副業解禁!?働き方改革の内容と副業解禁の動向、解禁企業の副業開始の流れ

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2018年は「副業元年」

「副業元年」。2018年がそう呼ばれているのは政府が働き方改革のかけ声の下、副業容認に大きく舵を切ったからです。転職サイト「ビズリーチ」が昨年10月に行った1,400人の会員を対象にしたアンケート調査によれば、81.4%の会社員が「今後、副業をしてみたい」と答えています。


出典:ビズリーチ

従来、副業というと小遣い稼ぎや不足する収入の補填というイメージが強かったものです。しかし、最近では「退職後の仕事の準備に備えたい」「スキルアップしたい」「人脈を広げたい」など様々な理由から副業を希望する人が増えてきました。

このように副業には、新しい「生き方」や「生きがい」をつくり出す力があるのです。そこで今回は、副業解禁の最新動向とその開始の流れについてお伝えしていきます。

副業に向けた企業の最新動向は?

副業を希望する会社員が年々増加し、政府もそれを後押しするガイドラインを打ち出すなど、一見すると世の中に副業が広がる環境が整ったように思えます。

しかし、必ずしも副業解禁に賛同する企業ばかりではありません。リクルートキャリアの調査によれば、現状、副業を推進・容認している企業はわずか22.9%。禁止している企業が77.2%に上っているのです。


出典:リクルートキャリア

副業禁止派の主な主張としては「長時間労働を助長する」(55.7%)、「情報漏洩のリスク」(24.4%)、「労働時間の管理・把握が困難なため」(19.3%)などが挙げられています。

そんな禁止派の企業がいる一方で、副業解禁を打ち出し多様な働き方を推し進めている企業も目立ちはじめました。

具体的には、IT企業関連で言えば「サイボウズ」「サイバーエージェント」「ディー・エヌ・エー」などが、金融系では「SBISBI新生銀行」「ガブドットコム証券」などが次々と副業解禁を打ち出しています。

副業解禁の主な理由としては「従業員の収入増につながる」(26.7%)、「人材育成・本人のスキル向上につながる」(5.0%)などが挙げられています。このような積極的な副業推進派の意見が聞かれるものの「反対する理由が見当たらない」など消極的な意見も多くみられました。副業解禁の企業の中でも温度差があるようです。

また、地域によっても副業の浸透度に違いが出ているようです。


出典:リクルートキャリア

北海道・沖縄などでは既に30%を超える企業が副業を解禁しています。一方、近畿地域では解禁している企業は20.6%に留まっています。また、業種別では建設業やサービス業では副業解禁の流れが進んできており、卸売業・小売業などは遅れ気味でその差は10%程度に広がってきています。

このように「政府が推し進めるのなら」と積極的に副業解禁をはじめる企業と、労働管理のノウハウが蓄積されていないなどの理由から二の足を踏んでいる企業とが混在する複雑な状況になっています。

では、副業をする当事者である会社員の現状はどのようになっているのでしょうか。次は、会社員の副業状況の実態を確認してみます。

副業に取り組む会社員の実態調査

副業に対して企業の考えが賛否両論である中、会社員の副業実態はどうなっているのでしょうか。リクルートワークス研究所が全国の約48,000人を体調にした調査結果では、正社員で副業をしている人は全体でまだ10.8%。非正社員の場合でも16%に留まっています。8割程度の人が副業に興味があるものの行動に移している人は、まだ少数派のようです。


出典:リクルートワークス研究所

では既に副業をはじめた人は、具体的にどのような職種を選択しているのでしょうか。


出典:リクルートワークス研究所

現状では能力を問わず行えるアンケート調査や、本業で得た知識やスキルを活用できる「同じ仕事」を選択している人が多くなっています。同じ職種であれば、新たにスキルを身につける必要もなく、即戦力として力を発揮できることから人気を集めているようです。

「アンケート調査」や「本業と同じ職種」など就いてる職種は様々ですが、実際に副業から得られて収入額はどれくらいに達しているのかを調べたデータが下記のものです。


出典:リクルートワークス研究所

このデータからみると正社員の場合、副業から得られる平均年収は約39万円。非正規の場合なら約35万円となっています。

仮に、副業で「本業と同じ職種」を選択すれば、一般的に長期間働いてきた正社員の方が副業でも有利に収入を稼ぐ事ができていることになります。つまり、副業においては特定分野での高いスキルが高額収入と直結していることになります。

こういった副業の実態を踏まえた上で、副業に挑戦したいと考える人も多いことでしょう。そこで次は、副業をはじめるにあたっての手続きをご紹介します。また、今すぐ副業を開始する予定がなくても、今後、確実に広がる副業という働き方に備えて、手続き方法を確認しておくことは大いに役立つはずです。

