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教育費は子育てをしている家庭にとって、支出の大部分をしめている場合があると思われます。そして、学費をどうやって捻出しようと考えている家庭もあるでしょう。
文系私立大学の4年間の学費は、だいたい400万円くらいかかります。また、理系私立大学では、500万円を越える金額がかかるのです。
この金額は子供1人に関するものなので、子供が2人、3人いる家庭はさらにかかります。もちろん自己資金で学費を賄える家庭は問題ありませんが、ほとんどの家庭では難しいのではないのでしょうか。
そして、自己資金で学費を払うことが難しい家庭の資金調達方法としては、教育ローンか奨学金になると思われます。今回は、資金調達方法としての教育ローンと奨学金について、違いや種類などについて詳しく解説していきます。
教育ローンとはどのような融資?
教育ローンとは?
教育ローンとは、個人向けの資金使途が教育に限定された融資のことをいいます。教育ローンは、いろいろな金融機関で発売されていてそれぞれに特徴がありますが、基本的には3%前後の金利設定をしているところが多いです。
個人向けローンの中では、住宅ローンほど安い金利では借りることはできませんかを、フリーローンよりも安く借りることができます。借り入れできる最高金額も、だいたい300万円~500万円くらいに設定している金融機関が多いです。
教育ローンの種類
教育ローンには、国の提供している教育ローンと民間金融機関が提供している教育ローンの2種類に分かれます。それぞれの特徴は以下になります。
国の教育ローン
- 民間の教育ローンと比較して金利が低い
- 在学中には利息のみの返済で、元金を据え置くことも可能
- 世帯年収の上限が決まっていること(年収の高い世帯は借入不可)
- 借入限度額が学生1人につき350万円
民間金融機関の教育ローン
- 国の教育ローンと比較して金利が高い(現状では国の教育ローンより金利が低い金融機関も有り)
- 国の教育ローンのような世帯年収の上限はないこと
- 借入限度額は金融機関によっていろいろ
- 国の教育ローンと比較すると審査が速い
教育ローンの特徴
教育ローンの特徴は以下のことが挙げられます。
学生の保護者が借り入れをする
教育ローンは、基本的に学生本人でなく学生の保護者(扶養者)が借り入れをするものです。そのため、学生本人でなく保護者が返済もしていきます。
資金使途
教育ローンといえば、学校の入学金や授業料を思い浮かべる人が多いと思いますが、金融機関によっては教育に関するいろいろな資金に利用できるところもあります。例えは、進学塾や予備校、国民健康保険、下宿やアパート代などに利用できる金融機関もあるのです。
商品内容
商品内容は金融機関によって大きく違いますので、よく検討する必要があります。金利についても高い低いはもちろんですが、固定金利や変動金利かも金融機関によって違います。
中には、どちらか選択できるところもあります。また、保証人は必要なのかや、有担保の商品もありますので、よく検討して選ぶことが大切です。
さらに、金融機関によっては当座貸越型やカードローン型の教育ローンもあります。この形態は、基本的な教育ローンのように証書貸付型の借り入れではなく、利用したい時に限度額内であれば何回でも利用できるタイプです。
奨学金とはどういうもの?
奨学金とは?
奨学金とは大学などで学ぶ学生を援助するために、奨学制度を基に貸与や援助される資金のことをいいます。日本学生支援機構の奨学金が、大学生の2人に1人が利用するほど有名です。
しかし、平成28年度時点の奨学金支援団体の数は、日本全国で5,000を超える団体があります。実施団体の約半数は、大学などの学校が行っていて、残りは地方自治体や公益団体や民間企業などが行っていますので調べてみると良いでしょう。
奨学金の特徴
奨学金は、基本的には学生本人が借主になって学校を卒業してから返済していきます。奨学金の中には、返済の必要のない給付型のものもあります。
大学や短期大学や専門学校などでは独自の奨学金制度を設けているところも多く、給付型の奨学金が比較的多いのが特徴です。学校独自の奨学金は、成績優秀者に対するものや、スポーツや部活動成績によって受けられるものや、一人暮らしをしなければならない遠方からの進学者に対するものなどいろいろあります。
どのような奨学金を受けられるかは学校によって違いますので、自分の学校の制度をよく調べてみると良いでしょう。
教育ローンと奨学金の違いや併用について
教育ローンと奨学金の違い
借主
教育ローンの借主は、学生の保護者や扶養者です。一方、奨学金の借主は学生本人のため、自分で返済をしていく必要があります。
借入金の受取方法
教育ローンの借入金の受取方法は、一括振込により受け取ります。一方、奨学金の場合は、毎月一定額が振り込まれます。
