【株式投資のコツ】投資収益を判断する指標を徹底解説!

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投資を行う目的は利益をだすことです。そのためには、現在の株式の期待利益はどの程度なのか、また株価は割高なのか割安なのかを判断する必要があります。株式の分析にはファンダメンタル分析とテクニカル分析があります。今回は、ファンダメンタル分析をメインに解説していきます。様々な指標がありますが、株式の利回りについて2つ、割高・割安の指標をファンダメンタル分析から4つ、テクニカル分析から2つご案内していきます。

それでは、株式の利回り指標から確認していきましょう。

株式の利回りを判断するには

株式の利回りを判断するには、次の2つの指標があります。

  • 株式益回り
  • 配当利回り

まずは、株式益回りから見ていきましょう。

株式益回りとは

株式益回りとは、株主の投資で会社の事業がどのくらいの利益を生み出したかを表す指標です 。EPS( 一株当たり利益)を株価で割るので、 PER の逆数となります。益回りとは長期的に見た株式の期待収益率です。株式益回りが高いほど株価が割安と判断されます。

計算式は以下のようになります。

  • 株式益回り=EPS(1株当たり純利益) ÷ 株価 × 100

例えば、PER が50倍であれば、益回りは2%。 PERが20倍であれば益回りは5%になります。今期の EPS 見込みが1,000円だったとします。株価が1万円だとすると、1万円を事業に投資して1,000円の利益を出したことになります。この場合の株式益回りは10%になります。今季・来季の最終利益予想を用いて計算します。

東証1部の全銘柄の株式益回りは前期基準で7.66%、予想利益で7.54%となっています。

株式益回りは、債券との比較にも用いられます。長期金利(長期国債の利回り)から株式益回りを引いた値をイールドスプレッド、長期金利を株式益回りで割った値をイールドレシオといいます。

イールドスプレッドとは

イールドスプレッドは、債券同士や債券と株式を比較して、どちらが割安かを判断する指標のことです。イールドは「利回り」、スプレッドは「差」という意味なので、利回りの差から割安を測る指標です。

債券と株式であれば、長期金利10年債の利回りから株式益回りを引いて算出されます。この場合、イールドスプレッドが小さく(株式の益回りが高くなる)なるほど株式が割安になっていることを示します。イールドスプレッドの値が大きくなる(株式の益回りが低く)なるほど株式が割高になったことを示します 。

イールドレシオとは

イールドスプレッドの他に長期金利を株式益回りで割ったイールドレシオも相対的な投資魅力を判断する指標として使われます。一般にイールドレシオが低い場合は株式相場に割安感があり、逆にイールドレシオが高い場合は、株式相場に割高感があることを示しています。

例えば、長期金利が2%で株式益回りが4%であれば、イールドレシオは0.5倍となります。また、長期金利が2%のままでも株式益回りが2%に低下すれば、イールドレシオは1倍に上昇し、割高感が増すことになります。

長期的な視点で見ると、株式相場の水準が割安なのか割高なのか判断する場合には、絶対値で判断するイールドスプレッドよりも、比率を使用するイールドレシオを用いたほうが適しています。

TOPIXのイールドレシオは、バブル期の1988年で4.5倍、1997年まで1倍以上ありました。現在は金融緩和の影響で、長期金利は以上に低い水準なので、イールドレオを算出してもあまり意味はないといえます。

配当性向

配当性向とは、その期の税引き後利益(当期純利益)の中から配当金をどのくらい支払っているかを、パーセンテージで表したものです 。計算式は以下のようになります。

  • 配当性向(%)=1株当たり配当金÷EPS(1株当たり利益)

1年間の事業の成果である利益は、翌年の事業の元手として会社に残すか、事業資金を出した株主に配当金を支払います。配当金は株主への利益還元で高い方が魅力ですが、成長過程の会社は配当よりも将来の事業資金に回した方が良いという見方もあります。ですから、「配当性向が低い=悪い企業」とは必ずしもいえません。

配当性向が高い企業でも業績が順調に伸びている企業では、配当性向を維持するために配当が増加する可能性があるので、投資先として魅力的です。一株利益が上がれば上がるほどそれに比例して配当が上がるということだからです。ただし、利益が減少すれば配当もそれに伴い減少します 。

一方、配当性向が高い企業でも業績が縮小傾向であれば、配当性向維持のために内部留保を使ったり、減配の可能性があったりするので、投資先として不適格です。配当性向が100%を超えるような企業では、毎年の利益以上の配当を出してしまっています。

