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親が高齢であるような場合には、自宅や預金がある時には「相続」というものはどうしパーマリンクの変更ても避けられません。
このページでは、「相続」という制度についての基本知識について、3分程度で読むことができる知識を提供いたします。
相続に関する制度の概要
相続に関する基本的な制度や用語の概要を知っておきましょう
相続
相続とは、ある人が死亡したときに財産をうけつぐことをいい、特に法律で定義が定められているわけではありません。
亡くなった人が「被相続人」、財産をうけつぐ人を「相続人」という言い方をしますので知っておきましょう。
被相続人が死亡すると相続が開始し、被相続人が所有していた財産が相続人にうつることになります。
遺産分割
相続開始により相続人は相続財産を手に入れる権利をもつことになりますが、被相続人の財産のうち相続分の主張をできるにとどまります。
たとえば被相続人の持っていた家を長男のものにする(名義を移転する)といったことをするためには、実際に遺産をどのように分割するかを決定しなければなりません。
この遺産を分けることを遺産分割と呼んでおり、そのための話合いのことを遺産分割協議と呼んでいます。
遺言
相続では相続人がだれになるか、だれがどのような割合で遺産をもらうかということが法律で規定されています。
しかし、生前であれば誰にどのような財産を渡すか、といったことを自由に決定できるにもかかわらず、自分の死後はどのように分けてほしいかということは一切決められないというのはバランスとして悪いといわざるを得ません。
そのために、自分の死後、財産をどのように割り振るかについて定めることができるとしたものが「遺言」になり、この「遺言」がある場合には相続分に関する民法の規定は適用されなくなります。
遺言は法律の規定に従った方式でされる必要があり、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言といったものがあります。
遺留分(いりゅうぶん)
遺言がある場合には、相続分の規定が適用されないということをお伝えしましたが、たとえば父母子1人という家族構成において父が亡くなって相続開始した場合に、父が遺言で「愛人に全財産を渡す」としていた場合を考えてください。
この場合、母や子は相続財産を譲り受けることができなくなり、たとえば父名義で住宅を持っていたような場合に、愛人から退去するように言われてしまうと、これに従わざるを得なくなってしまうような事態が起きます。
そこで、「遺留分」という権利を法律で制定して、この遺留分を侵害するような遺言があったような場合には、相続人は遺留分があることを主張して、相続財産の一部を取り戻すことを請求する権利(遺留分減殺請求権 いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)を認めています。
相続税
相続においては、相続財産が一定以上あると、相続税がかかることになっています。
いくらの財産があれば相続税がかかるかについては、
という計算で自分に相続税がかかるか、申告が必要か、といったことを検討することになります。
例えば先ほどの、父母子一人という家族構成の場合で、父が亡くなった時には相続人は母と子の2人になるので、
3,000万円+(600万円×2)=4,200万円
となります。
生前贈与
相続は相続開始してからの財産移転を規定する制度なのですが、実際には上記のように相続税がかかったり、相続後に揉める可能性があるため、相続開始前から相続についてある程度対策をしておくことが望ましいといえます。
そのため、相続開始前から相続人や第三者に少しづつ財産を渡しておくことも視野に入れることになります。
民法上の契約としては贈与契約なのですが、相続との関係で「生前贈与」という言い方をしますので知っておきましょう。
また、贈与をするにあたっては、年間120万円以上の財産を贈与すると贈与税という税金がかかってきますので注意が必要です。
だれが相続人になるのか
ここまで相続と、相続に関する様々な制度について見てきました。
ではそもそも誰が相続人になるのか、ということについて見てみましょう。
誰が相続人になるのか、については相続の順位という民法の制度が関連しておりますのでひとつづつみてみましょう。
配偶者は常に相続人になる
すべての順位に共通して言えることなのですが、配偶者がいる場合には、その人は常に相続人になるということです。
第一順位の相続
第一順位の相続とは、被相続人に子がいる場合です。
被相続人に子がいる場合には子が相続人になります。
配偶者と子が居る場合には、配偶者が1/2・子が1/2の割合で相続することになります。
子が複数いる場合には、子の頭数で割ることになります。
