過払い金請求をしてから、返還金を受け取るまでの流れは?わかりやすく注意点なども解説

過払い金の返還請求をしてから、お金を受け取るまでにどのような流れで手続きが進められていくのか疑問に思う人も多いでしょう。さらに気になるのが受け取るまでの期間はどれくらいかかるのかです。

返還請求を行う貸金業者によって、流れや期間などに差がありますが、請求を行ってから早くても3カ月はかかると言われています。もし、貸金業者が返還に応じなかった際には、訴訟まで進展する場合もあり、そうなると1年以上かかる場合もあります。

今回は過払い金請求をしてから、返還金を受け取るまでの流れを、まずは弁護士を決める段階からわかりやすく解説していきます。合わせて確認しておくべき注意点も述べていきますので、ぜひ参考にして下さい。

まずは自分で対象となるか確認

払い過ぎたお金が戻ってきます!という宣伝文句を聞いて、誰もが、無条件で過払い金の請求ができるのかと思ってしまいがちです。

過払い金請求は、過去に行われた利息の改正によって生じるその差額を回収できる手続きとなるのですが、実は無条件に誰にでもお金が戻ってくるわけではないのです。

まずは、自分がその対象となるのかどうかを確認しておくことが大切です。

対象かどうかの目安は

利息の改正が最後に実施されたのは2010年6月です。つまり、2010年6月以降の借入であれば確実に過払い金は発生しないことになります。

2010年6月以前に借入歴があるかどうか、

これがまず1つの目安になります。

しかし、2010年以前に借入がある人でも、2008年に完済している人は対象外となります。なぜなら、過払い金請求ができるのは、完済後10年未満と期間が定められいるからです。

ということは、いくら多額の借入歴があったとしても、

2008年までに完済した人は対象外となります。

以上のことから、過払い金請求ができるのは、

2010年以前に借入があり、2008年以降に完済、あるいは現在返済中の人となるのです。

この条件に合う場合には、過払い金請求を行うことで、払い過ぎた利息が回収できる確率が高くなります。

借入額や借入期間によってはあまりメリットがない場合もありますが、計算してみないと正確なことはわかりませんので、まずは自分が対象かどうかを見極めておくことが必要です。

確認すべきポイントは以下の3点です。

  1. 借入した年代はいつか(2010年以前か?)
  2. 完済したのはいつか(2008年以降か?)
  3. 現在も返済中か(返済中の人はリスクが高くなる)

※過払い金の基本的なしくみはこちら

返済中の人はリスクがある

もし、現在も返済中の人は過払い金請求を行う際には注意しなければなりません。もし、過払い金の返還金によって完済できるようであれば問題ないのですが、完済できない場合はブラックリストに名前が載る可能性が高くなります。

返済中の人が行う過払い金請求は、債務整理として手続きされることになります。

※過払い金のリスクについてはこちら

しかし、困難な借金を抱えている人にとっては、ブラックリストに名前が載っても構わないので現状をどうにかしたいという人もいます。その場合は、過払い金を行うメリットがあるのかどうかをしっかり弁護士と相談することが大切です。

注意点

最悪の場合は・・・

  • 過払い金の返還金が思ったより少なかった
  • 弁護士の依頼料を払ったらお金がほとんど残らない
  • ブラックリストに載って今後の借入ができない

といった結果になる可能性もありますので、慎重に判断していくことが大切です。

計算方法

正確には現在の利息は利息制限法、過去の利息は出資法と呼ばれており、利率が異なり金利差が生じます。

借入額 現在の利息 過去の利息
10万円未満 年利20% 年利25%~35%
10~100万円 年利18% 年利23%~33%
100万円以上 年利15% 年利25%~30%

計算方法の例)

仮に、100万円を借入していたとします。

毎月5万円の返済をしていた場合には、改正後の利息は15%ですので、100万円に対して12,300円の利息が発生します。一方、出資法で29.2%の利息だったとすれば100万円に対して24,000円の利息が生じてしまいます。