これは、内部留保の資金を使っていることになり、見た目は良くても実際は資金が減っていっていることを表しています。配当性向を見る場合は、きちんとその年の利益から出ているのかどうかということを判断材料としなければなりません。

配当利回り

株式の「利回り」といった場合、最も一般的なのが配当利回りです。配当利回りとは、購入した株価に対して1年間でどれだけの配当を受け取ることができるかというのを表した数値です。計算式は以下のようになります。

  • 配当利回り=1株当たり配当金 ÷ 株価×100(%)

株式投資による収益には、値上がり益(キャピタルゲイン)と配当金(インカムゲイン)の2種類があります。このうち配当の部分を利回り計算したものが「配当利回り」です。配当利回りは、現在の株価による投資額に対して、どれだけの利回りが出るかを示す指標です。

配当利回りを計算する際の投資額は、投資家が実際に購入した株価ではなく、現在の株価で計算します。また、配当は終了した年度の実績ではなく、今期予想配当や来期予想配当という今後の配当予測で算出して投資判断を行います。

なぜ配当利回りを使うのかというと、株価と配当金が企業によって全く違うからです。株価が1,000円の企業に対して配当金が50円(A社)と、2000円の企業に対して配当金が80円(B社)では、全く価値が異なります。A者の配当利回りは5%、B社では4%となります。配当金自体は B 社の方が多いものの、配当利回りとはA社の方が高くなるので、A社の方が株価に対しての年間配当割合が多いので、よりお得と考えることができます。

株式益回りと同様、預貯金の金利や新発10年物国債利回りと比較することがあります。これにより、株式投資が相対的に有利なのかどうかという判断をすることができます。

割高・割安を判断する指標

これまでは株式の利回りについて見てきました。続いて、株価が割高か割安かを判断する指標を見ていきましょう。株価の割高・割安は、単に株価の絶対値が高いとか低いという意味ではありません。企業の業績に対して株価の水準がどのような位置にあることか、というところから判断します。

代表的な指標としては PER( 株価収益率)と PBR(株価純資産倍率) があります。まずは、この二つから見ていきましょう。

PER(株価収益率)とは

PERとは、株価が一株当たり利益の何倍になっているかという、株価の割安性を見る指標です。株価と最終利益を比較します。計算式は次のようになります。

  • PER=株価÷1株当たり利益(EPS)

PERは、株式益回りの逆数になります。株価をEPSで割ったのが PER、 EPS を株価で割ったものが株式益回りになります。

会社の収益以外の要素で株価が高い銘柄は、 PER が高くなります。 PER が高すぎると、実力の過大評価と見られ割高と判断されます。業種ごとに PER は異なりますが、 PER は会社の実力を示す最終利益と株価の比較です。

通常、 PER 今季もしくは来季の予想 EPS を使います。株式投資は値上がり益を狙う(キャピタルゲイン)場合、終了した決算の EPS では、過去の利益と現在の株価を比べた結果に過ぎず、将来の株価動向には影響しにくいと考えるからです。

一般的に PER が高いほど利益に対して株価が割高、低いほど割安と判断されます。ただし、株価が「安い」と「割安」は意味が違います。会社の実力が低下して同時に株価が安いのか、それと何らかの理由で株価が下がっているのかという違いです。 PER は会社の実力を示す最終利益(当期純利益)と株価の比較です。会社の収益力に見合った株価の水準を判断するのに有効です。

PBRとは

PBRは、株価が一株当たりの純資産の何倍になっているのかという株式の価値を、資産と比較した指標です 。PBR は低ければ低いほど割安ですが、そのぶん注意する必要があります。 PBR が1倍を大きく下回る場合には、企業の経営状態が良くない場合があるからです。

PBRの計算式は以下のようになります。

  • PBR = 株価 ÷ 一株当たり純資産(BPS)

例えば、株価が1,000円で一株当たりの純資産が1,000円だとすると、 PBR は1倍。もし同じ株価で一株当たりの純資産が500円だとすると、 PBR は2倍になります。このように PBR が1倍の銘柄と2倍の銘柄がある場合に、より割安なのは PBR が1倍の銘柄です。

PBRは株価をBPS(一株当たり純資産)で割って求めます。会社が解散した場合に、残った財産から株主に返される金額と、現在の株価とを比較した指標です。会社が解散する場合は、保有する金融資産や在庫、不動産などを現金化して負債を返済します。その後に残った財産が純資産です。純資産を持株数に応じて株主に分散。解散した場合に株主に分配される金額は、一般に「解散価値」と呼ばれています。

