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海外に学校や仕事で長期滞在する場合には、万が一の事を考えて保険に加入しておきたいものです。渡航目的によって、海外旅行保険や留学保険にて現地での医療費の補償を受けることが可能です。
海外旅行保険は聞いたことがあっても留学保険のことは知らない人も多いでしょう。そもそも留学保険とはどのような保険なのでしょうか。
また、費用はどれくらいで、何を目安に選んだらいいのでしょうか。
そこで今回は留学保険が海外旅行保険とどのように異なるのか、1年間の費用や選び方のポイントなどを解説していきます。
そもそも留学保険とは
国内では国民健康保険や社会保険に加入していることで、通常は病院に行ったとしても1割~3割負担で医療費を払うことができます。それにプラス大病や事故に備えて医療保険に入っておくのが一般的です。
仮に医療保険に別途で加入しないとしても、たいていの医療費は何とか低額負担にて何となるものです。
しかし、海外ではそうはいきません。
万が一、病気やケガで病院に行った際には全額、現金で支払う事になってしまいます。そこで、別途で海外旅行保険や留学保険が必要となります。
留学保険の基本補償
留学保険とは、基本的には海外旅行保険を基盤とし、留学生に必要な補償を組み合わせたものになります。基本的にどのような補償がついているのでしょうか。
留学保険の基本補償は、それぞれ加入する保険会社によって若干内容は異なりますが、大まかには以下のようになります。
医療費の補償
現地の病院を利用した時にかかる医療費を補償します。
賠償責任補償
現地にて他人に損害を与えた時の賠償金を補償します。
死亡補償
本人が死亡した際に遺族に対して支給される保険金です。
後遺障害補償
事故や病気が原因で後遺障害が残った場合に支給される保険金です。
救援者費用補償
事故や病気などで救済するための活動が必要となった場合の費用を補償。
携行物補償
本人が所有する物の紛失や破損を補償します。
生活動産補償
居住施設や家財など持ち歩けないものの損害を補償するものです。
概ねのところで、これらの補償が留学保険には基本補償としてセットになっています。プラス基本補償に特約をつけて、基本補償で補えない部分の補償を得ることができます。
特約の種類
付帯できる特約も保険会社によって内容が異なりますがいくつか例を挙げておきましょう。
個人賠償責任補償
基本的に賠償責任補償では補えない、家主に対する損害を補償することができます。
留学生賠償責任
賠償責任補償と個人賠償責任補償を組み合わせたもので、住宅や家財、家主、身の回りの所有物などを幅広く補償します。
留学延長補償
家族が事故や病気などで、留学費用が賄えなくなった時に保険が支給されます。
弁護士費用補償
弁護士が必要になった際の費用を補償します。
緊急一時帰国費用
家族の危篤などで緊急に帰国する場合の費用が支給されます。
他にも、航空機寄託手荷物遅延補償、航空機遅延補償、テロ対応補償などと様々な特約があります。
留学保険の種類
留学保険は大まかに3つのタイプがあります。
日本で出発前に加入する留学保険
渡航前にあらかじめ加入しておく留学保険で、最も一般的なタイプになります。条件の合う保険会社に申し込みをして加入しますが、海外旅行保険の特約として加入するものもあります。
現地の保険会社が提供する留学保険
現地の保険会社に加入する留学保険で、学校と提携している保険会社も多く、渡航後・入学後に加入することも可能です。ただし、基本的に外国語での対応するものが多く、翻訳・通訳サービスがあるかどうかを確認する必要があります。
中には、補償内容が医療だけになるものもあるので、日本の留学保険と併用した方がいいものもあります。
クレジットカード付帯の海外旅行保険
VISAやMasterCardなどのクレジットカードに付帯されている1部の海外旅行保険では特約をつけて利用することも可能です。この場合、条件を確認する必要があります。期間の上限が約3か月程度である場合が多いため、長期期間に対応できるのか、特約にはどんなものがあるのか、相談してみるといいでしょう。
ちなみにクレジットカードの海外旅行保険についてはこちらを参考にしてみて下さい。
海外で使えるデビットカードの活用情報はこちら。
海外旅行保険との違い
