起業後の法人カードの必要性と審査に通過するポイントを徹底解説

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「起業をするけれど、事業用のクレジットカードは用意した方が良いのか?」
「事業用のクレジットカードを持っていると何か得することはあるの?」
「そもそも起業したばかりでクレジットカードの審査に通過するの?」

起業をする際にクレジットカードの必要性について考えている方もいるのではないでしょうか。また、導入のタイミングにも迷っていませんか。

起業するのであれば、ビジネス用にクレジットカードを導入するのがおすすめです。
そして、クレジットカードには個人向けと法人向けがありますが、その中でもビジネスシーンで様々なメリットを得られる法人カードを選ぶと良いでしょう。

今回は起業時にビジネス用のクレジットカードを作る必要性について解説します。その後、実際にカードを作るタイミングや審査に関する内容、起業時におすすめの法人カードについてもまとめています。

自分にとってどの法人カードが最適なのかを選ぶ際に、ぜひ参考にしてください。

起業後にビジネス用のクレジットカードを作る必要性

起業後にビジネス用のクレジットカードを作る必要性は主に5つあり、それぞれに理由があります。

・キャッシュフローコントロールの実現
・経理処理の負担軽減とお金の流れを把握できる
・経費の支払いでポイントとマイルを貯められる
・税務署から余計な疑いをかけられない
・設定される利用限度額が高い

具体的なポイントについて説明していきましょう。

キャッシュフローコントロールの実現

ビジネスに必要な経費をクレジットカードで支払うと、実際に銀行口座から引き落とされるまでに最大90日の猶予ができます。支払いを先延ばしにすることで現金を別の目的に利用できるなど、資金繰りにも役立つでしょう。

特に起業後すぐの場合は売上が安定しないことも多いですから、お金が少しでも残ることは大きなメリットです。

経理処理の負担軽減とお金の流れを把握できる

ビジネス用のクレジットカードに経費の支払いを集中させることで、経理処理の負担軽減にお金の流れが把握できるでしょう。

個人カードで私的利用だけでなくビジネスにかかった経費を支払うと、それぞれの利用履歴がすべて利用明細に記載されます。そうなるとビジネスに関するお金の流れが把握できず、経理処理の際に私的利用分と混在して負担が増えるばかりです。

特に起業後すぐの状態は従業員の確保ができず、経理も一人でこなさなくてはならない場合もあります。そこでお金の流れが把握できないで戸惑っていると、本来のビジネスに打ち込めなくなる可能性も高いです。

面倒な経理に時間ばかり取られては本末転倒になりますが、法人カードを導入すればビジネス用の利用明細のみチェックできるようになります。

経費の支払いでポイントとマイルを貯められる

ビジネスに必要な経費は個人利用以上に、大きな金額となるでしょう。それらをクレジットカードで支払えば、利用金額に応じたポイントやマイルを貯めることができて、使い方しだいでは年間10万円以上のポイントが付与されるケースも珍しくありません。

ポイントやマイルが貯まったらクレジットカードの支払いに充当できるので、出張の際に利用するのも可能です。その他にもポイントで事務用品や備品の購入をする方法もあります。

現金払いでは、どんなに高額の支払いをしても特典や恩恵を受けることはできません。経費はビジネスの際に必要になるので、クレジットカードで支払うだけでメリットを得られるのは利用する際の大きな魅力です。

税務署から余計な疑いをかけられない

個人カードで経費を支払う場合、どうしてもビジネスの利用割合が高くなることが考えられます。

経理の面でもどれだけのお金がビジネスに使われていたのかが把握できないだけでなく、税務署から「私的利用をビジネスに必要な経費として計上しているのではないか」と疑われる可能性も高まってくるでしょう。

そこで、クレジットカードが個人用とビジネス用で別にしておけば帳簿を見ても一目でわかるようになりますし、税務署からの質問にも明確に答えやすくなります。

設定される利用限度額が高い

個人カードの一般的な利用限度額は50~100万円程度で、利用者の支払い能力によっては10~30万円などの低い金額に設定される場合もあるでしょう。

ビジネスで経費の支払いが必要なければ、個人カードの利用限度額内で対応できるかもしれません。しかし、仕入れが必須のビジネスになると、100万円の利用限度額では足りないと感じる方も多く出てくるはずです。

そこでビジネス用途で使用する法人カードの場合、利用限度額が個人カード以上に高く設定されます。仕入れの資金に充当しても十分な余裕を持てるでしょう。

また、個人カードで仕入れを行っていると「クレジットカードの現金化」をカード会社から疑われる危険性もありますが、法人カードでしたらそんな心配は不要です。

法人カードの種類とおすすめの事業規模

法人カードと呼ばれるビジネス用のクレジットカードは2種類あり、事業規模によっておすすめが異なります。

・ビジネスカード
・コーポレートカード

それぞれのカードの特徴を知っておくと良いでしょう。

ビジネスカードは個人事業主や中小企業の経営者向け

個人事業主や中小企業の経営者におすすめの法人カードがビジネスカードです。各カード会社ではビジネスカードを豊富に取り扱っているので、選ぶ際の自由度も高めでしょう。

個人カードにも付帯される特典やサービス内容に加えて、ビジネスに活用できるサポート体制が整っていることもビジネスカードの大きなポイントです。

しかし、ビジネスカードによって追加カードやETCカードを発行できる枚数に違いがあります。ビジネスカードの多くが発行枚数5枚以内のパターンが多いため、さらに枚数が必要な場合はカードの選択肢が限定されることも考えられます。

