法人カードは審査が厳しい?審査落ちの理由と通過のためのコツ

法人カードの導入を決めたら、まず行うべきことが申し込みの手続きです。

法人カードの審査にかかる時間は一般的に2週間程度とされていて、審査を通過した後に発行されたカードが送付されてきます。しかし、審査落ちとなった場合は法人カードを持つことすらできません。

申し込みをするであれば審査落ちせずに法人カードを持ちたいと考えるのが当然かと思いますが、そのためには「どんな場合に審査落ちするのか」「審査落ちしないためにはどうすれば良いのか」を知っておくのがスムーズです。

当記事では、法人カードの審査落ちしやすい理由に審査に通過するためのコツについて解説します。最後まで読めば「審査に通過するためにどんなことが必要なのか」を把握できるようになるでしょう。

その他にも審査に通過するためにできるだけのことはしたけれど、それでも審査落ちしてしまうこともありがちです。そこで、審査落ちした理由がわからない場合の対処法もあわせてまとめています。

法人カードで審査落ちしやすい理由

法人カードを導入しようと思っていても、審査に落ちてしまったらどうにもなりません。一度審査落ちすると一定期間は通過が困難になってしまうため、できればスムーズにクリアしておきたいところでしょう。

こちらでは、最初に法人カードの審査に落ちやすいとされる理由、審査の際に重視されるポイントについて解説します。

会社と代表者個人の信用の2つが審査対象

法人カードの審査は個人カード以上に審査が厳格化する傾向があります。なぜなら、法人カードでは会社と申込者となる代表者個人の信用の2つが審査対象となるからです。

そのため、審査落ちとなる理由は、会社の信用と代表者個人の信用に問題があることが考えられるでしょう。両方に問題があったらまず審査通過とはなりませんが、どちらかのみでも審査に通過しにくいです。

企業が審査落ちしやすいケース

法人カードの審査において代表者個人の信用は良好だったとしても、会社の方で返済能力がないと判断されたら審査落ちの可能性が高いでしょう。

まず、カード会社は一般的に申し込みのあった法人に対して、会社設立からの年数と経営状況の部分を参考にして審査を進めます。

会社設立から3年をこえていない場合

事業歴は審査時に重要度が高いポイントで、会社設立から間もない場合はそれだけで審査落ちする場合があります。

個人用クレジットカードであれば仮に契約者の勤務先が倒産してもしまったとしても、その後に契約者が転職をすることで引き続き給与を得ることは可能です。カード会社も引き続き返済の継続があると判断できるでしょう。

しかし、法人カードの場合は会社が倒産すれば代表者も破産するケースが多く、結果的に貸し倒れとなって回収できないリスクが高まります。

そのため、会社設立直後の法人や事業歴が3年に達していない法人は、「安定していない」「計画的倒産を狙っているのではないのか」などと受け止められやすく、審査落ちとなることがあります。

赤字決算が審査に影響を与えることも

業績が良くない会社も、法人カードの審査落ちする可能性が高まってきます。特に赤字決算の会社は貸し倒れのリスクが高くなると判断されて、審査の評価も低くなるでしょう。

ただし、赤字決算でも例外があります。売上が大きく、節税目的で出張費や接待交際費などの経費を大きくして意図的に赤字にしている会社です。この場合、赤字決算でも財務状況に問題ないとなるため法人カードの発行ができます。

それに対して、売上が少なくて借入額の多い会社の場合は「財務状況が良くない」と判断。審査落ちする可能性が高くなります。

代表者個人の信用が審査に影響する

会社の事業歴や財務状況などに問題がなかったとしても審査落ちする場合があり、その理由が申し込み者となる代表者個人の信用が審査に大きく影響することです。

過去に代表者が個人向けクレジットカードやローンなどの支払いに問題があると判断されれば、どんなに会社の信用度が高くても審査通過とはならないでしょう。

遅延履歴や滞納がある

代表者の信用状況に問題があることで法人カードの審査に悪影響を与えてしまいます。たとえばクレジットカードやローンの返済を遅延したり、未払いが残っていたりする状態です。

カード会社はクレジットカードの利用代金を契約者に代わって先に加盟店へ支払い、後日回収する仕組みになっています。カード会社は契約者に支払ってもらえなければ貸し倒れとなって損をするだけです。そうならないためにもカード会社が信用できると認めなければ審査には通過しません。

現在、遅延などがあるのでしたら、まずはその金額を返済することが大切です。そして、その後も遅れることなく返済を重ねていけば信用を得られるようになるでしょう。

借入れ金額が多い

代表者個人の返済状況に問題がなかったとしても、借入れ金額が多いことで審査落ちする場合があります。

資金繰りに困っていると見なされますし、返済ができないのではないかと受け止められることが主な理由です。

債務整理を行っている

代表者個人が自己破産や任意整理、特定調停などの債務整理を行っている場合、ほぼ審査落ちすると思っていてください。

借金が無効になる、減額する手続きのため、本来返さなくてはならなかったお金を返せなかったことになります。また、カード会社は返済されなかったことで貸し倒れとなっていますから、大きな迷惑もかけています。