24,000円-12,300円=11,700円

となり1カ月だけでも11,700円の差額が発生します→この分が返還されることになります。

対象となる返済期間が長くなればそれだけ、返還される金額も多くなります。ただ、返済周期や金利、延滞、さらに複数からの借入、追加して借入した場合など、それぞれの状況に応じて計算も複雑になり、正確な数字を出すのは難しくなります。

あくまでも概ねの目安として、どれくらいの金額が返還可能かをある程度予想することができます。過払い金の簡単な計算は、オンラインのツールを使って計算することができます。個人情報を一切入力する必要のないものを選んで試しに計算しておきましょう。

ある程度の返還金が見込めそうな場合には、早速、過払い金返還請求の手続きを具体的に進めていくことができます。

過払い金請求の大まかな流れ

借入した年代、借入した期間などで対象になることがわかったら、金融機関情報や取引履歴情報をできるかぎり収集しておきましょう。

過払い金請求の流れは、大まかに以下のようになります。

  1. 弁護士・法律事務所の無料相談
  2. 弁護士に依頼する
  3. 過払い金の返還金を受け取る

では、それぞれの過程を詳しく注意点なども含めて解説していきます。

無料相談の比較

過払い金の請求は、基本的にお金に関すること、しかも借金に関することを相談するわけですから、依頼する弁護士も慎重に選びたいものです。

手続き自体が素人にはわかりにくい部分も多いため、油断しているとニセ弁護士などの悪質な業者に騙されてしまうこともあります。十分に注意して取り組んでいくようにしましょう。

とくに、困難な借金を抱えて、どうにかしたいと悩んでいる人は焦らないように注意して下さいね。

※この弁護士あやしいなと思ったら以下のサイトを参考に!

完済した借入で簡潔な内容の過払い請求であれば、司法書士に依頼する方が費用も少なくて済みますが、確実により多くの過払い金返還を目指す場合は、やはり弁護士が適しています。

無料相談をいくつか比較検討した上で、要望に合った事務所や、相性のいい弁護士を探すことがポイントになります。

無料相談を行う前に、弁護士に依頼する際の費用について抑えておきましょう。

依頼料

では、弁護士に依頼する際の費用はどのくらいかかるのでしょうか。だいたいの相場がわかっていれば、高いのか安いのか判断できるから安心です。

弁護士にかかる費用は大まかに3種類あります。

  • 着手金 ~2万円前後
  • 報酬金 ~2万円前後
  • 過払い金報酬~返還金額の20%

というように、概ねのところで最低でも4~5万程度の費用はかかることになります。後は、過払い金請求で返還される金額に応じて加算されます。さらに、プラス事務手数料がかかる場合もあります。

仮に弁護士に払う費用が捻出できない、となった場合でも依頼する方法はあります。着手料が無料の法律事務所を探すか、後払いや分割払いに対応している事務所を探すことができます。

返還金

無料相談の段階で、費用の見積りも大切ですが、返還金としてどれくらいの金額が見込めるのかを数字に出してもらうことも重要な要素となります。

それぞれの弁護士によってスキルや戦略も異なり、実際に入手できる返還金にも差が出てしまいます。経験のない弁護士に頼んだばかりに返還金が得られないことも考えられます。

返還金の見込み額と、なぜ、その金額が回収可能と思われるのかを納得がいくまで説明してもらうようにしましょう。根拠もなく20万、50万戻りますよ!で、納得してはいけません。

例えば・・・

2005年から2010年の5年間に渡って、確実に払い過ぎている利息がある、などと自分の返済履歴に沿った内容を確認することが大切です。

無料相談の注意点

無料相談の際に注意しておくことは、

  • 業者名→これがわからないと請求できません。
  • 取引詳細→借入・返済期間、返済金額など。
  • 何社に請求するのか→請求する数が多ければ費用もかかります。
  • 依頼料と返還金額の見積り書を出してもらう。
  • わかる範囲で自分でもある程度の目安をつけておく。