そのため、一括で支払わなければならない学費などは、計画的に貯めていかなければ払えなくなる可能性がありますので注意が必要です。
借入金の返済方法
教育ローンの返済方法は、金融機関によって違いがありますが、基本的には借入日の翌月より毎月返済していくことが多いです。一方、貸与型の奨学金の返済は、学校を卒業してから始まります。
利息の発生
教育ローンの利息は、一般的な借入金と同様に、借り入れするとすぐに発生します。一方、奨学金の利息は、在学中は発生しないため、学生にとってはお得です。
教育ローンと奨学金の併用
奨学金は学生本人が返済をしていかなければいけないため、親の心情としては教育ローンですべて賄いたいのもわかります。しかし、奨学金よりも安い金利の教育ローンはありませんので、総返済額を減らすためには教育ローンよりも奨学金を多く借りた方が良いかもしれません。
奨学金は学生本人が返済していくことになりますので、親子できちんと話し合いをすることが一番大切です。
おすすめの教育ローンの紹介
国の教育ローン
国の教育ローンのスペック
- 金利:固定金利年 1.78%
- 借入金額:1人に付き最高350万円(6ヵ月以上在籍する海外留学の場合は450万円)
- 借入期間:最長15年
- 返済方法:元利均等返済(年2回ボーナス月の増額返済も可能)、在学期間中は利息のみの返済も可能
- 担保:不要
- 連帯保証人:(公財)教育資金融資保証基金による保証を利用する場合は不要
- 保証:連帯保証人を立てない場合は、(公財)教育資金融資保証基金による保証が必要
- 保証料:(公財)教育資金融資保証基金による保証の場合は、融資金の中から一括して差し引かれます。
- 資金の使いみち:学校に納付するお金(入学金や授業料や施設設備費など)、受験費用(受験料や受験に関する交通費や宿泊費など)、学校に通うための住居費用(アパートやマンションの敷金、家賃など)、その他教科書代や教材費やパソコンの購入費、通学費用や修学旅行の費用や国民年金保険料などに利用できます。
- 利用条件:融資対象になる学校に入学や在学している学生や生徒の保護者で、世帯年収(所得)が子供の人数によって一定金額以内であること
国の教育ローンの優遇制度
国の教育ローンの優遇については以下になります。
金利引き下げ
- 母子家庭や父子家庭や、世帯年収が200万円(所得122万円)以内の人や、子どもが3人以上の世帯で世帯年収が500万円(所得346万円)以内の人は年1.38%になります。
- 交通遺児家庭は年1.78%になります。
借入期間の延長
- 母子家庭や父子家庭や、交通遺児家庭や、世帯年収が200万円(所得122万円)以内の人や、子どもが3人以上の世帯で世帯年収が500万円(所得346万円)以内の人の借入期間は最長18年になります。
保証料の減額
- 母子家庭や父子家庭や、交通遺児家庭は、保証料が通常の3分の2になります。
国の教育ローンの特徴
国の教育ローン特徴は以下になります。
世帯年収の上限額
世帯年収(所得)が以下の表より上の世帯は、借り入れができません。
子供の人数 | 世帯年収の上限額 | 世帯所得の上限額 |
---|---|---|
1人 | 790万円 | 590万円 |
2人 | 890万円 | 680万円 |
3人 | 990万円 | 770万円 |
4人 | 1,090万円 | 870万円 |
5人 | 1,190万円 | 970万円 |
融資の対象となる学校
融資の対象となる学校は以下になります。
- 大学、大学院、短期大学
- 専修学校、各種学校、予備校、デザイン学校
- 高等学校、高等専門学校、特別支援学校の高等部
- 外国の高等学校、短期大学、大学、大学院、語学学校
- その他職業能力開発校などの教育施設
イオン銀行教育ローン
イオン銀行教育ローンのスペック
- 金利:変動金利年 3.8%(最優遇金利年2.8%)
- 借入金額:10万円~500万円(1万円単位)
- 借入期間:1年~15年
- 返済方法:元利均等返済(6か月ごとの増額返済が可能)
- 担保:不要
- 連帯保証人:不要(イオンクレジットサービス株式会社の保証)
- 手数料料:無料
- 資金の使いみち:学校に関わる教育資金(入学金、授業料、施設費、寄付金など)、通学に必要な転居先物件の敷金や礼金ならびにそれらの借換資金
- 利用条件:就学(予定)者との続柄が3親等以内であること、日本国内に居住していること、外国籍の人については永住許可を受けていること、契約時の年齢が満20歳以上で完済時年齢が満70歳未満であること、イオン銀行にに普通預金口座を持っていること、前年度の税込年収が150万円以上で安定かつ継続した収入が見込めること、保証会社であるイオンクレジットサービス株式会社の保証が受けられること
奨学金の種類について