副業開始までの手続き方法

現状、副業を解禁している主な企業には「コニカミノルタ」「ロート製薬」「クロービズ」などが存在しています。

こうした企業が副業を解禁するにあたっては通常、事前に労使間で十分な話し合いが行われます。その話し合いでは「どのような形態の副業・兼業を認めるか」「副業・兼業を行う際の手続」「副業・兼業の状況把握するための仕組み」などを決めていきます。

そこで決められたルールに沿って、副業の手続きが進んでいきます。

例えば、2017年12月から副業解禁を行った「コニカミノルタ」では上長の承認を得た上で人事部が承認の可否を判断します。現在、既に8人が承認されコンサルタントなどで副業をはじめました。副業申請がされる際には「企業にどのような貢献ができるのか」という点を詳しく確認しているとのことです。

また、副業の働き方によっては、必要に応じて本業の企業と労働契約を見直しも行っています。

具体的には「平日の労働時間を短縮する」などの措置がとられています。このあたりはまだ、企業側に労働管理のノウハウが蓄積されていないため、どこの企業も手探りではじめている状態です。

Man
企業に副業を承認してもらうために何かコツのようなものはあるのでしょうか?

労働者側が副業の申請を出す際には、副業を解禁する企業側のメリットにも配慮しておきたいところです。

企業としては「社員が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる」ことや「優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する」ことなどをメリットとして挙げています。

そこで、人事などに副業を申請する際にはその希望理由として「自身のスキル向上」「社内で得られない経験を積むこと」「スキル向上によって本業にもっと貢献できる」などを強調して告げることが、会社からの承認を得られやすくなるコツと言えます。

Man
一般的な副業申請をする手順を教えて下さい

企業によって細かい副業・兼業の手続きは異なるものの、おおよそどの企業も下記のような手順を経ることで副業・兼業の手続きが進んでいきます。

手順その1.副業・兼業の申請を行う

上司や人事担当者に副業・兼業の申請を行います。人事などが中心となりその職種が競業にあたらないか、いつ、どこで副業・兼業を行うのか、どの程度の就業時間・業務量になるのかなどを確認します。必要に応じて面談が複数回行われます。

手順その2.支障がなければ許可が下りる

現在の業務に支障がない場合、副業・兼業を認めてもらえます。ただし、懸念される点が生じた場合は「条件付きで副業を認める」などの形になります。例えば「労働時間は本業と副業を通算して法定労働時間以内に収めること」「PC・ブランドなど会社資産を使う場合は、その都度申請が必要」などがその条件にあたります。

こう言った手続きを経て、副業・兼業が認められます。しかし、副業・兼業を認めるにあたり企業側が心配している点もあります。それは、長時間労働による健康被害です。

企業は、社員が副業でどの程度の時間を費やしているのかをなかなか把握できません。そのため働き過ぎによる過労死などトラブルが発生する危険性があるのです。こういた事故防止のために、産業医などによる健康診断を念入りに行い、本人の疲労度をチェックするなどの企業努力を行っています。

副業をする労働者側も、睡眠時間を削ったり無理な労働時間を設定したりして、後々トラブルに発展しないよう十分注意をして副業・兼業に従事する必要があります。

副業をはじめる前に選択肢を知る

政府や企業側では、少しずつですが確実に副業・兼業をできる環境が整いつつあります。

こう言った環境を活かして、実際に副業・兼業をはじめてみようと思う人もこれから益々増えてくることでしょう。そこで、副業をはじめるためにまず何をしないといけないか整理してみました。

Step1.自分が何をしたいのか確認する

まず、副業をはじめる前に、自分自身が「そもそもなぜ副業をしたいのか」をよく考える必要があります。「本業で得られないやりがいを見つけたい」「定年後の仕事に備えた準備」「車外で経験を積んで本業に活かしたい」「収入を補填したい」など自身の目的に応じて、どの副業を選択すれば良いのかは全く異なるからです。

Step2.副業の職種を調べる

自身の副業目的がハッキリすれば、次にどんな選択肢があるのかを調べます。副業として人気のある選択肢を整理してみました。

・ガテン系

「建設現場作業員」「トラックドライバー」「交通誘導スタッフ」などは時給型で仕事を行うことができ、比較的報酬額も高めの所が多くなります。肉体労働になるため過労に陥らないことが注意すべき点です。

その他:解体作業員、資材運搬、除雪作業員

・スポーツ系

「スポーツインストラクター」「スポーツ施設整備員」などが該当します。こちらも時給型で仕事を行うことができ、比較的報酬額も高めの所が多くなります。スポーツ系は、趣味を兼ねてはじめる人が多い傾向です。

