分配金利回りで選ぶ高配当ETFランキング!その注意点も解説!

今回は分配金の利回りを基準に、より利息の高い商品をランキング形式で発表していきます。ETFの種類は200以上を数え、その中から自分にピッタリの商品を選ぶのは難しいものです。そこで、ETFの利益に直結する分配金利回りに焦点をあて、より高利回りを設定している銘柄を選別してみました。

当記事では単純に高利回り商品を並べるのではなく、その注意点などにも留意しています。たとえば、高利回りのETFにはハイリスクなものも少なくないため、そのリスクとなる信託報酬などの面も記載しています。また、各ETFが対象とする指標(日本株、米国社債など)も記載していますので、できるだけ高配当、低リスクになるバランスの良い商品を選んでみてください。(ランキング表は2019年1月25日時点を参考にしています)

ETF分配金の平均利回り・他商品との比較

ETFとは、日経平均株価やTOPIXなど特定の指標の値動きに連動して運用される投資信託の1つです。株式投資と同じようにETFにも分配金という仕組みがあり、分配金確定日まで銘柄を保有しておくと自動的に利息が受け取れます。そのため、ETFでは分配金の利回りが商品選びの大きな指標ともなります。

株式では決算日の3月、もしくは9月に分配金の確定日が決まることが多いですが、ETFでは1月と7月に分配が実施されることが大半です。2017年4月から2018年3月に公開されている分配金を実施した商品ごとを見比べてみると、全330商品のうち106件が7月に、90件が1月に配当日を設定していることが分かりました。

仮に7月に分配金を受け取ろうと思えば、権利確定日の3営業日前までETFの所有者になっている必要があり、2営業日前は権利落ち日と呼ばれ、当日になってようやく権利が確定します。つまり、決算日の3営業日前までにETFを購入するようにしてください。

ETFの分配金利回り平均は1%以上2%未満がほとんど

ETFの分配金利回りは、ほとんどの商品で1%以上2%未満となっており、2018年の実績分配金利回りは平均1.89%です。ただし、この数値は平均なので、もちろん1%未満の分配金の商品もあれば、2%を超える優良銘柄と呼ばれる商品も存在します。

分配金はETFの利益に直結するため、できるだけ分配金を高めに設定している商品を選ぶべきでしょう。

ちなみに、ETFの中でも外国債券指数に連動する商品、もしくはREIT指数に連動するものは分配金利回りが高めに設定されています。先ほどの一般的なETF分配金利回りは1.89%でしたが、外国債券指数連動型、REIT指数連動型のETFに限定すると、分配金の平均利回りが2.53%にも高まります。

分配金以外にも出来高や信託報酬にも注意

今回はETFの高利回り商品を紹介していきますが、実際に商品を選ぶ際は分配金以外にも注目すべき指標があります。

その中の一つが信託報酬です。信託報酬とは投資信託を管理・運用するための費用で、信託財産の中から支払われる特徴があります。ETFは純資産の中から信託報酬が日割りで徴収されます。信託報酬はETFによって金額に差があるため、それぞれの商品をしっかりと比較検討した上で選びましょう。

また、出来高や売買代金が高いETFは、その商品に対して多くの投資家がお金を投じている証拠です。取引量の多さはETFの人気にも直結しているため、銘柄選びの参考にもなります。

分配金利回りの高いETFを比較

では実際に分配金利回りの高いETFをランキング形式で紹介していきましょう(2019年1月25日時点)。分配金の利回りが中心となっていますが、信託報酬や決算日、運用会社、参考指標の欄にも注意が必要です。ご自身の投資スタイルに合わせて、どの程度の利回りを確保するかご検討ください。

ETF名称 分配金利回り 信託報酬 参考指標 決算日 決算回数 運用会社
上場インデックスファンド新興国債券 6.07% 0.45% 新興国債券 1.3.5.7.9.11月の各10日 6回 日興AM
iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(H有) 5.00% 0.58% 米国国債 1,4,7,10月 4回 ブラックロック
iシェアーズ 米国リートETF 4.20% 0.20% 米国リート 2,5,8,11月 4回 ブラックロック
上場インデックスファンドアジアリート 3.80% 0.1% アジアリート 1,4,7,10月の各20日 4回 日興AM
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50 3.62% 0.28% 日本株 1,4,7,10月の各7日 4回 野村AM
上場インデックスファンド豪州リート 3.59% 0.45% 豪州リート 1.3.5.7.9.11月の各10日 6回 日興AM
MAXIS 高利回りJリート上場投信 3.52% 0.25% Jリート 1,4,7,10月の各10日 4回 三菱UFJ国際投信
上場インデックスファンドJリート 3.47% 0.30% Jリート 1.3.5.7.9.11月の各8日 6回 日興AM
NEXT FUNDS 東証REIT指数 3.34% 0.32% Jリート 2,5,8,11月の各10日 4回 野村AM
NEXT FUNDS 外国REIT(為替ヘッジなし) 3.33% 0.17% 外国リート 3,6,9,12月の各7日 4回 野村AM

