iDeCo(イデコ)とつみたてNISA|どのように運用するべき?

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今回は、非課税制度として利用したい、イデコとつみたてNISAについてみていきます。違いやメリット・デメリットについて詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

投資の基本

将来に向けてお金を貯めていくためには資産運用をする必要があります。そして、資産運用には「投資」「貯蓄」の2種類があります。

貯蓄とはお金を増やすことよりも貯めることを重視することです。銀行預金など元本保証の金融商品で確実性を重視し、運用成果は商品の選択時に決定されます。

例えば、預金なら普通預金、定期預金、積立定期など金融商品によってその時の利率が決まっています。

一方、投資とは積極的にお金を増やしていくことです。株式や投資信託、債券などで長い時間をかけて少しずつ増やしていきます。投資は、「長期・分散」が基本になります。ただし、運用成績は相場環境次第なので、マイナスになることもあります。

投資は必要だと思うけれどもなかなか最初の一歩が踏み出せないという人が多いと思います。「投資をするのが怖い」、「失敗したらどうしよう」と考えているかもしれません。

投資を怖いと考える人の多くは「投資」と「投機」を混同しています。 投資とは、本来お金を社会や企業などに投じて、世の中に働きに出てもらうことです。投資した資金が経済や企業を成長させ、より良い社会を築く支えになるのです。その結果として投資家にもお金が返ってきます。投資とはする側にもされる側にもメリットが生じるものです。

一方、投機とは短期的な値幅を追って売ったり買ったりすることです。自分が儲けるためには誰かが損をしているので、投資とは全く別物です。これを「ゼロサムゲーム」といいます。例えば、1億円一人の投資家が利益をあげたとしたら、10万円損失を出している投資家が1,000人 いるという計算になります(手数料や税金は考慮せず)。

投資の基本は「長期・積立・分散」です。それに適した投資信託を選べば、投資したお金が元本割れする可能性は軽減できます。もちろん短期的には損失を出したりすることもありますが、今後も世界経済が成長していくと仮定すれば、その利益を享受することができるのです。

長期・積立・分散投資とは

投資の基本は長期・積立・分散です。それぞれを詳しく見ていきましょう。

長期投資

長期投資とは、時間をかけて資産を育てることです。運用する期間が長くなるほど着実に資産を増やすことができます。金融庁の調査では、保有期間が5年と短い場合は元本割れする場合もありますが、保有期間が20年では、長期投資の効果が出てマイナスの出現頻度はほぼゼロとなり、ほとんど元本割れしていません。

もちろん投資は金融商品で行うので元本保証ではありませんが、これまでの過去の値動きを検証すると、長期投資では利益が出る可能性が高いのです。

また中長期で投資を行うことによって投資資金を運用して得られた利益がさらに運用されて増えていく「複利効果」があります。投資期間と複利効果には関係があり、投資期間が長いほど複利効果も大きくなる傾向があるのです。また、投資期間が長いことで投資による価格変動リスクが小さくなり、安定した収益が期待できます。

積立投資

積立投資とは、毎月決まった金額を継続して投資します。例えば、投資信託を毎月1万円ずつ買付けていくということです。定期的に買い続けるので、価格が低い時に多め買い、価格が高い時に少なめに買うことで購入価格を平準化することができます。投資信託は、ネット証券で100円から購入することも可能なので、まとまったお金がなくても気軽に始めることができます。

分散投資

分散投資とは投資対象を多様化させることで、資産運用に伴う価格変動リスクを低減させてリターンを目指す有効な方法です。一つの商品だけに投資するよりも、それぞれ違った値動きをする複数の資産を組み合わせた方が、全体のリスクは小さくなるという考え方です。

例えば、国内と海外、新興国と先進国など地域を分散させることによって、一つの地域のマーケット変動に翻弄されることなく、世界経済全体の成長を享受することができます。また、株式だけではなく、債券や不動産など幅広く商品を分散することによって、安定的なリターンを期待することができます。

このように安定的な資産運用を行うために、長期・積立・分散の三原則を守るようにしましょう。

長期・積立・分散投資を行う上で税制のメリットがあるiDeCo(イデコ)とつみたてNISAを始めることをおすすめします。 両者とも運用利益が非課税になることや、将来のために積立するというところが似ています。

しかし、利用者をどのように使い分ければいいのかと迷っている人も多いのではないでしょうか。そこでイデコとつみたてNISAの特徴を詳しく解説していきます。

iDeCo(イデコ)とつみたてNISAどちらで運用すべき?

