大手ネット銀行としてすでにその存在が知られている「PayPay銀行」ですが、実際の感じはどう?と思う方もおられるでしょう。
2018年現在、ネット銀行の数は10行程度あり、既存銀行のネット支店や営業形態等を考慮しますとネット銀行の件数を正確に数えるのは難しいのですが、それでもそう多くはありません。
日本はまだまだ都市銀行や地方銀行が圧倒的に多い中で、PayPay銀行などのネット銀行が一定の支持を得ているのも事実です。
そこで今回は、PayPay銀行について実際にこれまで使ってみた感想や同行が発行しているVisaデビットカードについてお話ししていきます。
PayPay銀行の概要
出典:(株)PayPay銀行
PayPay銀行
PayPay銀行((株)PayPay銀行、銀行コード0033)は、2000年9月から開業したネット銀行の先駆的な存在です。
同行とのやりとりはインターネット(PC/スマホ等)及びATMがほとんどであり、また紙の通帳を使っていないのもネット銀行ゆえの特徴です。
残高照会や利用明細の確認などその利用においては通常のスマホアプリを使うのが便利ですが、ロト6やtotoといったくじの抽選結果が確認できる「当せん確認アプリ」や、外貨取引における相場分析結果を教えてくれる「テクニカるナビ」というアプリを使うこともできます。
*PayPay銀行 口座アプリ
出典:(株)PayPay銀行
商品・サービス
主な提供サービスとしては以下のようなものがあります。
- 普通/定期預金
- 外貨預金
- 投資信託
- フリーローン・教育ローンなど各種ローン商品
- FX(JNB-FX PLUS)
- 宝くじやBIG・toto、競馬などの公営ギャンブル
- Visaデビットカード
- JNBスター(ポイントプログラム) など
かつては口座維持手数料を取っていたこともありましたが現在は無料で口座を使うことができます。
ATMの利用については、ゆうちょ銀行やほとんどのコンビニATMの利用が可能です。
また毎月最初の1回は入出金無料、以降は3万円以上で無料となっており、ある程度計画的なお金の管理ができれば、この無料ルールは非常にありがたいものです。
出典:(株)PayPay銀行
Visaデビットカードの概要
出典:(株)PayPay銀行
ファミマとの連携・海外利用・タッチ式決済を備えたVisaデビットカード
PayPay銀行で発行しているVisaデビット機能付きキャッシュカードです。年会費・利用手数料等は無料です。
使い方は、Visa加盟店のレジでカードを店員に渡して支払う方法と、2018年11月から開始した「タッチ式決済」により読み取り機にサッとかざして決済を済ませる方法とがあります。
Visa加盟店で利用が可能なので海外も含めてかなり幅広い店で使うことができます。
カード利用後はすぐにメールでその実行結果の内容が届きます。第三者による不正利用等の早期発見などに活用できます。
ポイントサービスはPayPay銀行の「JNBスター」か「Tポイント」を貯めることができます。Tポイントを貯めたいという人は、後述します「ファミマTカード(ファミデビ)」をカードに選択することで貯めることができます。
カードの種類
「ベーシックカード」
PayPay銀行オリジナルのカードです。
青・黒・ピンクの3種類のカードがあり、500円の利用で1JNBスター(1ポイント1円で使える)が貯まります。
出典:(株)PayPay銀行
「ファミマTカード」
ファミリーマートでの利用がお得となっているカードでその名にあるようにTポイントを貯めることができます。
*ファミマTカード利用によるTポイント付与率
- ファミマ・・・200円で2ポイント
- ファミマ以外・・・500円で1ポイント
上記のようにファミリーマートでの利用が断然お得です。また通常のTポイントカードが200円につき1ポイントの還元ですので、PayPay銀行のこのデビットカードがいかに優遇されているかが分かります。
出典:(株)PayPay銀行
「カードレスVisaデビット」
これはネットの買い物のみで使うことができる物理的なカードのないデビットカードサービスです。
サイト上でカード番号を4つまで発行することができ、5回までの番号変更を行うことができます。
ちょっとネットショッピングには不安がある方でも、使い捨てのつもりで使うことができますので、万が一被害にあった場合でもその損害を最小限に食い止めることができます。
「クレジットカード」
ちなみに通常のクレジットカード「JNB VISAカード」「JNB JCBカード」も提供しております。
出典:(株)PayPay銀行
使ってみて分かったメリット
出典:(株)PayPay銀行
筆者は当初、ポイントサイトでポイント欲しさに口座を作っただけでしたが、後々ヤフオクの出品者側として大きなメリットがあることに気が付いてきました。
ヤフオクの落札代金がリアルタイムで入金される
PayPay銀行を売上金の出金先口座に指定している場合、オークション終了後商品を発送してから落札者が「受取連絡」の操作を行いますと、その時から落札代金の口座への振込処理が始まります。