高配当ランキングの上位5銘柄を紹介

ここからは分配金の配当利率の高い上位5銘柄を中心に、その特徴について詳しく解説を行っていきます。

1.上場インデックスファンド新興国債券

「上場インデックスファンド新興国債券」は新興国を対象とした債券ETFで、2019年1月25日時点では6.07%と圧倒的に高い分配金で1位を獲得しています。リターンが高い一方、やはりハイリスクな点は見逃せず、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、クロアチア、チェコ共和国、エジプト、ハンガリーなど19か国の国債が指標となります。

もしハイリスクな部分が気になるという人は、少し分配金の利率は落ちますが、もう一方の「上場インデックスファンド海外債券(Citi WGBI)毎月分配型」を選ぶのも手です。「上場インデックスファンド新興国債券」に比べるとリターンが低くなる一方、リスクもかなり抑えることができます。

時期によっては価格が安定することも

新興国系の商品は値動きが激しいイメージを持つ方も多いですが、時期によっては価格が安定する特徴があります。2014年から2017年頃には新興国債券の価格は安定気味で、思った以上に価格変動の影響を受けませんでした。

運用する時期をしっかりと見定めたうえであれば、新興国債券といえど高配当のメリットを活かした魅力的な銘柄へと変貌を遂げます。ただし、債券は償還価格という仕組みがあり、値上がりンは上限が存在することは注意です。

ETFならではの容易な新興国投資

「上場インデックスファンド新興国債券」のように、個人でも新興国の商品に投資することもできますが、中身が分かりにくい銘柄が多かったり、個人ではなかなかアクセスしにくいのが現状です。しかし、ETFの仕組みを活かせば、簡単に新興国の債券に投資することができます。

情報収集が困難になるケースも

「上場インデックスファンド新興国債券」の投資先はブラジルやチリなどラテンアメリカ系、クロアチアやエジプトなどヨーロッパ~アフリカ系、インドネシアやマレーシアなどアジア系に分かれます。

各国は日本のように安全な国とは言えず、紛争や戦争、経済危機、政治的なトラブルなどが頻繁に起こりがちです。そのため、事案発生時の価格変動リスクが高いという性質は忘れてはいけません。また、日本からは距離が離れているため、情報収集が難しい点もしっかりと考慮しておくべきでしょう。

2.iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(H有)

「iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(H有)」を利用すると米ドル建てで流動性の高いハイイールド社債に丸ごと投資することが可能です。ハイイールド社債とは、格付け会社が評価する社債の中でも、割と信用力が低めでリスクが高いと評価された社債となります。

リスクは高めですが、分配金の利回りは5.00%に設定されておりハイリターンの利息が狙えます。

徐々に市場拡大が見られるハイイールド社債

ハイイールド社債は金利上昇によって景気が拡大すると債券価格が上昇、逆に景気が後退ぎみになると債券価格が下落しやすいという特徴があります。国債とは異なる値動きが特徴的で、金利の上昇によって景気が拡大することで企業の信用リスクが減少し、ハイイールド社債の債券価格が高まります。

ハイイールド社債は徐々に市場が拡大しており、ニューヨークの債券市場の10分の1程度まで成長し、債券を発行する企業の数も増加傾向にあります。

投機的側面に注意

「iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(H有)」など、ハイイールド社債に投資する商品は総じてハイリスクハイリターンが特徴です。分配金の高利回りは投資先の信用リスクの低さから成り立っているため、価格変動に十分な注意をして投資するべきでしょう。

3.iシェアーズ 米国リート ETF

「iシェアーズ 米国リート ETF」は米国REIT指数「FTSE NAREIT Equity REITs Index」に連動するETFです。米国では他にも「iシェアーズ米国不動産ETF」という商品がありますが、コンセプト自体はほとんど同じものです。ただし、「iシェアーズ 米国リート ETF」が分配金利回り、信託報酬の点で優位に立っています。

保有銘柄は1つのみ|国内ネット証券未販売の銘柄が選べる

「iシェアーズ 米国リート ETF」で選べるのは1つの銘柄のみで、「iシェアーズ CORE US REIT ETF」となっています。つまり、「iシェアーズ 米国リート ETF」は米国市場に上場しているREITのETFを購入するのと同じということです。日本では米国REITのETFを扱っていないという事情があり、ブラックロックが運用するETFを購入するメリットは大きいと言えるでしょう。

