目次
- 自動車保険を検討しているけど、代理店型と通販型っていうのがあるみたい
- 今見積もりを何社かしているけど、テレビCMでやってるやつの方が安くない?
- なぜ通販型の方が安いのだろう
- 更新の時期だから通販型に切り替えた方がいいのかな
自動車保険について検討していると、代理店を通して加入するのと通販で加入するのではどんな違いがあるのか疑問を抱いたことはありませんか。
複雑な自動車保険、代理店型と通販型のどちらで入るのが最終的にお得と言えるのでしょうか。そんな方に向けて今回は代理店型と通販型の違いについて、元大手損保会社にいた私が詳しくご説明します。
代理店型なのか通販型なのか、現在すでに保険に加入しているけど仕組みがよくわからないという方もいらっしゃると思います。そんな方も、ご自身の保険について見直す機会になると思いますのでぜひご一読ください!
代理店型と通販型の違い
それではまず代理店型と通販型というのは何なのか、みていきましょう。
代理店型とは?
代理店とは「保険会社ー代理店ーお客様」といったように保険会社とお客様の間に入って業務を行う仲介業者です。
保険会社の代わりに
- 保険の相談に乗る
- 見積もりを出す
- 契約締結の手続きをする
- 保険料を徴収する
- 変更解約の手続きをする
- 事故時の受け付けをする(保険会社も窓口となっている)
など保険契約に関するほとんどすべてのお客様窓口となる役割を担っています。
代理店の役割
代理店の最も重要な仕事は、消費者・保険契約者と保険会社のパイプ役となり、「知識」「情報」「交渉力」などの格差を緩和し、消費者・保険契約者を様々な危険から守るべく最適な保険提案を行うことです。
また、万一災害や事故が発生した場合は、迅速かつ円満な解決を援助するなど広範なコンサルティング活動をすることです。
保険会社と代理店は違うの?
保険会社と保険代理店はよく混同されがちですが、お客様に保険の内容を説明したり実際に手続きを取る相手は保険会社の人間ではありません。保険会社から委託契約を結んでいる代理店担当者が実際にお客様との手続き対応をします。
自動車に例えると、
ディーラーや〇〇販売という店舗をかまえているところは、自動車の販売や試乗などの対応をしてくれる自動車代理店です。
しかしその自動車代理店が実際に自動車を製造したり開発しているわけではありませんよね。そして一般消費者が自動車会社に行き直接車を買うことはありません。
保険会社と保険代理店もこれと同じ仕組みです。
保険会社は
- 自社の保険商品を開発する
- パンフレット等を作成してプロモートする
- どういう場合に保険金を支払うかなどの約款を制定する
- 事故の際、保険金支払いをする
などの役割があります。
そのため、保険会社は委託契約をしている代理店に契約締結権を与え、お客様対応を委託するというルールを定めているのです。
通販型とは?
一方で通販型のタイプはというと、先ほど説明したような代理店を通じて保険に加入するのではなく保険会社から直接加入する方式のことをいいます。
保険にはもともと代理店を通じて加入する代理店型しか存在していませんでした。
しかし通販型が登場し、保険会社から直接加入するという新しい方式が生まれたため「ダイレクト保険」や「通販型」という言葉を使って従来の代理店型と区別して呼ばれるようになりました。
代理店型のメリット・デメリット
メリット:保険について身近に頼れる存在
いざ自動車保険に入ろうと思い、パンフレットを読んでも補償やサービスの説明は複雑で、内容を完璧に理解することは至難の技です。
そう、保険というのはかなり複雑な商品なのです。
しかも保険の内容を理解したうえでどういうプランを組めばいいか、いざという時に自分に最適な補償はどんなものかわかりません。
そこで頼りになるのが代理店の存在です。
保険代理店というのは
- 複雑な内容をお客様へ噛み砕いて説明してくれる
- お客様の家族構成や状況を細かくヒアリングして最適な保険プランを組んでくれる
- お客様が求める補償の内容と実際に捻出できる予算の間で擦り合せを行ってくれる
という役割があります。
また、プロ代理店と呼ばれる保険業を本業としている専業代理店から加入すれば、自動車保険以外にもお客様のライフスタイルに合わせて別の保険のプランニングもしてくれます。火災保険や傷害保険、生命保険などがその一例です。
メリット:事故時には保険会社の間に入り中立な立場でアドバイス
事故が起きた際に、相手方と交渉したり実際の保険金の支払い業務を行うのは代理店ではなく保険会社の担当者です。そのため代理店は、事故が起きた際の最初の窓口にはなり得ますが、その後は保険会社の担当者とやりとりすることになります。
ここで大きなポイントとなるのが、
- 保険会社:保険金を支払う必要性・妥当性・信憑性があるか吟味する(過払いを防ぐ)
