定年退職後に再就職!シニア・シルバー世代に人気の仕事・職種は?

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定年退職後も、現役世代同様にバリバリと働き続ける人が増えています。電通総研の行った調査によると、定年退職後に継続して仕事を行う人は男性で72%、女性で55%と、ともに半数以上が定年後も働き続けていることが分かりました。また、働いていない人の中でも、おおよそ半数が「働きたいのに働き口がない」と思っていることが明らかになったのです。

(参考:MarkeZine、2015/7/6、定年退職後も仕事を継続する人が多数派に【電通総研「シニアx働く」調査】

それから約3年半が経ち、今ではシニア向けの転職サイトや、人材紹介センターなど、高齢者が働きやすい環境が整ってきたと言えます。

では、シニア・シルバー人材に人気の高い職種はどれなのか、今回はランキング形式でお伝えしていきます。また、仮にそこから自分に向いた仕事が見つかった方は、記事の後半で紹介している「仕事の探し方」もご参考にしてみてください。

【男女別】定年退職後の人気が高い仕事・職種

定年退職後は悠々自適な生活を送る、そのような方もいる一方で、積極的に外に働きにでかける方も少なくありません。2013年4月より高年齢者雇用安定法が改正され、2025年までに起業は従業員の雇用を65歳まで確保する義務が生まれました。

そのため、少し前とは異なり、今では定年退職後すぐに満額の年金を受け取ることも可能です。

しかし、今まで現役でバリバリ活動をしていた人が、いきなりゆったりと落ち着いた暮らしに慣れるかといえば、すぐには体が馴染まないという方も多いのではないでしょうか。また、「私はまだまだ働ける(働きたい)」という意欲的な人もいらっしゃいます。

そうした高齢者の方は、定年退職後も自ら仕事を探し、定職につく場合もあります。

求人情報サイトのan(アン)は、転職や仕事情報サイトの「an report(アンレポート)」にて、60歳以上のシニア層に人気のあるアルバイト・パートの調査結果を公表しました。

(出典:an report、2017/1/30、60歳以上のシニアが希望する人気アルバイト職種・店舗ランキング ~シニアが就きたい仕事とは?~

その結果、男性では「軽作業」、女性では「事務・入力・受付」が一位となっています。また、総合3位の「専門・技術職など資格を有するもの」も、今まで働いた経験や知識を活かせるので、男女ともに人気が高いです。

では、調査を受けた方は、一体どのように自分に合った仕事を選んでいるのでしょうか。その理由について、以下で詳しくお伝えしていきます。

シルバー世代人気職種1位:事務・入力・受付

「事務・入力・受付(以下事務作業)」は、女性で1位、男性で2位を獲得した、総合的にもっとも人気の高い職種です。机に座ったまま作業ができるので、高齢者の方にとっても体に負担がかからないことが大きいでしょう。

また、PC作業に関しても、今まで半世紀以上もの間作業してきた経験があるので、まだまだ若い人たちには負けないという、強い意志も感じられます。特に事務作業ではタイピング速度やブラインドタッチ、書類・データの整理する能力、数字の理解力などが求められます。

そのため、一見簡単な作業に見えて、高いスキルが必要です。経験が豊富な高齢者の方たちにとて、もっとも自分の能力を活かせる仕事といっても過言ではありません。

シルバー世代人気職種2位:軽作業(梱包・仕分け)

軽作業とは、工場のなかで簡単な機械の操作をしたり、物流倉庫などで配送品の仕分け(地方ごとに選り分け)や、梱包などを行います。大手物流倉庫などの場合、配送料が多いので、仕分けだけでも激しく体を動かすことが多いです。しかし、梱包や簡単な発送準備などの場合、それほど体にも負担は感じません。

ただ、シルバー世代人気職種4位の「清掃」や、9位の「配送・物流」など、まだまだ元気と言わんばかりに、高齢者が自ら求めて体を動かす職種に就こうとしていることが分かります。ただ、どうしても若い時よりも体力は落ちているため、無理だけはしないよう気をつけてください。

シルバー世代人気職種3位:専門・技術職など資格を有するもの

専門職や技術職は、具体的な職種を挙げるとすると、精神保健福祉士や電気制御装置の設計士、ボイラー技士、図書館に在籍する司書など、様々な仕事があります。また、各職種に応じた資格が用意されていることも多いため、過去に取得した資格を活かして働こうとする高齢者の方も多いです。

シルバー世代人気職種6位:講師・インストラクター

講師やインストラクターは人に教えることがメインとなる仕事です。そのため、自分自身で経験してきた体験や知識、人に教える技術など、人生経験が豊富なほど成果が高まりやすいと言えます。

たとえば、今まで教師として働いていた人や、塾を経営していた経験がある方などに向いていると言えるでしょう。

シルバー世代人気職種7位:スーパーマーケット

スーパーマーケットのレジ打ちや、バックヤードでの軽作業など、特に女性(7位人気)に人気のある仕事です。その中でも、今までスーパーマーケットで働いたことのある人が多く、過去の経験や知識、技術などを活かして働こうとしています。

