目次
借金の返済に困ってしまい、債務整理を検討している方が気にされるのが、「結局どこに依頼するのがいいのでしょうか?」ということではないでしょうか。
しかし実際にはインターネット広告、ポスティングのチラシ、駅の看板、市区町村の相談など様々なところで債務整理に関する情報を目にして、どれを選ぶべきなのかに迷うこともあります。
債務整理は人生の一大事項なので慎重に依頼先を選びたいところなのですが、選択肢が多すぎる上に「失敗」というものがあまり公にならないものであるため、
このページでは、債務整理を依頼するにあたって良い弁護士・司法書士の事務所を見つける方法についてお伝えします。
債務整理の概要
まず、そもそも債務整理とはどのようなものかについて知っておきましょう。
債務整理というのは、借金の返済が大変になった・できなくなってしまったという場合に、法律などで定められている手続きを利用して借金返済を楽にしたり、借金返済を免除してもらったりすることです。
債務整理法といったまとまった法律があるのではなく、破産法・民事再生法・民法に基づく和解契約といった個々の手続きがあつまったものです。
債務整理には主に、自己破産・個人再生・任意整理という3つの方法が利用されます。
自己破産とは、破産法に基づいて、裁判所に申し立てをして、債務や資産に関する報告など所定の手続きをした上で、債務者の債務を原則として0にして経済的な再生を目指すことができる手続きのことをいいます。
個人再生とは、民事再生法の個人が利用が想定された章の規定に基づいて、裁判所に申し立てをして、自己破産と同じく債務や資産に関する報告など所定の手続きをした上で、債務者の債務を1/5程度に圧縮して、分割で支払いをしていくことを認めることにより、経済的な再生をはかる手続きのことをいいます。
任意整理とは、弁護士や司法書士が債務者の代理人として、債務に関する契約に基づく総額・利息・遅延損害金などの諸条件の見直しをしてもらうように、債権者と交渉をしていく手続きのことをいいます。
その他、債務を相続してしまった場合の相続放棄や、個人でも裁判所に申し立てをして債権者と話合いをする特定調停、最高裁で無効と判断された払いすぎていた利息を取り戻す、過払い金返還請求などがあります。
債務整理を依頼するにあたっての良しあしの決め手はここ
では、債務整理をするにあたっての良しあしの決めてにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
債務整理という仕事と弁護士・司法書士の関係
債務整理を依頼するにあたって、まず弁護士・司法書士が「債務整理に対してどのようなことを考えているか」ということについて知っておいてください。
債務整理は元々は一部の人権派といわれる弁護士が、消費者金融などが高利で貸し付けを行った結果生活が成り立たなくなり、路上生活をしているような人に声をかけて回って救済するようなところからスタートしたものです。
そのため弁護士の中では敬遠する人も多いもので、実は今でも法テラスや市区町村の法律相談に乗る弁護士の中には、「自分は債務整理をやっていないので…」と断る方も多いようです。
転機になったのは、最高裁が利息制限法以上、出資法未満で借りていた場合に、利息制限法を超える部分については無効で、受け取った場合には今ある残額と差し引き計算をして、払いすぎている部分が多い場合には借り入れをしていた人に返さなければならなという判決をしたのです。
そして、過払い金請求をするための法律事務を観察すると、債権者との書類のやりとりや、債務がいくらなのか(払いすぎていた金額がいくらなのか)といったことについて、弁護士が一人で行わなくても、知識・ノウハウを蓄積した事務員がサポートすれば弁護士の関与の度合いが低くなるものでした。
また、同時期に弁護士業界においても広告が解禁されました。
そのため、事務員を大量に雇って広告をすることで、弁護士が一人や少数でも大量の案件を受けて運営することができることになり、これをビジネスチャンスととらえた弁護士・司法書士が債務整理に乗り出すということが増え、現在のようにたくさんの広告を目にすることになったというものです。
その結果、きちんと債務整理の専門事務員を配置して事務を取り扱っている事務所と、残念なことなのですが「適当に受けて事務員にやらせておけばよい」というスタンスの方もいらっしゃっるという事になりました。
以上より、対価として報酬をもらう異状、きちんとした法律サービスを提供するという基本的なスタンスをもった弁護士・司法書士が依頼をするに値する良い弁護士・司法書士であると考えます。
債務整理を依頼すべき事務所の特徴
以上の債務整理が歩んできた歴史を踏まえて、債務整理を依頼すべき事務所にはどのような特徴があるかをお伝えします。
個人法務を取り扱っている
本当に大前提からになってしまうのですが、弁護士・司法書士が取り扱いしている分野も多種多様にあり、その大きな内訳の一つとして、企業法務と個人法務という内訳があります。
企業法務というのは、会社を相手にする分野の事を指し、個人法務とは個人を相手にする分野のことをいいます。
個人法務は債務整理をはじめとして離婚・相続・交通事故などの分野を取り扱っています。
弁護士に知り合いがいるからといって、その方が企業法務を取り扱っているような場合には、債務整理の取り扱いをすることができない可能性があります。
ですので、個人法務を取り扱っている弁護士・司法書士に相談・依頼をすべきといえます。
債務整理の取り扱い件数の多さ