実際には、連絡を受信してから3~4時間後に出品者の銀行口座へ入金されます。またこれは商品1つ1つに対して行われるので、即金性が非常に高く転売等の回転作業に最適です。
この都度入金の即金性の高さは、たとえ「せどり」や転売を本業としていない一般出品者にもありがたいものです。
出典:ヤフー(株)
メルカリであれば、振込み申請が必要だったり振り込まれるまでに最大で10日程度かかることがあります。また1万円未満の振込には手数料が210円かかるといった欠点もあります。
Amazonに出店している方もおりますが、その売上金の出金は自動で行われておりますが出金先の銀行により最大で5日程度かかる場合があります。
素早い新たな仕入れが可能
ヤフオクの落札代金の振込スピードが速いおかげで、出品者の方でしたら次の仕入れを素早く行うことができます。
実店舗で仕入れる際にはVisaの提携店舗であれば、当行のデビットカードを使って「入金→仕入れ」のタイムリーな使い方が可能です。
また3万円以上であればATMからの出金でも手数料が無料となるので(通常は162円~)、カードが使えない店でも出金に気兼ねすることなくお得に仕入れ作業を行うことができます。
そして、入金があった際には当行から入金案内のメールが届くので、口座確認作業の手間も軽減され仕入れ作業に集中することができます。
Tポイントマニアでなくても簡単・お得にTポイントが貯められる
ファミマタイプのデビットカードでしたら、ファミリーマートの買い物において火曜・土曜は「カードの日」として5%のポイント還元となります。
筆者はどちらかといいますとTポイント集めが苦手なのですが、こんなに簡単に5%もTポイントが貯められるので、火曜・土曜の買い物はなるべくファミリーマートで行うようにしています。
但しデメリットの方でもう少し詳しくお話ししますが、Tポイント関係で目立ったメリットがあるのは筆者の行動範囲内ではファミマでの利用くらいしか無く、普段はdポイントか楽天ポイントに力を入れているのが正直なところです。
デメリットの内容
PayPay銀行は基本的にセキュリティへの取り組みが凄まじく、鉄壁の防御体制を整えているのが特徴です。
セキュリティや預金の保護を目的に選ぶなら真っ先にPayPay銀行をおすすめしたい(これはメリットですね)のですが、その分普段の利用において操作性に難が出てくるのも当然のこととなってきます。
ログインの仕方・手続きが面倒
当行サイトへログインするには次の入力が必要です。
- 店番号(3ケタ)
- 口座番号(7ケタ)
- ログインID(6~32文字)
- ログインパスワード(32文字以内)
もはや暗記しようと思う人はほぼいないことでしょう!通常他のネット銀行やネットサービスでは4種類もの入力が必要になる所はまずありません。
また、振込みやログインパスワードの再設定時には「トークン」というワンタイムパスワードを出力させるカードの操作も必要となってきます。
出典:(株)PayPay銀行
割と簡単にデビットカードのロックがかかる
かつてとあるオンラインストアの決済方法としてこのデビットカードを登録しようとした時に登録することができずエラーとなってしまったことがありました。
その後で外のお店での会計時にカードを店員に渡したところ、カードが反応しないとのことで現金払いを余儀なくされたことがありました。
そこで色々と調べていくと、次の画像にあるようなメールが届いているのを発見しました。
出典:(株)PayPay銀行
銀行側で自動的に利用をストップさせていたのです。メール内には一時的に利用停止する条件が書いてあるのですが、残高不足・利用限度額超えの支払い・暗証番号の間違い、いずれも思い当たるところがありませんでした。
冒頭でお話しした誤った使い方が原因か?という感じです。まあそれでもセキュリティを重視する当行としては考えられることだと思います。
また一般的に、セキュリティに関することを詳細に説明するのもセキュリティを弱めることになってしまいますので、やっかいではありますが好意的に受け止めるようにしております。
スマホアプリから利用履歴は10件までしか見ることができない
結局詳細を見るにはパソコンから調べないとならないわけです。
またスマホアプリのログイン方法は、ID・パスワードの入力ではなく次の画像のように、予め決めたなぞり方で盤面を指でなぞりロックを解除するというもので、ここでもセキュリティを高めた方法を採用しているのです。
出典:(株)PayPay銀行
しかしそこまでやるならもっと多くの件数が見れてもいいような気がしますが、10件までにとどめているのが現状です(10件にしているのもまたセキュリティってことですね!)。
ファミリーマートでタッチ式決済ができない
2018年11月よりVisaのタッチ決済にも対応できるようになりました。
出典:(株)PayPay銀行
銀行側から案内のメールが届き、筆者もすぐにカードの切り替え手続きをして現在このタッチ決済ができるカードを所有しています。
しかも切り替えキャンペーンをやっていた時で、100JNBポイントも獲得することができました!
