか担保権がついていることがあります。担保権は不動産のローン債務が返済できなかった場合に、お金を貸した金融機関と債権者がその不動産を売却して、その代金から返済を受けることができる権利です。

登記簿謄本は仲介する不動産業者からもらえることができますが、自分で取り寄せてチェックしたい場合は、インターネットで閲覧することもできます。

売買契約

ここまでの資料をチェックしたら、いよいよ売買契約を締結します。一旦契約を結ぶと簡単に解除することはできないので、事前に契約内容を確認することが大切です。もちろん不動産会社にも説明義務はあるものの、あくまでも契約は自己責任であるということを認識するようにしましょう 。

不動産売買契約書に署名・押印した後、手付金を払います。支払方法は、現金や振込、預金小切手を用意します。契約金額が小さい場合は手付金なしの一括で売買代金の授受が行われることもあります。

当日は忘れ物しないように気をつける必要があります。最も多い忘れ物は印鑑です。契約は午前中にしておけば安心です。もし忘れ物をしてしまって一旦取りに戻らなければいけない場合でも、午後に再契約することができるからです。

まとめ

今回は、不動産の契約までにチェックしておくべき書類や、実際の契約の流れを見てきました。契約までに書類を仲介不動産会社から送ってもらい、自分でチェックする必要があります。もしチェックする技術や時間がないという場合には、契約書のチェックを代行してくれる会社もあるので活用するのも良いでしょう 。

また、契約の前には手付金を支払う必要があります。手付金の金額については特に決まりがあるわけではありませんが、売買代金の10%程度が多くなります。10%といっても不動産投資は金額が大きくなります。手付金はトラブルが多いので注意が必要です 。

売買契約に関しても、宅地建物取引士から重要事項の説明を受けますが、契約は自己責任です。一旦契約を締結すると簡単に解除することはできません 。最初から全てを完璧にこなすことは難しいかもしれませんが、きちんと重要なポイントを押さえ、後で後悔しないような契約を結ぶようにしましょう。

 

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