債務整理を行った際に返済をしなかったカード会社には、半永久的にマイナスの履歴が登録。そのカード会社に新規申し込みをしても審査通過となることはないでしょう。

その他にも個人信用情報機関には、5年もしくは10年の履歴が登録されます。その期間内はどこのクレジットカードの審査も通過することはありません。

法人カードの審査に通過するためのコツ

審査落ちせずに法人カードの導入ができるのがベストです。審査に落ちたら、また改めて申し込まなくてはなりませんから余計な手間がかかることになります。

こちらでは、法人カードの審査に通過するためのコツを解説していきましょう。

・事業内容を明確にする
・事業内容の実態を証明できるようにする
・審査難易度が低いとされる法人カードを選ぶ
・保有するカードをアップグレード
・プロモーションで申し込む
・利用しないカードは解約
・代表者の信用に問題がある場合は時間を置く
・申込書は空欄のないように間違いなく記入

上記の8つのコツを詳しくまとめてみました。

事業内容を明確にする

法人カードの申込みの際に、事業内容について申請する必要があります。どんな事業を行っているのか、どうやって売上を得ているのかを確認。そこから返済能力の有無を判断していきます。

複数の事業を行っている場合があるかもしれませんが、その際は一番基礎となっている収入の事業内容を記載してください。

カード会社に正しく伝わるように、あらかじめ明確にしておくのが重要です。

事業内容の実態を証明できるようにする

事業内容を記入した後は、事業の実態を証明できるようにしておいてください。特に個人事業主の場合は登記で確認ができませんから、カード会社は本当に事業を行っているのかどうかを判断しにくいです。

そこで、個人事業主は開業届を税務署に提出しておくのが前提となります。そうすることで個人事業主として認められる第一歩となり、逆に提出していなければ事業実態の証明ができないことを理由に法人カードの審査に落ちやすくなるでしょう。

その他にも以下の3つのポイントも重要視されがちです。

・バーチャルオフィスを避ける
・事業用の固定電話を引くようにする
・公式サイトを用意する

あわせてチェックしておいてください。

バーチャルオフィスを避ける

実態がないと判断されるオフィスも審査落ちしやすく、バーチャルオフィスの申し込みを受け付けない法人カードもあるほどです。

カードの受け取りが難しくなるうえに事業の実態がないと疑われることになります。

登記をしていれば大丈夫ですが、登記をしていない場合はバーチャルオフィスを避けて自宅などの実態のある住所を記入するようにしてください。

事業用の固定電話を引くようにする

固定電話の有無で会社の所在を証明できますし、カード会社から信頼を得るための大きな目安にもなります。

確かに、携帯電話が普及していることで固定電話を必要としない場合が多いかもしれません。しかし、携帯電話は簡単に解約しやすいという特徴があることから、延滞や滞納などのトラブルがあった場合にカード会社との連絡が取れなくなる可能性があります。

多少手間はかかるものの、固定電話の回線を引いた方が審査は有利に進みやすくなるでしょう。都合の良いタイミングで用意しておくことがおすすめです。

公式サイトを用意する

インターネット上でどんな事業を行っているのかがわかるようにしておけば、事業内容の証明が簡単です。

設立年数に会社概要をはじめ、公式サイトを用意しておくことでどんな事業を行っているのかが伝わりやすくなります。できればオフィスの内観に外観、代表者の写真もあった方が良いでしょう。

また、インターネットット上でショップを経営している場合、楽天やYahoo!ショッピングなどに店舗展開すれば信用度は上がります。ネットモールは出店のための審査がありますから、誰でも自由に店舗を構えられないからです。

自社の実績をアピールすることも効果的

公式サイトがある場合、自社にどんな実績があるのかについて記載しておくと良いでしょう。対外的にアピールを行うことでカード会社の信用につながり、法人カードの審査が有利に進む場合があります。

請け負った業務に主要取引先、ネットモールでランキング入りとなった履歴をはじめ、事業を積極的に展開していることを伝えるようにしてください。

審査難易度が低いとされる法人カードを選ぶ

公式サイトに事業内容を載せるにしても、会社設立から間もない場合は情報も乏しくて難しいところでしょう。そこでおすすめなのが、会社設立直後でも審査に通過しやすい法人カードを選ぶことです。

実際に「ライフカードビジネスライト」などは、会社設立後間もない方でも審査通過したというコメントが多く見られます。財務状況を証明する書類の提出も不要で、代表者の本人確認書類のみで申し込みが可能です。

また、「アメリカン・エキスプレス」「クレディセゾン」が発行するカードでは、スコアリング方式という独自審査を導入しています。過去の情報以上に現在の支払い能力があるかどうかで審査通過を判断する傾向があるので、こちらも選択肢とするのに良いかもしれません。