基本的な補償内容は海外旅行保険も留学保険もそんなに変わらないのですが、留学ならではの様々なシーンに合わせて補償が付け加えられているのが留学保険の特徴です。海外旅行保険にプラス特約をつけることで留学保険としての機能が果たすことができるのです。
補償内容の違い
留学保険と海外旅行保険の大まかな違いを表で比較しておきましょう。
留学保険 | 海外旅行保険 | |
補償期間 | 長期 | 短期(延長OKもあり) |
宿泊施設での盗難・紛失 | 〇 | 〇 |
住宅施設での盗難・紛失 | 〇 | × |
他人の所有物への損害 | 〇 | 〇 |
宿泊施設内の損害 | 〇 | 〇 |
住宅施設内の損害 | 〇 | × |
というように、海外旅行保険では補償の対象は基本的に旅行中の行動パターンが基準となるのに対して、留学保険では海外での日常生活が基準として考えられています。
ですから、一般的な海外旅行保険のみではすべてを補うことが難しくなります。そこで、留学する人は留学保険に加入しておく方が望ましいと言えるのです。
留学保険の対象
留学保険に加入できる人は、基本的には文字通り海外留学で海外に長期滞在する人になります。要は、海外旅行だけでは充分な補償が受けれないと判断した人達が加入する保険です。
安心して、充実した留学生活を送るためには、万が一の時に保険金が支給される留学保険の加入は欠かせないことです。滞在する場所がどこであろうと、いかに健康に自信がある人であろうと、いつ何が起きるかは誰にも予測がつきません。
留学保険の対象国
例えば・・・
- 提携先の病院が何カ所くらいあるのか
- 現地に相談できる自社サービスはあるのか
- 現地で留学生が利用できるお得なサービスはあるのか
- その国の言語で書類など用意してくれるのか
- 日本語でのサポートを現地で得られるのか
- 学校や滞在先の近くに利用できる病院があるか
など・・・
それぞれ保険会社によって、提供できるサービスの内容が異なってしまいます。留学先、渡航先に合わせてより便利な留学保険はどれなのかを比較検討した上で決めていきましょう。
留学保険で対象となる学校
ひとことで留学といっても学校には様々な種類があります。いくつか英語圏の場合を挙げておきましょう。
保育園・幼稚園
kindergarden、preshool、nursery shoolなど
小学校・中等・高等学校
elementary school、primary schoolなど
専門学校、趣味・教室
community college、commercial school、art schoolなど
大学(短期・4年制)
college、universityなど
大学院
graduate schoolなど
現地で加入する留学保険の場合は、学校と提携しており特定の保険会社や特定の学校に限られてしまいます。国内では、よほど特殊なものでない限りは、特に入学を証明する必要はありません。学校名を記載しておく程度です。
どんな学校でも基本的に留学保険を利用することが可能です。
ワーキングホリデー保険や海外駐在保険として加入する場合もある
- ワーキングホリデーとして現地で働きながら学校に行く場合はワーホリ保険
- 仕事の一環として海外に滞在しながら学校に行く場合は海外駐在保険
として加入する場合もあります。
ちなみにオーストラリアのワーホリ保険はこちら!
留学保険の費用
大まかに留学保険の補償の内容や加入できる条件などが理解できたところで、一番気になるのが費用です。
学校に行くことが主な目的となる留学保険であれば、短くとも1年間ぐらくの期間が必要になるでしょう。
留学保険の費用はどれくらいかかるのでしょうか。また、どのように支払っていくのでしょうか?留学保険の費用について、5つの項目をご説明していきましょう。
- 留学保険の1年間の費用は?
- 月額で払っていけるのか?
- どのような支払い方法があるのか?
- 保険金の請求方法は?
- 現地で延長手続きはできるのか?
留学保険の1年間の費用相場
留学保険の1年間の費用の相場は、
基本補償の内容、保険金の支給額、特約の内容などによって大きく差が出てしまいます。何を基準にして保険料を決めていくかによって留学保険の費用も高くなったり安くなったりします。また、同じ補償内容であっても選ぶ保険会社や留学先の治安や土地柄などによっても変わってきます。
概ねのところでは、
最安値相場が14万円前後、高額なもので20万円前後が、留学保険の1年間の費用の相場となります。
月額で払っていけるのか?