- 代理店:お客様との信頼関係が今後の営業活動に関わるため、保険をどう使うかアドバイスをする
という点です。
保険会社は慈善事業でやっているわけではないので、すべての契約者から徴収した保険料から適正に保険金を支払う必要があります。
さらにそのうえで利益を生み出していかなれければなりません。保険会社ごとに定めたルール通りに保険金を支払っていかないと、保険料がどんどん値上がりして事故を起こしていない契約者にも負担をかけてしまう原因にもなります。
こういった背景から、保険会社が保険金支払いに慎重になるのは当然ですね。
一方保険代理店にとって、お客様と良好な信頼関係を築くことが何より大切です。
信頼の置ける代理店としてお客様との関係が築ければ、それ以後他の種類の保険や本業の商品が売れる可能性が高まるからです。
デメリット:保険料が割高
それでは代理店がどのように委託会社として利益を得ているかというと、保険料の一部を手数料としてもらっています。ですので、私たちが払う保険料には代理店の利益分が上乗せされているというわけですね。
このため通販型の自動車保険と比べ、代理店型の保険料の方が割高に設定されています。
通販型のメリット・デメリット
ここまで代理店型のメリットデメリットについてみていきましたが、今度は通販型についてみていきましょう。
メリット:保険料が安い
先ほどもご説明しましたが、従来含まれていた代理店の手数料始め、契約に関わる人件費などのコストを大幅に削減できるという意味で、直接加入する通販型は保険料が安く設定されています。
この保険料の安さがなんと言っても通販型の一番の特徴であり大きなメリットです。
メリット:自分で見積もりができる
- 代理店に行って見積もりを取ってもらったら加入しないといけない気分になる
- 試算をしてもらうためだけに代理店に行くのは面倒くさい
- もっと色んなパターンで見積もりをしてみたい
- 自分のペースでじっくり考えたいという人
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デメリット:ある程度保険に精通している必要がある
通販型で入るデメリットとして、自分がどんな補償を求めているか保険についてある程度理解している(もしくは調べればわかる)必要があります。
また、加入や見積もりは電話かインターネット経由となります。
このため自分が設計した補償は充分か、契約内容は適正かなどある程度自分で見極める必要があり、自己責任が伴ってきます。普段から車関係なども自分で調べてある程度解決してきた方や、これまで保険を使ったことがあり何度か保険会社とやりとりしたり、自分で調べた経験のある方には向いていると言えます。
安いだけで選ぶと危険!?自分の優先順位をはっきりさせましょう
ここまでで両者の特徴を大まかに把握することがきました。ここからは自分がどちらを選ぶべきかみていきましょう。
代理店型の方が向いているのはこんな方
- 保険についてはよくわからない
- 必要な時には対面でじっくり相談に乗って欲しい
- 色々自分で調べるより説明して欲しい
- わからないことがあったらその都度こまめに相談したい
- 多少割高でもいざという時に頼れる人がいた方がいい
- 自動車保険以外にも保険全体で相談に乗ってくれる人が欲しい
- 事故の際には保険会社との間に入って中立の立場で支払いがされるようにサポートしてもらいたい
通販型の方が向いているのはこんな方
- わりと自分でなんでも調べられる
- 自動車のことや保険についてある程度知識がある
- 保険といっても最低限度で十分
- 重視するのは手間より安さ
- 代理店型・・・保険のことは任せたい、丁寧に説明してほしいという方向け
- 通販型・・・保険にお金はかけたくない、自分自身で色々調べることが苦ではない方
保険代理店の色々
CMなどで近年知名度が上がってきた通販型ですが、全体のシェアでいくと代理店型加入率が9割とまだまだ代理店型で加入される方がほとんどです。
そこで次はこの代理店について、代理店の中にもいくつかタイプがあるため詳しくご説明していきたいと思います。
タイプ別代理店の種類
専業代理店と兼業代理店
まずは専業代理店と兼業代理店の違いについてご説明します。
保険業を本業として活動している代理店のことを専業代理店と言います。
町の保険屋さんやショッピングセンター内に見かける保険の〇〇と看板を出しているところがわかりやすい例ですね。
一方自動車販売店や整備工場など、兼業で保険も取り扱うところを兼業代理店といいます。
専業代理店は本業として活動しているため、自動車保険を始め火災保険、傷害保険や賠償保険、生命保険など取り扱っている商品は多岐にわたります。一方で兼業代理店はあくまで本業に関わる保険商品を販売しているところが大半です。
