コストが安い海外ETFで資産運用を始めよう!

国内の ETF 市場は拡大していますが、海外市場はさらに10倍以上の規模を誇っています。最大の市場はアメリカです。海外の市場に投資できる国内 ETF も増えていますが、海外 ETF を購入すればさらに低コストで幅広い商品に分散投資を行うことが可能です。ただし、国内ETFに比べて手数料がやや割高であることや、ドルベースなので為替の変動リスクがある事などの注意点があります。今回は、海外 ETF の詳しい仕組みと、おすすめ銘柄をご案内していきます。まずは ETF の定義から見ていきましょう。

ETFとは

ETFは”Exchange Traded Fund”の略で、「上場投資信託」と呼ばれます。日経平均株価や TOPIX (東証株価指数)など特定の指数に連動する運用成果を目指して運用されるインデックス型の投資信託です。

インデックスファンドの特徴に加えて、株式市場に上場していることから、株式と同じようにリアルタイムで取引することができます。つまり、投資信託と株式の特徴を併せ持った金融商品なのです。

ETFの特徴

①手軽に分散投資が可能

株式投資は個別企業を選んで投資をしますが、投資の成果は選んだ個別企業の業績に大きく左右されます。万が一、業績の下方修正や不祥事などが起これば株価が下落し、損失を被るだけでなく、配当金も減ってしまう可能性があります。

しかし、 ETF は投資信託なので複数の銘柄を組み合わせています。一つの銘柄が下落しても他の銘柄でカバーすることができるのです。

例えば 、TOPIX( 東証株価指数)に連動する ETF を購入した場合は、約2,000銘柄に分散投資したのと同じ効果があります。個別で全銘柄を買おうとすると、数十億円のまとまった資金が必要になりますが、TOPIX型のETFですと2万円程度で購入が可能です。

 ②コストが安い

ETF のコストとしては、売買コストと保有コストの2種類があります。売買コストは株式と同じ売買委託手数料です。ネット証券ですと非常に安くなっているので、売買コストの負担は低くなっています。

保有コストは、主に信託報酬です。信託報酬とは、投資信託を維持・管理するコストとして保有している間払い続ける費用のことです。通常の投資信託に比べ ETF の信託報酬は低くなっています。 ETF は通常の投資信託と異なり、販売会社に支払う手数料がかからないからです。

③値動きがわかりやすい

ETF は日経平均株価などの指数に連動しているので、値動きがわかりやすいという特徴があります。ニュースや新聞などでも目にする機会が多いでしょう。一方、投資信託はその日の値段は基準価額一本で、翌日になるまで分かりません。

④リアルタイムで取引可能

ETF は証券取引所に上場しているので、取引時間中であればいつでも売買可能です。通常の投資信託は、1日1回その日の終値で基準価額が算出され、その基準価額での設定・解約しかできません 。ETF なら株式と同じように指値注文や成行注文を利用でき、相場を見ながら自分が買いたい値段、売りたい値段で売買することができます。ただし、1日に何回も売買を重ねると、その分売買手数料がかかってしまうので、注意するようにしましょう。

海外ETFとは

ETFは国内の証券取引所に上場しているETFの他に、海外の取引所に上場している ETF もあります 。地域としては、米国や香港・ロンドンなどです。一般的に海外に上場しているETFは「海外ETF」、 東京証券取引所に上場している外国籍のETFは「外国 ETF」 と呼ばれています。

海外 ETFは、国内 ETF で取り扱ってない海外の株価指数に連動する ETF などに投資ができます。海外の会社を個別に選んで投資するような手間も省けるため、運用コストを低く抑えることができます。

日本の ETF 市場の純資産残高は急速に伸びており、2017年12月末時点で約30兆円を超えています。一方、グローバル全体の ETF 市場における成長率は同程度であるものの、2017年12月末の資産残高は4.7兆ドル(約530兆円)にもなっています。海外 ETF の方が国内 ETF よりもはるかに規模が大きいのです。

それでは、海外ETFのメリットを見てみましょう。

海外ETFのメリット

①銘柄数が多い

世界のETFの本数は5,311本。地域別で見ると、米国が世界全体の約70%を占めていて、銘柄数、純資産額ともにトップクラスです。資産残高は3.3兆ドル(約370兆円)に達しています。海外 ETF を購入する方法は、外国株の取引と同じです。購入の際には、取引時間や為替手数料、外貨建て取引、税制などに注意する必要があります。

②信託報酬が安い

信託報酬は、投資信託を保有している投資家が運用会社に支払うコストです。投資信託の運用委託費として毎日支払い続ける必要があります。国内の ETF も通常の投資信託よりも信託報酬は安いのですが、海外 ETF はさらに信託報酬が安くなっています。