など・・・

1部の法律事務所では、無料相談をしたばかりに、何度もしつこく営業してくる弁護士も中にはいます。最初の段階で、依頼するかどうかはまだわからない、まずは大まかな見積もりだけでもお願いしたい、と一言伝えておくといいでしょう。

説明が不十分、見積もりが不十分、不明な点が多い法律事務所は避けるように注意して下さい。

弁護士に依頼する

依頼したい弁護士が決まったら、その弁護士と正式に委任契約を結びます。

委任契約に必要なものは

  • 身分証明書
  • 印鑑
  • 利用明細・領収書・取引履歴

最低これら3つがあれば手続きに進むことができます。利用明細などが完全に用意できない場合でも貸金業者名がわかる何かの資料があれば、過払い金の請求を行うことができます。

委任契約締結後

担当の弁護士と委任契約を締結した後は、弁護士がすべての手続きを進めていきます。まず弁護士が最初にすることは、貸金業者に対して委任を受けたことを証明する「受任通知」を発送します。

「受任通知」とは、これから過払い金請求を行う旨を告知することでもあり、これを受け取った貸金業者は要求に応じて取引履歴を開示しなければなりません。

取引履歴の明細を受け取った弁護士は、その履歴を基に過払い金の「引き直し計算」を行います。

「引き直し計算」とは、払い過ぎた利息がいくらになるのかを正確に計算することです。その金額に応じて具体的な返還金について交渉を行います。

この交渉の時点で、弁護士のスキルが問われることになります。

では、ここまでの手続きは弁護士に依頼しなくても自分でもできるのでしょうか?金融業や法律関連の仕事に就いている人であれば、自分で過払い金の請求を行う人もいます。

自分でもできるのか

過払い金の請求は、個人でも貸金業者に直接請求することが可能です。

必要なものは、

  • 取引履歴
  • 利息制限法に基づいた引き直し計算書
  • 過払い金返還請求書
  • 業者との契約書
  • 過去取引における利用明細・領収書

など・・・自分で貸金業者に情報提供を求めて、計算することができます。

しかし、非常に手間と時間がかかり、自分に不利な条件で手続きが進められてしまう可能性があります。専門的な知識がない場合はやはり、専門家に任せる方が確実です。

委任契約の注意点

委任契約をする際に注意しておくことをいくつか挙げておきましょう。

  • 誰に何を委任するのか→過払い金請求を弁護士(名前)に委任する
  • 費用は見積もり書と同じような内容か→異なる場合は質問
  • 依頼料の支払い方法は
  • 過払い金が得られない場合の対処法→費用はどうなる?
  • 万が一、契約を解除する場合の対処法→費用はどうなる?
  • 訴訟に進む場合の費用
  • 弁護士報酬を全額請求する場合の事例の確認
  • 不明点はないか→不明な点は必ず質問

など・・・

以上の確認すべきポイントを抑えて、必ず不明点がないかを確認した上でサインするように注意して下さい。内容も読まずに言われるままにサインするのは絶対にNGです!

返還金を受け取る

弁護士と委任契約を交わした後、引き直し計算が行われ、実際に弁護士と貸金業者が具体的な返還金額をめぐって交渉をしていきます。

貸金業者も無制限に請求された金額を払えるわけではありません。実際に大手消費者金融でも倒産したり他社と合併したりなどで、回収が難しくなる場合もあります。

資金的に余裕がある業者であれば、比較的時間もかからず請求した金額を返還してくれますが、状況によっては交渉に時間がかかり、返還される金額も少なくなる可能性があります。

中には、訴訟を起こさない限りは回収不可能な場合も有り得ます。

和解交渉

過払い金請求が行われると、弁護士と貸金業者が直接交渉をしていくのですが、取引内容や法律的な問題などで双方の主張する金額には差が出てしまうことが多くなります。

そのため双方の納得のいく形で和解交渉していくにあたって時間がかかってしまうのです。多少時間がかかったとしても、この最初の和解交渉にて、交渉が成立するのが理想的です。

基本的に妥協する比率が高くなれば、それだけ早期に返還金の回収を行うことができます。一般的には、満額戻ってくることは稀であり、6割~8割で妥協する場合が多いようです。