シルバー世代人気職種8位:厨房・キッチン

シルバー世代に人気のある職種として、8位に厨房やキッチン関係の仕事があがっています。男性では13位ですが、女性には3位と非常に人気が高いことが分かります。anの調査によれば、女性ほど、今までの主婦の経験や料理学校に通って得た知識など、料理経験のキャリアを活かそうとする傾向にあります。

高齢者の職種選びの傾向は「経験」

シルバー世代に人気の高いアルバイトやパートを紹介してきましたが、どの職種にも共通点がありました。それは、多くの高齢者の方が、自身のこれまでの「経験」を活かそうとしているということです。定年退職後といえば65歳なので、就業経験は長い人で50年近くあることになるでしょう。

その50年間で培ってきた様々なノウハウ、知識、技術は、やはり若い人がどれだけ独学で勉強したとしても敵うはずがありません。年の功とはよく言ったもので、人間は長い年月を積み重ねるほど、高い技術や知識を有するようになります。

もちろん、今までとは気分を一新するために、まったく新しいことにチャレンジするパワフルな高齢者の方もいらっしゃいます。ただ、自分の経験や知識をフルに活かせる職場のほうが、仕事もスムーズに進むはずです。

定年退職後の人気の高い就職先

定年退職後の人気の高い職種を紹介してきましたが、次は「人気のある就職先」をお伝えしていきます。つまり、よく人が集まる働き場所ですよね。

anは、人気の高い職種のほか、人気の高い就職先に関しても調査を行っています。

(出典:an report、2017/1/30、60歳以上のシニアが希望する人気アルバイト職種・店舗ランキング ~シニアが就きたい仕事とは?~

1位はショッピングモールなどのイオン、2位はコンビニのセブン-イレブン、そして3位は同率でヤマト運輸と役所が続きました。5位以降を見ても、ローソンやファミリーマート、イトーヨーカドーなど、コンビニやスーパーの業態に人気が集中しています。

また、マクドナルドやユニクロなど、上位を占めているのは大企業が多いです。

では、高齢者の方はどのようにして就職先を決めているのでしょうか。その理由についても、しっかりと理解して、ご自身の転職活動に活かしてみてください。

働きやすいアルバイト先の特徴|1位「家から近い」

高齢者になってくると、若いときに比べて足腰が弱くなったり、少しの運動でも疲れを感じやすくなります。これは人間なら誰しも起こり得ます。

そのため、就職先を探すときは、できるだけ自宅から近いところにある企業を選ぶ方が多いようです。確かに、人気の勤め先であるイオンは全国どこでもありますし、ユニクロやイトーヨーカドーなども、地方でも店舗数が多いですよね。コンビニで働くのも、わざわざ都市圏にまで出向く必要がなく、自宅から徒歩10分圏内にある方も多いでしょう。

イオンなど大規模なショッピングセンターには駐車場も多いため、職場への行き返りも楽々です。これなら遠くまで出勤して体に負担をかけることも少ないですし、残業などで帰宅が夜遅くになっても安心でしょう。

ちなみに、働き場所を探すときの理由は他にも、様々な年齢層が働いていることによって、自分自身も働きやすさを感じること。また、年配の方が多く働いているところを重視する方も多いです。

仮にアルバイト先で周囲が若い人ばかりだと、どうしても話が合わなくて人間関係がうまくいかなかったり、体力や健康面で劣っているように感じてしまう場合もあります。反対に、自分と同じ年齢層の方が多ければ、コミュニケーションも円滑になることが予想できます。

ランキング圏外の人気アルバイト先

anの人気アルバイト先調査では、合計12社がランクインしましたが、ほかにも特定の人に人気の高い企業はたくさんあります。

たとえば、ダイソーでは主婦として働く人が多いため、特に女性のなかで人気が高くなっています。関西地区に多いスーパーの万代(まんだい)は、レジの接客対応に笑顔が多く、気持ちよく働けそうという理由で、女性の方に人気があります。

ほかにも、物流倉庫の日立物流倉庫は男性に人気です。システムが確立されていて、それほど重労働ではなく、作業内容もシンプルといった理由で選ばれています。

定年退職後の仕事の探し方

定年退職後にアルバイトやパートを探す場合、どのような方法をとればよいのでしょうか。ここでは、シニア世代向けの転職方法をお伝えしています。

今まで働いていた企業に再雇用をお願いする

定年後も長く働きたいという方は、企業の再雇用制度を活用する場合も多いです。日本では、2006年4月1日より65歳未満に定年制度を設けている企業や事業主に対して、「高年齢者雇用確保措置」を実施する義務があり、その中に「再雇用制度」が含まれています。

過去には、定年になった高齢の従業員の再雇用を拒否したとして、550万円の損害賠償を義務付けられた企業もあります。そのため、基本的には労働者から再雇用の申し出があった場合、企業側は拒否する権限がありません。