コーポレートカードは大企業向け

ビジネスカードは少人数でビジネスを行うのであれば向いているカードですが、それに対して大企業に向いている法人カードがコーポレートカードです。

ただし、コーポレートカードを取り扱うカード会社は限定されていることから、その中で自社に利用価値のあるカードを選ばなくてはなりません。

追加カードを多く発行して社員に渡し、経費の支払いを一括化できるのがコーポレートカードの主な特徴です。コーポレートカードによっては社員証として利用できたり、社員食堂などの支払いにも使えたりします。

起業後すぐにコーポレートカードを導入する事例は少ないですが、会社規模が大きくなった場合は切り替えを検討するのも良いでしょう。

法人カードを作るタイミング

法人カードを導入した方が良いのはわかったけれど、どのタイミングで作るべきか迷うことも多いのではないでしょうか。

起業する方の状況によって、どのタイミングが良いのかは異なります。それでは、法人カードはどのタイミングで作るのがおすすめなのでしょうか?

勤続年数が長い場合は退職前がおすすめ

会社を退職する前で勤続年数も3年以上などの場合、安定した収入があると判断されることからタイミングとしておすすめです。しかし、クレジットカードの審査に通過するための条件はそろっていますが、ビジネスに関する実績はゼロとなります。

法人カードの中には財務状況を証明する書類の提出が必須なカードも一定数あり、その場合の審査に通過する可能性は極めて低いです。

現時点における勤続年数や収入を支払い能力として審査に役立てたいのでしたら、本人確認書類のみで申し込み可能な法人カードも多くあります。その中から自身に適した1枚を選べば良いでしょう。

起業直後の場合は代表者個人の信用で作成

起業直後の法人、もしくは個人事業主で会社を退職済の場合もビジネスの実績を証明できません。その場合、代表者個人の信用で法人カード発行の審査を受けることになります。

会社からの給与もなく安定した収入が得られていないうえに、ビジネスでの実績を証明する手段もありません。そのため、法人カードを作成するタイミングとして最適ではないでしょう。

ビジネスの実績を確実に証明できる起業から3年後付近を目安にして法人カードを申し込むか、独自審査の導入や本人確認書類のみで申し込みが可能な法人カードの発行にチャレンジしてみるかを十分に検討しましょう。

法人設立の場合の審査通過難易度は高い

法人を設立した場合、個人事業主とは異なり法人カードの審査難易度が高くなります。

法人の場合、登記簿や決算書の提出を求められることが多く、代表者個人の信用に加えて法人としての信用も審査対象になるからです。

一般的に設立3年以上と2期連続の黒字が望まれる

一般的な法人カードの審査基準は「3年分の業績と2期連続の黒字経営」を求められる場合が多いです。

起業して日が浅い方にはこれらの条件をクリアすることは困難でしょう。導入を検討する法人カードがこれらのことを求めている場合、ビジネスで実績を作ってからの申し込むのがベストになります。

高額な経費の支払いがなければ3年後を目安にしても良い

特に高額な経費の支払いがないビジネスであれば、急いで導入せずに3年後を待ってみても良いでしょう。

一例ですが、仕入れなども必要なく自宅で事務作業を行うビジネスであれば、個人カードをそのまま使っていても大きな問題に発展しないです。

事業規模によっては、現状保有するクレジットカードで個人の実績を良好にして3年後を目安に法人カードへ切り替えてみるのも方法の一つになります。

私的利用の個人カードとビジネス用は分けた方が良い

現時点で保有する個人カードをそのまま継続して持つ場合、何枚かあるうちの1枚をビジネス専用にした方が効率は良いです。

私的利用とビジネス用の支払いが混在することを避けられるので、経理処理の面で楽になります。

代表者個人の信用で重視されるポイント

本人確認書類のみで申し込める法人カードがあると説明しましたが、その際に重要となるのが代表者個人の信用です。

ビジネスとしての実績はなくても代表者が保有する個人カードでの決済歴が良好であれば、カード会社からの信用で審査に通過する可能性も出てくるでしょう。

通常の法人カードは起業から3年間を目安に発行できない場合もあります。しかし、法人の信用=代表者の信用で、起業後すぐでも問題ないとするカード会社もあるのです。

そのために、事故情報のないクリアなクレヒス(クレジットカードやローンなどの契約状況や支払い履歴について登録される情報)は絶対条件になります。

クリアなクレヒスでない場合の対策

クレヒスで確認できるのはクレジットカードやローンなどの契約状況や支払い履歴だけではありません。自己破産や延滞、未納などの金融トラブルも事故情報として登録されます。

そのため、代表者のクレヒスに問題がある場合、法人カードの審査は確実に通過しないと言えるでしょう。

クレヒスには保有期間があり、自己破産であれば5年で情報そのものは削除されます。
クレジットカードを発行するのでしたら、保有期間を待ってから新規発行を行うのが良いです。