1年間の費用相場は14万円~20万円になりますが、これらは月額で払っていけるのでしょうか。
保険料の支払いは、留学保険だけに限らず一般的に月額払いよりも年払いで一括に払った方が安くなります。長期滞在がメインの留学保険の場合は1年、2年単位で契約をします。
支払い方法は年払いで一括で支払う方法と、クレジットカードによる分割払いを選ぶことができます。クレジットカードの分割払いにした場合は毎月決められた金額が請求されることになります。(保険会社による)
クレジットカードの分割払い:一括払い、3回払い、6回払い、10回払い、12回払いなど・・・
どのような支払い方法があるのか
留学保険に加入する場合の支払い方法は、
- 保険会社の窓口にて支払う
- クレジットカードにて支払う
- 銀行振込にて支払う
など、保険会社によって選ぶことができます。
保険金の請求方法は
留学保険の場合は、海外からの請求となるためほとんどの保険会社ではオンライン上で保険金の請求ができるシステムとなっています。
また、現地から電話にて問い合わせることも可能です。留学先の国や地域によっては、現地のアシストサービスが使える場合もあります。どこの国に留学するにしても、契約先が日本の保険会社の場合は全部日本語でのやり取りとなるので安心です。
保険金の請求方法として注意しておくことは、
- 実費を払った後、保険金が支給される場合
- 実費を払う必要がない場合(キャッシュレス)
保険会社によって、2種類の請求方法があるということです。実費を払う必要がないサービスを希望する場合は、あらかじめキャシュレス提携病院の利用が可能かどうかを確認しておくことが大切です。
現地で延長手続きはできるのか
経済的な理由からも、ひとまず1年間の留学保険を契約して、その後延長するようにしたいと思う人もいるでしょう。あるいは予定外に滞在が長引いてしまう場合もあるでしょう。現地で留学保険の延長はできるのでしょうか。
満期の1か月前であれば、たいていの保険会社にて延長は可能です。ただし、満期を過ぎてしまうと現地からの手続きは難しくなるので注意して下さい。遅くとも2週間前には延長の意志を申し出るようにして下さい。
延長手続きは、電話でしかできない場合とオンラインで簡単にできる場合がありますが、保険会社によります。さらに、延長できる期間が保険プランによって異なりますので、これも事前に確認しておきましょう。
留学保険の選び方
それでは、留学保険はどのような保険会社で取り扱っているのかをご紹介しておきましょう。
留学保険を扱う保険会社
- AIG損害保険 参考リンク
- 東京海上日動 参考リンク
- 三井住友海上 参考リンク
- 損保ジャパン 参考リンク
- JI傷害火災 参考リンク
- あいおいニッセイ 参考リンク
- CHUBB損害保険 参考リンク
- エイチ・エス損保 参考リンク
- ソニー損保 参考リンク
- 日新火災 参考リンク
- au損保 参考リンク
以上の11社が留学保険を提供している主な保険会社です。それぞれ、提供する基本補償の内容とは実はそんなに変わらないのが現状です。では、どのように自分に合った保険会社、保険プランを選んでいけばいいのでしょうか。
何を優先するか
留学保険を決めるにあたっては、もちろん、出来る限り幅広い項目に渡って、無制限に補償をつけれれば理想的です。しかし、100%満足するためには多額の保険料がかかってしまいます。
そこで、それぞれの状況に応じて何を優先したいかを整理していくことで、自分に合った保険を見つけることができます。
- とにかく安さを重視する
- 基本補償の充実度を重視する
- 特約の種類を重視する
- 補償金の上限を重視する
- 留学先に対応できるサービスの多さを重視する
- 滞在先の近辺に提携病院があるかを重視する
- 言語のサポートを重視する
- 延長が無制限なものを重視する
- 保険会社の知名度を重視する
- 口コミを重視する
- スタッフの対応を重視する
- ネットですべて完結することを重視する
などと、選ぶポイントは数え上げればキリがないのですが・・・ここで、重要となるポイントを1つご紹介しておきます。
それは歯科治療に保険が使えるかどうかです。
留学保険では、歯科治療にも対応できるところは限られてきます。人によっては、虫歯歴がほとんどなく、歯科治療に保険が使えなくても不安にならない人もいるでしょう。しかし、これまでの経験からいつ痛み出すかわからない、虫歯の常習犯である人は注意が必要です。
以上が留学保険を選ぶ上でのポイントとなります。
まとめ
今回は、初めて留学する方のために、そもそも留学保険とは、という基本的な部分を解説してきました。
留学保険とは、
- 海外旅行保険が基盤となった保険である
- 住宅施設や大家さんに対する補償がつけれる
- 長期間での契約ができる
- その他さまざま特約を選ぶことができる
ことがわかりました。
旅行ではなく、長期で滞在するがゆえに発生しがちな様々なトラブルを補償してくれる心強い保険でありますが、何を優先するかによって、選ぶ保険会社や保険プランも異なります。
主要な保険会社は約11社ありますが、それぞれにとって条件に合った保険を探すために、選ぶ上でのポイントをいくつかご紹介しておきました。どうぞ、参考にしてみて下さいね。