ポイント投資はどこまで広がる?メリット・デメリットを詳しく解説!

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買い物でためたポイントで投資できるサービスが広がっています。現金ではなく、ポイントを使うことで、経験のない若者にも投資が身近なものになる可能性を秘めています。今回は、ポイント投資の概要と、メリット・デメリットを詳しく解説していきます。まずは、ポイントとはどういうものなのかを見ていきましょう。

ポイントとは

ポイントは「共通ポイント」がメインになっています。共通ポイントとは、買い物などをした際に、店に提示するだけでポイントがもらえるサービスです。「共通」とつくだけあって、特定の店舗でしか使えないというのではなく、複数の店舗や企業で使ったり貯めたりできます。

現在、多くの利用者が使っている主なサービスは以下の3つです。

Tポイント

「Tポイント」は、カルチュア・コンビニエンス・クラブが展開するポイントサービスです。TSUTAYAやファミリーマート、すかいらーく、吉野家などのTポイント対象店舗で商品を購入したりサービスを利用したりすると、100円から200円ごとに1ポイントが付与されます。

貯まったTポイントは、1ポイント=1円で現金と同じように使うことができます。

Pontaポイント

Pontaは、株式会社ロイヤリティ・マーケティングが発行・運用している共通ポイントサービスです。ローソンやゲオ、ケンタッキーフライドチキンなどで利用することができます。

Tポイント同様、1ポイント=1円として利用できます。また、じゃらんやホットペッパーといったグルメサイトでも活用できる魅力があります。

楽天スーパーポイント

日本最大級のECサイトである楽天が発行・運用している共通ポイントサービスです。楽天グループでの使用がメインとなりますが、楽天Edyとも連携しているので、チャージするごとにポイントを貯めることができます。楽天Edyは電子マネーなので、全国のコンビニエンスストアやドラッグストア、スーパーなど身近な店舗で利用することができます。

TポイントはSBIネオモバイル証券(2019年春予定)で、楽天スーパーポイントは楽天証券でポイント投資を行うことができます。

日本は「ポイント大国」として知られています。野村総合研究所の予測では、主なポイントの発行額は2020年に1兆円を超える見込みです。若者の利用も多くなっています。例えば、6,800万人の会員を持つTポイントでは、20代会員は1,000万人を超えています。世代人口の8割が利用していることになり、ポイント投資には、若年層の顧客を増やしたい証券会社に加え、自前のポイント経済圏を持つネット通販や携帯会社が機能強化を狙って参入しています。

日本は現金指向でキャッシュレス化が遅れているといわれていますが、ポイントに関していえば世界有数のポイント大国となっているのです。

それでは、ポイント投資の仕組みについて見ていきましょう。

ポイント投資とは

ポイント投資は主に2つあります。

①ポイント投資型

②ポイント運用型

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ポイント投資型

ポイント投資型は、ポイントで株や投資信託を購入できます。証券口座が必要で、主に証券会社が手掛けています。原則1ポイント=1円で、金融商品を購入できます。

現在の主なサービスは次の3社です。

楽天証券

2017年8月から楽天スーパーポイントで投資信託を購入することができるようになりました。2018年9月から積立投資も可能に。楽天証券が扱う約2,600本の投資信託を購入できます。楽天スーパーポイントは累計1兆ポイントが付与され、約1億人の利用者がいます。

楽天証券の10月の新規顧客のうち、女性比率は約4割。楽天ユーザーからの流入が続いているようです。楽天カードでも投資信託を月5万円まで積立投資できますが、購入代金の1%が還元率としてポイントが付与されます。最初から1%のパフォーマンスでスタートするのと同じ効果があります。

これまでの投資信託は購入時に3%程度手数料がかかりますが、最近は手数料が無料のノーロードファンドも増えてきました。しかし、上限はあるものの、ポイントをもらってプラスから運用を開始できるというのは、大きな強みになります。

SBI証券

年間6,800万人が利用するTポイントも、2019年春からポイント投資を開始します。SBI証券とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が設立する「SBIネオモバイル証券」が手掛けます。

国内に上場する3,000を超える現物株式と単元未満株をTポイントで購入することができます。単元未満株とは、通常株式は100株単位で取引されます。株価によっては、数百万円の資金が必要になります。しかし、単元未満株なら1株単位で購入することができるので、数百円~数千円から買付けできます。ポイント投資にはピッタリの制度です。

