不動産投資なら空き家バンクに注目!近年話題の空き家バンクの仕組み、メリットデメリットを解説。

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増えすぎてしまった空き家を活用していく空き家バンクが、不動産投資において今注目されています。

近年、高齢化や単身生活の増加に伴い、誰も住まなくなった空き家が増え続けています。このような現象は、空き家問題としてしばらく話題になりました。そこで、国の政策や自治体の地方再生の一環として登場したのが空き家バンクです。

空き家バンクでは全国の空き家情報をオンラインで簡単に探すことができます。また、空き家を売りたい人や貸したい人も活用できる便利な仕組みです。

不動産投資をするなら、ぜひ、この空き家バンクも選択肢の1つです。でも、そもそも空き家バンクとは何なのか知らない人もまだ多いでしょう。

今回は、空き家バンクの仕組みやメリット・デメリットをご紹介していきます。

不動産投資と中古物件

不動産投資を始めるにあたって、収益物件を探しながら、新築の戸建てやマンションはさすがに手が出ないな、とがっかりする人も多いかもしれません。

国内で新築の住宅を購入するには、地域にもよりますが、関東地区のマンションの場合は3千万円~5千万円ぐらいが相場です。

※マンション新築と築年数別価格の比較

出典:SUUMO 参考リンク

戸建住宅の場合だと新築の場合は3千万円~4千万円が相場です。

そこで、不動産投資家は考えます。

収益物件に3千万円、4千万円と払ったところで、いったい完済するのに何年かかるのだろうかと・・・。さらに、それらの物件を賃貸するにあたって、高額な家賃設定が必要となり、果たしてその家賃でニーズはあるのかが疑問となります。

つまり、収益にならなければ不動産投資をする意味がありません。

※戸建新築と中古価格の比較

出典:SUUMO 参考リンク

そこで、近年注目されているのが、中古物件です。

上記の2つのグラフを見てもわかるように、都心から離れるほど、築年数が古くなるほど、物件の購入価格は下がっていくのがわかります。

東京都の戸建ての場合を除けば、住宅の購入価格は3分の1から半額近く安くなります。

賃貸ニーズがありながらも、住宅価格が比較的安い地域であれば、収益物件を中古にて格安で購入することが可能です。

また、リフォームやDIYなどによって住宅の価値を高めれば、思った以上の家賃収入を得ることができます。

つまり、中古物件であればオーナーにとってもテナントにとっても現実的な費用にて考えることができるのです。

※住宅流通市場の推移

出典:国土交通省 参考リンク

上のグラフは、国土交通省の統計資料で、新築と中古(既存住宅)の流通量を比較したものです。

平成20年以降は、新築の流通量は一気に低下し、それに相反して中古の流通用は一気に増え始めています。徐々に新築にこだわらない人達が増えていることがわかります。住宅に対する新しい価値観が普及しつつあるのです。

※新築・中古に対する考え方の推移

出典:国土交通省 参考リンク

平成15年の調査では、新築にこだわる人が多かったのですが、平成20年以降はその比率も変化していきます。

平成25年の段階ではすでに、新築にこだわらない人の数は持ち家、賃貸にかかわらず、過半数に達しています。

空き家問題

中古住宅物件が徐々に注目されるようになったと同時に、話題になっているのが空き家の存在です。

不動産投資において、空き家の活用が注目されるようになったのは、用途不明の空き家の数がここ数年急激に増え続けていることがきっかけとなりました。

用途不明の空き家

空き家問題が取り上げられるようになったのは、ただ単に空き家の数が増加したことだけが理由ではないのです。

たまたま相続などで空き家を保有することになった、次世代の人達が用途不明のまま空き家を放置する状態が続いていることが大きな原因となっています。

つまり国や自治体が問題視しているのは、

その空き家をどうするつもりなのか、ということです。

相続したけれど・・・

空き家を相続した人達の多くが、かつてはその家に住んでいました。個人的な思い入れの強い家に対して、取り壊すことも売り渡すこともできないまま、年月だけが経っていきます。

実際に空き家を相続したけれど、その家をどうすればいいのかわからない人が多いのが現状です。国土交通省の統計では、約70%の人達が空き家の今後の使途を明確にできずにいることが報告されています。

空き家問題への対策

そこで国や自治体は、そのような空き家の所有者たちに、空き家を活用方法を決めていくよう促す対策を進めていきます。

「処分する」「売却する」「賃貸などで活用する」

の3つの方法を提起していきます。

空き家対策措置法

空き家を用途不明のまま放置しないように、作られた法律が「空き家対策措置法」になります。

  • 倒壊の恐れがある空き家を撤去するよう促す罰金
  • さらに更地のまま放置した場合は固定資産税が6倍になる
  • 自治体によって撤去やリフォーム、活用の際に補助金を支給する

