不動産投資2つの利益とは?キャピタルゲインとインカムゲインの違いを知ろう!

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投資には「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類があります。不動産投資で得られる利益はどちらに該当するのか、そしてキャピタルゲインとインカムゲインのどちらを重視して投資すればいいのかについて解説します。

不動産投資のリスクとリターン

投資にはリスクとリターンがあります。代表的な投資先として株や FX などがあります。また安全な資産として銀行などの定期預金もあります。

不動産はリスクとリターンのバランスがいい投資対象です。まずは、金融商品のリスクとリターンを確認していきましょう。

ローリスク・ローリターンの金融商品

銀行の預貯金や定期預金、国債などが当てはまります。元本が減らないのでリスクはないものの、そのぶんリターンも少ない金融商品です。

かつては銀行の定期預金でも5%以上の金利がつく時代もありましたが、現在の低金利時代では金利がほとんどつかない状況が続いています。また、今後も上がる兆しはほとんどありません。元本を預けてもほとんど増えないので、投資というよりは貯蓄という概念です。緊急にお金が必要な時に使うお金を預けておくといいでしょう。

ハイリスク・ハイリターンの金融商品

元本が保証されておらず、思惑が外れた場合には大きな損失が出る可能性があるものの、上手く行った時には大きな利益を狙うことができます。 FX や先物取引、株式の短期取引などがこれに当てはまります。

一般にいう投資というよりは投機に近い概念です。 FX や先物また株式の信用取引などはレバレッジを効かせて大きなリターンを目指すことができます。預けた証拠金以上の取引をすることができるので、うまくいけば大きな利益が出ますが、一瞬で全てなくなるリスクもあるのです。

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターン

ミドルリスク・ミドルリターンとは、元本は保証されないものの、投資した資金が一瞬で消えるようなことはなく、投資がうまくいった場合にはある程度の利益となる金融商品のことです。不動産投資や上場 REIT 、金の現物取引などがこれにあたります。

それでは、不動産投資のリスクから確認しましょう。

不動産投資のリスク

不動産投資のリスクには、主に次の3つがあります。

空室リスク

マンションやアパートへの投資は、その部屋を借りてくれる人がいなければ収入になりません。収入がなければ経費の支払いのみとなり、支払うお金がなければ売却しなくてはいけないのです。空室率は不動産投資で大切な問題ですが、100%解決する方法はありません。

家賃未払いリスク

家賃を滞納するリスクに関しても予想以上に大変なことです。日本では住居者寄りの法律であるため、簡単に追い出すということはできません。家賃を滞納された場合は支払い勧告を管理会社経由で行いますが、それでも居座られた場合は訴訟を起こすしか手立てがなくなってしまいます。

物件の滅失、毀損リスク

日本は災害が多い国です。地震や火災・水害などを数え切れない災害があります。そのすべての災害から建物を守れる強度にするのは現実的ではなく、未然の防止策には限りがあります。

これらのリスクは完全に避ける回避することはできないものの、低下させることができるリスクです。不動産投資がミドル・リスクといわれるゆえんです。

続いて、不動産投資のリターンについてみていきましょう。。

不動産投資のキャピタルゲイン

不動産投資には売却で得られるキャピタルゲインが期待できます。もちろん昔と違い、不動産を買えば必ず上がるという時代ではありませんが、良い不動産を安く買えば、売却の時に利益が出ます。

ただ、これはあくまでもボーナスだと考えるようにしましょう。初めから売却益を狙って不動産に投資するというのは、プロでも難しいことなので、まずはしっかり家賃収入の取れる物件を探すことが基本です。

キャピタルゲインを狙う方法

キャピタルゲインを狙うには株式と同じように市場が落ち込んでいる時期に買う必要があります。近年で不動産市況が落ち込んだのは次の二つの時期です。

①株価がバブル崩壊後の安値を更新した2003年頃

②リーマンショック後からアベノミクスが始まる前の2009年~2012年頃

株式市場とも連動していますが、景気が悪くなると不動産市場も落ち込みます。市場が落ち込むと不動産会社の資金繰りが悪くなり物件を購入できなくなります。また在庫が膨れ上がって開発業者が土地を購入してマンションを建築できなくなるといった負のスパイラルが発生し、不動産市場に買い手がいなくなるのです。これは新築市場だけではなく中古の不動産市場にも及びます。

また不動産業者による損切物件や、不良債権を処理したい銀行から大量の物件が市場に出てきます。

このように価格が安くなった不動産を購入できれば、数年後に市場が回復した頃に高値で売ることができるのです。不動産会社や開発業者は常に不動産を売却したり建築したりして利益を得なければいけませんが、個人投資家は買う時期を待つことができます。それが大きな強みとなるのです。