例えば子が2人居る場合には、母1/2・子2人は1/2を二人で分けるので、それぞれ1/4ということになります。
第二順位の相続
被相続人に子がいない場合には、親が相続人になります。
配偶者と親が居る場合には、配偶者に2/3・親に1/3の割合で相続されることになります。
両親ともに健在の場合には、2人で分けることになるため、それぞれ1/6づつの割合で相続財産を分けることになります。
第三順位の相続
被相続人に子も親も居ない場合には、兄弟姉妹が相続人になります。
配偶者と兄弟姉妹が居る場合には、配偶者に3/4・兄弟姉妹で1/4の割合で相続されることになります。
兄弟姉妹が複数いる場合は第一順位の相続・第二順位の相続と同様に1/4の持分をそれぞれで分割することになります。
相続人が居ない
相続人が居ない場合にはどのようになるのでしょうか。
この場合、相続財産はすべて国のものになるというのが民法の規定になります。
ただ本当に相続人が居ないかどうかを確かめる手続きがとられることになります。
どのような財産が相続財産になるのか
相続人が確定できたとして、どのような財産が相続財産になるのかを見てみましょう。
被相続人がもっているもの
被相続人がもっている「もの」についてはすべて相続財産になります。
高額なものでいうと住宅・自動車といったものが代表的なものですが、人に対する権利(銀行預金は銀行に預けてあるお金を支払ってくれという権利です)についても基本的には相続されることになります。
相続されるのはプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も相続されることになります。
一身専属権という権利は相続しない
様々な請求権の中には民法で「一身専属権」という分類がされる規定があります。
たとえば被相続人が扶養する権利を持っていたり、生活保護の受給権が挙げられます。
このような権利は「その人」のみが行使できる権利であって、相続した人が被相続人に代わって受給するというのは少し筋が違うのです。
そのため、このような権利は相続しないとされています。
生命保険の扱い
被相続人に生命保険がかけられていた場合には、被相続人の死亡によって受取人が保険金を受け取ることができます。
ほとんどのケースで受取人が相続人であるようなケースがあるので、相続手続きと同様に考えてしまいがちです。
しかし、生命保険の保険金は相続の効果として受け取ることができる権利ではなく、あくまで生命保険契約に基づいて受け取ることができる権利なので、民法上の相続財産にはあたりません。
しかし、これを使って事実上は財産を移転することができるため、相続税法との関係では相続財産に含めて考えるので注意が必要です。
相続に関する手続きを知る
相続にあたって様々な手続きが発生しますので、必要な手続きを知りましょう。
各種届出と名義変更
被相続人が利用していたサービスなどは解約することになります。
携帯電話・電気・ガス・水道などは利用している会社とすることになります。
父・母・子が相続人で、母・子が従来どおり家に住み続けるような場合には、電気・ガス・水道といったものは名義変更の契約をすることになります。
不動産の名義の変更
相続財産に不動産があるような場合は、名義の変更を行います。
名義に関しては固定資産税に関するものと登記に関するものがあります。
固定資産税に関するものについてはいったんだれかが代表して支払うことにすれば大丈夫です。
登記に関するものは、遺産分割協議をおこなって不動産をどのような所有にするかを確定させてた上で遺産分割協議書を作成しなければ登記に関する書類の受付をしてもらえません。
遺産分割協議がまとまらないような場合には、調停・裁判といったものを利用する必要があります。
準確定申告
被相続人が個人事業主であったなどで、確定申告が必要であった場合に、相続人は死亡した被相続人についての所得税の確定申告をしなければならず、この確定申告のことを準確定申告と呼んでいます。
この確定申告は相続開始から4ヶ月以内にしなければならないとされています。
もし申告が難しい場合には税理士などの専門家に相談・依頼をするのが無難といえるでしょう。
相続税申告・納付
相続税の申告が必要な場合には相続開始から10ヶ月以内にする必要があります。
相続税申告にあたっては資産の評価などで綿密な調査が必要になったり、その評価の計算をしてから申告書を作成して添付書類をそろえるなど、個人でやろうとおもうと意外と手間になるものです。
まとめ
このページでは、相続についての制度、誰が何を相続するのか、どのような手続きがあるのかということについてお伝えしてきました。
相続財産が多数あって納税が必要な場合には、ある程度長期的なスパンでの納税対策をしていかないと、相続税の納付が重くなったり、相続そのもので争いになってしまうことがあります。
万が一の話はなかなかしづらいものですが、よく話し合うことも検討するようにしてください。