実は公務員でも副業は可能!不動産・株・執筆活動等で副収入アップ

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2018年6月、政府は公務員の副業容認を正式に認めるよう調整段階に入りました。既に兵庫県神戸市、奈良県生駒市では副業解禁の制度化が行われ、今後は公務員でも副業ができる環境が整っていくでしょう。

では、現時点で公務員は副業を行うことはできないのでしょうか。答えは、「できる」です。

まだ政府の調整は完全に終わっていないものの、条件次第で公務員でも可能な副業が7つ存在します。今回はその7種類の副業を詳しく紹介するほか、副業にあたっての条件や申請方法などについても紹介していきます。

公務員の副業は原則不可!法律違反にも

一般的な企業(私企業)では「副業禁止」と謳っていることも多いですが、法律で原則に禁止されているわけではありません。私企業の禁止事項は就業規則(会社規則)によって守られるもので、会社規則によって従業員の副業を絶対的に禁止することはできないのです。

しかし、公務員は違います。副業は法律によって明確に禁止されているのです。

たとえば、国家公務員法第103条には、「私企業からの隔離」として以下のような条文が定められています。

職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

また、地方公務員でも地方公務員法38条「営利企業等の従事制限」で、

職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

と明文化されています。

公務員の副業を法律で禁ずる理由は、副業によって本業で知った秘密や情報などを外部に漏らす、または外部漏洩によって社会的な信頼を失墜しないためです。公務員は国民や地域住民に対して奉仕する立場にあるので、当然といえば当然のようにも感じます。

しかし、例外も認められています。一定範囲内の副業であれば、許可を取って副業をしても良いことになっているのです。

条件を満たせば公務員も副業できる

公務員が副業を行うには、許可が必要です。仕事をする内容に合わせて「自営兼業承認申請書」を提出しなければなりません。

また、副業できる仕事の種類にも限りがあります。仕事内容については、以下の3点の注意項目に則って7つの副業に分類されます。

  • 社会的な信頼を損なわないこと
  • 本来の職務に専念できること
  • 利害関係に問題を生じさせないこと

上記の内容に問題がなく、なおかつ申請書もしっかりと提出していれば、公務員でも副業を行うことができます。

公務員にも認められている副業7選

公務員でも、許可が認定されれば行える副業として以下の7つがあります。

  1. 地域貢献活動
  2. 不動産投資
  3. 株式投資・FX
  4. 講演・講師活動
  5. 執筆活動
  6. 小規模農業
  7. 家業の手伝い

上記のように意外と活動できる範囲は広いです。特に不動産や株式投資などは私企業で働く人でも利用する方が多く、以外に思われた方も多いのではないでしょうか。

ただし、公務員という関係上、仕事によっては例外ルールや注意事項なども存在します。副業を開始する前にしっかりと確認しておくようにしましょう。

地域貢献活動

公務員は基本的に利益供与が禁止されています。たとえば、副業として企業のアルバイトを行うなど、報酬や給与が発生するので不可となります。

しかし、地域貢献活動の場合、消防団や土木関係、雪下ろし、子供の教育活動など公益性が高いものに関しては、特定団体の利益供与には当たりません。もちろん、その活動によって多額の謝礼を受け取るというのは禁止事項に当てはまりますが、常識的な範囲内であれば謝礼や報酬を受け取って良いことになっています。

また、NPOなど非営利団体は社会性、公共性が高いとされ、公務員の副業として認可されやすい傾向にあります。NPOの活動としては医療や福祉の増進、まちづくりや地方事業の促進、災害救援などがあり、活動費も受け取れますが、社会貢献活動としてみなされることが多いです。

ただし、いくら貢献活動であっても許認可は必要となります。

不動産投資

公務員は副業で不動産投資を行っても良いことになっていますが、投資規模を少なく抑える必要があるなど複数の条件があります。

  • 賃貸収入は年間500万円まで
  • 戸建ては5棟まで
  • マンションは5棟10室まで
  • 土地は10件まで
  • 駐車場は10台まで
  • 太陽光発電は10kWまで

このように投資する対象、投資額に気を付けて副業を行う必要があるでしょう。

しかし、上記に該当する場合は副業とはみなされず、許可を取る必要はありません。この理由として、小規模な不動産投資なら心身に負担となる労働が発生せず、職務がおろそかになったり、利害関係が発生しないと考えられているからです。そのため、副業ではなく副収入として捉えられています。

仮に不動産投資でも、大規模な物件やゴルフ場、レジャー施設、ホテルの賃貸経営などの場合はどうなるのでしょうか。

実は、不動産投資の規模が大きくなる場合は、自営型の兼業としてみなされ、自営兼業許可申請書の提出が必要となります。

株式投資・FX

株式投資やFXは、副業ではなく投資に当たります。そのため、ほとんどの場合は許可を取ることなく投資を行うことができます。しかし、保有資産の売却によって損失を出すリスクもあるので、その点には注意です。