例えば、海外ETFで最も安い「SPDR Prtf米国大型株式ETF」の信託報酬は0.03%。国内ETFでは、iシェアーズ・コア・TOPIX ETFの0.06%ですから、半分のコストとなっています。

③取引タイミング

海外ETFは市場が開いている時間であれば、リアルタイムで取引することができます。例えば、アメリカの ETF なら日本の夜が取引時間になるため、日中仕事をしているサラリーマンの方でも取引することができます。

また、通常の投資信託の場合、申し込みと基準価格が決定するタイミングが異なるため、いくらで買えるのか分かりません 。ETF はリアルタイムで価格が変動するため、自分が買いたい値段で買うことができるのです。

海外ETFのデメリット

それでは、海外ETFのデメリットについても見ていきましょう。

①売買手数料

売買手数料は、国内 ETFよりも海外 ETF の方が高い傾向にあります。例えば、アメリカの ETF を購入する場合、米国株式と同じになるので、約定代金の0.45%(最低手数料が5ドル)と決まっています。少額で投資を行う場合は、手数料が割高になってしまいます。

ただ、国内の大手ネット証券会社ではNISA口座に対応している証券会社も多く、買付手数料は無料になります。しかし、NISA口座を使った場合でも売却時には手数料がかかるので注意しましょう。

②為替リスク

海外 ETF の売買は、基本的に外貨建てとなります。例えば、アメリカの ETF を買う場合は、基本的にドルで買い付けることになります。購入時の為替レートと売却時の為替レートによっては、ドルベースでは利益が出ていても、日本円換算すると損失になってしまう場合もあります。ネット証券の中では円建てで購入できたり、為替手数料を低く抑えたりできることもあるので、なるべく為替リスクを減らすような手法を取るようにしましょう。

海外ETFが取引できるネット証券は?

海外ETFが取引できるネット証券は次の3社がおすすめです。

SBI証券

  • 手数料

約定代金の0.45%(下限5ドル、上限20ドル)

購入時手数料は楽天証券・マネックス証券と並んで業界最安値です。

また、住信SBIネット銀行を使えば為替手数料が業界最安値になります。

また、検索条件(Eサーチ)を使えば、業種や地域ごとのETFを選ぶことができます。

例えば、以下のような分類になっています。

  • 地域

グローバル・先進国・ヨーロッパ・新興国など

米国・中国・シンガポールなど

  • 業種

エネルギー・金融・バイオヘルスケアなど

  • 特定口座・NISA口座に対応

海外ETFのすべての銘柄が特定口座とNISA口座に対応しています。確定申告の手間を省くことができ、余計な税金を支払わないで済むのでお得です。

  • 米国株式・ETF定期買付サービス

SBI証券では、海外ETFの定期買付サービスがあります。主な特徴は次の3つです。

①定期的に買付したい銘柄に対して、買付日を指定できます。日付指定、曜日指定、ボーナス月指定が選べ、自動で注文が発注されます。

②「株数指定/金額指定」、「円貨決済/外貨決済」の組み合わせが可能です。

③NISAでの購入も可能で、「NISA枠ぎりぎり注文」「課税枠シフト注文」を利用することができます。

  • 米国貸株サービス

日本国内で唯一SBI証券だけが米国株式の貸株サービスに対応しています。

貸株サービスとは、銀行に預金をすると利息がもらえるように、投資家が保有している株式を SBI 証券に貸し出すことで、貸し出した株式に応じて貸出金利を受け取ることができるサービスです。 SBI 証券は、借り受けた株式を機関投資家が参加する「貸株市場」に貸し出すことで貸株金利受け取り、顧客に貸出金利を支払うのです。

貸株中も配当金を受け取ることができます。そして、いつでも売却が可能です。申し込みだけで1000銘柄以上の対象銘柄に金利がつくので、長期保有を考えている投資家の人は、貸株金利を利用するようにしましょう。

楽天証券

楽天証券では、米国 ETF/ ETN 284本、中国 ETF 30本、シンガポール ETF 48本、合計362本(2018年10月現在)の海外 ETF を取り扱っています。

手数料は約定代金の0.45%(最低手数料5ドル、上限20ドル)となっています。為替手数料は25セントと SBI 証券に比べてやや割高です。楽天証券の特徴としては、取引手数料の1%が楽天スーパーポイントとしてもらえるということです。獲得した楽天スーパーポイントを、さらに投資信託の購入などに充てることも可能です。