などといった内容が法的に定められることになりました。

※空き家問題について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にして下さい。

このような空き家対策の1つとして、全国の自治体によって作られたシステムが「空き家バンク」になるのです。

空き家バンクとは

それでは、空き家バンクとは何なのかを詳しく解説していきます。

空き家バンクとは、地域の住民が空き家の登録を役所にて行い、賃貸や購入その他の用途にて空き家を活用した人に情報を提供する制度のことをいいます。自治体が運営する不動産情報サイトです。

もともとこの空き家バンクとは、地方の市町村を中心に行われていた、ごく小規模な地域的な取り組みでありました。ここにきて、この空き家バンクは全国的に展開されることになったのです。

2018年4月から「全国版空き家・空地バンク」が本格稼働が開始されたのです。

空き家バンクの目的

空き家バンクの目的は、地域の活性化を図る→移住・定住者を確保していくことが第一に考えられています。

他にも、空き家活用を活性化することで期待されているのは、

  • 地域住民と都市住民との交流
  • 生活環境を向上、保全していく
  • 観光事業や産業の活性化
  • 外国人観光客、外国人移住者の確保
  • 空き家数の低下を図る

などといった内容になります。

このような地方自治体の目的に沿った空き家の活用に対して、補助金制度を設けて支援している自治体が増えてきています。

空き家バンクの現状

平成29年(2018年)の時点では、空き家バンクにを設置済みの自治体は全国で過半数を超えています。

※空き家バンクの設置状況

出典:土地総合研究所(国土交通省のデータより)参考リンク

全体の約56%、763の市区町村が空き家バンク制度を設置済み、現在準備中の自治体が20%、のこり22%の自治体は設置の予定はないとしています。

都道府県別に見た空き家バンク

都道府県別で空き家バンクを設置している市町村の割合を見ていくと、

富山県が最も多く100%の自治体が設置済み

となっており、地域再生に全力を尽くしているようです。

続いて、

  • 福井県
  • 岡山県
  • 島根県
  • 香川県

の4県となり、約90%の自治体が設置済みで、地域再生に力を入れていることがわかります。

60%~80%前後の自治体が設置する都道府県の比率が最多となり、

北海道、秋田県、山形県、栃木県、新潟県、石川県、山梨県、長野県、三重県、兵庫県、鳥取県、広島県、山口県、愛媛県、高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県、宮崎県

となり、かなり多くの自治体にて、空き家活用を進めていく動きが見られています。

設置済みの自治体が多い地域ほど、空き家活用に対して補助金などで支援していく体制が整っていると判断することができます。

さらに、地域再生に力を入れている自治体では、ビジネスや民泊、賃貸経営などを行う基盤ができていると見ることができます。

主要都市部の空き家バンク

上記でご紹介した都道府県に反して、空き家バンクの設置数が比較的少ないのは、やはり人口流入度の高い主要都市部となります。

東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県などです。

これらの都市部でも郊外の市町村になると、空き家バンクを設置している地域が多くなります。

唯一、沖縄県だけは空き家バンクのニーズが非常に低く、設置する市町村はわずか10%以下の比率です。

※空き家バンクに関しては、以下のサイトからもご覧頂けます。

空き家バンクの仕組み

空き家バンクの大まかな仕組みは、空き家の所有者と空き家を利用したい希望者をマッチングするシステムになっています。

空き家バンクの詳細

空き家バンクの詳細は、各自治体によって若干異なりますが、以下のような内容となります。

  • 空き家を売る(買う)
  • 空き家を貸す(借りる)
  • 空き家活用支援(民泊やお店など)
  • 空地を売る(買う)
  • 空地を課す(借りる)
  • 空地活用支援(畑やイベントの利用など)

→これらの情報を一般の人達や、地方でビジネスを展開したい人、不動産投資家、民泊投資家などが閲覧して、マッチングする情報に申し込むことで契約が成立します。

空き家バンクの契約方法

空き家バンクの契約方法は以下のような流れになります。

  1. 購入者(売却者)が希望の案件に問い合わせ・応募する
  2. 自治体は申し込みを受け付け、詳細や個人情報などを双方に連絡する
  3. 物件の下見・見学
  4. 当事者同士にて契約を進める(基本的に個人交渉)
  5. 必要であれば、別途で不動産会社などの仲介業者を依頼する
  6. 契約成立

※自治体によっては、不動産会社などの仲介業者を介在させることが前提になっている場合もあります。

※NPO法人などの民営の業者が展開している空き家バンクもあります。

ですから、ある意味、民営の不動産情報サイトと似ているのですが、

空き家バンクは営利目的ではないことが大きな違いとなり、仲介手数料や敷金・礼金などの費用がかからないものが多くなるのです。

空き家バンクのメリット

Woman
なんだか興味深い物件を探せそうな気もするけど、空き家バンクで収益物件を購入するメリットは何なの?

格安で好条件の物件が探せる!

空き家バンクに登録する人達は、もともと不動産会社との付き合いがない人が多くなります。従って、通常の市場価格にあまり左右されない傾向にあります。

また、数年に渡って放置状態だった空き家の登録も多く、リフォームなどされてない物件を格安で購入することが可能です。

地域にもよりますが、築10年未満でも300万円以下で購入できる物件も多数あります。

好きなようにリフォームできる!