自動車販売店であれば自動車保険、不動産会社であれば火災保険、旅行会社であれば旅行傷害保険といったような場合です。
専属代理店と乗合代理店
専業代理店(保険業が本業)と兼業代理店(本業が別にある)の中にももう一つタイプが分かれます。それが一つの保険会社の商品のみを取り扱っている代理店(専属代理店)と、複数の保険会社の商品を取り扱っている代理店(乗合代理店)です。
分類 | 店数(概数) | 構成比 |
専属代理店 | 148,789 | 75.9% |
乗合代理店 | 47,254 | 24.1% |
合 計 | 196,043 | 100.0% |
信頼できる代理店の見つけ方
じゃあ代理店で保険を入るとなったらどうすればいいの、という疑問が浮かびます。
そこで最後に信頼できる代理店の見つけ方をご紹介いたしましょう。
専業代理店を選ぶ
先ほどの章で、保険業を本業としている専業代理店(プロ代理店)と他に本業がある兼業代理店があることをご説明しました。
専業代理店がダメというわけではありません。自動車ディーラーの営業マンや長年保険を扱っている自動車整備工場には豊富な経験を持っている方もいらっしゃいます。長年の経験があるからこそ、本業もさることながら保険の内容や事故時の対応にも長けている方もいるかと思います。
実際に兼業代理店であっても片手間に保険を扱っていればお客様からの信頼を損なうことにつながります。そういった事態を防ぐためにも、保険会社は代理店向けに定期的に勉強会を行ったりして日夜代理店の質を上げるために努力しています。
しかしながらプロ代理店に比べると、専業代理店にはあくまで保険業以外の本業があるわけです。そう考えると必然的に優秀な保険代理店担当者に巡り会える可能性はプロ代理店の方が高くなります。
また、専業代理店であれば契約時にお客様に対して細かなヒアリングを行います。ですので、提案できる保険は自動車保険だけに留まらず生活のあらゆるリスクに備えるための保険を提案してもらえるというわけですね。
大型の保険ショップより地元の保険屋さんを選ぶ
代理店のタイプの話で、専属代理店と乗合代理店のお話をしました。
保険のことをよく知らない立場からすると、保険会社1社の商品だけを扱っている代理店より数社の商品を扱っている代理店の方がいい!と思われるかもしれません。
しかし、裏を返せば何社の商品も扱っているということはそれだけ代理店担当者は知識やルールが広く浅くになってしまいやすいという傾向があります。大手の損害保険会社になると、扱っている商品の内容や特約・保険料に大きな差はないというのが実情です。
そうなると、保険会社そのものより担当代理店の知識がいかに深いかというところを重視しなければなりません。
大型の保険ショップも悪くはありません。たくさんの保険会社の商品を扱っており、色んな保険会社を比較したいという方にはいいかもしれません。
大型保険ショップのもう一つの特徴として、大きな組織ゆえに人の入れ替わりが激しいという点があります。更新の手続きに行ったら担当者が転勤してしまった、という例もよくあることです。
そういった面を加味して、優秀な代理店担当者を見つけるためには地元で長年保険業を営んでいる代理店を選ぶと良いでしょう。
1人で保険業を営んでいる代理店もありますが、そうなると動ける範囲や時間帯が限られてしまいます。相談した際に対応している別の案件などによっては対応に割ける時間が偏ります。従業員が多ければ多いほど良いというわけではありませんが、目安としては5人前後が実際に締結権限を持っている募集人がいれば安心でしょう。
両者の違いを把握し、自分に最適な保険を!
今回は代理店型と通販型の違い、メリットデメリットをみていきましたが参考になりましたでしょうか。
両者の特徴を把握して、自分が優先すべきものは何なのかはっきりさせたうえで上手に保険と付き合って行きましょう。
こぼれ話
著者が損害保険会社に勤務していた頃は、仕事相手が代理店の方々でした。
もちろん値段では断然通販型の商品の方が安く、通販型に切り替えるお客様もいらっしゃいました。
しかし、値段だけでは計り知れない代理店の方の価値はあると感じていました。
それは
- 契約時対面による丁寧な説明
- 自分自身の家族構成や車の変更などによる手続き関係
- その他諸保険に関する面倒みの良さが
などが代理店の方の強みだと感じました。
実際に一度通販型に変えたけれども事故時の対応に満足できなかったと言ってもう一度代理店型に戻ってくるお客様がいたという話も珍しくはありません。
もちろん通販型の保険会社もお客様満足度のためサービスは年々上がってきています。
自動車保険の補償内容は現在大手保険会社ほぼ横並びですので、いかに信頼できる代理店を見つけることが鍵で、結果的に安い自動車保険となるのではないでしょうか。