不動産投資のインカムゲイン

インカムゲインとは、家賃収入のことで、毎月決まった額の賃料が入ることが不動産投資の強みです。景気が多少悪くなっても賃料は簡単に下がることはありません。部屋を借りてくれる人がいる限り安定した定期収入が入るのです。

多少日本の景気が悪くなっても部屋を借りる人はいなくなりません。安定した定期収入が毎月入るのです。返済は入居者が支払う家賃で行い、自己資本による投資も加えて、早期に自分の資産を築き上げていくことができます。

インカムゲインを目的に不動産を長期で保有していれば、安定的な利益が続きます。それも5年や10年ではなく、20年・30年また子供・孫の世代まで持ち続け、その間継続的に家賃収入を得ることができる可能性もあるのです。そして、相続税対策として大きなメリットを発揮してくれるのも賃貸で人に貸している不動産なのです。

利回り計算の方法

利回りとは、投資した元本に対する収益の割合のことです。不動産では投資額に対する賃料収入などの割合を指します。そして、不動産の利回りには次の二つがあります。

表面利回り

年間家賃 ÷ 不動産価格

表面利回りは、家賃収入や駐車場収入などを投資額で割ったもので、大まかな収益力を見る指標になります。計算が簡単なので、購入するときの判断基準として「利回り〇〇パーセント」と言われているのは、たいてい表面利回りのことです。

実質利回り

(年間家賃―管理費などの経費)÷ 不動産価格

一方、実質利回りは家賃などの収入から管理費・固定資産税・修繕積立金・保険料など経費を引いた金額を投資額で割ったものです。正確な収益力を判断するには実質利回りを見ます。

表面利回りは10%以上を狙う

それでは表面利回りはどの程度を目指せばいいのでしょうか。理想的には10%以上を目指すべきです。それは、経費や税金などを全て除いて空室リスクなどを考慮すると、手元に利益が残りやすいのは10%以上だからです。表面利回りが5%程度しかないと、空室が続いたり設備を交換したりすると赤字になってしまう可能性があります 。

ただし、収益不動産の利回りは地域によって大きく異なります。東京・大阪・横浜・名古屋などの都市部では10%以下となることが一般的です。平均値として正確なデータはないものの、8%ぐらいが平均的な利回りといわれています。東京都内で利回り10%以上の物件を探すとなると、中古のワンルーム投資をするか、問題があるリスクが高い物件を探すしかなくなります。

都心部では人が多くいるため空室リスクが低く、そのため売却時にも高い値段が付きやすくなります。売却価格が高くなるということは、利回りが低くなるということです。利回りは多少低くなるものの、空室リスクを考えると、都心部はリスク押さえながら不動産投資を行うことができます。ですから利回りが低くても都心部を狙うというのも一つの戦略になります。

一方、地方では10%超える利回り物件も多く、おおよその平均利回りは13%程度と言われています。地域によっては20%を超える利回りの物件も多くあります。地方は人口減が叫ばれていて、賃貸の需要が都市に比べると著しく低いため空室リスクが高まりますが、高い利回りが魅力的です。ただしここで気を付けなければいけないことがあります。それは利回りとリスクの関係です

不動産のリスクがある物件とは

株式など他の金融商品同様、不動産投資においても利回りが高いということはリスクも高いということになります。表面利率だけ見て物件を決めてはいけません。例えば、次のような物件には注意する必要があります。

新耐震基準前に建てられたマンション

マンションは1981年に耐震基準が大きく改正されて「新耐震基準」になりました。2011年の東日本大震災の影響も大きく、不動産投資家は地震に対するリスクにとても敏感になっています。

ですから、1981年の新耐震基準の前に建てられたマンションなのか、それともそれ以降に建てられたマンションなのかによって価格も人気でも違ってくるのです。

入居者に関しては、あまり自分が住むところが新耐震基準かどうかというのを意識していません。ただし、新耐震基準以前に建てられた古いマンションは転売しづらいという欠陥があります。不動産投資において物件を選ぶ基準が、新耐震基準以降のものという流れになっている以上、スムーズに売却できる物件を選んだ方が無難です。

部屋が狭すぎるワンルームマンション

ワンルームマンション投資は不動産投資の中でも人気があります。新築・中古問わずワンルームマンションの取引は活発で、不動産投資をされている方でもワンルーム投資を実践している人が多いのではないでしょうか。