スーパーホワイトも不利になる場合がある

クリアなクレヒスも求められますが、クリアすぎるクレヒスも審査に通過しない場合があります。

クリアすぎるクレヒスとは個人信用情報に何も登録のない状態で、スーパーホワイトと呼ばれるのが一般的です。

上記で説明した個人情報の保有期間が過ぎれば事故情報は消えます。つまり、個人信用情報の登録がない=事故情報の保有期間が過ぎて削除された状態とカード会社が受け止めるわけです。

そう判断されないためにも、何かしらの履歴が登録されることが求められてきます。

独自審査で法人カードの審査に通過する場合もある

確かにビジネスの実績がなくて収入面に不安を抱える起業直後の状態ですと、審査通過は不利と判断されることがあります。

しかし、独自審査を導入するカード会社では代表者個人のクレヒスに加えて「カード発行後に利用が見込める可能性」があれば、審査に通過する場合もあるのです。

アメックスなどが独自審査を導入していますが、具体的に審査に通過するための方法は公表されていません。しかし、クレジットカードの口コミなどでは起業後すぐでも審査に通過したという報告もあがっています。

独自審査を導入しているから審査に通過するわけではありませんが、少しでも可能性があることを考えたら候補の一つに加えてみるのもありではないでしょうか。

本人確認書類のみで申し込み可能な法人カード

起業後すぐの方におすすめの本人確認書類のみで申し込み可能な法人カードをご紹介します。

財務状況のわかる書類の提出が必要ないため、個人信用情報が重要になってくるでしょう。クレジットカードやローンの利用履歴に問題がある場合、審査通過の可能性はないことは頭に入れておいてください。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード

「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード」は起業直後でも本人確認書類だけで申し込める法人カードです。

これから起業をしようとしている方、起業後すぐの方にもおすすめの1枚で、アメックス独自のスコアリング方式で審査が行われます。起業後すぐでも実際に法人カードを発行されたコメントもあるので、審査難易度が極端に高くないことも特徴です。

これまでアメックス・グリーン(一般カード)などを利用していたり、クレヒスもクリアな状態だったりしたら申し込んでみてはいかがでしょうか。

なお、年会費12,200円(税込)です。

ライフカードビジネスライト ゴールドカード

「ライフカードビジネスライト ゴールドカード」も本人確認書類のみで申し込みできます。

安心できるポイントが公式サイトに「会社設立直後でもOK」「フリーランスや個人事業主でもOK」という記載がある点です。ただし、利用限度額の上限は200万円までとなり、法人カードの中では決して高くない設定ですが、その分だけ様々な層に法人カード発行の可能性を与えています。

一般カードは年会費無料ですが、法人カードによくある国内外旅行傷害保険や空港ラウンジの利用、ポイントサービスの用意がありません。

なお、年会費11,000円(税込)のゴールドカードになるとこれらのサービスがすべて付帯されますから、必要に応じて選ぶカードを決めると良いでしょう。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールドカード

アメックスの発行する「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールドカード」は法人カードの中でもステータスが高いことが特徴です。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードと同様に審査は独自基準で行い、公式サイトに記載はないもののこちらも起業後すぐに作れたなどのコメントがあります。

また、アメックスだけのベネフィットもあり、それがデポジットの事前入金による一時増枠です。

利用限度額の設定がないアメックスでは、利用目安の範囲内で支払いを行います。しかし、仕入れなどで目安以上の金額が必要な場合は、利用状況に応じて一時増枠をしてくれるのです。

一般的に増枠は審査が必要で即日対応が難しくなりますが、アメックスの場合はその場で承認を得られれば即日対応となります。

年会費31,100円(税込)と比較的高額ですが、その分だけサービス内容も手厚いです。ステータスが高くて利用特典も多い法人カードを求めているのであれば、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールドカードはぜひ候補にしたい1枚でしょう。

EX Gold for Biz S

オリコの発行する「EX Gold for Biz S」は、公式サイトでも個人事業主を対象とすることが記載されています。

年会費は初年度無料で翌年以降も2,200円(税込)のみという手軽さが魅力で、キャッシングの利用希望がなければ本人確認書類のみで申し込みが可能です。

お得に保有できる法人カードですが、空港ラウンジ無料のサービスや国内外旅行傷害保険の付帯もあります。お金をかけずにサービスが充実した法人カードを探しているのであれば、おすすめの1枚です。

まとめ

現在、起業を検討している方に起業後すぐの方に向けて、ビジネス専用のクレジットカードの必要性についてまとめました。起業状況しだいでは法人カードを発行しやすいタイミングがありますし、本人確認書類のみで申し込めるカードを選ぶのも方法なこともお伝えしています。

本人確認書類のみで申し込める法人カードはいくつかあり、その中でもアメックスは独自審査の導入で起業後すぐの方でも比較的チャレンジしやすいでしょう。

もちろん、その他の法人カードもそれぞれに特徴や魅力があるので、どのカードを選べば自社にとってプラス効果をもたらすのかを判断して選んでください。

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