その他:ヨガ講師、体操教室

・接客系

「ファミレス」「ファーストフード」「夜間コンビニ」などが該当します。報酬額はそれほど高くありませんが、時給型で働ける上、特殊な技能は必要ありません。また「スポーツバー」「ゴルフバー」「猫カフェ」など特徴あるお店を選択すれば、自分の趣味を踏まえて仕事をすることができます。また、土日が忙しい店舗も多いため、本業が土日休みの場合、接客系を選択することが多くなります。

その他:ガソリンスタンド店員、ホテル店員、ビアガーデンスタッフ

・事務・軽作業系

「医療事務」「図書館スタッフ」「宅配の仕分け」などが該当します。報酬額はやや低めになる事が多いです。時給型での仕事が大半です。体力的な負担が少ないため、本業に影響を及ぼしません。

その他:パチンコ店清掃、アンケート調査、試験監督

・ネットビジネス系

「ドロップシッピング」「オークション」「アフィリエイト」などが該当します。報酬額は個人の能力に応じます。それなりにスキルを身につける必要がありますが、軌道に乗れば高額報酬も可能です。また、働く時間や場所に縛られないことも特徴です。

その他:ブロガー、有料メルマガ、ネット懸賞

・投資系

「株・投資信託・FX・仮想通貨」「アパート経営」などが該当します。報酬額は個人の能力に応じます。高額収入も可能ですが、損失を出すリスクも高いため高い知識とスキルが求められます。投資系では株・不動産投資などが定番ですが、最近では部屋や車などを貸し出す「シェアビジネス」が大きく成長しています。

その他:ワイン投資、先物取引、太陽光発電

・コンサル系

「セミナー講師」「個人レッスン講師」「カウンセリング・コーチング」などが該当します。報酬額は個人の能力に応じます。短時間で高額報酬を得る事も可能ですが、時間を切り売りしている側面もあるため報酬額の合計はそれほど高くない場合もあります。本業で得られたスキルや知識を副業で活かしたい人はこのコンサル系を選択することが多くなります。

その他:ハンドメイド講師、マジック教室、パソコンインストラクター

・スキル販売系

「イラストレーター」「カメラマン」「結婚式司会」などが該当します。報酬額は個人の能力に応じます。時給で働くと言うよりは「1案件いくら」という形で仕事を請け負うことが多くなります。他人ができないことを自身のスキルを使って代行します。

その他:家事代行、経理代行

ここで取り上げた職種は全体のほんの一部に過ぎませんが、自身の副業をする理由や能力・好みに応じて最適なものを選択してください。初めて副業をする場合、不安になる点もあると思いますがポイントは「とにかくやってみること」です。そもそも本業があるので失敗しても失うものはありません。思い切って最初の一歩を踏み出して下さい。

まとめ

今回は最新の企業動向と副業をはじめている人の実態調査を通して、具体的な副業のはじめ方についてお伝えしてきました。

現状、副業に対して腰の重い企業は多いものの確実に副業環境が整いつつあります。

副業にのめり込みすぎて体調を壊したり本業に影響が出るようでは本末転倒ですが、不足した生活費を補ったり、自身の能力開発や新しい生きがいをみつけるための副業ならば、積極的にチャレンジすることをお勧めします。

また、副業・兼業を行う場合は、各企業で定められた手続きを適切に取り、後にトラブルに発展しないように注意が必要です。

特に企業側は「情報漏洩」や「長時間労働による過労」について心配しています。この点について事前に上司・人事の方と十分な話し合いをもつようにしてください。ここで手抜きをしないことが双方のトラブル回避に役立ちます。

具体的な副業申請の手続き方法は、各企業によって細かい点は異なるものの多くの場合、下記の手順で進められます。

  • 手順その1.副業・兼業の申請を行う
  • 手順その2.支障がなければ許可が下りる

副業申請した際には面談が行われることも多いため、そこで企業側のメリットをしっかり伝える事も大切です。企業側としては「スキルが向上すること」「社内で経験できないことが経験できること」などを重視します。自身の副業を申請をする際に、こう言った企業にとってのプラス面を強調することで企業側も前向きに副業を検討してくれるようになります。

また、実際に副業を選択する場合には「なぜ自分が副業を望んでいるのか」という気持ちや考えを整理することが大切です。その後、具体的にどのような選択肢があるのかを調べるようにします。

今回ご紹介した職種としては「ガテン系」「接客系」「投資系」など様々なものがありますが、自分の能力や興味と照らし合わせて適切な副業選択を行って下さい。また、職種選択の際には収入額だけにとらわれることなく、自身の「体力・興味・将来得られるスキル」などのバランスを考えて選択することが長く続けられる秘訣です。

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