現在157の米国REITに投資を行っており、各REITが不動産物件を保有している特徴があります。そのため、「iシェアーズ 米国リート ETF」を利用することでリスク分散の効いた不動産ポートフォリオを組むことも可能です。

4.上場インデックスファンドアジアリート

「上場インデックスファンドアジアリート」はシンガポールや香港を中心として、他にも中国、マレーシア、インドネシアなどの不動産を投資対象としています。「上場インデックスファンドアジアリート」は日本では初となる、アジア地域のREITに対象を絞っています。

日本を除くアジアREIT市場は堅調な推移を辿っており、3.80%という高配当に投資家の期待が集まっています。

将来性の見込める国・地域が多数含まれている

「上場インデックスファンドアジアリート」の中心となっている投資国はシンガポール、香港、中国、マレーシア、インドネシアと今後成長が見込める国・地域に特化しています。アジアの経済や市場は活気があふれており、IMFの世界経済見通しによると、2019年~2023年のGDP成長率は日本が0.6%なのに対して、シンガポールは2.6%、香港は3.2%という高い数値を示しています(米国は1.7%、EUは1.5%)。

ポートフォリオは産業用オフィス、商業施設が中心

「上場インデックスファンドアジアリート」が投資対象とする業種はオフィス、商業施設、ホテル、住宅、ヘルスケアと多岐に渡ります。その中でも産業用オフィスと商業施設が全体の8割を超え、新興国の経済成長に合わせて拡大する業種を選別していることが分かります。

5.NEXT FUNDS 日経平均高配当株50

「NEXT FUNDS 日経平均高配当株50」は日本株を対象としたETFの中で最も高利回りが期待できる商品です。日本株を対象としたETFは多いですが、名称の通り50銘柄を詰め込んだETFとして提供されています。またの名を「日経高配当株50ETF」とも呼ばれます。

信託報酬は0.28%と高めに設定されているものの、日本株を対象として3.62%もの利回りを実現している点が最大の魅力です。

組み入れ銘柄は日経225から採用

「NEXT FUNDS 日経平均高配当株50」の特徴は、日経225の銘柄の中で予想配当利回りが高い50銘柄を抽出している点です。構成銘柄の母集団が日経225ということで多くの投資家にとって認知しやすく、また分かりやすいという部分が好評となっています。

ETF選びの注意点|分配金以外にも注目

Dollar’s ETF

ETFでは分配金によって利益を出すことができますが、反対に運用会社を利用する際の費用にも気をつけましょう。高額の分配金が受け取れたとしても、コストが高くついてしまえば思ったように利益が獲得できなくなるからです。

今回はランキング表に分配金の利回りの他、信託報酬という項目も追加したのでご参考にしてみてください。信託報酬は運用会社に支払う手数料のことで、別名エクスペンスレシオとも呼ばれます。

信託報酬が必要な理由は、ユーザーに代わって運用会社がポートフォリオを組んだり、定期的に中身を入れ替えるなど、それだけ手間を肩代わりしてくれているからです。信託報酬は売買の度に必要になるわけではなく、毎日少しずつ取引価格から引かれていきます。

また、ETFは信託報酬の他、売買手数料も必要です。売買手数料は売買のたびに発生するコストですが、基本的に約定金額が高まることで手数料率が下がる特徴があります。平均的な売買手数料率は、片道0.1%、売り買い往復で0.2%となっています。

分配金の利回りは高いほどお得というイメージがありますが、基本的にリターンが大きい商品ほどリスクも高く設定されています。そのリスクは信託報酬という金額によって高額手数料として跳ね返ってくるため、リスクとリターンを見極めて商品を選ぶようにしましょう。

高配当ETFランキングまとめ

今回は数あるETF商品の中でも配当金の利回り順にランキングを発表してきました。最後に高利回りのETFを1位から5位までおさらいしておきましょう。

  1. 上場インデックスファンド新興国債券
  2. iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(H有)
  3. iシェアーズ 米国リート ETF
  4. 上場インデックスファンドアジアリート
  5. NEXT FUNDS 日経平均高配当株50

各商品によって投資先とする対象や決算日、信託報酬が異なってきます。そのため、単純に高配当だからといって手を出せば、ハイリスク案件で大きな痛手を負ってしまう恐れもあります。ご自身の投資スタイルをしっかりと把握した上で、バランスを見極めて商品を選んでみましょう。

コメントを残す