保有するカードをアップグレード

代表者が保有する個人カードをアップグレードすることで、法人カードの審査に通過しやすくなるケースがあります。

特に代表者がゴールドやプラチナなどの高ステータスの個人カードを利用していることで、「信用度が高い」という印象を与えやすいです。

プロモーションで申し込む

審査通過の可能性を少しでも高くしたい場合、カード会社が行うプロモーションにて申し込みをしてみるのもおすすめです。

プロモーションとはカード会社が空港や駅などに出張ブースを作って行う、カード入会のための勧誘活動になります。入会のノルマがあらかじめ設定されていることも多く、審査も優遇されやすいです。

利用しないカードは解約

利用しないカードを解約することで、審査通過しやすくなる可能性があります。

法人カードは代表者の個人名義となり、利用限度額は代表者個人が保有するクレジットカードのすべてを合算して計算します。

ただ持っているだけのクレジットカードがあれば解約をして、利用限度額の枠に幅を持たせることが重要です。

代表者個人の信用に問題がある場合は時間を置く

代表者個人の支払い遅延などが原因で個人信用情報に問題がある場合、審査に通過する可能性は極めて低いでしょう。そのような場合、ある程度の時間を置いてから法人カードの審査に申し込むようにしてください。

個人信用情報機関には下記のように一定の保有期間があります。

・CIC
遅延などの支払いに関する情報:5年間
・JICC
遅延解消:1年
債務整理(自己破産・個人破産・任意整理):5年間
・KSC
遅延・代位弁済など:5年間
自己破産・民事再生など:10年間

信用情報機関に登録された自身の情報が知りたい場合、500~1,000円で開示請求ができます。開示方法もパソコンにスマートフォン、郵送などから選べるので、気になる場合は確認してみると良いでしょう。

申込書は空欄のないように間違いなく記入

法人カードの審査では、必要事項を申し込み書に記載するようになります。

そこで空欄が多い場合、本当に事業実態があるのかが疑われることになり、審査通過が難しくなってしまうでしょう。

もしも必須項目でなかったとしても、できるだけ正しい情報を漏れなく記載したほうが審査はスムーズに進みます。また、記入する際は間違いが多すぎることで、
カード会社からの信用を得られなくなる場合があるので注意してください。

審査落ちの理由がわからない場合の対処法

法人カードに審査落ちしたけれど、理由がわからない場合もあることでしょう。

そのときの対処法として以下の3つが挙げられます。

・他社の法人カードに申し込む
・個人用のクレジットカードを使用する
・法人デビットカードを発行する

こちらでは、それぞれについて詳しくまとめています。

他社の法人カードに申し込む

審査落ちの理由がわからない場合は、他社の法人カードに申し込むのも対処法の一つです。

法人カードの審査基準はカード会社によって異なるため、一社の審査に落ちても他のカード会社では通過する場合も珍しくありません。

ただし、短期間で何枚もの法人カードに申し込んでしまうと「申し込みブラック」という審査に通過しにくい状態になってしまいます。あらかじめ、申し込むべきカードは1~2枚にして、審査に落ちたら申し込むような流れにしてください。

個人用のクレジットカードを使用する

法人カードを保有しなくても、個人用のクレジットカードで経費の支払いはできます。ただし、私的利用と経費利用が混同してしまうデメリットがあるので、あくまでも一時的な対処法とするのがおすすめです。

また、その際に支払いの延滞がない実績を作れば、改めて法人カードの審査を受ける際に有利になるでしょう。

法人デビットカードを発行する

法人デビットカードを発行するのも対処法として効果的でしょう。

デビットカードはクレジットカードと異なり、利用時に口座から即時決済となります。発行のための厳格な審査も要らないので、申し込みをすればほぼ導入することが可能です。

クレジットカードほどに手厚いサービスや特典は付帯されませんし、ETCカードを発行することもできません。しかし、その他については大きく異なる部分はありませんし、多くのVISAやJCBの加盟店で利用できます。

まとめ

こちらでは、法人カードの審査落ちしやすい理由に審査に通過するためのコツについて解説しました。

法人カードで審査落ちする理由は「事業年数の短さ」「代表者の信用度が低い」「事業実態を証明できない」などの点が挙げられます。会社設立から3年が過ぎるのを待つのも方法の一つですが、まずは審査に通過するために効果的な対策を取り入れることが大切です。審査に通過しやすい法人カードを選んで申し込む、その他にも代表者の信用度に自信がない場合は状況を変えるなどのことを心がけるようにしてください。

また、審査に落ちた理由がわからないなどの場合は、申し込むカード会社を変える、個人用クレジットカードを利用する、法人デビットカードを発行することができます。

発行されるまでは不安も多くあるかもしれませんが、導入できればビジネスのさまざまな面で法人カードは役立つことでしょう。ぜひ、こちらの記事を参考にして法人カードの審査通過を叶えてください。

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