交渉期間は、早くて3か月、遅くて7カ月程度かかります。

交渉不成立の場合

もし、最初の交渉段階で和解に至らなかった場合は、過払い金を返還させるために訴訟を起こすことができます。

一般の私達にとって「訴訟」という言葉自体から、非常に複雑で時間がかかる争いになるというイメージを持ってしまいます。しかし、実際には訴訟を起こすことによって、むしろ円滑に早期に希望する金額が回収できることも多々あります。

弁護士に任せておけば、訴訟の手続きには慣れているので安心です。

裁判にかかる費用

そこで気になるのが、裁判にかかる費用です。訴訟を起こすと、交渉で和解できた場合よりも多額の費用がかかりますが、反面、回収できる返還金が高くなる傾向にあるので、結果的に得をする場合が多いと言えます。

裁判をする際にかかる費用は、基本的に着手金と過払い金報酬の2種類です。契約の際にもその費用について確認しておく必要があります。

通常は、交渉だけで解決した場合よりも5%上乗せされる場合が多いようです。例えば、交渉による返還金の回収額の20%に対して、訴訟によって返還金が得られた場合は25%となります。

裁判にかかる期間

過払い金請求訴訟は、訴状を提出してから不備がない場合は3~4週間後に第一回期日が指定されます。そして約1か月後に第2回期日がしてされます。

ほとんどの場合は、第一回期日に双方の言い分を討議し、第2回期日に判決が言い渡される流れとなります。しかし、双方が納得しない場合は1年以上かかる場合もあります。

過払い金の返還方法

通常の交渉で和解できた場合は、過払い金の入金は、和解時に定められた法律事務所の指定口座へ入金されます。その後、依頼した本人の銀行口座に振り込まれます。返還日は和解成立日から3か月以降になるのが一般的です。

時間のかかる貸金業者だと10カ月以上待たされる場合もあります。返還日は、貸金業者の資金力に左右されてしまいます。

訴訟を起こした場合は、早期に過払い金が回収できる確率が高くなります。早ければ2カ月程度で回収できる場合もありますが、概ねのところ3か月前後くらいでしょう。ただし、業者に正当な理由がある場合は長く待たされる場合もあります。

返還金に関する注意点

返還金を受け取る際に抑えておきたポイントは、

  • 過払い金を請求してから返還されるまでには早くても3カ月はかかる
  • 請求金額や貸金業者によって1年以上かかる場合もある
  • 状況によっては訴訟を起こした方が早い
  • 状況によっては請求金額を妥協した方がいい
  • 和解の条件は必ず本人と弁護士が相談した上で決める
  • 訴訟するかどうかは必ず本人と弁護士が相談した上で決める

といった内容になります。

数社に対して請求する場合や、1つの業者で複数の借入に対して請求を行う場合は、計算も複雑になるので時間がかかると思っておいた方がいいでしょう。

また、交渉の過程をこまめに確認し、不明点を質問・相談しながら、請求金額をどうするか、訴訟を起こすべきかを慎重に判断していくことが大切です。

まとめ

過払い金を請求してから、無事に返還金を手にするまでは、以上のように多くの手間と時間がかかることがわかりました。

やはり、最初の段階で、まずは過払い金を請求するメリットがあるのかどうかを充分に検討しておくことが大切です。そして、過払い金請求を行うことを決意したら、複数の無料相談を比較して、要望に合った信頼できる弁護士を選んでいくようにしましょう。

請求を行ってから、返還金を手にするまでの流れや期間がある程度わかっていれば、弁護士に何を確認すればいいのか、何を今決めるべきなのかが見えてきます。また、基本的に時間がかかることがわかっていれば、待たされたとしても不安に思うこともありません。

まずは、過払い金のしくみや手続きの流れを大まかに把握しておくことが、成功率の高い過払い金請求を実現する要素となるでしょう。どうぞ、今回の記事やその他の記事も参考にしてみて下さい。

 

 

 

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