日本学生支援機構の奨学金は、特に利用者の多い奨学金です。ここでは、日本学生支援機構の奨学金の種類や特徴などについて解説していきます。
奨学金制度
日本学生支援機構の奨学金には、以下の2種類の制度があります。
「貸与型」の奨学金
大学院、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の学生を対象に資金を貸与する制度のことをいいます。貸与型のため、卒業後に返済が伴います。
「給付型」の奨学金
給付型の奨学金は、低所得者など一定の条件を満たし、各高校などの推薦基準を満たす人に対して行われます。給付型のため、卒業後に返済が伴わない奨学金です。
貸与型の奨学金の特徴
ここでは、日本学生支援機構の奨学金について解説していきます。
国内の奨学金
国内の大学院、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の学生を対象に資金を貸与する奨学金です。国内の奨学金の種類は以下になります。
第一種(無利息)
経済的理由により修学が難しい学生の中で、一定の基準を満たす優秀な学生や生徒に貸与されます。返還方式は、平成29年度以降の採用者から返還完了まで定額で返還する定額返還方式と、前年の所得に応じて返還額が決まる所得連動返還方式が選択できるようになりました。
第二種(利息付)
在学中は無利息ですが、卒業後は年3%を上限とする利息が付く奨学金です。貸与条件は、第一種よりも緩やかな条件で選考されます。現状の実際の金利は、一番高い利息固定方式の増額部分でも0.5%前後です。
入学時特別増額
第一種奨学金や第二種奨学金に加えて、入学した月に一時金として増額される奨学金です。国の教育ローンの申し込みをしたけれど、利用することができなかった世帯に対して行われます。
海外留学のための奨学金
海外の短期大学や大学や大学院に短期留学をする国内の学生や、学位取得のために海外の大学院に進学を希望する人などのための奨学金です。海外留学のための奨学金は、第一種(利息の無いタイプ)と第二種(利息が付くタイプ)と留学時(入学時)特別増額の3種類に分かれます。
第一種(利息がかからないタイプ)
第一種奨学金(海外協定派遣対象)
海外留学支援制度(協定派遣)の給付を受けていて、3ヵ月以上1年以内の短期留学をする人が対象の奨学金です。貸与基準は、国内の第一種奨学金と同様です。
第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象)
海外留学支援制度(大学院学位取得型)の給付を受けていて、さらに奨学金貸与を希望する人が対象の奨学金です。支給の要件は、人物や学力について海外留学支援制度(大学院学位取得型)の要件を満たしていることが挙げられます。また、家計の収入基準もありますので注意が必要です。
第二種(利息がかかるタイプ)
第二種奨学金(短期留学)
国内の大学などに在学していて、海外の大学や短期大学や大学院への短期留学の希望者に有利子で貸与する奨学金です。貸付基準は以下の通りです。
- 大学などの国内の学校に在籍していて、海外の大学などに3ヵ月以上の短期留学をする者で以下のどちらかに当てはまる人
- 国内在籍学校の学生交流に関する協定に基づいた留学であること
- 留学先で取得した単位が、国内の在籍している学校の単位として認定されること
第二種奨学金(海外)
海外の大学や大学院での学位取得を目的として、海外の大学や大学院へ進学を希望する人が対象の奨学金です。申込方法は、進学する前に申し込む予約採用と、進学後に申し込む在学採用の2種類があります。
留学時(入学時)特別増額
国内の入学時特別増額と同様に、第一種奨学金や第二種奨学金にプラスして、入学した月に一時金として増額される奨学金です。条件は国内と同様に、国の教育ローンの利用することができなかった世帯に対して行われます。
まとめ
- 子育てをしている家庭にとっては、足りない学費を補填する方法として教育ローンか奨学金が挙げられます。
- 教育ローンとは、教育に限定された借り入れのことをいいます。
- 教育ローンの借主は学生本人でなく、主に保護者や扶養者です。
- 教育ローンには、国が提供している国の教育ローンと民間金融機関が提供している教育ローンの2種類に分かれます。
- 奨学金とは、学生を援助するために貸与や援助される資金のことをいいます。
- 奨学金支援団体は数多くありますが、日本学生支援機構の奨学金が一番利用者が多い奨学金です。
- 奨学金の借主は保護者ではなく、学生本人です。
- 奨学金には、返済の必要のない給付型の奨学金と返済が必要な貸与型の奨学金の2種類があります。
- 貸与型の奨学金は、在学中は利息がかかりません。
- 貸与型の奨学金は在学中には返済が発生せず、卒業後から返済が始まります。
教育ローンは保護者が借主で、奨学金は学生本人が借主になるため、学費の捻出には親と子供がしっかり話し合うことがとても大切です。