これは債務整理のみに限ったことではないのですが、債務整理の取り扱い件数が少ないより多いほうが良いです。
たとえば、最近はインターネットの普及に伴って、従来は特定の地域で活動をしていた貸金業者が、全国規模で借りいれをしたい方を集めることができるようになっています。
そのような貸金業者の中には、任意整理には絶対に応じないというようなところもあります。
何も知らずに、家族に内緒にしたい要望のある方から、その貸金業者に対する債務整理を受け、その貸金業者から訴訟をされてしまい、家族にバレてしまうというようなことがあります。
ですので、取り扱い実績がたくさんある弁護士・司法書士に依頼をするようにしましょう。
広告宣伝をきちんとしているか
たくさん依頼を受けるためには、きちんと広告宣伝を行っていなければできません。
そのため債務整理を専門領域として取り扱っている事務所はまずホームページを中心とした広告宣伝を行っています。
特に費用については、弁護士会や司法書士会が上限を設けているので、規定に違反していないかを事前に見ることができるようにしている事務所は依頼をするに値するといえるでしょう。
懲戒処分を受けていない
弁護士・司法書士が不適切な行為をした場合には、所属している弁護士会・司法書士会といった組織が当該弁護士や司法書士に対して懲戒処分を下します。
たとえば
- 債務整理をしているように広告宣伝をしていたが実際には名義貸しをしているにすぎなかったような場合(非弁提携)
- 債務整理の依頼を受けたにもかかわらず、全く依頼を受けた案件を放置していた場合
- 依頼者から預かった預り金や、貸金業者から取り戻した過払い金を着服した
というようなケースがあります。
懲戒処分を受けている弁護士・司法書士には依頼をしない、という事が重要です。
こんな弁護士・司法書士に債務整理を依頼してはいけない
一方で、どんな弁護士・司法書士に債務整理を依頼すべきではないかは、次の通りです。
報酬が欲しいから依頼を受けるが、事務員にまかせっきりで何もしない
上記のように弁護士・司法書士は広告解禁にともない、マーケティングが上手ではない方には、普通には仕事がまわってこない状態になってきました。
そのため、いろんなところでやっている法律相談会に顔を出して、依頼を受けるようなケースがあります。
債務整理は案件としては難しい部類ではないといわれますが、とはいえどこの貸金業者がどのような条件のもとにどういう交渉をしないとならないか、などを知っていないと、うまく行かないこともあります。
ですので、事務員にまかせっきりにしてしまっているような場合で、事務員さんが相談できる環境がないと、手続きがすすまないことがよくあるので、注意が必要です。
そもそも債務整理をやる気がない
普段は企業法務ばかりしていながら、人の紹介で債務整理を受けたような場合ですが、そもそも案件をすすめずに相当長期にわたって放置しているようなケースもあります。
債務整理ときちんと向き合っている弁護士・司法書士を選ぶべきです。
選び方の基準
ではどのようにして弁護士・司法書士を選べばよいのでしょうか。
債務整理を専門としてやっているけれど相談料は無料である事務所をピックアップする
まず最初に、インターネットや手もとのポスティングのチラシなどを参考にして、債務整理をやっているけれども相談料は無料である事務所をピックアップしましょう。
これは法律事務所・司法書士事務所のマーケティング的な観点でもあるのですが、相談料を取ることで顧客になるかもしれない人を逃すよりも、きちんと事務所に来てもらって依頼をしてもらったほうがよい、という判断をしています。
そのような事務所が多いので、債務整理をきちんとしている事務所では、債務整理をする場合に相談料をとらないのが通常になっています。
以上より、まずは債務整理を専門にやっていて、相談料が無料の事務所をピックアップします。
懲戒処分を受けているかどうかを確認する
次に、ピックアップをした事務所の弁護士や司法書士が懲戒処分を受けていないかどうかのチェックをしましょう。
どうやって懲戒処分を受けているか調べれば良いかですが、「(弁護士・司法書士の氏名)×懲戒」という検索ワードで検索をします。
そうすると、弁護士会や司法書士会のホームページなどに、懲戒処分をした旨の記載があるので、依頼を検討していた事務所が掲載されている場合には依頼を取りやめます。
ホームページの記載を参考にする
最後にホームページの記載を読み解きます。
その事務所がどのくらい数の案件を担当したことがあるか、もし相続や離婚といった問題が関係してくるようであれば取り扱いができそうか、費用はいくらなのか、といった事について調べることができます。
実際に相談を受けてみる
選んでもよさそうな弁護士・司法書士があったら実際に無料相談に訪問しましょう。
実際に会ってみて担当してくれる弁護士や司法書士がどのような人なのか、担当してくれる事務員・パラリーガルがどのような人なのかを確認して、自分のためにしっかりやってくれそうかを確認します。
まとめ
このページでは債務整理をするにあたって、弁護士・司法書士をどうやって選ぶか、ということについてお伝えしてまいりました。
債務整理は人生の一大決心になりますので、失敗をしたくないものです。
弁護士・司法書士がどのような事を考えているか、ということの裏側を知れば、依頼をしてはいけない事務所もわかるので、是非参考にしてもらった上で、自分のために最善の債務整理をしてくれる弁護士・司法書士を選ぶようにしましょう。