PBR は解散価値なので、通常はPBR1倍が株価の下限と考えられ、1倍以下だと解散価値を下回り、その株価は割安な状態だといえます。ただし、株価との比較対象が純資産ですから、会社の成長性などは考慮していません。他の株価指標と合わせて使用することが必要です。

PCFRとは

割安を比較する指標としては 、PCFRも使うことができます。営業活動によるキャッシュフローを用い、株価の割高・割安を判断する指標です。PCFR が小さければ株価は割安と判断されます。国際比較の際によく使われます。計算式は以下のようになります。

  • PCFR = 株価 ÷ 一株当たりのキャッシュフロー(CFPS)

一株当たりのキャッシュフロー(CFPS)は、「営業キャッシュフロー ÷ 発行済み株式数」です。

PCFR(株価キャッシュフロー倍率)は、利益面で株価の割安を判断する指標です。営業キャッシュフローに対して株価が何倍まで買われているかの指標で、小さいほど割安と判断します。 PERとの違いは、会計上の利益ではなく、実際に増えた現金の額に対して株価が何倍かを見ている点です。営業活動によるキャッシュフローの金額は簡便的に「当期純利益+減価償却費」を一株あたりに換算して用いるのが一般的です。

減価償却費を足すのは、会計上、費用として引かれたものの実際には現金を支払っていないからです。減価償却費が引かれた後の当期純利益に減価償却費を足し戻すことで、実際のお金の動きとほぼ同じになります。また、減価償却方法が異なる会社同士や国際間での会社の比較にも使うことができます。

PCFRとPERの違いは利益の範囲です。帳簿に記載される利益の中には、売掛金などまだ現金として受け取ってない売上もあります。 PER はそれらも含めて計算しますが、 PCFRではそういった手元にはない売上は含めず、算出に使うのは手元にある現金だけです。資金の流れを把握することによって、より実際に経営状況を把握できると考えられるのです。

EV/EBITDA倍率

まずは、計算式から見ていきましょう。

  • EV=時価総額+有利子負債―現預金
  • EBITDA=税引き前利益+減価償却費+支払利子

EVは株式の時価総額に有利子負債を加え、現預金の額を引いて求めた企業価値です。企業の価値算出方法にはいろいろありますが、EVもそのうちの一つで、会社を買収する際に必要な資金です。

外国の税率や会計制度の違いが排除されているため、純粋に何年で投資した資金が回収できるかを見ることができ、国際的な株価を比較する際の尺度として外国人投資家にも広く使われています。倍率が低いほど、買収資金を早く回収できるということを意味するので、割安です。

ここまではファンダメンタル(企業業績)からの割安面を見てきましたが、テクニカル面での割安を測る指標を見ていきましょう。まずは、騰落レシオからです。

騰落レシオとは

個別株の値動きは、銘柄独自の業績や材料だけで動くわけではありません。株式市場全体の需給や供給、雰囲気などが影響します。騰落レシオとは、株式市場全体で銘柄の買われすぎや売られすぎを判断する指標です。一般的に25日間の期間で、毎日の値上がり銘柄数合計を値下がり数銘柄の合計で割って求めます。中期的な投資タイミングの判断材料として利用されています 。計算式は以下のようになります。

  • 騰落レシオ= 値上がり銘柄数の合計 ÷ 値下がり銘柄数の合計 × 100(%)

騰落レシオは100%が中立的な状態です。70%を下回ると売られ気味で株価は底値圏、60%を割るとかなりの売れすぎなので、絶好の買い場と判断できます。

一方、120%を超えると過熱気味、150%を超えるとかなりの買われすぎなので危険水準であると判断します。

移動平均乖離率

日経平均株価の移動平均乖離率でも、相場全体の過熱感や底値圏を判断することができます。一般に使われるのは25日移動平均線です25日移動平均線とは日経平均 株価の終値の25日間の平均値です。

移動平均乖離率はその25日移動平均線に対して現在の株価が何パーセント離れているかといったことを判断します。上昇相場では5%以上になると目先調整局面を迎え、10%以上になると天井。逆に、下落相場ではマイナス5%以下になると相場が目先反発、マイナス10%以上になると大底であるという相場の経験則があります。

まとめ

今回は企業の投資収益を判断する材料として、株式益回りと配当利回りについて解説してきました。さらに株価が割高・割安かを判断する材料として、PER・ PBR・PCFR・EV/EBITDA などのファンダメンタルズ面、騰落レシオや移動平均かい離率などのテクニカル面からの指標をご案内しました。

どの指標も割安・割高を判断するのに有効な指標ですが、一つだけで絶対的な数値がわかるわけではありません。あくまでも参考として、複数の指標を組み合わせて利用するようにしましょう 。

 

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