以下の場合は投資に該当するため、許可なく公務員でも行うことができます。

  • 株式投資
  • IPO
  • FX
  • 投資信託
  • 先物取引
  • 仮想通貨取引
  • 純金積み立て
  • CFD
  • ソーシャルレンディング
  • クラウドファンディング
  • 個人向け国債
  • 定期預金

およそほとんどの資産運用が許可なしで行えるのは嬉しいですよね。

また、損失のリスクの他にも、注意点としては確定申告です。株式投資やFXで稼いだ収益は所得となるので、所得税を納める必要があります。

一方、投資でも大規模な範囲に拡大すると認められないケースが多いです。たとえば、民泊やカーシェアなどのシェアビジネス、フランチャイズ店などの店舗経営など資産運用のスケールを超える場合は注意しましょう。

講演・講師活動

講演や講師の活動は例外付きで認められることがあります。基本的には、勤務時間外の講演や講師で謝礼を得ることは、利益供与に該当するので禁止されています。

しかし、地域貢献に役立つ内容、専門性が高く発展が期待できるものなど、許可を得て実施できることも。もちろん公務に悪影響が出ないなど、条件に当てはまる場合のみに限定されます。

執筆活動

執筆活動も職務外で報酬を得る行為として基本的には禁止されていますが、趣味や表現の自由が尊重されることから、申請を行えば認めてもらえることも多いです。

たとえば、通産省に入省した堺屋太一氏は、1975年に「油断!」、1976年に「団塊の世代」を発表するなど、公務員として働きながら執筆活動も続けていました。他にも、公立高校で国語教師を担当していた俵万智氏も、1987年に「サラダ記念日」を発表してベストセラーになるなど、過去に認定されたケースもあります。

もちろん表現の自由があったとしても、「情報漏えいや公務員としての信用が疑われる表現」など原則から外れるような内容は禁止されています。

小規模農業

農業は「自給的農家」と「販売農家」の2種類に分類されます。

  • 自給的農家:耕地面積が30a未満、農産物の年間販売額が50万円未満
  • 販売農家:耕作面積が30a以上、または農産物の年間販売額が50万円以上

自給的農家に該当する場合は、営利農場であっても小規模とみなされ申請が通りやすいです。しかし、販売農家や牧畜、果樹栽培、養鶏などは自営となり、原則的に禁止されています。

農業が非営利の場合は、自営や副業にも該当しないので申請なしで行えます。

家業の手伝い

家業手伝いは、報酬が発生しないという条件のみで行為が認められています。たとえば、農業や寺院などで無償で手伝いをするなど、です。また、認可された場合でも、土日祝など本務に支障のきたさない範囲でのみ認められます。

手を出さない方が良いグレーな副業

ここまで公務員でも可能な7種類の副業についてお伝えしてきました。株式投資やFX、不動産投資や講演活動なども条件次第で可能、つまりホワイトな副業です。一方、アルバイトやパート、派遣などは明確に利益供与が行われるため不可、ブラックな副業となります。

では、ホワイトでもブラックでもない、いわゆる「グレー」の副業ではどうでしょうか。たとえば、私企業の方でも利用することが多い「ネット副業」です。ネット副業にはアフィリエイトやポイントサイト、オークションやフリマなど様々な種類があります。

その中でも代表的なネット副業を見ていきましょう。

アフィリエイト

アフィリエイトはブログやホームページに広告を貼り収入を得る方法です。ブログなどに訪問したユーザーが広告をクリックしたり、広告主のサイトから商品を購入することで報酬が得られます。

この報酬も利益供与に当たるので、アフィリエイトは原則的に禁止されています。ただし、ブログの内容などによっては自営兼業承認申請書を出すことで認められることもあります。

アフィリエイトではなく趣味としてブログを運営するのは問題ありません。広告などを一切貼らずに、情報発信だけ行っている場合は認可も不要です。しかし、執筆活動と同じように、情報漏洩などの表現方法などには気を付けなければなりません。

オークション・フリマ

オークションにはヤフオク、フリマだとメルカリが有名です。自宅の不用品をヤフオクやメルカリで販売した場合、労働や事業には該当しないため公務員でも可能です。

しかし、ヤフオクやメルカリで仕入れを行い、利益目的で販売するのは事業に当たります。いわゆる転売と呼ばれる方法です。事業に該当すると公務員では不可となるので、手を出さないようにしましょう。