また、AIやプログラムが運用を指示してくれるロボット・アドバイザーで金融商品も購入できるようになります。

ロボット・アドバイザーとは、いくつかの(5~10程度)質問に答えるだけで、投資家に対して最適な資産配分や運用を自動で行ってくれるサービスです。投資対象は運用会社によって異なりますが、海外上場投資信託(ETF)や国内投資信託が主な内容になります。

Tポイントの強みは、TSUTAYAやファミリーマートなど利用できる店舗が多いことです。20代の利用も多く、これから投資家層が広がることが期待されます。SBI証券の北尾社長も「徹底的に若者を取り込む」と語っています。

松井証券

松井証券も2018年10月からポイント投資を始めました。ポイント投資の対象投資信託は次の3つです。

 

①ひふみプラス レオス・キャピタルワークス

②eMAXIS Slim 先進国株式インデックス  三菱UFJ国際投信株式会社

③eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)  三菱UFJ国際投信株式会社

 

①はアクティブファンド、②③はインデックスファンドです。いずれも人気が高い投資信託です。

投資信託の取引で購入時手数料が全額ポイント還元されたり、投資信託の保有金額に応じて年間0.1%のポイントがついたりします。これは、投資信託の運用利回りが上がったのと同じ効果があります。

また、提携クレジットカード「MATSUI SECURITIES CARD」の利用に応じてポイントがたまります。

これらのポイントを自動積立にしておけば、貯まったポイントが月に一回、自動的に投資信託の購入に充てられます。これなら投資初心者でも気軽に投資を始めることができそうです。

続いて、ポイント運用型を見ていきましょう。

ポイント運用型

ポイント運用型は、投資信託や株価が値上がりすればポイントが増え、逆に値下がりするとポイントも減る仕組みになっています。

投資信託や株式に直接投資するわけではなく、証券口座の開設も不要です。 株式や投資信託などでの資産運用に躊躇している人にとっては、お気軽にしかも少額のポイントから始められるという点で非常に魅力的です。

通常、貯めたポイントは数年で失効してしまいますが、投資に回しておけば有効期間は関係なくなります。運用成果を期待しながら長く持ち続けられ、好きな時に引き出すことが可能です。ポイントの使い道に困るという人にも投資サービスはおすすめです。

金融商品の値動きにポイントを連動させるサービスは非証券系が進めています。現在は、ポイント投資よりポイント運用の方が普及しています。

主なサービスは次の3つです。

クレディセゾン

2016年12月に「永久不滅ポイント」が投資信託の値動きに連動して増減するサービスを始めました。「永久不滅ポイント」とは、提供しているセゾンカード・ UC カードの利用やセゾンポイントモールの利用によって有効期限のないポイントを貯めることができるサービスです。「永久不滅ポイント」をTOPIX(東証株価指数)や米国の主要銘柄を組み入れた指数など4つの指数に投資信託を連動させ、ポイント運用をしています。

2018年9月からは個別株との連動も始めました。カルビー(2229)、日清食品ホールディング(2897)、ホンダ(7267)が対象で、株価に合わせてポイントも増減します。

2018年9月末時点の利用者は28万人です。

NTTドコモ

NTT ドコモが2018年5月に始めたのもポイント投資です。「お金のデザイン」が運用する投資信託の基準価格に応じて、dポイントが増減するもので、利用者は30万人を超えています 。ドコモは、顧客基盤を、これまでの回線契約者数からポイント会員数へ転換していくことを表明しています。

ポイント投資では、ドコモのポイントサービスである「dポイント」から任意のポイントを預け、投資信託の基準価額に応じて投資運用中のポイントが変動するサービスです。ドコモの回線契約がなくても、dポイントの会員であれば無料で利用できます。ドコモのポイント会員数は6,500万人を超えており、年間のポイント発行額も1,500億円相当と大きな経済圏を形成しつつあります。

楽天

楽天本体でも、証券口座不要のポイント運用型で、投資信託に連動して楽天スーパーポイントが増減できるサービスを開始しました。積極的な運用を行うアクティブコースと、安定的な運用を行うバランスコースの2種類があります。

以上をまとめると、ポイントを利用して投資するには次の4つに分けることができます。ポイント投資は、目的に合った利用方法をするようにしましょう。

 

①ポイントを使って投資信託を購入

②ポイントを使って株式を購入

③ポイントを積極的に増やしたい(アクティブコース)

④ポイントを安定的に増やしたい(バランスコース)

 