(参考:弁護士法人 咲くやこの花法律事務所、再雇用制度についてわかりやすく解説します

ただし、再雇用となった場合は定年までの間は正社員として働けますが、それ以降は1年ごとに契約を行う雇用形態が適用されることが多いです。また、嘱託社員以外にも、時給制のパートやアルバイトとして雇用契約を結ぶ場合もあります。

今まで勤めていた企業で再雇用を受けたい場合は、定年退職前に会社側としっかりと話し合っておくことが大切です。

シニア労働者向けの人材センター・人材紹介会社を利用

高齢者や定年退職後の求職者向けに、全国展開の人材センターや人材紹介会社があります。代表的な機関ですと、公益社団法人の全国シルバー人材センター事業協会が有名です(全シ協とも呼ばれます)。

全国シルバー人材センター事業協会の仕組みは、企業や公共団体など(発注者)からの仕事を請け負い、その仕事をセンターに登録しているシニア労働者に委任します。無事に仕事が終われば、発注者がセンターに契約金を支払い、その一部がシニア労働者の収入となるということです。

全国シルバー人材センター事業協会に入会する場合は、以下4つの条件がありますので、よくご確認しておいてください。

  • 原則60歳以上で、心身共に健康、かつ働く意欲のある方
  • シルバー人材センターの趣旨に賛同する
  • 入会説明を受け、入会申込書を提出
  • 既定の会費を納入できる

センターに入会しておけば、希望する仕事が発注者から依頼されたときに紹介を受けれます。そして、仕事を完成させ、センターに報告するという形式です。

仕事の種類としては以下のように幅広い分野が用意されています。

  • 家庭教師
  • パソコン指導
  • 翻訳・通訳
  • 大工仕事
  • 衣類のリフォーム
  • ペンキ塗り
  • 刃物とぎ
  • 一般事務
  • パソコン入力
  • 建物・施設管理
  • 配達・集配
  • 集金
  • 営業
  • 屋外・屋内清掃
  • チラシ・ビラ配り    など

ただし、仕事量は発注者に依存するため、いつも必ず仕事が請けられるわけではありません。また、希望した職種に就けないこともあります。ただ、時間の空いたときに、自分の経験を活かして働けるメリットが魅力的です。

センターで働いた収入は、おおよそ月額3~5万円(月8~10日就業)ほどとなります。仕事の量に応じて、収入が減少することもあれば、増えることもあることは理解しておいてください(各センターは収入を保証しているわけではありません)。

求人サイトからアルバイトやパートを探す

今では老若男女とわず、インターネットの求人サイトを利用して就職・転職活動を行うことが一般的です。また、「グラン・ジョブ」などに代表される、60歳以上を歓迎する求人サイトも増えています。

求人サイトのメリットは、全国各地の仕事を簡単に探せることです。たとえば、グラン・ジョブでも、ご自身の居住地域から仕事の検索ができます。また、気に入った企業があれば、メールや電話などで面接を依頼することもできますし、いまや求人サイトは就職をする上で欠かせない存在と言えるでしょう。

シニア・シルバー向け求人応募時の注意点

定年退職後の求職活動は、自分よりも年下の採用担当者と話をすることも多く、今までとは事情が異なる点もあります。また、こうした環境が変化することで、色々と注意すべきポイントも出てきます。

ここでは、シニア・シルバー世代向けの求職活動の注意点を紹介していきましょう。

一から出直すつもりで謙虚な姿勢を

高齢者の方は、長い期間会社や専門機関で働き、中には独立してすさまじい人生を歩んできた人もいらっしゃいます。そのため、その間に蓄えられたノウハウや知識、技術は相当なものです。もちろん、若い人たちもそれを理解しています。

しかし、だからといって傲慢な態度をとったり、謙虚な気持ちを失っている場合は、転職先でもなかなかあなたを受け入れてくれようとしないでしょう。あくまで謙虚な姿勢で周りの方と接することで、若い人からは尊敬され、同年代の方からも厚い信頼を得ることができます。

体や心の健康管理には特に気を付ける

人間は齢を重ねると、どうしても心身ともに衰弱していきます。どんなに負けん気の強い人でも、この自然現象には太刀打ちできません。気持ちを強く持つことは大切ですが、あくまで自分は高齢であり、昔のように体を動かせないことを理解しておく必要があります。

特に、健康管理は若い人以上に気をつかい、事故や病気のリスクなどにも十分に備えておくようにしましょう。

定年退職後の人気職種まとめ

会社に勤めているときほど、定年後は悠々自適にゆったりと生活したいと望む人も多いでしょう。しかし、実際に仕事をしない生活をしばらく続けていると、今度は退屈さを感じて、逆に仕事がしたくなる思いが芽吹きます。

そうした高齢者の方の気持ちに応じるように、最近ではシニア向け転職サイトや、人材紹介センターなど、環境整備も整いつつあります。高齢者の方が働きやすいと言える世の中になってきたと言えるでしょう。

ぜひとも自分自身の豊富なスキルや能力を活かし、現役生活以上にバリバリ働いていただくことを願ってやみません。しかし、健康面や事故のリスクなどについては、今まで以上に十分な注意をして働いてください。

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