ポイントサイト

ポイントサイトとは、サービスサイトからクレジットカード登録やセミナー参加、他サイト訪問などでポイントを稼ぎ、現金などと交換する仕組みです。現金に換算できるポイントは謝礼に該当するため、公務員はポイントサイトを利用することができません。

ただし、電子マネーなどのポイントの使用・チャージなどは日常生活の一部としてみなされるので、こちらは問題ありません。

「自営兼業承認申請書」を提出しよう

副業の種類によっては、「自営兼業承認申請書」を提出しなければならない場合があります。たとえば、大規模な物件への投資や施設の賃貸経営、地域貢献活動などを行う場合は、必ず申請を出してから副業を行うようにしてください。

仮に上記のケースで申請書を提出せずに仕事を始めた場合、以下のような懲戒処分が下ります。

  • 免職:公務員としての職を失う。私企業のクビと同じです。
  • 停職:公務員としての職は失わないが、一定期間中仕事ができず、給料も支払われない。
  • 減給:一定の期間中、給料が減る。
  • 戒告:口頭での注意に加え、将来の昇給、昇進の査定に影響が出る。
  • 厳重注意:口頭注意のみ。記録などには特に残らない。

公務員の副業は法律で禁止されている以上、それがバレた場合の処分も厳しくなります。

過去には懲戒処分を受けた公務員も多く、今でも年間で30~50人が摘発されています。以下はその一例です。

懲戒処分 対象者 処分内容
訓告 ・2015年
・大分市
・10代女性
・カウンターレディで月収6万円
・週1回6時間勤務
・目的は月6万円の仕送り
減給90%
3カ月
・2016年
・佐賀広域消防局
・40代男性
・マンション4棟などを所有
・所得は約7,000万円
・上司の承認なし
免職 ・2012年
・徳島県警
・40代男性
・警察手帳を偽造してオークションに出品
・白バイ手袋や警察バッジも2,000個売却
・監督責任で署長3人も訓戒

公務員にオススメの副業は不動産投資

公務員にもできるホワイトな副業を紹介してきました。しかし、7種類もの副業の中で自分にぴったりのものを選ぶのは難しいですよね。中には、条件が厳しいものがあったり、申請が必要なものもあり、一体どれを選べば良いのでしょうか。

公務員におすすめできる副業は「不動産投資」です。不動産投資は公務員という社会性のある職業と相性が良く、融資など様々な面でメリットがあります。

以下の項目でおすすめの理由を紹介していますので、ご確認ください。

公務員の社会性を活用できる

公務員といえば民間で働くサラリーマンの方よりも社会的ステータスが高く、その信用力を活かすことで不動産投資も行いやすくなります。

たとえば融資です。

不動産投資を始めるうえで最大の障壁となるのが購入費用です。すべて現金で揃えるのは相当難しいものがあり、金融機関から融資を受けることが多くなります。融資を受ける場合に必要なのが審査で、公務員は国や地方自治体というバックグラウンドから、私企業よりも高い信頼が置かれます。つまり、それだけ審査に受かりやすいということです。

審査で高い評価を得れば、それだけ多くの資金を低金利で借りることができます。金利が低ければ、収益の上がりやすい物件に投資しやすくなるので、不動産投資の効果が高まるということです。

管理会社を利用すれば手間要らず

不動産投資で手間がかかるのは最初の物件を購入する段階だけです。他にも家賃回収や入居者募集という仕事がありますが、こうした作業は管理会社に委託することができます。つまり、ほとんど放っておいても家賃収入が入ってくる仕組みということです。

管理会社の相場は委託手数料として家賃収入の3~5%ほどとなります。年間の家賃収入が200万円だと、委託手数料は約6万~10万円です。

管理会社を利用すれば、忙しい公務員の方でも家賃収入を得ることができます。ただし、管理会社によってサービスの質や種類が異なり、場合によっては入居者とトラブルに発展してしまうこともあるので、よくよく検討して選ぶことが大切です。

公務員の副業まとめ

今回は公務員でも可能な副業を7種類紹介してきました。

  1. 地域貢献活動
  2. 不動産投資
  3. 株式投資・FX
  4. 講演・講師活動
  5. 執筆活動
  6. 小規模農業
  7. 家業の手伝い

公務員は法律で副業が禁止されていますが、条件さえ満たせば副収入を得ることもできます。

その中でもやはりおすすめが不動産投資で、公務員という社会性を活かして有利な融資が受けられること。さらに面倒な手続きは管理会社にお任せすれば、家賃収入で家計を助けることだって可能です(年間500万円を超えないように気をつけましょう)。

ただし、副業を行う場合は、自営兼業承認申請書の提出が必要となります。仮に申請せずに副業を行った場合、厳しいペナルティが課されるので、上長ともよく相談しながら決めるようにしましょう。

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