ただ、ワンルームマンションといっても実際は部屋によって大きさがかなり違います。小さい1Kの坪単価が高く投資効率が高くなります。例えば4坪(約13平米)の1件賃料が4万円で坪1万円とすると、7坪(約23平米)の1Kは坪1万円×7坪で7万円取れるかと言うと、実際は6万円前後というのが相場です。投資効率を考えると4坪の1Kを選んだ方が良さそうに感じます。

ただあまりにも小さい不動産物件は人気がありません。4坪の大きさがどの程度かというと一坪は畳2畳なので、玄関やキッチンバスを合わせても8畳程度です。

中古ワンルームマンションの場合は、自分で住むために購入されるということは稀で、購入も売却も利益を目的とした不動産投資です。平成バブルの頃はマンション価格が異常に高かったので、4坪程度の不動産物件がたくさん作られ、今も流通しています。

ただ、バブル崩壊後はバスとトイレが別々で、ゆとりのある1Kが主流となったので、小さなワンルームマンションは人気がなくなってしまいました。

4坪程度の小さな部屋は、景気がいい時は賃料も値上がりするため安い部屋を求める入居者がいますし、利回り目的の投資家が購入するなど転売も比較的容易です。しかし、景気が悪くなると、いったん入居者が出てしまうと次はなかなか決まらない、しかも転売は困難であるなど投資に向かない物件となってしまいます。

いくら投資効率が良いといっても、少なくとも5坪(約16.5平米)以上の物件を探すようにしましょう 。

利便性がない物件

自宅として利用する場合は、多少不便な場所に建っていても問題ありませんが、賃貸の場合は不便というのは致命傷になりかねません。賃貸の場合は、購入する人たちよりも利便性に重点を置いて探す傾向があるからです。

例えば以下のような不動産物件は人気がありません

都心まで遠い

賃貸物件を決める上で、都市までの距離も重要な要素です。単身者にとっては学校や会社に通うのに便利なのが都心に近い場所だからです。都市部に近いほど家賃は高くなりますが、不動産物件の購入価格が高くなるため、利回りは低くなってしまいます。資産価値はありますが、投資妙味が薄くなるのです。基本は都心に近い不動産を選ぶことですが、予算や投資の効率性を考えたベストな場所を選ぶ必要があります。

駅から遠い

1Kやワンルームなど単身者向けのマンションは、駅から近い物件の人気があります。通勤や通学に便利だからです。首都圏では徒歩で10分以上かかると遠く感じられます。ただ、車や自転車を使うことが日常的な地方都市や郊外なら、駅からの距離よりもショッピングモールやスーパーが近くにあることや、市街地の中心からの距離が重要になります。

近くにスーパーやコンビニがない

1Kやワンルームマンションを借りるのは、独身の学生やサラリーマン・OL、単身赴任の 人達です。1Kやワンルームマンションのキッチンは、本格的な料理をするようにはできていません。また、単身者の場合は、コンビニやスーパーでお弁当買ったり、お惣菜を買ったりすることが多くなります。ですから、近くにスーパーやコンビニがあるということは重要なポイントです。

5年後を意識してインカムゲイン+キャピタルゲインを狙う

不動産投資では基本的にインカムゲインを中心に考えますが、投資用でも自宅用でも不動産を所有する人にとっては、5年というのがひとつの目安になります。それは、購入した金額よりも高く売れて売却益が出た場合、物件を所有してから5年を境にして税率が全く違ってくるからです。

それは購入後5年以内の不動産売却にかかる高率の税金です。売却する年の1月1日現在での所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得として売却益の39.63%が税金としてかかってしまうのです 。

これが5年を超えていると長期譲渡所得となり、売却益にかかる税金も20.315%になります。この税率は株式や FX など他の金融商品と同じ税率です。

このような高い税金が課せられている背景には、大都市のタワーマンションなどを舞台にして転売を行う投資家が増えたことが挙げられます。短期間で数千万円単位の利益を上げている投資家も多く、特にタワーマンションの転売で儲けている人は「空中族」という名前もつきました。

ですから5年間は毎月入る賃料をしっかりと受け取り、5年後にそのまま所有し続けるのもいいですし、入金額よりも高く売れるなら売却するのもいい、といった戦略を視野に入れておくとより不動産投資の幅が広がります。

まとめ

今回は不動産投資のキャピタルゲインとインカムゲインについて解説しました。不動産投資においては、インカムゲインをメインに考えることが大切で、値上がり益であるキャピタルゲインはおまけ程度に考えるようにします。

しかし、インカムゲインをメインに考えながらも、値上がりが狙える物件というのは魅力的な場所にあり、ニーズも高いので、「借り手がいない」というリスクを下げることができます。5年以内の売却は税金が高くなるので、5年後を意識して値上がりが狙えるような物件を購入するようにしましょう。

 

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