・・・とここまではメリットと言えるお話しですが、このタッチ式決済を強力な提携先であるファミマで使うことができないのです!
これはPayPay銀行というよりかは、Visaかファミマ側に原因があることなのかもしれませんが、もしファミマで使えるようになれば、かざす作業だけでTポイントの獲得と支払いの両方ができるかもしれません。
これが実現したら非常に便利ですばらしいことですので、ぜひファミマでも使えるようにしてもらいたいです。
「タッチ決済ができる店舗」
ATM無料特典もファミマに長く滞在してしまうと台無しに
先ほど「火曜・土曜のカードの日」のお得さをお話ししました。確かにお得です、それ自体は。
またお金を下ろさずデビット付きのファミマTカードで支払う場合、火曜・土曜以外でも2ポイント/200円ですが、やはりコンビニの利用は適度にしておかないとこのポイント還元の効果も抑えられてしまいます。
全体的にはポイントプログラムに活気が見られない
Tポイントについてはファミマでのお得さとコンビニゆえの金銭的なリスクの高さの両面が存在することや、当行が運営する「JNBスター」の場合は500円の利用で1ポイントの還元といったその還元率の低さがポイント集めに向かないものとなっております。
PayPay銀行がTポイントとJNBスターの複数を取扱う理由が分かりませんし、もしどちらか一方に統一されていれば、より効率的なポイント収集ができたのではないかと思われます。
モバイル決済アプリでの利用について
快適な残高照会とアプリ間操作
モバイル決済アプリ「PayPay」を使っているのですが、そのチャージ元の銀行としてPayPay銀行を登録しています。
チャージ元の銀行口座はYahoo!ウォレットに登録済みの口座であること、そしてYahoo!ウォレットに登録ができる銀行はその種類に制限があるのですが、運よくPayPay銀行が取扱いされていたため、PayPayで使うことができることとなりました。
またPayPayにチャージする時は口座残高が気になることがありますが、残高確認を行うにはアプリを起動してロックを解除させないといけません。
解除方法は上記の方でも画像をお見せしたように、画面をなぞるやり方です。
結果としてPayPayアプリと銀行アプリの移動操作を非常に軽快に心地よく行うことができるのです。
モバイル決済アプリは出先での利用が大前提であり、その関連操作も素早く簡単に行いたいものです。
PayPay銀行のこのようなロック解除方法は非常に理にかなっているものであります。
*決済アプリについて知りたい方はこちら:
「モバイル決済アプリ6種類の実態は?お得で便利な決済アプリはどれ?」
払込票決済アプリ JNB PayB
紙の払込用紙で支払う場合、普通ですと銀行やコンビニに行かなければなりませんが、PayPay銀行では「JNB PayB」(ペイビー)というアプリを提供しており、このアプリを使って払込票のバーコード部分を読み込ませれば自宅で払込票の支払いができてしまいます!
出典:(株)PayPay銀行
まだこの分野のスマホアプリはLINE Payにある「請求書支払い」の他は多く見かけないので、PayPay銀行のこのアプリは非常に貴重です。ただGoogle Playストアの評価が低い(記事執筆時で2.1)のが気になるところです。
*「PayB」について
出典:ビリングシステム(株)
まとめ
PayPay銀行とVisaデビットカードを使うメリットは、以下のまとめのような限定的な使い方で非常に有益なものとなっております。
「ヤフオク」
- 落札代金の受け取りが非常に速い
- Visaデビットカードを利用し入金と仕入れの素早いコンビネーションが可能
「ファミリーマート」
- TポイントカードとしてのVisaデビットカードはポイント還元率が非常に優秀
「その他」
- 面倒な操作が多いがセキュリティはネット銀行でトップを誇る高さ
- モバイルアプリは使い方次第で非常に便利
またデメリットとなる点は以下の通りとなっています。
「デメリット」
- セキュリティの高さは実用性としてはデメリット
- ファミマでの特典もそもそもコンビニの利用がお得さ・節約効果を下げる
- 利用を抑えることで更にポイントが貯まりにくくなる
ネット銀行は基本的に預金金利が高かったり、ローンや外貨為替などの手数料金利が低めであったりします。
一般論として知られることを基本としながらも、PayPay銀行を始めその他ネット銀行において、それぞれが備える強みや得意とする側面を見極め、上手に利用していくことが大切です。
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