空き家バンクでは、リフォームなどと手が加えられていない物件も多くなるので、その物件を格安で購入して、好きなように理想的な住宅へと変貌させることができます。

最近ではDIYといって、業者に頼まずに自分たちでリフォームするオーナーも増えてきています。

自分たちでリフォームすれば、不動産投資物件にかける費用を大幅に抑えることが可能です。

自治体だから安心できる!

自治体が運営する空き家バンクであれば、運営しているのは市町村などの自治体ですから、変な業者に高い見積りで騙されるといった心配もありません。

自治体を介しての契約だから、いざという時には安心です。

自治体の補助金を有効活用できる!

空き家バンクを活用する上で大きなメリットとなるのは、地域によっては、空き家の購入やリフォーム、民泊活用、事業活用などで補助金が支給されることです。

物件を探したい地域の空き家バンクや自治体のサイトにて、どのような場合に補助金が支給されるのかを調べることができます。

地域の都市計画が期待できる!

地域によっては、例えば外国人途用による産業復興に力を入れていたり、シェアハウスやサテライトオフィスなどに特別に力を入れていたり、新事業開発を計画していたりと様々です。

そのような都市計画に力を入れている自治体を選ぶことで、今後の賃貸・宿泊ニーズが期待できることになります。

住宅の質が高い!

都市部などでは、プレハブメーカーなどを建売住宅で販売する住宅メーカーの家が多いのですが、地方では反対に地域の職人さんが建てた家が多くなります。

一般的にプレハブを基盤とする住宅は、もともと簡易型住宅として発達したもので、耐久性も低く、費用がかからない素材が使われています。反面、地域の大工さんや住宅業者が建てた家は、高価な素材を使い、建築にこだわって建てられているため、数十年たっても丈夫な家がたくさんあります。

空き家バンクでは、そのように住宅の質が高い物件を探すことが可能なのです。

空き家バンクのデメリット

Woman

確かに、空き家バンクを活用するメリットは大きいかも。でも、もちろんデメリットもあるよね?

空き家バンクを活用するデメリットは何?

地方・郊外の物件が多い!?

単なる住居として、自分が暮らす分には空き家バンクでも全く問題ないといえますが、不動産投資として考えた時には微妙である場合も多くなります。

不動産投資では、基本的に賃貸や宿泊施設などの需要が必要です。

でも空き家バンクは、主に地方都市、地方でも郊外で人口流入度の低い地域が多くなります。そのような地域の中から、住宅のニーズのありそうな地域・物件を探すことが勝負の決め手となります。

故障や不具合のリスクがある!?

空き家バンクはメリットでもお伝えしたように、これまで不動産会社が管理してきたような物件とは異なり、他県に住む所有者が放置していた場合も多々あります。

従って、古すぎて劣化がひどい物件であったり、いざ購入した後に故障や不具合などに悩まされるリスクが潜んでいます。

空き家バンクの物件には、最初から給湯器なし、要屋根修理などと、修繕やリフォームが必要不可欠となる物件があるので注意しましょう。

素人同士の商談となる!?

通常なら不動産会社に売買や契約のことは任せておけばいいので、不動産売買に関する法的な知識をそんなに知らなくとも、物件を購入することは簡単にできます。

でも、空き家バンクでは基本的に申込者と募集者の個人交渉によって、話しを進めていくのが一般的で、思った以上に手間取るかもしれません。

素人同士の商談となるため、融通がきくといったメリットもあるでしょうが、双方の認識不足によるトラブルが起きる可能性もあり得るのです。

※最後に空き家の活用方法や、中古住宅DIYに関する記事をご紹介しておきます。ぜひ、今後の不動産投資にお役立て下さい。

まとめ

今回は、最初に空き家問題とは何なのかをご説明し、空き家バンクの仕組みやメリット・デメリットをご紹介致しました。

空き家バンクは、深刻化している空き家問題を解決する方法として、今全国的な規模で注目され始めている新しい不動産取引です。非現実的な家賃や住宅の購入費用を解決する意味でも、最近では空き家バンクを利用した地方への移住に関心が高まっています。

IT技術の発達により、職種によっては勤務地や居住地にこだわる必要がなくなってきたことも、地方創生への足掛かりとなっています。

自治体によっては、そんな世の中の動きに対応する魅力的な都市計画を企画している地域も増えてきています。

空き家バンクを活用して、不動産投資を行うためにはデメリットを把握した上で十分に時間をかけてリサーチすることが大切です。

その地域や自治体の計画、物件、そして不動産売買の基本的な知識を学んでおくことが欠かせないと言えます。

地域によっては、自治体の支援を得ながら、格安物件によって高い収益を実現することも夢ではありません!

なぜその地域で住宅ニーズが高まると思えるのか、

どのような人達のニーズがあるのか、

どのような住宅が好まれるのか、などと、それぞれの投資家にとって、将来性があると思える不動産投資の計画を立てることがポイントになるでしょう。

 

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