イデコやつみたてNISAは、将来のために資産形成を自分で行う代わりに、政府が税制面で優遇してくれる制度です。通常は運用で得た利益に20.315%の税金がかかります。しかし、イデコやつみたてNISAを使えば税金がかからないので、実質的にリターンがアップしたのと同じ効果が得られます。

イデコとつみたてNISAは税制優遇があるので両方とも活用し、利用できる期間はずっと使い続けるのが一番です。しかし、資金的な余裕がないなどの理由で両方は難しいという方もいるかもしれません。その場合、イデコとつみたてNISAどちらを選ぶべきでしょうか。

税制優遇面では、掛け金が全額所得控除になり、受取時にも大きな控除があるイデコの方が有利です。ただ、イデコは原則として60歳まで引き出すことができませんし、通算加入期間が10年に満たない場合は、引き出せるのが60歳よりも後になることに注意が必要です。

そもそもイデコは老後の生活に必要な資産を形成するための「個人年金制度」です。老後に向けた資産形成をするためには、途中解約が制限されているのは合理的だと考えられます。

しかし、10年や20年と長期間にわたっては急にお金が必要になることもあります。例えば、病気や怪我などで仕事を長期間休むことになり、貯蓄を取り崩して生活費に充てなければならない場面も出てくるかもしれません。

そういったときつみたてNISAはいつでも解約できるので生活費にあてることができます。基本的に老後資金の準備はイデコで、それ以外のお金はつみたてNISAで準備するという使い分けが望ましいのです。

ただし、どちらか一方から始めるということになれば、つみたてNISAから始めることをおすすめします。つみたてNISAならばいつでも解約するのは自由です。つみたてNISAの年間投資額は上限が40万円。月額ですと33,000円前後です。その金額まではつみたてNISAで行い、資金的な余裕ができたらイデコに加入するようにするのがいいでしょう。イデコとつみたてNISAの比較表は次のようになります。

 

iDeCo (イデコ) つみたてNISA
資金を追加できる期間 60歳まで(運用は70歳) 20年間
年間限度額 年14.4万円~81.6万円 40万円
金融商品 投資信託、定期預金、保険 投資信託
資金の引き出し 60までできない いつでも可能
運用コスト 管理手数料・信託報酬 信託報酬

それでは投資対象の違いなどについても見ていきましょう。イデコは老後資金の準備が目的ですが、つみたてNISAは長期・積立・分散投資を支援する制度で、お金の用途に決まりはありません。

運用期間や運用商品にも違いがあります。イデコは原則として60歳まで引き出すことができません。運用商品も投資信託のほか、定期預金や保険商品など元本確保型もあります。

つみたてNISAの非課税期間は投資した年から最長20年間です。年間40万円で最大800万円までの非課税枠があります。運用商品は金融庁が決めた厳しい条件をクリアした投資信託が対象となります。

そうはいっても様々な投資対象があるので、投資初心者は迷うと思います。基本的にはイデコもつみたてNISAも投資信託での運用になります。イデコでは預貯金など元本確保型も選べますが、今後も資産運用を考えると、元本確保型ではほとんど元金は増えません。

老後資金のための運用ということを考えると、リスクを取ってでも投資信託での運用をおすすめします 。

投資信託の選び方

投資信託は現在6000本以上あります。そして購入時にかかる購入手数料や投資信託を保有している間にかかり続ける信託報酬などの手数料が高すぎる商品も少なくありません。また長期投資に向かない商品もたくさんあります。

例えば、「毎月分配型」の投資信託です。リタイア世代が年金の代わりに分配金を受け取るというニーズには合っていますが、長期での運用を考えた場合、分配金を頻繁に出すため複利効果を得られないというデメリットがあります。

またテーマ型などその時々の流行や、株価が上がっているインドやブラジルなどに投資する流行の商品を買ったものの、ずっと保有していたら価格は下がってしまい、損をしたという人も少なくありません。

それではどのような投資信託を選べばいいのでしょうか。まず運用期間が決まっていない(無期限)の投資信託を選ぶべきです。10年や20年といった長期投資が前提なのに、途中で運用が終わってしまっては意味がありません。

さらに投資対象を幅広く分散しておくことも大切です。日本株だけだと今後少子高齢化が進み、人口が減っていきます。将来の成長が期待しにくく、経済的に厳しく状態になっていくと見られています。しかし、世界に目を向けると今後も成長を続けると見られる国がたくさんあります。成長著しいアジア諸国や BRICs と呼ばれる新興国は今も成長を続けています。ですから、そういった国々に幅広く投資できる投資信託を選ぶことで、世界経済の成長を享受することができるのです。

年代別おすすめの運用方法

iDeCoとつみたてNISAは資金的な余裕があるなら2つの制度を併用するべきです。特に40~50代で老後資金を貯めようとする人は、非課税口座を活用して、できるだけ多くの資金を積み立てるようにしましょう。