①②がポイント投資型、③④がポイント運用型になります。

投資未経験者はポイント運用型から

投資経験がない初心者の方は「ポイント運用型」から始めることをおすすめします。証券口座を新たに開設する必要がなく、ポイントをそのまま利用することができます。リスクを取るならアクティブコース、安定的な運用を目指すならバランスコースの2種類を選ぶことができます。ポイント投資は少額から始められるので、どちらを選んでもいいでしょう。積極的にリスクを取り、投資というものがどういうものかを学ぶ機会にもなります。

すでに証券口座を持っているなら「ポイント投資型」を検討してみましょう。松井証券なら銘柄は3銘柄だけですが、購入手数料がなく残高に応じてポイントもつきます。今後銘柄数が増えることを期待します。

楽天証券では現金とポイントを組み合わせて利用することが可能です。また楽天カードのクレジット決済で投信を積み立てると、5万円を上限に決済額の1%相当の楽天スーパーポイントを獲得することができます。貯まったポイントは投信の積立などに活用できます。

ポイント投資のメリット

それでは、ポイント投資のメリットを見ていきましょう。

税金がかからない

ポイント運用型の場合、投信や株価が値上がりしてポイントが貯まっても現金に換えることはできません。ただ、株式投資ではないため、ポイントがいくら増えても課税されることはありません。通常、株式や投資信託には以下のような税金がかかります。

  • 所得税 15.315%(復興特別税含む)
  • 住民税 5%

合計20.315%の税金がかかります。これが非課税になるのは大きなメリットです。

リスク許容度によって運用対象を変えることができる

相場の変動で高いリターンを追求したい人はポイント運用型の中でも株式などの比率が高いアクティブ型ファンドに連動するタイプが向いています。一方、リスクを抑えて利用したい人はバランスファンドがいいでしょう。ただ足元では相場の地合いが悪化しており、直近のパフォーマンスは悪化しているので注意が必要です。

ポイント投資型でも、より積極的にリスクを取りたい場合は株式型、リスクを抑えたい人は投資信託形を選ぶようにしましょう。

ポイント投資は心理的ハードルが低い

ポイントは買い物などの「おまけ」としてもらえるものです。現金と比べると投資を始める心理的ハードルは低いといえます。確かに現金を使った投資に比べると少額で、資産運用の効果を出すにはポイントの額だけでは不十分です。

とはいえ、これまで投資に無関心だった若年層がポイント投資を機に株や投資信託に関心を持てば、将来本格的な投資家に育つ可能性もあります。スパークス・アセット・マネジメントの調査によると、投資未経験者の43%が「現金ではなくポイントで投資するサービスがあれば投資意欲が増す」と回答しています。

個人の金融資産の半分以上が現預金となっています。ポイント投資で資産運用に目覚め、「貯蓄から投資」への動きを後押しできるかどうかが注目されます。

ポイント投資のデメリット

ポイント投資のデメリットについても見ていきましょう。

運営会社の破たんリスクがある

株式や投資信託は分別管理が金融商品取引法で義務付けられているので、証券会社が破綻しても原則としてその時の時価で全額保護されます。分別管理とは証券会社の資産と顧客の資産を分けて管理することです。万が一分別管理がなされていなくても、投資者保護基金で最大1,000万円まで保証する仕組みになっています 。しかし、ポイントには法規制がなく、利用者を保護するセーフティーネットは十分ではありません。

ポイントを発行する事業者は、通常ポイントを付与すると将来の交換に備えて引当金を積みます。会計上はポイントを負債として取り扱いますが、会社が破綻してもポイントは返済すべき債務にはあたりません。

このため、発行体が経営破綻した場合ポイントの価値がなくなるリスクがあるからです。ポイント投資を行う際も発行体が大手なのか、財務内容には問題がないのかなども確認しておく必要があります。ただし、株や投資信託に交換するポイント投資ならセーフティーネットがあるので安全です。

まとめ

今回は、ポイント投資の概要とメリット・デメリットについて見ていきました。これまで株や投資信託を行う際は、証券会社や銀行に証券口座を開き、直接購入するしかありませんでした。

ポイント投資を使えば、買い物などで貯めたポイントで気軽に投資を始めることができます。日本の貯蓄率が高いのは国民性もありますが、投資に対するハードルが高いというのもあります。

特に若年層においては、ポイントを使うのは一般的で、スマートフォンの利用も当たり前の世代です。このような若年層がポイントから投資を開始し、30代・40代から本格的な資産運用を始めれば、貯蓄から投資へと資金が動くきっかけになります。発行体が経営破綻した場合のリスクがあるので、利用者を保護するセーフティーネットを十分備えることが今後の課題です。

 

 

 

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