マネックス証券

マネックス証券の手数料も0.45%(最低手数料5ドル、上限20ドル)と一緒ですが 、米国 ETF 手数料無料プログラムである「ゼロ ETF」 があります 。

ゼロ ETFは、対象 ETF の取引手数料が売買ともに実質無料とする国内初のプログラムです。2018年12月より新規取り扱いの米国 ETF についても、最大6か月ゼロETFのプログラム対象で、取引手数料が実質無料になります。実際無料とは、一旦払った手数料がキャッシュバックされることです。

対象 ETF はウィズダムツリー ETF の27銘柄となります。また、今後ウィズダムツリーにて新たに日本国内で売買可能な銘柄が追加された際には、ゼロ ETF の対象 ETF となる可能性があります。

海外ETFおすすめ銘柄

それでは、海外ETFの銘柄を見ていきましょう。

バンガード

バンガードは、1975年にアメリカのペンシルバニア州で創業された世界最大級の運用会社です。世界19カ所にある拠点を通じて、約5.1ドル(約550兆円)の運用を行っています。低コストで安定性のある長期投資の機会を提供することで、投資目標達成のための商品を取り揃えています。

特徴は何と言ってもコストが安いということです。バンガード ETF の平均経費率は0.08%と業界の平均経費率0.31%に対して1/3以下という低コストを実現しています。市場をコントロールすることはできませんが、低コストの商品を選ぶことでパフォーマンスの向上が見込めます。

ETF に関しては市場平均を目指しているので、各社同じベンチマーク(日経平均株価や NYダウなど)の場合にパフォーマンスの差はありません。ETF を選ぶ際には、コストを重視する必要があるのです。

人気のバンガードETF

1.バンガードトータルワールドストックETF(VT)

海外 ETF の中でも最も人気が高い ETF です。なんといっても投資先が世界47カ国8,000銘柄で全世界の市場時価総額の98%以上をカバーしているということです。 また、これだけの銘柄に投資しているにも関わらず、経費率は0.10%という圧倒的な低コストを実現しています。個人投資家の投票で順位が決まる「投信ブロガーが選ぶ注目銘柄」の中でも、2015年、2016年と連続3位入賞と、海外 ETFの中で唯一のベスト10入りを果たしています。

2.バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)

USトータルマーケットインデックスのパフォーマンスに連動することを目指す ETF です。米国株式市場の大型・中型・小型株のほぼ100%をカバーしています。米国経済丸ごとを買いたい人に向いている ETF です。また、この ETF も経費が安く年間0.04%という低コスト。純資産も大きく、人気が高い ETF です。配当は年4回あり、配当利回りは2.17%となっています。

3.バンガード米国高配当株式ETF(VYM)

米国の高配当株に投資する ETF です。高配当 ETF は人気もあり多数の商品がありますが、バンガードは年率0.08パーセントとコストが非常に安く、組み入れ銘柄数も427銘柄と多いのが特徴です。一般的な高配当 ETF と比べると4~10倍ほど銘柄が多いので、分散投資の効果も大きくなります。

Iシェアーズ

I シェアーズは世界最大の資産運用会社ブラックロックのETFです。iシェアーズシリーズは世界で約4割の ETF 市場シェアを有するマーケットリーダーで、 ETF の純資産残高は1兆7,925億ドル(約190兆円)。日本だけでなく世界の機関投資家・個人投資家から多くの支持を得ています 。

1.iシェアーズ米国優先株式ETF

S & P 米国優先株式インデックスの価格および利回り実績と同等水準の投資成果を目指す ETF です。高配当といえばハイイールド債やREITが有名ですが、優先株の利回りも十分高くなっています。また、価格も比較的安定しているので中長期投資に向いています。

優先株とは、普通株式に比べて剰余金の配当を優先的に受け取る、または残余財産の分配優先的に受け取る権利を持つ株式のことです。その一方で、株主総会での議決権がありません 。

配当の回数は、年12回なので毎月分配型です。そして、配当利回りは4.49%あります。配当受け取りながら運用を行いたい投資家にとっては魅力的な商品です。

2.iシェアーズMSCIコクサイETF(TOK)

MSCI KOKUSAIインデックスの価格と利回りに連動する投資成果を目指すETFです。海外先進国(日本を除く22カ国)に幅広く投資をしており、先進国の85%をカバーしています。配当は年2回、配当利回りは2.15%となっています。

まとめ

今回は、海外 ETF の仕組みとおすすめの運用会社・銘柄を紹介してきました。世界の市場に幅広く分散投資するには、国内 ETF よりも海外 ETF の方が適しています。ただし、手数料や為替リスクなどがあるので、なるべくコストが安い証券会社を選ぶようにしましょう。今後の ETF 投資の参考になれれば幸いです。

 

コメントを残す