できるなら、どちらも限度額まで積み立てるべきです。イデコには非常に手厚い非課税メリットがあります。まず掛け金が全額所得税控除の対象になります。そして、運用益が非課税です。さらに将来年金や一時金で受け取る時にも各種控除を受けることができます。一方、つみたてNISAでは運用益が非課税になります。

50代からの資産形成

50代になってからですと、資産形成を始めるのは無駄ではないかと考える方もいるかもしれませんが、始めるのに遅すぎるということはありません。資産形成が無駄だと考えるのは、公的年金の支給が開始される60歳から65歳までに老後資金を全額準備しなければならないと考えているからです。

確かに50代から10~15年で老後に必要なお金を全て準備するのはほぼ不可能に近いでしょう。しかし人生100年時代を迎えて、65歳までにすべての資金を用意して投資を止める必要はありません。

定年後も投資を止める必要はなく、むしろ自分が働かなくなったぶんお金に働いてもらい増やしてもらう必要があるのです。また、定年後は働いて得る収入がなくなるので、運用は債券など元本割れするリスクの少ないもので行いましょうというアドバイスもありますが、60歳以降も株式投資を続ける必要があります。

これまで若い時から株式投資で資産を積み上げていた人たちは株式投資の比率を下げる必要がありますが、50代から投資を始める人たちはリスクを取って投資を行う必要があるのです。

20代からの資産形成は早い?

20代はまだ貯金もなく、給料も低いので投資を始めるのは早すぎると考えるかもしれませんが、投資を始めるのに早すぎるということはありません。むしろできるだけ早く始めるべきです。

月々数千円でもいいので早く始めることが大事です。期間が長くなればなるほど複利効果を味方につけながら無理のない運用で資産を増やすことができるからです。20代なら時間があるので、リーマンショックなど大きな金融危機が起きても運用を続けることによって、長期的には利益を得る可能性が高まります。

特に、毎月一定金額ずつ買い付ける積立投資の場合は、株価が大きく下落した時など安く購入できるチャンスです。大きな値下がりを経験したとしても、再び値上がりすることを期待して保有することで、大きなリターンを望むことができます。

ただし、将来の成長が期待できる国際分散投資を行うことが必要です。日本では今後少子高齢化が進むので経済発展があまり望めず、将来受け取れる公的年金が少なくなる可能性が極めて高いといえます。老後のお金で困りたくなければ、若いうちから資産形成を考え、行動を起こすことが大事なのです。

まとまった金額がなければ投資できないと考えている人もいるかもしれません。確かに20代の人が投資に回せるお金は限られているでしょう。しかし、ネット証券の中には月々100円のワンコインから投資積立ができる会社もあります。

あまりに少なければなかなか資産は増えませんが、始めるきっかけにはいいでしょう。そして、つみたてNISAやイデコなど税制優遇のある制度をフルに活用しましょう。投資で得た利益に本来なら20.315%の税金がかかりますが、これらの税金が非課税になるので実質的にリターンが向上したのと同じ効果があるからです。

現役世代(30~40代)

イデコは勤め先に企業年金や企業型確定拠出年金 (DC) がない場合は、月額23,000円の積立限度額となります 。そしてつみたてNISAは年間の上限が40万円なので、月額約33,000円になります。つまり、毎月56,000円ずつ非課税メリットを得ながら将来の資金を準備することができます。

もちろん、その金額では足りないかもしれませんが、余裕があれば通常の口座で投資信託を積立てればいいのです。非課税枠をフルに使うことは第一条件ですが、将来のためたいお金を考え資産運用を続けることが大切です。

まとめ

今回は、将来のお金を貯めるための非課税制度であるイデコとつみたてNISAの違いと特徴を解説してきました。結論からいうと両方を利用して非課税枠メリットを最大限に利用するべきですが、余裕がない場合はつみたてNISAで資産運用を始めるのがいいでしょう。

つみたてNISAならいつでも解約することができ、緊急の場合でもお金を用意することができます。イデコは60歳まで資金が引き出せないので、リタイア後のお金を準備するための制度と言えます。ただし、税制優遇面ではイデコの方に分があります。掛金が所得税控除になることや、年金や一時金として受け取る時にもメリットがあります。

資産形成は50代でも遅すぎるということはありません。また、20代でも早すぎるということはありません。それぞれの給与や資産規模に合った運用を続けていくことが大事です。日本はこれまで手厚い保護によって将来の資金が約束されていましたが、今後は米国などの海外のように自分で資産運用をすることが必要になることが予想されます。少しでも早く資産運用を始め、そのためにイデコやつみたてNISAなどの非課税制度をフルに活用してください

 

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